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人足
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ひとあし
ふりがな文庫
“
人足
(
ひとあし
)” の例文
つい、その
頃
(
ころ
)
、
門
(
もん
)
へ
出
(
で
)
て——
秋
(
あき
)
の
夕暮
(
ゆふぐれ
)
である……
何心
(
なにごころ
)
もなく
町通
(
まちどほ
)
りを
視
(
なが
)
めて
立
(
た
)
つと、
箒目
(
はゝきめ
)
の
立
(
た
)
つた
町
(
まち
)
に、ふと
前後
(
あとさき
)
に
人足
(
ひとあし
)
が
途絶
(
とだ
)
えた。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
皚々
(
がい/\
)
たる
雪夜
(
せつや
)
の
景
(
けい
)
に
異
(
かは
)
りはなけれど
大通
(
おほどほ
)
りは
流石
(
さすが
)
に
人足
(
ひとあし
)
足
(
た
)
えず
雪
(
ゆき
)
に
照
(
て
)
り
合
(
あ
)
ふ
瓦斯燈
(
がすとう
)
の
光
(
ひか
)
り
皎々
(
かう/\
)
として、
肌
(
はだへ
)
をさす
寒氣
(
かんき
)
の
堪
(
た
)
へがたければにや
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
土手の
人足
(
ひとあし
)
は至って疎らですが、川面は夜桜見物の船が隙もなく往来し、絃歌と歓声が春の波を湧き立たせるばかりです。
銭形平次捕物控:040 大村兵庫の眼玉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
狐、
猪
(
しし
)
、
小熊
(
こぐま
)
の生けるを
檻
(
おり
)
に飼って往来の目をひく店もあり、
美々
(
びび
)
しい奇鳥の
啼
(
な
)
き声に
人足
(
ひとあし
)
を呼ぼうとする家もある。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どうせ
縁日物
(
えんにちもの
)
だから、大した植木がある訳じゃないが、ともかくも松とか
檜
(
ひのき
)
とかが、ここだけは
人足
(
ひとあし
)
の
疎
(
まば
)
らな通りに、水々しい
枝葉
(
えだは
)
を茂らしているんだ。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
そこの広い
四辻
(
よつつじ
)
を境にして
人足
(
ひとあし
)
はマバラになっていた。紋三は池の鉄柵のところに出ているおでん屋の赤い
行燈
(
あんどん
)
で、腕時計を透して見た。もう十時だった。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
一日の
雑沓
(
ざっとう
)
と暑熱に疲れきったような池の
畔
(
はた
)
では、
建聯
(
たてつらな
)
った売店がどこも
彼処
(
かしこ
)
も店を仕舞いかけているところであったが、それでもまだ
人足
(
ひとあし
)
は絶えなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
小さいながら定小屋もあって、
軽業
(
かるわざ
)
、奇芸の見世物まで、夜も
人足
(
ひとあし
)
を吸い寄せているのであった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
まだ若い丈夫そうな馬商人は、小馬を三頭ひっぱって、奈良田の方からここへ来かかりましたが、この暁方、この
人足
(
ひとあし
)
の絶えたところで、犬のしきりに吠えるのが気になります。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「だが、あすこは
人足
(
ひとあし
)
の絶えないところだ。どうも取り出すに困る」と、獄卒は言った。
中国怪奇小説集:11 異聞総録・其他(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ある
唐物屋
(
たうぶつや
)
の
中
(
うち
)
からは、私の
嫌
(
きら
)
ひなものゝ一つである
蓄音機
(
ちくおんき
)
の
浪花節
(
なにはぶし
)
が、いやに
不自然
(
ふしぜん
)
な
聲
(
こゑ
)
を出して
人足
(
ひとあし
)
をとめようとしてゐましたが、
誰
(
たれ
)
もちよいと
振
(
ふ
)
りかへつたまゝでそゝくさ行き過ぎるのが
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
シカシ
人足
(
ひとあし
)
の留まるは
衣裳附
(
いしょうづけ
)
よりは
寧
(
むし
)
ろその態度で、髪も
例
(
いつも
)
の束髪ながら何とか結びとかいう手のこんだ束ね方で、大形の
薔薇
(
ばら
)
の
花挿頭
(
はなかんざし
)
を
挿
(
さ
)
し、本化粧は自然に
背
(
そむ
)
くとか云ッて薄化粧の
清楚
(
せいそ
)
な作り
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
こめかみがじんじんと痛み出して、泣きつかれのあとに似た不愉快な
睡気
(
ねむけ
)
の中に、胸をついて
嘔
(
は
)
き
気
(
け
)
さえ催して来た。葉子はあわててあたりを見回したが、もうそこいらには散歩の
人足
(
ひとあし
)
も絶えていた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
除夜の
集会
(
あつまり
)
に
人足
(
ひとあし
)
稀
(
まれ
)
なるも
道理
(
ことわり
)
なりけり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
人足
(
ひとあし
)
くらい
江戸町
(
えどまち
)
に
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
まだ
卯刻
(
むつ
)
半(七時)過ぎ、火事場帰りの
人足
(
ひとあし
)
が
漸
(
ようや
)
く
疎
(
まば
)
らになって、石垣の上は、白々と朝霜が残っている頃です。
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
夫人は公園の入口のやや
人足
(
ひとあし
)
のまばらになった所へ来ると、いきなり紋三の方を振向いて妙なことを尋ねた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
笛や太鼓が、山風に
谺
(
こだま
)
を呼んで
人足
(
ひとあし
)
もいよいよここへ流れ集まっては来るが、神楽殿にはまだ、静かに、灯影と
帳
(
とばり
)
が揺れているのみで
舞人
(
ぶじん
)
はあらわれていなかった。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
老人
(
としより
)
は、
年紀
(
とし
)
十八九の時分から
一時
(
ひとしきり
)
、この世の中から行方が知れなくなって、今までの間、甲州の山続き
白雲
(
しらくも
)
という峰に
閉籠
(
とじこも
)
って、
人足
(
ひとあし
)
の絶えた処で、行い澄して
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それとは知らない二人づれの墓参りは、やがて墓の前を辞して
徐
(
おもむ
)
ろに以前入って来た木戸口を出て、魔術の小屋へ吸い寄せられる
人足
(
ひとあし
)
に交り、相撲茶屋を横に見るところへ来ると
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
夜
(
よ
)
はまだ
更
(
ふ
)
けねど
降
(
ふり
)
しきる
雪
(
ゆき
)
に
人足
(
ひとあし
)
大方
(
おほかた
)
絶々
(
たえ/″\
)
になりて
戸
(
と
)
を
下
(
おろ
)
す
商家
(
しやうか
)
こゝかしこ
遠
(
とほ
)
く
引
(
ひ
)
く
按摩
(
あんま
)
の
聲
(
こゑ
)
に
近
(
ちか
)
く
交
(
まじ
)
る
犬
(
いぬ
)
の
子
(
こ
)
の
叫
(
さけ
)
びそれすらも
淋
(
さび
)
しきを
路傍
(
みちばた
)
の
柳
(
やなぎ
)
にさつと
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
になよ/\と
靡
(
なび
)
いて
散
(
ち
)
るは
粉雪
(
こゆき
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
その時分には、もう日が
暮
(
くれ
)
かけて、
人足
(
ひとあし
)
もまばらになり、覗きの前にも、二三人のおかっぱの子供が、未練らしく立去り兼ねて、うろうろしているばかりでした。
押絵と旅する男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
昼下がりの花川戸の往来は、暑さにしばらく
人足
(
ひとあし
)
も絶えて、何となくヒッソリしております。
銭形平次捕物控:005 幽霊にされた女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ええ、ござりますとも、
人足
(
ひとあし
)
も通いませぬ山の中で、雪の降る時
白鷺
(
しらさぎ
)
が一羽、
疵所
(
きずしょ
)
を浸しておりましたのを、狩人の見附けましたのが始りで、ついこの八九年前から開けました。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
娘は往来の
人足
(
ひとあし
)
がとだえるのを待って
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ですが、
行
(
い
)
らつしやらないでも
可
(
い
)
いんですか。お
約束
(
やくそく
)
でもあつたんだと——
何
(
ど
)
うにか
出來
(
でき
)
さうなものですがね、——
又
(
また
)
不思議
(
ふしぎ
)
に
人足
(
ひとあし
)
が
途絶
(
とだ
)
えましたな。こんな
事
(
こと
)
つてない
筈
(
はず
)
です。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
人足
(
ひとあし
)
が絶えるとなれば、草が生えるばっかりじゃ。ハテ黒門の別宅は是非に及ばぬ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……夜あかしだと聞く怪談には、この時刻が
出盛
(
でざか
)
りで、村祭の
畷
(
なわて
)
ぐらいは
人足
(
ひとあし
)
が落合うだろう。
俥
(
くるま
)
も並んでいるだろう、……は大あて違い。ただの一台も見当らない。前の広場も暗かった。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どれ、連中に
追
(
おっ
)
つこうと、宿はずれへ急ぐと、
長閑
(
のどか
)
な霞のきれ間とも思われる、軽く
人足
(
ひとあし
)
の途絶えた真昼の並木の松蔭に、
容子
(
ようす
)
の
好
(
い
)
い年増が一人、
容
(
かたち
)
の
賤
(
いや
)
しからぬのが、待構えたように立っていて
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
先へ出た女中がまだそこを、うしろの
人足
(
ひとあし
)
も聞きつけないで、ふらふらして
歩行
(
ある
)
いているんだ。
追着
(
おッつ
)
いてね、
使
(
つかい
)
がこの使だ、手を
曳
(
ひ
)
くようにして力をつけて、とぼとぼ
遣
(
や
)
りながら炬燵の事も聞いたよ。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
われら附添って
眷属
(
けんぞく
)
ども一同守護をいたすに、元来、
人足
(
ひとあし
)
の絶えた空屋を求めて
便
(
たよ
)
った処を、
唯今
(
ただいま
)
眠りおる少年の、身にも命にも替うる
願
(
ねがい
)
あって、身命を
賭物
(
かけもの
)
にして、推して
草叢
(
くさむら
)
に
足痕
(
あしあと
)
を留めた以来
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
通
(
とほ
)
りものでもするらしい、
人足
(
ひとあし
)
が
麻布
(
あざぶ
)
の
空
(
そら
)
まで
途絶
(
とだ
)
えて
居
(
ゐ
)
る……
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“人足”の意味
《名詞》
;(にんそく)
土木工事・荷役などの力仕事に従事する労働者。
;(ひとあし)
人の往来。
人繞(にんによう)。
(出典:Wiktionary)
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
足
常用漢字
小1
部首:⾜
7画
“人足”で始まる語句
人足廻
人足指
人足寄場
人足差
人足頭