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亡
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う
ふりがな文庫
“
亡
(
う
)” の例文
この十蔵が事は
貴嬢
(
きみ
)
も知りたもうまじ、かれの片目は
奸
(
よこしま
)
なる妻が投げ付けし
火箸
(
ひばし
)
の傷にて
盲
(
つぶ
)
れ、間もなく妻は狂犬にかまれて
亡
(
う
)
せぬ。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
百何十年か
経
(
た
)
った今となっては、功業の跡、夢の如く
亡
(
う
)
せて、その
事蹟
(
じせき
)
は、ドラゴン退治の伝説の英雄となんの選ぶところがない。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
再びエレーンと呼ぶにエレーンはランスロットじゃと答える。エレーンは
亡
(
う
)
せてかと問えばありという。いずこにと聞けば知らぬという。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
我
(
わが
)
ここに住むもいまだ一とせばかりの事なれば、それよりはるかの昔に
亡
(
う
)
せ給ふと見えて、住み給ふ人の
一三三
ありつる世はしり侍らず。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
恩
(
おん
)
ある
人
(
ひと
)
は
二年目
(
にねんめ
)
に
亡
(
う
)
せて
今
(
いま
)
の
主
(
あるじ
)
も
内儀樣
(
かみさま
)
も
息子
(
むすこ
)
の
半次
(
はんじ
)
も
氣
(
き
)
に
喰
(
く
)
はぬ
者
(
もの
)
のみなれど、
此處
(
こゝ
)
を
死場
(
しにば
)
と
定
(
さだ
)
めたるなれば
厭
(
いや
)
とて
更
(
さら
)
に
何方
(
いづかた
)
に
行
(
ゆ
)
くべき
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
境内の変にからりとして居る訳もこれで合点が行つて、有る可きものが
亡
(
う
)
せてゐるのだなと思ひながら、庫裡へと入つた。
観画談
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
体が冷えて、爪に血の色が
亡
(
う
)
せて来ると、
医師
(
いしゃ
)
がやって来て注射を施した。患者はしばらくのまに
渾身
(
みうち
)
が暖まって来た。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
事もなげにこちらに近より、男のすぐ前を通りて
何方
(
いづかた
)
へか行き過ぎたり。この人はその折の恐ろしさより煩ひ始めて、久しく病みてありしが、近き頃
亡
(
う
)
せたり。
遠野物語
(新字旧仮名)
/
柳田国男
(著)
あの、厄年の十九を見され、五人、三人
一時
(
いっとき
)
に
亡
(
う
)
せるじゃろうがの。死ねば思いが黒髪に残ってその一筋がまた同じ女と生れる、生きかわるわいの。死にかわるわいの。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その遁げる人たちは荷物の山に遮られ、右往左往している中に、片ッ端から荷の山も焼け
亡
(
う
)
せて跡は一面に火の海となるという有様……ただ、もう物凄い光景でありました。
幕末維新懐古談:13 浅草の大火のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「ごらんのごとく、武家屋敷も軒なみ焼け
亡
(
う
)
せ、雪之下、塔ノ辻、大町、
佐介
(
さすけ
)
、すべて
茫
(
ぼう
)
たる焦土でございまする。たまたま残った門や家には、はや諸国の武士が混み入っておりますし」
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わが昔崇拜せしアヌンチヤタは今
亡
(
う
)
せたり、昔の理想の影は今消えぬ、わがこれを思ふは泉下の人を思ふ如し、さるを若しそのアヌンチヤタならぬアヌンチヤタ又出でゝ、冷なる眼もて我を見ば
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
小秀は打萎れた姿で路次から消え
亡
(
う
)
せた。
死線を越えて:01 死線を越えて
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
きのふの『ねたみ』は
亡
(
う
)
せぬ、
遺骸
(
なきがら
)
をば
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
噛んで
亡
(
う
)
せたのでござりますぞ——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「衣笠どのが
亡
(
う
)
せられた……」
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あらず、あらず、
彼女
(
かれ
)
は犬にかまれて
亡
(
う
)
せぬ、恐ろしき
報酬
(
むくい
)
を得たりと答えて十蔵は
哄然
(
こうぜん
)
と笑うその笑声は
街
(
ちまた
)
多き
陸
(
くが
)
のものにあらず。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
境内の変にからりとしている訳もこれで
合点
(
がてん
)
が行って、あるべきものが
亡
(
う
)
せているのだなと思いながら、庫裡へと入った。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
今
(
いま
)
は
亡
(
う
)
せたる
傘屋
(
かさや
)
の
先代
(
せんだい
)
に
太
(
ふと
)
つ
腹
(
ぱら
)
のお
松
(
まつ
)
とて
一代
(
いちだい
)
に
身上
(
しんじやう
)
をあげたる、
女相撲
(
をんなずまふ
)
のやうな
老婆樣
(
ばゝさま
)
ありき、
六年前
(
ろくねんまへ
)
の
冬
(
ふゆ
)
の
事
(
こと
)
寺參
(
てらまゐ
)
りの
歸
(
かへ
)
りに
角兵衞
(
かくべゑ
)
の
子供
(
こども
)
を
拾
(
ひろ
)
ふて
來
(
き
)
て
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
事もなげに此方に近より、男のすぐ前を通りて
何方
(
いずかた
)
へか行き過ぎたり。この人はその折の
怖
(
おそ
)
ろしさより
煩
(
わずら
)
い
始
(
はじ
)
めて、久しく
病
(
や
)
みてありしが、近きころ
亡
(
う
)
せたり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
小田切三也は二年目に急病で
亡
(
う
)
せ、小田切家の家督は名実ともに良平が譲り受けました。
百唇の譜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
時
(
をり
)
々あの家にゆきて、
亡
(
う
)
せ給ふ人の
一三五
菩提
(
ぼだい
)
を
弔
(
とぶら
)
はせ給ふなり。此の翁こそ月日をもしらせ給ふべしといふ。勝四郎いふ。さては其の翁の
栖
(
す
)
み給ふ家は
何方
(
いづべ
)
にて侍るや。
主
(
あるじ
)
いふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
身
(
み
)
亡
(
う
)
せけむ、おのれその時。
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
今は
亡
(
う
)
せたる傘屋の先代に太つ腹のお松とて一代に身上をあげたる、女相撲のやうな
老婆
(
ばゝ
)
さま有りき、六年前の冬の事寺參りの歸りに角兵衞の子供を拾ふて來て
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
太子
亡
(
う
)
せたまいければ、太孫をして事に当らしめたまいけるが、太孫もまた寛厚の性、おのずから徳を植えたもうこと多く、又太祖に請いて、
遍
(
あまね
)
く
礼経
(
れいけい
)
を考え、歴代の刑法を
参酌
(
さんしゃく
)
し
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
わが眠りし間に幸助いずれにか逃げ
亡
(
う
)
せたり、来たれ来たれ来たれともに捜せよ、見よ幸助は
芥溜
(
ごみため
)
のなかより大根の
切片
(
きれ
)
掘りだすぞと大声あげて泣けば、
後
(
うし
)
ろより我子よというは母なり。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
今は
亡
(
う
)
せたる傘屋の先代に太つ腹のお松とて一代に
身上
(
しんじやう
)
をあげたる、
女相撲
(
おんなすまう
)
のやうな
老婆
(
ばば
)
さま有りき、六年
前
(
まへ
)
の冬の事寺参りの帰りに角兵衛の子供を拾ふて来て
わかれ道
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
後にこそ天下の主となり
玉
(
たま
)
いたれ、
元
(
げん
)
の
順宗
(
じゅんそう
)
の
至正
(
しせい
)
四年
年
(
とし
)
十七におわしける時は、疫病
大
(
おおい
)
に行われて、
御父
(
おんちち
)
御母兄上幼き弟皆
亡
(
う
)
せたまえるに、家貧にして
棺槨
(
かんかく
)
の
供
(
そなえ
)
だに
為
(
な
)
したもう
能
(
あた
)
わず
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
母は安兵衛が
同胞
(
けうだい
)
なれば此処に引取られて、これも二年の
後
(
のち
)
はやり風俄かに重く成りて
亡
(
う
)
せたれば、
後
(
のち
)
は安兵衛夫婦を親として、十八の今日まで恩はいふに及ばず
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
母
(
はゝ
)
は
安兵衛
(
やすべゑ
)
が
同胞
(
けうだい
)
なれば
此處
(
こゝ
)
に
引取
(
ひきと
)
られて、これも二
年
(
ねん
)
の
後
(
のち
)
はやり
風
(
かぜ
)
俄
(
には
)
かに
重
(
おも
)
く
成
(
な
)
りて
亡
(
う
)
せたれば、
後
(
のち
)
は
安兵衞
(
やすべゑ
)
夫婦
(
ふうふ
)
を
親
(
おや
)
として、十八の
今日
(
けふ
)
まで
恩
(
おん
)
はいふに
及
(
およ
)
ばず
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
我が
薄井
(
うすゐ
)
の家は土地に聞えし名家にて、身は
其
(
その
)
一つぶもの成りしも、不幸は父母はやく
亡
(
う
)
せて、
他家
(
ほか
)
に嫁ぎし伯母の是れも
良人
(
をつと
)
を失なひたるが、立帰りて我をば
生
(
おほ
)
したて給ひにき
雪の日
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
只
(
たヾ
)
一人
(
ひとり
)
ありし
妹
(
いもと
)
の
我
(
わ
)
れと
非常
(
ひじやう
)
に
中
(
なか
)
よかりしが、
今
(
いま
)
は
亡
(
う
)
せて
何
(
なに
)
もなき
身
(
み
)
、その
妹
(
いもと
)
が
姉樣
(
ねえさま
)
に
正寫
(
そつくり
)
にて、
今
(
いま
)
も
在世
(
あら
)
ばと
戀
(
こひ
)
しさ
堪
(
た
)
へがたく、お
前樣
(
まへさま
)
に
姉樣
(
ねえさま
)
なれば
我
(
わ
)
れには
妹
(
いもと
)
の
樣
(
やう
)
に
思
(
おも
)
はれて
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
目鼻
(
めはな
)
だちの
何處
(
どこ
)
やらが
水子
(
みづこ
)
にて
亡
(
う
)
せたる
總領
(
そうりやう
)
によく
似
(
に
)
たりとて、
今
(
いま
)
はなき
人
(
ひと
)
なる
地主
(
ぢぬし
)
の
内儀
(
つま
)
に
可愛
(
かあい
)
がられ、はじめはお
大盡
(
だいじん
)
の
旦那
(
だんな
)
と
尊
(
たつと
)
びし
人
(
ひと
)
を、
父上
(
ちゝうへ
)
と
呼
(
よ
)
ぶやうに
成
(
な
)
りしは
其身
(
そのみ
)
の
幸福
(
しやわせ
)
なれども
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
目鼻だちの
何処
(
どこ
)
やらが
水子
(
みづこ
)
にて
亡
(
う
)
せたる総領によく似たりとて、今はなき人なる地主の
内儀
(
つま
)
に
可愛
(
かあい
)
がられ、はじめはお大尽の旦那と
尊
(
たつと
)
びし人を、父上と呼ぶやうに成りしはその身の
幸福
(
しやわせ
)
なれども
ゆく雲
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
亡
常用漢字
小6
部首:⼇
3画
“亡”を含む語句
死亡
亡父
未亡人
逃亡
亡者
亡母
滅亡
亡妻
亡夫
亡魂
亡霊
流亡
亡兄
敗亡
遁亡
焼亡
亡骸
隠亡
御亡
罪亡
...