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不在
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るす
ふりがな文庫
“
不在
(
るす
)” の例文
平素
(
ふだん
)
女房
(
かない
)
にいたぶられてゐる亭主は女房の
不在
(
るす
)
に台所の隅で光つてゐる
菜切庖丁
(
なきりばうちやう
)
や、葱の尻尾に触つてみるのが愉快で溜らぬものだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
仕方がないからシャブズン・ラマに渡そうとしたところが、ラマもネパールのカトマンズの方へ寺詣りに行かれてお
不在
(
るす
)
であった。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
今君のお
不在
(
るす
)
中に僕はお登和さんから二十銭弁当やら二、三十銭の西洋料理やら色々有益な事を伺って追々実行せんとする所だ。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
父が其時居りさえしたら、どんなにか
手頼
(
たよ
)
りになったでしょう。その時父は公用のため英国へ渡って居りまして、
不在
(
るす
)
だったのでございます。
西班牙の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
丁度主人は
不在
(
るす
)
だつたので彼等は細君を對手に手酷く談判に及んだ折も折、今度はまた米屋の手代が、これも同じく
一家
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
▼ もっと見る
武は
不在
(
るす
)
でございましたが、今に帰るだろうから帰ったら橋まで送らすからと申しますのでしばらくぐずぐずしていますと、武が帰って参りました。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
現
(
げん
)
に
只
(
ただ
)
今
(
いま
)
も
命様
(
みことさま
)
には
何
(
なに
)
かの
御用
(
ごよう
)
を
帯
(
お
)
びて
御出
(
おで
)
ましになられ、
乙姫様
(
おとひめさま
)
は、ひとりさびしくお
不在
(
るす
)
を
預
(
あず
)
かって
居
(
お
)
られます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
今年十八で、眉の可愛い、眼の細い下女のお菊は、
白子
(
しろこ
)
屋の奥へ呼ばれた。
主人
(
あるじ
)
の庄三郎は
不在
(
るす
)
で、そこには女房のお常と下女のお久とが坐っていた。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
是は暫時
耳聾
(
つんぼ
)
になる譯でも何でも無い。耳に在つて聲を聞く所以のものが一寸
不在
(
るす
)
になつて居るからなのである。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「マンドリンを弾くのが聞えたなんて、それは
貴郎
(
あなた
)
のお気のせいよ。衣川さんはいつもマンドリンを弾いていらっしゃるけれども、昨夜はお
不在
(
るす
)
のようでしたわ」
秘められたる挿話
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
阿關の事なれば並大底で此樣な事を言ひ出しさうにもなく、よく/\
愁
(
つ
)
らさに出て來たと見えるが、して今夜は聟どのは
不在
(
るす
)
か、何か改たまつての事件でもあつてか
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
格子
(
こうし
)
を開ける時にベルが鳴ってますます驚いたとか、頼むと案内を乞うておきながら
取次
(
とりつぎ
)
に出て来た下女が
不在
(
るす
)
だと言ってくれればよかったと
沓脱
(
くつぬぎ
)
の前で感じたとか
文芸と道徳
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さあ、何ですか、主人が
不在
(
るす
)
でわかりませんが、……そういえば兄は昨日帰ってから、そんなことを
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
見るに胸先づ迫き来れど、大事のところとしとやかに案内を乞ひつるに。目ざす人は
不在
(
るす
)
なりしかど、もと下宿し居たまへし家の娘といふに、奥様も心ゆるしたまひてや。
葛のうら葉
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
一日内にとじ
籠
(
こ
)
もっているよりもと思って出かけていったが、一週間ほど
不在
(
るす
)
といいおいていって、まだ三、四日にしかならぬのであるから、老婦人はまだ帰っていない。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
学校はがらんとして、小使もいなかった。関さんも、昨日浦和に行ったとて
不在
(
るす
)
であった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
してみれば、ここはいつぞや金蔵が話した通り、その親たちがはじめた温泉宿である。金蔵は今も見えないし、役人の来た時も出て来なかったから、たぶん
不在
(
るす
)
なのでありましょう。
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
関如来氏の談によれば、ある日朝から一葉が半井氏を
訪
(
たず
)
ねたことがある。彼女の声が、訪れたということを
格子戸
(
こうしど
)
の外から告げられると、二階に執筆中の半井氏は
不在
(
るす
)
だと言ってくれと関氏に頼んだ。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そして自分が
不在
(
るす
)
の間に、日本の土地が
護謨毬
(
ごむまり
)
で造り更へられでもしたかのやうに、注意ぶかい、歩きぶりをして、港の
埠頭
(
はとば
)
に下りてゐた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
お定まりの嫉妬から或日の事、主人の殿が
不在
(
るす
)
を幸いに、右のお住を庭前へ引据えて散々に折檻し、その半死半生になったのをそのままに捨て置いた。
お住の霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
一文貰ひに乞食が来ても甲張り声に酷く謝絶りなどしけるが、或日源太が
不在
(
るす
)
のところへ心易き医者道益といふ饒舌坊主遊びに来りて、
四方八方
(
よもやま
)
の話の末
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
その時僕を大関に見立てて下宿屋へ呼びによこしたが
不在
(
るす
)
で残念だといっていた処で是非僕にも仲間入をしろ
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
阿関
(
おせき
)
の事なれば並大底でこんな事を言ひ出しさうにもなく、よくよく
愁
(
つ
)
らさに出て来たと見えるが、して今夜は聟どのは
不在
(
るす
)
か、何か改たまつての事件でもあつてか
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
どうもダージリンへ行ったところが、サラット・チャンドラ・ダース師は国(インド)の方へ帰って居られてお
不在
(
るす
)
であったから、
行際
(
ゆきしな
)
に手紙を渡すことが出来なかった。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
和尚
(
おしょう
)
さんは戦地から
原杏花
(
はらきょうか
)
が帰るのを迎えに東京に行ってあいにく
不在
(
るす
)
なので、清三が本堂に寄宿しているころ、よく数学を教えてやった小僧さんがお経を読むこととなった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
江戸
(
えど
)
から
来
(
き
)
ている
小供
(
こども
)
はそれが
羨
(
うらやま
)
しくて
耐
(
たま
)
らなかったものでございましょう、
自分
(
じぶん
)
では
泳
(
およ
)
げもせぬのに、
女中
(
じょちゅう
)
の
不在
(
るす
)
の
折
(
おり
)
に
衣服
(
きもの
)
を
脱
(
ぬ
)
いで、
深
(
ふか
)
い
水溜
(
みずたまり
)
の
一
(
ひと
)
つに
跳
(
と
)
び
込
(
こ
)
んだから
耐
(
たま
)
りませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
自分の
不在
(
るす
)
を知らせずに、つまり彼女は依然として城中大奥にいるものと城中の者に思わせておいて、しかも一人だけこっそりと抜け出す方法はあるまいかと、その工夫に
耽
(
ふけ
)
ったものである。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
斯
(
こ
)
うした
佗
(
わび
)
しい心持の時に限って思出されるのは、二年
前
(
ぜん
)
彼を捨てゝ
何処
(
どこ
)
へか走ったグヰンという女であった。彼女は泉原の
不在
(
るす
)
の間に、銀行の貯金帳を
攫
(
さら
)
って
行方
(
ゆくえ
)
を
晦
(
くら
)
まして了ったのである。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
不在
(
るす
)
の間に子を捕られて、それを取戻そうとつとめたけれども、そのかいがないために、親鷲が憤って、山の上で羽風を鳴らすために、急に天候がこう変って、風が吹きすさんで来たもののように
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ある夏の事、御多分に洩れぬ
幸堂得知
(
かうだうとくち
)
氏が夫人の
不在
(
るす
)
を
覗
(
ねら
)
つて無駄話に尻を腐らせてゐると、表を鰯売が通つた。幸堂氏は急に話を
止
(
や
)
めた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
客の小山も退屈しけん「お登和さん、中川君は大層お手間が取れますね。子爵がお
不在
(
るす
)
でしょうか」お登和嬢
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
阿關
(
おせき
)
の
事
(
こと
)
なれば
並
(
なみ
)
大底
(
たいてい
)
で
此樣
(
こん
)
な
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ひ
出
(
だ
)
しさうにもなく、よく/\
愁
(
つ
)
らさに
出
(
で
)
て
來
(
き
)
たと
見
(
み
)
えるが、して
今夜
(
こんや
)
は
聟
(
むこ
)
どのは
不在
(
るす
)
か、
何
(
なに
)
か
改
(
あら
)
たまつての
事件
(
じけん
)
でもあつてか
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
心こゝにあらざれば、聞いて聞えず、なのであるから、いつか人の談話を聞く氣になつて居られないで氣が外へ散る、其の爲に耳の働きが
不在
(
るす
)
になつて仕舞ふのである。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
その日も荻生さんはたずねて来たがやっぱり
不在
(
るす
)
だった。行田の母親からも用事があるから来いとたびたび言って来る。けれど顔を見せぬので、父親は
加須
(
かぞ
)
まで来たついでにわざわざ寄ってみた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
松島の家へ帰り着いてみると、息子の
小太郎
(
こたろう
)
は我が
不在
(
るす
)
の間に病んで死んだのであった。夢かとばかり驚き歎いていると、象潟からは約束の通りに美しい娘を送って来たので、掃部はいよいよ驚いた。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そして女が両側の店を覗き覗き、きよろ/\してゐるやうだつたら、その女は屹度
移
(
うつ
)
り
気
(
き
)
だから、
迚
(
とて
)
も
不在
(
るす
)
勝
(
がち
)
な海員の女房には出来かねる。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そうすると嫁に
参
(
ま
)
いって三日目にたった一人の下女が急に病気になって宿へ下がりました。
良人
(
やど
)
は社へ出て
不在
(
るす
)
ですし、晩になっても御飯の
副食物
(
おかず
)
を
拵
(
こし
)
らえる事が出来ません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
お吉、十兵衞めがところに一寸行て来る、行違ひになつて
不在
(
るす
)
へ来ば待たして置け、と云ふ言葉さへとげ/\しく怒りを含んで立出かゝれば、気にはかゝれど何とせん方もなく
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
三郎
(
さぶろう
)
さまと申のなり
此頃
(
このごろ
)
來
(
き
)
給
(
たま
)
ひしは
和女
(
そなた
)
が
丁度
(
ちやうど
)
不在
(
るす
)
の
時
(
とき
)
よ一
ト
足
(
あし
)
違
(
ちが
)
ひに
御歸宅
(
ごきたく
)
ゆゑ
知
(
し
)
らぬのは
道理
(
どうり
)
と
云
(
い
)
ひかけてお
八重
(
やへ
)
の
顏
(
かほ
)
さしのぞき
此願
(
このねが
)
ひ
若
(
も
)
し
叶
(
かな
)
はゞ
生涯
(
しやうがい
)
の
大恩
(
だいおん
)
ぞかし
諄
(
くど
)
うは
云
(
い
)
はぬ
心
(
こゝろ
)
は
是
(
これ
)
よと
合
(
あ
)
はす
手
(
て
)
に
嬉
(
うれ
)
しき
色
(
いろ
)
はあらはれたり
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
夫人が
出鱈目
(
でたらめ
)
を言つたに少しの不思議もない。
長
(
なが
)
の
不在
(
るす
)
に女は男を忘れてゐたに過ぎないのだ。尤もカツレツだけは機関長もよく食べさせられた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
お代先生も大原君と婚礼すれば立派な貴夫人にならなければならんから大原君の
不在
(
るす
)
中に東京で
確
(
しっか
)
り勉強をしたらよかろう、貴夫人になるのはそれぞれの学問がなければならん
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
十兵衛めがところにちょっと行て来る、行違いになって
不在
(
るす
)
へ
来
(
こ
)
ば待たしておけ、と云う言葉さえとげとげしく怒りを含んで立ち出でかかれば、気にはかかれど何とせん方もなく
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「あんなに約束までしておいたのに、二日も
不在
(
るす
)
を続けるなんて、
怪
(
け
)
しからん。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
長閑気
(
のんき
)
で斯して遊びに来るとは、清吉
汝
(
おまへ
)
もおめでたいの、
平生
(
いつも
)
は
不在
(
るす
)
でも飲ませるところだが今日は私は関へない、海苔一枚焼いて遣るも厭なら下らぬ世間咄しの相手するも虫が嫌ふ
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
...
覗
(
のぞ
)
いている。早く入らんか」大原
漸
(
ようや
)
く内に
入
(
いり
)
て座敷へ通り「中川君、
昨日
(
きのう
)
は大きに御馳走だった。時にお登和さんは」主人「今
不在
(
るす
)
だ」大原「オヤオヤ何処へお出掛だね」主人「今日は小山君の所へ年始に
遣
(
や
)
った」大原「それは残念」と失望顔。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
長閑気
(
のんき
)
でこうして遊びに来るとは、清吉
汝
(
おまえ
)
もおめでたいの、
平生
(
いつも
)
は
不在
(
るす
)
でも飲ませるところだが今日は私は
関
(
かま
)
えない、
海苔
(
のり
)
一枚焼いてやるも厭ならくだらぬ
世間咄
(
せけんばな
)
しの相手するも虫が嫌う
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「君もひどい男だね。約束しておいて二日も
不在
(
るす
)
を食はすなんて。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
第十七 お
不在
(
るす
)
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
親方の
不在
(
るす
)
にこう
爛酔
(
へべ
)
では済みませぬ、姉御と
対酌
(
さし
)
では夕暮を
躍
(
おど
)
るようになってもなりませんからな、アハハむやみに嬉しくなって来ました、もう行きましょう、はめを
外
(
はず
)
すと親方のお眼玉だ
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
在
常用漢字
小5
部首:⼟
6画
“不在”で始まる語句
不在証明
不在證明
不在中
不在勝
不在宅