“一通:ひととお” の例文
“一通:ひととお”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治7
小川未明7
芥川竜之介3
夏目漱石2
楠山正雄2
“一通:ひととお”を含む作品のジャンル比率
歴史 > 伝記 > 個人伝記1.3%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)1.0%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.4%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
「どう見ても、世評を裏切らぬうつけ者、容貌きりょうはよし、骨柄こつがら一通ひととおりじゃが、すこし足らぬ。……ここが」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「くわしくは主人の書状しょじょうにつくしてござりますが、口上こうじょうをもって一通ひととおりお願い申しあげまする。それは」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
僕は、尋問にかかる前に、警察の方で調べた二人の身元とか、心中に至るまでの事情を、一通ひととおりきいたのです。
島原心中 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
下手人のホシは他についているのだが、しかし漫然と放免は出来ぬから、役目の手前として、一通ひととおりだけのことをたずねるのだ。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信長の歓びかたは一通ひととおりでなかった。そのてがみには眼を細くして何度も繰り返し繰り返し読んだものである。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
爺いさんのこう云う様子が、ただ一通ひととおりの挨拶ではなく、しんから恐れ入っているらしいので、己はかえって気の毒に思った。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
これが町人の娘ならとにかく、かりそめにも名門の姫君なので、父の為俊卿も心を痛めること一通ひととおりでない。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
牛女うしおんなは、自分じぶん子供こどもをかわいがることは、一通ひととおりでありませんでした。
牛女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれども一通ひととおり打ち明けられて見ると、これ以上第二の問題には深入り出来ないのに違いなかった。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
父の後を相続する、それには嫁が必要だからもらう、両方とも理屈としては一通ひととおり聞こえます。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
きいた所が真実深い意味の分るけはない、ただ一通ひととおりの話を聞くばかり、一通りの事なら自分で原書を調べて容易にわかるから
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「それは何しろ坊ちゃんですから、……しかしもう一通ひととおりのことは心得ていると思いますが。」
手紙 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
はじめのうちは、じきになおるだろうとおもっていましたが、だんだんわるくなって、一通ひととおりでない不自由ふじゆうをするようになりました。
木と鳥になった姉妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それからというもの、金持かねもちの得意とくい一通ひととおりでありませんでした。近所きんじょでも、このとり評判ひょうばんになりました。
金持ちと鶏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ですから茂作が重病になると、稲見には曽祖母そうそぼに当る、その切髪きりがみの隠居の心配と云うものは、一通ひととおりや二通ふたとおりではありません。
黒衣聖母 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
さあ、わたしは、たいていこのあたりのうみうえは、一通ひととおりくまなくけてみたのですが、あざらしの子供こどもませんでした。
月とあざらし (新字新仮名) / 小川未明(著)
警察医は、鶏の料理をでもするように、馴れ切った冷静な手付きで、肺や心臓や胃腸など一通ひととおり見た上で、女に肺尖はいせんカタルの痕跡があるといいました。
島原心中 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
しかし、加能越の脊梁せきりょう山脈たるや一通ひととおりな難所ではないのだ。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから一通ひととおり委員達の話があって、いよいよ査定書を作ることになった。
寺田寅彦の追想 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
自分じぶん自分じぶんからだをめずらしそうにながめていましたが、一通ひととおりながめてしまうと、きゅう三日三晩みっかみばんなんにもべないで
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
一水舎半丘の報告は、どの位琴之丞をして失望せしめたか分らなかった。病気は益々悪くなって来た。六浦家の後室こうしつ始め、一門の心配は一通ひととおりではなくなった。
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
しかし、そのときのさむさというものは一通ひととおりでなくて、からなみだは、すぐにこおって両方りょうほうはふさがってしまいました。
春になる前夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
滅相めっそうもないこと、三彩獅子を御覧ごろうぜられて、将軍家の御感ぎょかん一通ひととおりでなく、殿、御上府のせつは、偉い面目めんもくをほどこしたそうでござる」
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、無言のうちに胸をいためていたことは一通ひととおりでなかった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おまけに、全身水しぶきをあびての苦戦は一通ひととおりでない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あつに、はたらいている人々ひとびとが、たまたま、こんなすずしいところをいだしたときのよろこびというものは、どんなでしょう。それは、一通ひととおりではありません。
隣村の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もしわたしがければ、この着物きものをぬいでおまえげよう、そしてわたしのせいたかさだけの大きなかめにさけをなみなみって、海山うみやまのごちそうを一通ひととおりそろえて、おきゃくんでやろう。
春山秋山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
その小鳥ことりは、はねいろうつくしいばかりでなく、いいこえして、あさからばんまでかごのなかでさえずりうたいましたから、三郎さぶろうはこの小鳥ことりあいしたことは一通ひととおりでありませんでした。
めくら星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
一通ひととおり夫の身の上を祈ってしまうと、今度は細帯を解いて、背中の子をりおろすように、背中から前へ廻して、両手にきながら拝殿をのぼって行って、「好い子だから、少しの、待っておいでよ」ときっと自分の頬を子供の頬へりつける。
夢十夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私は金銭の事を至極しごく大切にするが、商売ははなはだ不得手である、その不得手とはあえて商売の趣意を知らぬではない、その道理は一通ひととお心得こころえて居るつもりだが、自分に手を着けて売買ばいばい貸借かしかりは何分ウルサクて面倒臭くてる気がない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)