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貴郎
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あなた
ふりがな文庫
“
貴郎
(
あなた
)” の例文
「あら、
貴郎
(
あなた
)
も新聞を読んだくせに。先晩
劇場
(
しばい
)
の幕間にあんなに詳しく読んだではありませんか。それに今朝だって発つ前にも……」
ペルゴレーズ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「さあそいつは……そいつはどうも……それより一体
貴郎
(
あなた
)
様は、どうして何のために彼女を訪ねて、わざわざおいでなすったんで?」
仇討姉妹笠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかし松山さん、先方から改めて
詫
(
わ
)
びて来た場合には、
貴郎
(
あなた
)
の方でも
綺麗
(
きれい
)
さつぱりと秋子さんを円満に青木家に渡して下さるのでせうね
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
「先生、何です御わかりになりませぬ——まア驚いたこと——先生、
貴郎
(
あなた
)
を教会から
逐
(
お
)
ひ出す相談のあるのを
未
(
ま
)
だ御存知ないのですか」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「まア、今日はお
小言
(
こごと
)
デーなのね、おじいさん。ちと
外
(
ほか
)
のことでも言いなすったらどう?
貴郎
(
あなた
)
の五十回目のお誕生日じゃありませんか」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
もっとも、小松原とも
立二
(
りゅうじ
)
とも、我が姓、我が
名
(
めい
)
を呼ばれたのでもなければ、
聞馴
(
ききな
)
れた声で、
貴郎
(
あなた
)
、と言われた次第でもない。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
譬
(
たと
)
えば一家の主人が黙って物を考えて何か浮かない顔をしていたら妻君が心配して
貴郎
(
あなた
)
どうかなさいましたかと尋ねるだろう。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「
貴郎
(
あなた
)
、そんな
身装
(
みなり
)
をしてお
隣家
(
となり
)
へ往つてらしたんですか。
襟飾
(
ネクタイ
)
もつけないで、何てまあ礼儀を知らない方なんでせう。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「変なことおうかがいするようですけど……
貴郎
(
あなた
)
は兄と北川さんとのことで、何か思っていらっしゃることはなくって?」
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「人違いだって? 私はグヰンと永い間一緒に住んでいたのですよ。私は
貴郎
(
あなた
)
が思う程、
頭脳
(
あたま
)
が悪くはない積りです」
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
つまり天下の大才子は「
貴郎
(
あなた
)
だわ。」天下の美人は「お前だよ。」と、以心伝心に極ってしまう、そこで僕が前途の抱負を述べると、愚妻は殊勝にも
空想としての新婚旅行
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
『ほんとに
私
(
わたし
)
は、こんなことが
貴郎
(
あなた
)
に言はれた義理ぢアないんですけれど、手紙で申し上げたやうな
訳
(
わけ
)
で……』
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
何
(
ど
)
うかしたかと
氣遣
(
きづか
)
ひて
問
(
と
)
へば、
俄
(
にはか
)
に
氣分
(
きぶん
)
が
勝
(
すぐ
)
れませぬ、
私
(
わたし
)
は
向島
(
むかふじま
)
へ
行
(
ゆ
)
くのは
廢
(
や
)
めて、
此處
(
こゝ
)
から
直
(
す
)
ぐに
歸
(
かへ
)
りたいと
思
(
おも
)
ひます、
貴郎
(
あなた
)
はゆるりと
御覽
(
ごらん
)
なりませ
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
真女児は
貴郎
(
あなた
)
が時どきここへ来ていっしょにいてくれるならいいと云って、
金銀
(
こがねしろがね
)
を餝った太刀を出して来て、これは
前
(
さき
)
の夫の帯びていたものだと云ってくれた。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
私はねえ、もう愛だの恋だの、
貴郎
(
あなた
)
に惚れました、一生捨てないでねなんて馬鹿らしい事は真平だよ。こんな世の中でお前さん、そんな約束なんて何もなりはしないよ。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「これでも一子相伝ですが、
貴郎
(
あなた
)
にですから伝授しましょう。併し昼間はどんな事が有っても授けられぬと、ちゃんと禁じて有りますから、真夜中に教えて上げましょう」
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
「ほうら。ありましたがな、こんな処に。矢つ張り
貴郎
(
あなた
)
が御自分でお
蔵
(
しま
)
ひになつたんですわ。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
では行ってお
出
(
い
)
でなさいまし、
貴郎
(
あなた
)
のお留守中は確かにお引き受けしました、どうか、
錦
(
にしき
)
を着て故郷へお帰りなさるよう、私は三年を楽しみにして待っておりますとの事に
幕末維新懐古談:78 谷中時代の弟子のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
貴郎
(
あなた
)
、青ちやんは、百日咳に取りつかれたんぢやなくつて。どうもさうらしいわ。
泥鰌
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
「
貴郎
(
あなた
)
、そんなものを私に見せて一体如何しろとおっしゃるんですの」と唸いた。
頸飾り
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
恐
(
おそ
)
れ
密
(
ひそか
)
に
腰元
(
こしもと
)
お竹に頼みしかば吉三郎が
後
(
あと
)
を
追駈
(
おつかけ
)
來りしなり
扨
(
さて
)
お竹は吉三郎に
對
(
むか
)
ひお菊樣が
貴郎
(
あなた
)
に是非お
逢成
(
あひなさ
)
れ度との事成ば先々
此方
(
こなた
)
へ來り給へと手を取
引戻
(
ひきもど
)
すゆゑ吉三郎
偖
(
さて
)
は娘の心は變らず我を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
『
貴郎
(
あなた
)
、今日は大層遲かつたぢやございませんか?』
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
今日まで彼の
要望
(
のぞみ
)
を延ばし、切刃詰まった今日になって、
貴郎
(
あなた
)
様に討っていただきましたことも、ご縁があったからでござりましょう
弓道中祖伝
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あア其れですかどころぢや有りませんよ、先生、
貴郎
(
あなた
)
が
今
(
い
)
ま
厳乎
(
しつかり
)
して下ださらねば、永阪教会も廿五年の御祝で死んで仕舞ひます
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「アラいやアね。また始まった。一体
貴郎
(
あなた
)
は幾度疑って、幾度信じ直せば気がすむんでしょ。……すこし気の毒になってきたわ」
雷
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
就中
(
なかんずく
)
、銑太郎などは、自分釣棹をねだって、
貴郎
(
あなた
)
が何です、と一言の
下
(
もと
)
に
叔母御
(
おばご
)
に拒絶された
怨
(
うらみ
)
があるから、その
祟
(
たた
)
り容易ならずと
可知矣
(
しるべし
)
。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それだのに、
貴郎
(
あなた
)
は裁判官にわたしの放免を願って下さったのね。そして今もこんなに優しくして下さるんですもの。
暗中の接吻
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
おいらんも残念がっていましたけれど、しかたがなしに、
貴郎
(
あなた
)
が来たらよく言ってくれッてな——それにこれを渡してくれッておいて行きましたから
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
助けてやったのは
貴郎
(
あなた
)
ですってね。本統にお若いのに感心です。怪我はしていないようですが、あの女は大分お酒を
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
貴郎
(
あなた
)
、今日お登和さんがいらしって色々のお料理をなさいましたから先ずこれを召上ってそれから大原さんのお話を
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「だつて
訝
(
をか
)
しいわ。」と夫人は不機嫌さうに
呟
(
ぼや
)
いた。「御覧なさいよ、来る人も来る人もが黒ん坊ばかしよ。
貴郎
(
あなた
)
こゝは黒ん坊の教会ぢやなくつて。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
恭助
(
あるじ
)
は
太
(
いた
)
く
疲
(
つか
)
れて
禮服
(
れいふく
)
ぬぎも
敢
(
あ
)
へず
横
(
よこ
)
に
成
(
な
)
るを、あれ
貴郎
(
あなた
)
お
召物
(
めしもの
)
だけはお
替
(
か
)
へ
遊
(
あそ
)
ばせ、
夫
(
そ
)
れではいけませぬと
羽織
(
はをり
)
をぬがせて、
帶
(
おび
)
をも
奧
(
おく
)
さま
手
(
て
)
づから
解
(
と
)
きて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
私を虐待して追いだしました、私はこのことを洞庭の方へ言ってやりたいと思いますが、路が遠いので困っております、
貴郎
(
あなた
)
は呉にお帰りのようでございますが
柳毅伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
貴郎
(
あなた
)
、青ちやんは、百日咳に取りつかれたんぢやなくつて。どうもさうらしいわ。
小熊秀雄全集-15:小説
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
『
貴郎
(
あなた
)
私
(
わたし
)
のお
願
(
ねがひ
)
を
叶
(
かな
)
へて下すつて。』と言はれて気が
着
(
つ
)
き、銀之助は
停止
(
たちど
)
まつた。
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
れたならば市之丞が折角の
志
(
こゝろ
)
ざしも通り
又
(
また
)
貴郎
(
あなた
)
の御義心も
貫
(
つらぬ
)
くと申もの
双方
(
さうはう
)
の御趣意も立て宜く候まゝ是非々々
然樣
(
さやう
)
に
成
(
なさ
)
れよと申ければ文右衞門は
暫時
(
しばら
)
く考へしが成程是は
其方
(
そなた
)
の申通り一時の
融通
(
ゆうづう
)
に此金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「毒蛇を投げたのは
貴郎
(
あなた
)
を殺したい為で御座んした」
壁の眼の怪
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
『
貴郎
(
あなた
)
、
今日
(
こんち
)
は大層遅かつたぢやございませんか?』
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
どうぞご安心下さいまし。お杉は
貴郎
(
あなた
)
を忘れはしません。妾は喜こんで貴郎のために、かつえ死にするつもりでございます。思う心を
柳営秘録かつえ蔵
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
、
貴郎
(
あなた
)
に手伝ってもらって取返すのよ。そしてあたしは、どうしても貴郎から離れないようになるのよ。さあ行ってよ、早く——
棺桶の花嫁
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
良久
(
しばらく
)
ありて、梅子は目をしばたゝきつ、「剛さん、
軽卒
(
めつた
)
なことを仰しやつてはなりません、
貴郎
(
あなた
)
は篠田さんを誤解して居なさるから——」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
串戯
(
じょうだん
)
ではなくってよ。
貴郎
(
あなた
)
が持って来て、あそこへ据えてから、玄関の
方
(
かた
)
なんぞも、この間中
種々
(
いろん
)
な事を言ってるんですよ。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小山の心の動きたるは妻君のこの上もなき
悦
(
よろこ
)
びなり「そんなら
貴郎
(
あなた
)
、
真鍮鍋
(
しんちゅうなべ
)
や
青銅鍋
(
からかねなべ
)
を廃して西洋鍋を買って下さいますか」小山「ウム買いましょう」妻君
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「
貴郎
(
あなた
)
、
呉々
(
くれ/″\
)
も言つておきますが、日曜日には忘れないやうに屹度教会へ往らつしやいよ、ね、よくつて。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「マンドリンを弾くのが聞えたなんて、それは
貴郎
(
あなた
)
のお気のせいよ。衣川さんはいつもマンドリンを弾いていらっしゃるけれども、昨夜はお
不在
(
るす
)
のようでしたわ」
秘められたる挿話
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
「いいでしょう、めしあがれ、
貴郎
(
あなた
)
は、私をあまり御存じないでしょうが、私はよく存じておりますわ」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
何
(
ど
)
うも
何
(
なん
)
とも
言
(
い
)
はれぬ
氣持
(
きもち
)
に
成
(
なり
)
ました、
貴郎
(
あなた
)
には
笑
(
わら
)
はれて、
叱
(
し
)
かられる
樣
(
やう
)
な
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
りましよと
下
(
した
)
を
向
(
む
)
いて
在
(
おは
)
するに、
見
(
み
)
れば
涙
(
なみだ
)
の
露
(
つゆ
)
の
玉
(
たま
)
、
膝
(
ひざ
)
にこぼれて
怪
(
あや
)
しう
思
(
おも
)
はれぬ。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「いやよ、小畑さん、
貴郎
(
あなた
)
は昔から私をいじめるのねえ、覚えていてよ」と打つ
真似
(
まね
)
をした。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
廊下で何だか
蹌踉
(
よろ
)
けるような
跫音
(
あしおと
)
がして、間もなく『戸を開けて、戸を開けて』という声がするものですから、きっと
貴郎
(
あなた
)
が御気分でもおわるいかと思って、戸を開けますと
犬舎
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
知りて付込れなば如何なる
變事
(
へんじ
)
の出來んも知れず
何
(
いづ
)
れにも又々明日馬喰町へ行きて尋ね當り次第市之丞へ渡す迄は
甚
(
はなは
)
だ以て心遣ひなりと云に女房も
夫
(
そ
)
は
御道理
(
ごもつとも
)
なり今日は
終日
(
ひねもす
)
尋ね
倦
(
あぐ
)
まれ
嘸
(
さぞ
)
かし
御勞
(
おつか
)
れならんにより
貴郎
(
あなた
)
は
宵
(
よひ
)
の
中
(
うち
)
御臥
(
おやす
)
みありて
夜陰
(
よは
)
よりは御心だけも
眠
(
ねむ
)
り給は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
貴
常用漢字
小6
部首:⾙
12画
郎
常用漢字
中学
部首:⾢
9画
“貴郎”で始まる語句
貴郎方
貴郎様