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籾
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もみ
ふりがな文庫
“
籾
(
もみ
)” の例文
所謂「真の批評家」は
籾
(
もみ
)
を米から分つ為に批評のペンを執るであらう。僕も亦時々僕自身の中にかう云ふメシア的欲望を感じてゐる。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
門の内は稻を
扱
(
こ
)
いだり、
籾
(
もみ
)
を乾したりするのに使はれる庭で、隅の方に柿の木が一二本立つてゐる外には、
納家
(
なや
)
と土藏と塀と門と
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
川に面した断崖の上で、石垣も塁も乱雑たる
廃墟
(
はいきょ
)
だったが、今でも土を掘れば、刀の折れや、焼けた
籾
(
もみ
)
などが出る、ということである。
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
オホホ、私も
委
(
くわ
)
しい事はよく存じませんが先ず
荒増
(
あらまし
)
を申せばお米は草の実で
籾
(
もみ
)
という皮を
被
(
かぶ
)
ってその皮を
剥
(
む
)
くと中に若い芽があります。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
籾
(
もみ
)
を
搗
(
つ
)
くきねが二三本床に転がっているばかりで柱ももはや朽ち始めていた。
酢
(
す
)
に似た匂いがうっすらと四辺に立ちこめていた。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
▼ もっと見る
それでも
狡獪
(
かうくわい
)
な
雀
(
すゞめ
)
の
爲
(
ため
)
に
籾
(
もみ
)
のまだ
堅
(
かた
)
まらないで
甘
(
あま
)
い
液汁
(
しる
)
の
如
(
ごと
)
き
状態
(
じやうたい
)
をなして
居
(
ゐ
)
る
内
(
うち
)
から
小
(
ちひ
)
さな
嘴
(
くちばし
)
で
噛
(
か
)
んで
夥
(
したゝ
)
かに
籾殼
(
もみがら
)
が
滾
(
こぼ
)
された。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
また浅草の米蔵を開いて
籾
(
もみ
)
を窮民に頒ったりした。しかしもちろんこんな事では日々に増える不幸の餓鬼どもを賑わすことは出来なかった。
開運の鼓
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ヨネしたものは家の中の物置に置く。
籾
(
もみ
)
のままなのは外のアラモノ庫に入れて置く。アラモノとは
脱稃
(
だっふ
)
せぬ穀物の総称である。
食料名彙
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
やがて冬となれば、男達は
籾
(
もみ
)
を売りに牛車の大王鈴の音もりんりんと賑やかに都会へ向う。だがこんな
静愉
(
せいゆ
)
な生活も永く続きはしなかった。
土城廊
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
「縁」とは因を
扶
(
たす
)
けて、結果を生ぜしめる間接の力です。たとえばここに「一粒の
籾
(
もみ
)
」があるといたします。この場合、籾はすなわち因です。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
実際お爺さんはそれを
行
(
や
)
り通してゐるのだ。その法といふのは
収穫
(
とりいれ
)
の時
籾
(
もみ
)
二斗を鼠一年分の餌として、土間の隅つこに俵の儘残しておくのだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ある日、狸は自分の
家
(
うち
)
で、例のとほりありがたいごきたうをしてゐますと、
狼
(
おほかみ
)
が
籾
(
もみ
)
を三升さげて来て、どうかお説教をねがひますと云ひました。
洞熊学校を卒業した三人
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
故意
(
こい
)
にしても偶然にしても、とにかく仇討を延び延びにすることによって、そういう生半可なものをすぐり落された、
籾
(
もみ
)
と
糠
(
ぬか
)
とを
選
(
え
)
り分けられた。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
私の
眼前
(
めのまえ
)
には
胡麻塩
(
ごましお
)
頭の父と十四五ばかりに成る子とが互に長い
槌
(
つち
)
を振上げて
籾
(
もみ
)
を打った。その音がトントンと地に響いて、白い
土埃
(
つちほこり
)
が立ち上った。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
史邦の「
帷子
(
かたびら
)
」の発句と芭蕉の
脇
(
わき
)
「
籾
(
もみ
)
一升を稲のこぎ賃」との次に岱水が付けた「
蓼
(
たで
)
の穂に
醤
(
もろみ
)
のかびをかき分けて」
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
手前考えますところ、このお飼場うちにて、なにものか、『瑞陽』のお飼料の精米を盗み、
稗
(
ひえ
)
、
籾
(
もみ
)
その他のものをもって代えおるものがあるためと存じます。
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
僕が十二月二十五日の午前に帰って見ると、庭一面に
籾
(
もみ
)
を干してあって、母は前の縁側に
蒲団
(
ふとん
)
を敷いて日向ぼっこをしていた。近頃はよほど体の工合もよい。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
自分が生れながら
深窓
(
しんそう
)
の姫そだちや宮仕えの女でなく、幼い頃は深草の田舎で麦を踏み
籾
(
もみ
)
を
搗
(
つ
)
き、十か十一の頃には、
頭
(
かしら
)
に籠を乗せて、野菜や果物を売りに
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
美的百姓は
木臼
(
きうす
)
に腰かけたまゝ、
所在
(
しょざい
)
なさに手近にある大麦の穂を摘んでは、掌で
籾
(
もみ
)
を
摺
(
す
)
って
噛
(
かじ
)
って居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
平次の出て行く姿——八五郎と反對に、
籾
(
もみ
)
御藏の方に向ふのを送つて、進藤孫三郎は奧へ退きました。
銭形平次捕物控:317 女辻斬
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ここへ
籾
(
もみ
)
を持ち込むものが多くなり、その結果、市中の
搗米屋
(
つきごめや
)
と
米踏人
(
こめふみにん
)
が恐慌を来たして、我々共の職業が干上るから、水車を禁止してもらいたいと其筋に願い出た。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「何によ。——見れ、この
籾
(
もみ
)
。」——母は
筵
(
むしろ
)
の上にたまった籾を掌でザラザラやって見せた。——
不在地主
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
我々の精神はその身体と同じく生れながらにして活動的である。種々の本能をもっている。鶏の子が生れながら
籾
(
もみ
)
を拾い、
鶩
(
あひる
)
の子が生れながら水に入るのも同理である。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
水車の音と
籾
(
もみ
)
をひく臼の音が春の空気に閉ざされて、平和な気分がいたるところに
漲
(
みなぎ
)
っていた。
春の槍から帰って
(新字新仮名)
/
板倉勝宣
(著)
しずかになると、下男の滝蔵が
籾
(
もみ
)
をひく
臼
(
うす
)
の音が風のぐあいで、すぐ近くに聞こえてくるのだ。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それから、これは私にはどうもよくわからないのですが、この有名な学者は、畑に
籾
(
もみ
)
がらを
蒔
(
ま
)
くことゝ、羊に毛の生えない薬を塗ることを、目下しきりに研究しているのだそうです。
ガリバー旅行記
(新字新仮名)
/
ジョナサン・スウィフト
(著)
その中に、
籾
(
もみ
)
が入れられ、水車の廻転によって動く三つの
杵
(
きね
)
が、それをおそい速度で、ドッス、ドッスと
搗
(
つ
)
いている。たえ間なく、水の音がしている。小屋の中は、へんにかびくさい。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
黄色い方には一つ八銭の玉子だけ、赤い方には一つ六銭の玉子が
籾
(
もみ
)
の中に入っていた。やつれた顔じゅうにただ二つの眼と蒼黒い大きな口だけしかないようなツメオは息子の上に屈んで
一太と母
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
玄米
(
くろごめ
)
の
籾
(
もみ
)
がらくさき
飯
(
いひ
)
ながらほかほかと
食
(
は
)
めばあたたまるもの
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
籾
(
もみ
)
する
石臼
(
いしうす
)
の音、近所
隣
(
となり
)
にごろごろとゆるぎ
初
(
そ
)
むれば
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
籾
(
もみ
)
ひたす池さらへけり藪の中 鶴声
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
「
来春
(
らいはる
)
の種
籾
(
もみ
)
をどうすべかや」
飢えたる百姓達
(新字新仮名)
/
今野大力
(著)
籾
(
もみ
)
臼
(
うす
)
つくる
杣
(
そま
)
がはやわざ 水
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
こぼれた
籾
(
もみ
)
を
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
籾
(
もみ
)
禾花媒助法之説
(新字新仮名)
/
津田仙
(著)
曰
(
いわ
)
くカラハシは竹を割って作ったもので、一人一日の能率は稲三十六
把
(
ぱ
)
、
籾
(
もみ
)
約七
斗
(
と
)
二十一貫目を
扱
(
こ
)
けばよいことになっていた。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
小池はさうやつて、三つ四つ五つの
籾
(
もみ
)
を
噛
(
か
)
み
潰
(
つぶ
)
してから、稻の穗をくる/\と振り𢌞はしつゝ、
路傍
(
みちばた
)
に
佇
(
たゝず
)
んで、
後
(
おく
)
れたお光の近づくのを待つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
此の山の
麓
(
ふもと
)
から北方に拡がるサンホセの盆地から、米機の眼を盗み、兵達が
搬送
(
はんそう
)
して来た
籾
(
もみ
)
をバンカに連ね、既に朝の籾
搗
(
つ
)
きが始まったのであろう。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
男は雇われたものと見え、鳥打帽に青い
筒袖
(
つつっぽ
)
という小作人らしい
風体
(
ふうてい
)
で、女の
機嫌
(
きげん
)
を取り取り
籾
(
もみ
)
の俵を造っていた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
箱の中ならば
籾
(
もみ
)
の中へ横に
埋
(
う
)
めておくのです。第二は決して
竪
(
たて
)
に置いてはいけません、必らず横にしておくのです。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
或時は風呂を
焚
(
た
)
かなかつた為に、或時は
籾
(
もみ
)
を干し忘れた為に、或時は牛の放れた為に、お住はいつも気の強いお民に当てこすりや小言を云はれ勝ちだつた。
一塊の土
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
狸はやかましいやかましい
蓋
(
ふた
)
をしてやらう。と云ひながら狼の持って来た
籾
(
もみ
)
を三升風呂敷のまゝ
呑
(
の
)
みました。
洞熊学校を卒業した三人
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
誰の眼で見ても一粒の玄米さえないと思われた穀倉から、一石八斗に余る
糯米
(
もちごめ
)
・小豆・大豆・
籾
(
もみ
)
・焼き米、いろいろな物が出た。実に山をなすばかり取出された。
日本名婦伝:谷干城夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それでも
籾
(
もみ
)
が
少
(
すこ
)
しと
畑
(
はたけ
)
が
少
(
すこ
)
し
殘
(
のこ
)
つたのをお
品
(
しな
)
がどうにかするといつたので
出
(
で
)
て
行
(
い
)
つたのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「だが、女のために大儀を
衍
(
あやま
)
る」と、勘平はまたごろりと横になりながら言った。「考えてみると、気の毒なものじゃね。こうしてだんだん
籾
(
もみ
)
と
糠
(
ぬか
)
とが
撰
(
え
)
り分けられるんだよ」
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
兄はきまった癖で口小言を言いつつ、大きな
箕
(
み
)
で倉からずんずん
籾
(
もみ
)
を庭に運ぶ。あとから姉がその籾を広げて回る。満蔵は庭の隅から隅まで、藁シブを敷いてその上に
蓆
(
むしろ
)
を並べる。
隣の嫁
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
昨年は
陸穂
(
おかぼ
)
の餅米が一俵程出来たので、自家で餅を舂いた。今年は大麦三俵
籾
(
もみ
)
で六円なにがしに売った。田園生活をはじめてこゝに六年、自家の作物が金になったのは、此れが皮切だ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
岩穴前の畑に
籾
(
もみ
)
を三斗蒔き、四組の舟子がこの島に漂着した
顛末
(
てんまつ
)
、この島での
食餌
(
しょくじ
)
のありかた、籾のとりかた、衣服のつくりかた、天水のとりかた、船づくりの方法などをくわしく木片に書きつけ
藤九郎の島
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「チェーギ
堪
(
たま
)
らねえだ、
籾
(
もみ
)
一斤五銭でやがらあ」
荷
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
ただしこのアラ
摺
(
ず
)
り方法の発明は新しいことで、近き百年以内までは、貯蔵は多くの地方では
籾
(
もみ
)
を囲い、
糠
(
ぬか
)
を去る仕事は食事の準備に過ぎなかった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
“籾”の解説
籾(もみ)は、籾殻を取り去る(脱稃)前のイネの果実に相当する部分のこと。籾米(もみごめ)ともいう。種子としてまくための籾は種籾(たねもみ)ともいう。また、籾殻のみを指して籾ということもある。
(出典:Wikipedia)
籾
漢検準1級
部首:⽶
9画
“籾”を含む語句
籾摺
籾種
籾殻
籾蔵
籾倉
種籾
籾山
籾漏斗
籾摺臼
籾選
籾蔵前
籾納
籾粒
籾米
籾磨歌
籾殼
籾擂機
籾播
唐籾
籾搗
...