算段さんだん)” の例文
「先生の息子が、毎日ちこくじゃあ、なにがなんでもふがわるい。そのうちお母さんも、また自転車を手にいれる算段さんだんするけども」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
商人あきんどという者は殊に利に走り易いものであるから、どういう事から私の事を政府に告げて金を儲ける算段さんだんをするかも知れない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「眉をもつとくして、頬紅ももつと染めなさいよ。何でもいゝから、うんと若く見せる算段さんだんをしなきや駄目よ。そんなこと御承知でせうが。」
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
師走しはす算段さんだん𢌞まはつて五味坂ごみざか投出なげだされた、ときは、懷中くわいちうげつそりとさむうして、しんきよなるがゆゑに、路端みちばたいし打撞ぶつかつてあしゆび怪我けがをした。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
聞中に此方は莞爾にこ/\笑ひ出し聞了つては横手をち成程々々奇々きゝ妙計めうけい必ず當るに相違なし夫なら直に金の算段さんだん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それにつれて芋蔓いもづる出世しゅっせをゆめみている丹羽昌仙にわしょうせんも、吹針ふきばり蚕婆かいこばばあも、はれの御岳みたけでそれぞれ武名ぶめいをあげる算段さんだん、今から用意よういおさおさおこたりないところである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
引っ張っとくわけにも行きませず、家主の方もどうかしなければならず、今月の末になると米薪こめまきはらいでまた心配しなくっちゃなりませんから、算段さんだん出掛でかけたんです
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
……いつまでもじゃじゃばっていられずと、はやくお役御免を願って、初孫ういまごの顔を見る算段さんだんでもなさい
してこよう。それから、何とかして、衣裳いしょうの方も東京で算段さんだんしてこよう
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と正三君は安斉さんのご機嫌きげんなのを見て相談を持ち出す算段さんだんだった。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
腦味噌のうみそいためぬ算段さんだんばかり
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
はじめにれる工夫くふう算段さんだんはじいてねばれぬものゝりにもはぬしないくらかぶせて上穗うはほ自己おのれ内懷中うちぶところぬく/\とせし絹布けんぷぞろひはゆゑものともおもはずお庇護かげちましたとそらをがみせし新築しんちく二階造にかいづくことば三年先さんねんさき阿房鳥あはうどり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
で、たゞもんめ連出つれだ算段さんだん。あゝ、紳士しんし客人きやくじんには、あるまじき不料簡ふれうけんを、うまれながらにして喜多八きたはちしやうをうけたしがなさに、かたじけねえと、安敵やすがたきのやうなゑみらした。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それを懐中ふところにして立とうというあぶない算段さんだん……うまく落ちてくれればよいが、さもないと
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
出す事ゆゑ忠八此金このかね算段さんだんせられよと申ければ忠八は打悦うちよろこび其金子かなら調達てうだついたすべしわたくし一ツの工夫くふうありとて清三郎に耳語さゝやきたの其夜そのよ油町あぶらちやう新道しんみち伊勢屋いせや三郎兵衞方へしのび入て金五百兩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
三度の文も一度になり、仮病にせやまいをこしらえたり旅へ出たり、何とかして遠退とおの算段さんだんばかり。
平賀源内捕物帳:萩寺の女 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
宗助そうすけ手際てぎはでは、室内しつない煖爐だんろける設備せつびをするだけでも容易よういではなかつた。夫婦ふうふはわが時間じかん算段さんだんゆるかぎりをつくして、專念せんねん赤兒あかごいのちまもつた。けれどもすべては徒勞とらうした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「そうよなあ、十八か、九かな。二人とも大望たいもうをもってな。あわよくば外国船に乗りこんで、メリケンへ渡ろうというんじゃ。シアトルにでも行ったとき、海にとびこんでおよわたろうという算段さんだんよ」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
なるべく怖がらせない算段さんだんである。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
うかとつて、べつ都合つがふはつかないんだから、とほ支度したくだけいそいでして、おまへあてにからつぽの財布さいふた。うにか、おまへ是非ぜひ算段さんだんをしてくんねえ。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「さよう。近ごろ家康いえやすと秀吉とは、たがいに、たまをあらそう龍虎りゅうこのかたち。その仲の悪いところをつけこんで、こんどは家康のふところへいいる算段さんだんが、第一かと考えます」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分がいまだかつて経験した事のないようなやりくり算段さんだんを、嫁に来たての若い細君が、くの昔から承知しているとすれば、それは彼にとって驚ろくべき価値のある発見に相違なかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
入れない算段さんだんだった。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
徳川家とくがわけへ取りいる算段さんだんとは、やッぱりなにか、その伊那丸をおとりにして? ……」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
から、路銀ろぎん算段さんだんをする料簡れうけん
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
金をうけとる算段さんだん商人あきんどが、いったん、金を出すがわに立つとなると、まるでふところで仮面かめんをスリかえたほど苦もなく全人格をかえてしまうが、今の新助もそんなふうで、ポンと
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)