いね)” の例文
旧字:
わかつた、松葉屋まつばやのおいねいもうと金次きんじ待合まちあひを出したと聞きましたが。乙「ぼく家見舞いへみまひいかず、年玉としだま義理ぎりをかけてさ。甲「し/\。 ...
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
翌日日暮れに停車場へ急ぐとちゅうで、自分はいねを拾ってる、そぼろなひとりの老婆ろうばを見かけた。見るとどうも新兵衛の女房らしい。
落穂 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
くろへ腰掛こしかけてこぼこぼはっていくあたたかい水へ足を入れていてついとろっとしたらなんだかぼくがいねになったような気がした。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
息をころして怪物を見つめていた見物席が、いねのほが風にふかれるように、波だちはじめました。みんなが席を立って逃げだそうとしたからです。
サーカスの怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
山畠やまはたけにかけがへのないいねくさつては、餓死うゑじにでござりまする、総領さうりやうわしは一ばん働手はたらきて、かうしてはられませぬから、とことわりをいつて、やれくでねえぞ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして、すずめたちは、かがしをあなどって、いねらしましたが、ある、おじいさんの息子むすこった、ほんとうの鉄砲てっぽうで、みんなころされてしまいました。
からすとかがし (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかしまた田圃たんぼづたひに歩いてうち水田みづたのところ/″\にはすの花の見事に咲き乱れたさまをなが青々あを/\したいねの葉に夕風ゆふかぜのそよぐひゞきをきけば、さすがは宗匠そうしやうだけに
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
古川ふるかわの持っている田圃たんぼ井戸いどめてしりを持ち込まれた事もある。太い孟宗もうそうの節を抜いて、深く埋めた中から水がき出て、そこいらのいねにみずがかかる仕掛しかけであった。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いねは大よそこの月の末までに刈揚げるが、それを掛け乾しニオに積んで、やがて到来すべき新嘗にいなめの日を待っているのが、楽しいしかも至って厳粛な、心の準備の期間であった。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
こゝを以て家居いへゐつくりはさら也、万事よろづのこと雪をふせぐをもつはらとし、ざいつひやしちからつくす事紙筆しひつしるしがたし。農家のうかはことさら夏の初より秋の末までに五こくをもをさむるゆゑ、雪中にいねかる事あり。
いねけばかが今宵こよひもか殿との稚子わくごりてなげかむ 〔巻十四・三四五九〕 東歌
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
そうですとも、もう地上ではいねを植えるわけにはいかないし、おいもやきゅうりやなすをつくることもできないです。そんなものをつくっていても、いつ空から恐ろしいばい菌や毒物を
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
よいから人知れず台所へ手伝いに見えていた千秋の娘のおいねにちがいない——と。
「すずめよ、毎年まいねんこれからいね初穂はつほをつむことをゆるしてやるぞ。」
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
いねを積んだ車が晴れた野の道に音を立てて通った。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「おいねさ」
暗がりの乙松 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
耕地整理こうちせいりになっているところがやっぱり旱害かんがいいねほとんど仕付しつからなかったらしく赤いみじかい雑草ざっそうえておまけに一ぱいにひびわれていた。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
また、来年らいねんいねみのるころになると、太吉たきちじいさんは、あたらしいかがしをつくりました。去年きょねん子鳥ことりたちはもう親鳥おやどりとなって、おなじように、その子供こどもたちにかって
からすとかがし (新字新仮名) / 小川未明(著)
家内を見れば稿筵わらむしろのちぎれたるをしきならべ(いねむぎのできぬ所ゆゑわらにとぼしく、いづれのいへもふるきむしろ也)納戸なんど戸棚とだなもなし、たゞ菅縄すげなはにてつくりたるたなあるのみ也。
そうですとも。もう地上ではいねを植えるわけにはいかないし、お芋やきゅうりやなすをつくることもできないです。そんなものをつくっていても、いつ空から恐ろしいばいきんや毒物を
三十年後の東京 (新字新仮名) / 海野十三(著)
父親てゝおや医者いしやといふのは、頬骨ほゝぼねのとがつたひげへた、見得坊みえばう傲慢がうまん其癖そのくせでもぢや、勿論もちろん田舎ゐなかには苅入かりいれときよくいねはいると、それからわづらう、脂目やにめ赤目あかめ流行目はやりめおほいから
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「お、おいね様か。……若旦那はそこのお書斎しょさいにいらっしゃいますよ」
すると父がまたしばらくだまっていたがとにかくもいちど相談そうだんするからと云ってあとはいろいろいね種類しゅるいのことだのふだんきかないようなことまでぼくにきいた。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
父親てておやの医者というのは、頬骨ほおぼねのとがったひげの生えた、見得坊みえぼう傲慢ごうまん、そのくせでもじゃ、もちろん田舎いなかには刈入かりいれの時よくいねが目に入ると、それからわずらう、脂目やにめ赤目あかめ流行目はやりめが多いから
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「はい、わがまま者で、いねと申します」
八寒道中 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
道の左には地図にある通りの細い沖積地ちゅうせきち青金あおがね鉱山こうざんを通って来る川に沿って青くけむったいねせて北へつづいていた。山の上では薄明穹はくめいきゅういただきが水色に光った。にわかに斉田が立ちどまった。
泉ある家 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
いね穂波ほなみ
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それがら、いねたおさな。」
風野又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)