王子おうじ)” の例文
ラプンツェルは、まだ一も、おとこというものをたことがなかったので、いま王子おうじはいってたのをると、はじめは大変たいへんおどろきました。
其内、稲次郎は此辺で所謂即座師そくざし繭買まゆかいをして失敗し、田舎の失敗者が皆する様に東京に流れて往って、王子おうじで首をくくって死んだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
王子おうじ宇治うじ柴舟しばぶねのしばし目を流すべき島山しまやまもなく護国寺ごこくじ吉野よしのに似て一目ひとめ千本の雪のあけぼの思ひやらるゝにやここながれなくて口惜くちおし。
また羽地はねじ王子おうじ向象賢しょうしょうけんの『仕置しおき』を見ても、向象賢以前には時之大屋子ときのおおやこという覡がいて政府の御用を務めていたことがわかります。
ユタの歴史的研究 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
おせんがした菊之丞きくのじょうは、江戸中えどじゅう人気にんき背負せおってった、役者やくしゃ菊之丞きくのじょうではなくて、かつてのおさななじみ、王子おうじきちちゃんそのひとだったのだから。——
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そのうち王子おうじはだんだんわがままをいうようになって、しまいにはおよめさんをひどくしかりとばしたりしました。
赤い玉 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
が、その内に困まった事には、少将もいつか康頼と一しょに、神信心を始めたではないか? それも熊野くまのとか王子おうじとか、由緒ゆいしょのある神を拝むのではない。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
私の祖父じじいつり所好すきでして、よく、王子おうじの扇屋の主人や、千住せんじゅの女郎屋の主人なぞと一緒につりに行きました。
夜釣の怪 (新字新仮名) / 池田輝方(著)
あちらの方はあの団子坂の方から染井そめい王子おうじへ行く人で人通りも有りますし……それに店賃たなちんも安いと申すことでございますから、只今では白山へ引越ひっこしまして
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
列車はまたも上尾をでて、疾風のごとくせつつ、幾駅か過ぎて、王子おうじに着きける時、プラットフォムの砂利踏みにじりて、五六人ドヤドヤと中等室に入り込みぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
震災前と比べて王子おうじ赤羽界隈かいわいの変り方のはげしいのに驚いた。近頃の東京近郊の面目を一新させた因子のうちで最も有効なものと云えば、コンクリートの鋪装道路であろうと思われる。
ゴルフ随行記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
細い道ではスピードが出せないものですから、賊の車は大環状線だいかんじょうせんに出て、王子おうじの方角に向かって疾走しはじめました。賊はむろん追跡を気づいてます。しかし、どうすることもできないのです。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
殊に一番人気のある信乃を主役として五犬士の活躍するは、大塚を本舞台として巣鴨すがも池袋いけぶくろたきがわ王子おうじ・本郷にまたがる半円帯で、我々郊外生活者の遊歩区域が即ち『八犬伝』の名所旧蹟である。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
これをきいて、王子おうじ魔女まじょの家へきたことを知りました。けれども、もうまっくらで、これいじょうさきへいくことはできません。
どうぞ辛抱しんぼうして、話相手はなしあいてになっておくんなさいまし、——あたしゃ、王子おうじそだった十年前ねんまえも、お見世みせかようきょうこのごろも、こころ毛筋程けすじほどかわりはござんせぬ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
けれども王子おうじはうそだといって、なかなかいてくれませんので、百姓ひゃくしょうはしかたなしに、もらったあかたまして、王子おうじにやって、やっとはなしてもらいました。
赤い玉 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ちょうど紅葉もみじ時分で、王子おうじたきがわって瓢箪ふくべの酒を飲干して、紅葉を見にく者は、紅葉の枝へ瓢箪を附けて是をかつぎ、なりは黒木綿の紋付に小倉の襠高袴まちだかばかま穿いて
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
王子おうじ音無川おとなしがわ三河島みかわしまの野をうるおしたその末は山谷堀さんやぼりとなって同じく船をうかべる。
帰命頂礼きみょうちょうらい熊野三所くまのさんしょ権現ごんげん、分けては日吉山王ひよしさんおう王子おうじ眷属けんぞく、総じてはかみ梵天帝釈ぼんてんたいしゃくしも堅牢地神けんろうじしん、殊には内海外海ないかいげかい竜神八部りゅうじんはちぶ応護おうごまなじりを垂れさせ給えととなえたから、そのあとへ並びに西風大明神にしかぜだいみょうじん
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
王子おうじ電車で小台おだいの渡しまで行った。
写生紀行 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
王子おうじはこういうあわれな有様ありさまで、数年すうねんあいだあてもなく彷徨さまよあるいたのち、とうとうラプンツェルがてられた沙漠さばくまでやってました。
ときにはわざと背中合せなかあわせにすわる場合ばあいもままあったが、さて、吉次きちじはやがて舞台ぶたいて、子役こやくとしての評判ひょうばん次第しだいたかくなった時分じぶんから、王子おうじったたがいおや
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
さてこの天日矛命あまのひぼこのみことというのは、もと新羅しらぎくに王子おうじでした。それがどうして日本にっぽんわたってて、こちらにむようになったか、それにはこういうおはなしがあります。
赤い玉 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
江北橋の北詰には川口と北千住の間を往復する乗合自動車と、また西新井にしあらい大師だいし王子おうじの間を往復する乗合自動車とが互に行きちがっている。六阿弥陀と大師堂へ行く道しるべの古い石が残っている。
放水路 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
王子おうじは、灰かぶりとばかり、ずっとおどりつづけました。だれかがやってきて、灰かぶりといっしょにおどりたいといっても、王子は
なぜって、おひめさまは、ひょっとしたら、王子おうじがねごとをいって、なぞのことでもいいあかしはしないだろうかと考えたのです。
「かならず、王子おうじさまを見すてるようなことはいたしませぬ。わたくしのいのちにかけましても、きっと忠義をつくしておつかえもうします。」
王子おうじうえのぼってたいとおもって、とう入口いりぐちさがしたが、いくらさがしても、つからないので、そのままかえってきました。
王子おうじは人声をききつけて、その声になんだかききおぼえがあるように思いましたので、声のするほうへと歩いていきました。
でもそこでっていますと、やがて、はいかぶりのおとうさんがやってきました。そこで、おとうさんに、王子おうじはいいました。
「ヒラメを一ぴきとりはしたがな、そいつが魔法まほうをかけられた王子おうじだっていうもんだから、またにがしてやっちまった。」
ふたりはでかけるしたくをすっかりととのえて、王子おうじははやくも馬にのりました。そのとき、ばあさんがいいました。
いちばん上の王子おうじは、もりにでかけていって、一日じゅう さがしました。けれども、日がしずむときまでに みつけたのは、たったひゃくつぶきりでした。
ねえ、漁師りょうしさん、おねがいだから、わたしを生かしておいてください。わたしは、ほんとうはヒラメではなくって、魔法まほうをかけられている王子おうじなんです。
あるとき、王子おうじが馬にのってこの森のなかにはいってきて、このとうのそばをとおりかかりました。すると、それはそれは美しい歌声がきこえてきました。
あくるあさはいいろの小人こびとが、いちばん上の王子おうじのところへ やってきました。小人こびとまねきして、王子おうじを、石のいたのあるところへ つれていきました。
カエルが下におちたときには、もうカエルではなくなって、美しい、やさしい目をした王子おうじにかわっていました。
王子おうじは上へのぼっていこうと思って、とうの入り口をさがしてみました。けれども、どうしても見つかりません。
ところが、王子おうじたちは、すきかってなくらしを はじめてしまって、いえへかえろうとはしませんでした。
王子おうじたちが、どっちへいくかで けんかをはじめてはいけません。そこで、おうさまは、三人を おしろのそとへつれていって、とりはねを三まい、そらへふきとばしました。
ところで、王子おうじは、灰かぶりのくるのをずっとっていました。ですから、灰かぶりのすがたを見ますと、すぐにその手をとって、灰かぶりとばかりおどりつづけました。
ふたりの王子おうじはりこうで、がきいていました。ところが、三ばんめの王子おうじは、ろくに口もきかない ぼんやりでした。それで、みんなから、おばかさん、とよばれていました。
むかし むかし、ひとりのおうさまがいました。おうさまには、三人の王子おうじがありました。
すると、そのうち、ある日のこと、ひとりの王子おうじが、森の中にまよいこんで、七人の小人の家にきて、一晩とまりました。王子は、ふと山の上にきて、ガラスの棺に目をとめました。
それから、時はたって、やがておきさきさまはふた子を生みました。ふた子は、どちらも王子おうじでした。すくすくと大きくなって、いまでは、王さま、お妃さまのよろこびのたねとなりました。
そこで、王子おうじは、じぶんのうえばなしをしました。
王子おうじはおりいっておたのみになりました。
それをきくと、王子おうじはびっくりして