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献
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こん
ふりがな文庫
“
献
(
こん
)” の例文
旧字:
獻
「で、今夜は、それがしが
一夕
(
いっせき
)
の
恋
(
こい
)
を遂げた訳。ご迷惑でも、どうか一
献
(
こん
)
お過ごしあって、存分、わがままをいってもらいたいのじゃ」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
楠殿が高時の
酒
(
さけ
)
九
献
(
こん
)
肴
(
さかな
)
九
種
(
しゆ
)
を用ゆるを聞いて
驕奢
(
おごり
)
の甚だしいのを慨嘆したといふは、失敬ながら田舎侍の野暮な
過言
(
いひすぎ
)
だ子。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
ある時鴻池の主人が
好者
(
すきしや
)
の友達二三人と一緒に
生玉
(
いくたま
)
へ花見に出掛けた事があつた。一
献
(
こん
)
掬
(
く
)
まうといふ事になつて、皆はそこにある料理屋に入つた。
青磁の皿
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「嬢様から一
献
(
こん
)
申し上げますが何もございません、
真
(
ほん
)
の田舎料理でございますが
御緩
(
ごゆる
)
りと召上り相変らず
貴方
(
あなた
)
の御冗談を
伺
(
うかゞ
)
いたいと
仰
(
おっ
)
しゃいます」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
三宝
(
さんぽう
)
の
利益
(
りやく
)
、
四方
(
しほう
)
の
大慶
(
たいけい
)
。太夫様にお祝儀を申上げ、われらとても
心祝
(
こころいわ
)
ひに、此の
鯉魚
(
こい
)
を
肴
(
さかな
)
に、祝うて一
献
(
こん
)
、心ばかりの
粗酒
(
そしゅ
)
を
差上
(
さしあ
)
げたう存じまする。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
「何はなくともまず一
献
(
こん
)
、お過ごしなされてくださりませ。やがて主人もご挨拶に罷り出でますでござりましょう」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
客は宿役人の仲間の衆。それに
組頭
(
くみがしら
)
一同。当日はわざと粗酒一
献
(
こん
)
。そんな相談をおまんにするのも、この清助だ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
膳部は安芸みずからの献立によるもので、まえの夜から膳番に支度が命ぜられ、二
汁
(
じゅう
)
七菜に酒二
献
(
こん
)
であった。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「なあに! 相手は優男に乞食ひとり、何ほどのことやある。これだけの人数をもって押しかけ参らばそれこそ一揉みに揉みつぶすは必定! さ、前祝いに一
献
(
こん
)
……」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「お楽、——今日は
御微行
(
おしのび
)
だから、何も御修業だとおっしゃる。地酒を一
献
(
こん
)
差上げてはどうじゃ」
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
掃守
(
かもり
)
傍
(
かたはら
)
に
侍
(
はべ
)
りて、
桃
(
もも
)
の
実
(
み
)
の大なるを
啗
(
く
)
ひつつ
三一
弈
(
えき
)
の
手段
(
しゆだん
)
を見る。漁父が
大魚
(
まな
)
を
携
(
たづさ
)
へ来るを
喜
(
よろこ
)
びて、
三二
高杯
(
たかつき
)
に
盛
(
も
)
りたる桃をあたへ、又
盃
(
さかづき
)
を給うて
三三
三
献
(
こん
)
飲ましめ給ふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
さて神使へ
烟盆
(
たばこぼん
)
茶吸物膳部をいだし、
数献
(
すこん
)
をすゝむ。あらためて
壻
(
むこ
)
に盃を
与
(
あた
)
ふ、(三方かはらけ)肴をはさむ、
献酬
(
とりやり
)
七
献
(
こん
)
をかぎる、盃ごとに祝義の小
謡
(
うたひ
)
をうたふ。
事
(
こと
)
終
(
をは
)
りて
神使
(
じんし
)
去
(
さ
)
る。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
持て來し
國土産
(
くにみやげ
)
と心も
厚
(
あつ
)
き
紙袋
(
かみぶくろ
)
蕎麥粉
(
そばこ
)
饂飩粉
(
うどんこ
)
取揃
(
とりそろ
)
へ長庵の前へ差出せば然も
嬉
(
うれ
)
しげに禮を
演
(
のべ
)
湯
(
ゆ
)
の中に
誂
(
あつら
)
へ
置
(
おき
)
し
酒
(
さけ
)
肴
(
さかな
)
を
居間
(
ゐま
)
へ
並
(
なら
)
べサア
寛々
(
ゆる/\
)
と久し
振
(
ぶり
)
にて何は無とも一
献
(
こん
)
汲
(
くま
)
んと弟十兵衞を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「酒は三
献
(
こん
)
というところでおさめ、用談のすみ次第、ゆるりとさしあげるつもり」
無惨やな
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
平馬は首をひねりひねり二三
献
(
こん
)
干
(
ほ
)
した。上酒と見えていつの間にか陶然となった。
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
読み直してみたが、しかしそれには、てまえごときもの、とうていお対手は出来申さず候、おちかづきのしるしに粗酒一
献
(
こん
)
さしあげたく、拙邸までお越し下さらば云々と書いてあるばかりなのです。
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
芹
(
せり
)
の香に、良雪はふと膳へ顔を向ける。
杯
(
さかづき
)
を取って一
献
(
こん
)
という余裕を相手に見せたが、それを内蔵助の考えこんでいる顔の前へ出して
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ある時鴻池の主人が
好者
(
すきしや
)
の友達二三人と一緒に
生玉
(
いくたま
)
へ花見に出掛けた事があつた。一
献
(
こん
)
掬
(
く
)
まうといふ事になつて、皆はそこにある料理屋に入つた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
五郎蔵の賭場で、百二十五両の金を
強請
(
ゆす
)
り、場外へ出ると、賭場で、五郎蔵の側にいたお浦という女が、追っかけて来て、親分の
吩咐
(
いいつ
)
けで、一
献
(
こん
)
献じたいといった。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
弟子の勧めるまま、半蔵は格子越しにそれをうけて、ほんの一、二
献
(
こん
)
しか盃を重ねなかったが、しかし彼はさもうまそうにそのわずかな冷酒を飲みほした。
甘露
(
かんろ
)
、甘露というふうに。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
事
(
こと
)
慣
(
なれ
)
たる
踊
(
をどり
)
のけいご、かの水とりらもその
程
(
ほど
)
を見て
壻
(
むこ
)
に三
献
(
こん
)
を
祝
(
いは
)
はせ、かの手桶の水を二人して左右より
壻
(
むこ
)
の
頭
(
かしら
)
へ
滝
(
たき
)
のごとくあぶせかくる。これを見て
衆人
(
みな/\
)
抃躍
(
てをうち
)
てめでたし/\と
賀
(
いは
)
ふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
何かちょっと
尾頭附
(
おかしらつき
)
で一
献
(
こん
)
差上げたいが、まアお聞き下さい、此の通り手狭ですからお座敷を別にする事も出来ませんから、孝助殿も
此処
(
こゝ
)
へ一緒にいたし、今日は
無礼講
(
ぶれいこう
)
で御家来でなく
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「おいッ! 源十、源的、源の字、ああいや、鈴川源十郎殿ッ! 一
献
(
こん
)
参ろう」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「てまえごときもの、とうてい、お対手は出来申さず候。ついてはおわび
旁々
(
かたがた
)
、おちかづきのしるしに、粗酒一
献
(
こん
)
さしあげたく候間、
拙邸
(
せってい
)
までおこし下さらば腰本治右衛門、ありがたきしあわせと存じ奉りあげ候」
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「なかなか陛下のような美音ではございませぬが、大杯で一
献
(
こん
)
いただけば、あるいは、お耳をけがすぐらいには吟じられるかもしれません」
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
別嬪に一
献
(
こん
)
差上げたいから来て下さいと云われたのでありますから、治平は是から急に髪を刈込み、
髯
(
ひげ
)
を剃り、お湯に這入り、着物を着替え、
大装飾
(
おおめかし
)
で正面の新座敷へ参り、次の間から
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
わずらわした訳じゃ。ママ何はなくとも一
献
(
こん
)
……
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「折角の
珍客
(
ちんかく
)
やさかい、一
献
(
こん
)
やりまほか。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「おいらん、一
献
(
こん
)
汲むか」
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
光秀は、二、三
献
(
こん
)
すごしたそれを、手近な光廉入道にわたすと、光廉はそれを、傍らにいる
甥
(
おい
)
の明智次右衛門光忠にわたした。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「どういたしまして。今日、処刑してきた悪党もお蔭さまで捕まったようなもんでさ。……ひとつ、そこらで
御酒
(
ごしゅ
)
でも一
献
(
こん
)
」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武蔵が、一、二
献
(
こん
)
飲んだだけで後は辞退しているところから、紹由老人の——これは度々発表している持論らしい酒談義がはじまったのである。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「……先日は
乾分
(
こぶん
)
どもの
悪戯
(
わるさ
)
。なんとも、お見それ申しやして」と、いとも神妙に、三拝九拝して、一
献
(
こん
)
差し上げたいという申しいでなのである。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこへ、お
妻
(
さい
)
ノ局と小女房が、銚子をもって来た。酒は、なみなみと
銀盌
(
ぎんわん
)
に
注
(
つ
)
がせ、三
献
(
こん
)
ほど、息もつかずに傾けて
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「どうぞ、食べるのが仕事と思って、御遠慮なく、あれをくれ、これを食わせろと仰っしゃって下さい。さ、御一
献
(
こん
)
」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そうだ、こんな縁を、かりそめごとにしてはすまん。どうだ、茶ではつまらん。どこぞで一
献
(
こん
)
あげたいと思うが」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしとうぶん、
人穴城
(
ひとあなじょう
)
は
日和見
(
ひよりみ
)
でいるがいい、
幸
(
さいわ
)
いに、
可児才蔵
(
かにさいぞう
)
どのも、これにあることだから、伊那丸がたがみじんになるまで、一
献
(
こん
)
酌
(
く
)
むといたそう
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宮は一たん、蔵王堂へひっ返して、蔵王桜に張りめぐらした大幕の蔭へ入り「別れの宴だ」と、有り合う杯をとって左右の武者と、三
献
(
こん
)
まで酒をくみ交わした。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
禅家には、御承知のとおり
葷酒
(
くんしゅ
)
山門
(
さんもん
)
に入るを許さず——という厳則がござりますが、各〻方もおつかれの御様子故、ただ今、粗酒を一
献
(
こん
)
いいつけておきました。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『酒席へ来て、立ち話しのまま、一
献
(
こん
)
も
酌
(
く
)
まずに、別れるという法はない。まず坐れ。……
妓
(
おんな
)
、
杯
(
さかずき
)
、杯』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
では、時刻を待つとて、
油幕
(
ゆまく
)
を張り、枯柴を隠し、宴席の準備をした。そして韓遂を中心に、まず前祝いに一
献
(
こん
)
酌み交わして、手筈をささやいていると、そこへ突然
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あすは断罪の日野殿へ、最後の身清めと一
献
(
こん
)
をゆるし与えるぐらいな寛度は、武士の情けだ。人みな
憚
(
はばか
)
っている様子。余人がおいやなら、高氏がしてやろうと存ずる」
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『まだ早い、ついでに拙宅へお寄りなさらんか。
伜
(
せがれ
)
も好きな方じゃ、夜長に一
献
(
こん
)
酌
(
く
)
み交そうで』
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あ、
竹刀
(
しない
)
と、皆伝の目録か、確かに拙者が、お里の
家
(
うち
)
から持ち帰っている。——まあ、一
献
(
こん
)
」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、杯を洗って、これからの夜を心ゆくまで楽しもうとするもののように、
慇懃
(
いんぎん
)
に一
献
(
こん
)
向ける。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「寺へ来い。そちの母が
栽
(
つく
)
ったという野菜など煮させて、一
献
(
こん
)
酌みながら、なお
熟議
(
じゅくぎ
)
しよう」
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そうきまれば——何もかも水に流して、一
献
(
こん
)
お
酌
(
く
)
み交わして戴きたい。——
光
(
みつ
)
っ、光っ」
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ともあれこの乱世を、どちらも健在でまずはめでたい。すね法師、久々で一
献
(
こん
)
まいろう」
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「江戸の男は、怖くないが、江戸女には、降参じゃ。……坊主、一
献
(
こん
)
、
親懇
(
ちかづき
)
に参ろう」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『お話を承れば、まことに涙ぐましい御母堂のお心づかい。その慈愛の杖を失われては、折角お招きいたしても、話が浮きませぬ。すぐ取り寄せますから、それの参る迄、もう一
献
(
こん
)
』
梅颸の杖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
献
常用漢字
中学
部首:⽝
13画
“献”を含む語句
献酬
献立表
一献
献物
献立
献上
献納
数献
文献
献上物
式三献
献策
貢献
献言
献上博多
茶献上
献身的
献帝
献身
靖献遺言
...