指圖さしづ)” の例文
新字:指図
姿すがた婀娜あだでもおめかけではないから、團扇うちは小間使こまづかひ指圖さしづするやうな行儀ぎやうぎでない。「すこかぜぎること」と、自分じぶんでらふそくにれる。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
主人の忠兵衞が指圖さしづすると、内儀のお縫がお勝手へ飛んで行つて、何が無くとも冷飯にあぶさかな、手輕な食事になつてしまひました。
ロチスター氏は何かもつとグレイス・プウルに指圖さしづする爲めに一寸後に殘つた。辯護士は階段を下りながら私に話しかけた。
此の指圖さしづめいたことをされたのが、また氣にかかツて、甚だ自分の尊嚴を傷つけられたやうに思ふ。でも直に思ひ復へして
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ふほどのひと愛想あいそをしやうでもなく、旦那樣だんなさま御同僚ごどうれうなどがおいでになつた時分じぶん御馳走ごちそうはすべて旦那だんなさまのお指圖さしづいうちは手出てだしをもしたことはなく
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「おまへそつちつて」と簡單かんたんあご百姓ひやくしやう指圖さしづした。百姓ひやくしやうづ/\怪我人けがにんうしろまはつてあをかほをしていた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「父親の指圖さしづでございました。丁度二年前から、牛込の叔母さんのところに預けられて、滅多に此處へ歸つて來ることもならなかつたのでございます」
ロチスター氏や他の紳士たちが、この模樣變もやうがへの方の指圖さしづをしてゐる間に、婦人たちは呼鈴ベルを鳴らして小間使を呼んでは、階段を駈けて上つたり下りたりしてゐた。
車上しやじやうひと目早めばやみとめて、オヽ此處こゝなり此處こゝ一寸ちよつとにはか指圖さしづ一聲いつせいいさましく引入ひきいれるくるま門口かどぐちろす梶棒かぢぼうともにホツト一息ひといきうちには女共をんなども口々くち/″\らつしやいまし。
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
神官しんくわんしよく横手よこてかへ一寸ちよつとしやく指圖さしづをすると氏子うぢこ總代等そうだいら順次じゆんじさかき小枝こえだ玉串たまくしつてしよくまへ玉串たまくしさゝげて拍手はくしゆした。彼等かれらたゞづ/\して拍手はくしゆらなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
養父やうふ清左衞門せいざゑもん去歳こぞより何處どこ开處そこからだに申分まうしぶんありてきつとのよしきしが、常日頃つねひごろすこやかのひとなれば、さしてのことはあるまじと醫者いしや指圖さしづなどを申やりて
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それから、彼女はお茶の指圖さしづをする爲めに急いで行つてしまひ、私は着更へをしに二階へ上つた。
「誰の指圖さしづだ」
かれかれこれこれかげになりてのお指圖さしづ古參こさん婢女ひとあなどらず明日きのふわすれしやうらくになりたるはじようさまの御情おなさけなり此御恩このごおんなんとしておくるべききみさまにめぐはゞ二人共々ふたりとも/″\こゝろ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたしこと女郎じよらう女郎じよらう長吉ちようきちづらにはせるのもおまへ指圖さしづ女郎じよらうでもいではいか、ちりぽんまへさんが世話せわにはらぬ、わたしにはとゝさんもありかゝさんもあり、大黒屋だいこくや旦那だんなあねさんもある
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あねさま唐茄子とうなすほうかふり、吉原よしはらかふりをするもり、且那だんなさまあさよりお留守るすにて、お指圖さしづたまおくさまのふうれば、小褄こづまかた友仙ゆふぜん長襦袢ながじゆばんしたながく、あか鼻緒はなを麻裏あさうらめして、あれよ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うちひと機嫌きげんそこなうてもこまりますと迂路うろ/\するに、らうこゝろおごりて、馬鹿婆ばかばゝめが、のやうに引割ひきさかうとすればとて、美尾みをものおや指圖さしづなればとてわかれるやう薄情はくぜうにてるべきや
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)