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嘆息
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ためいき
ふりがな文庫
“
嘆息
(
ためいき
)” の例文
男ならば何人も
奇
(
く
)
しき感動の心にしむを感ぜずには読めないような、女ならば何人も
嘆息
(
ためいき
)
なしには読めないような一節——であった。
しめしあわせ
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
豊吉は大川の流れを見
下
(
お
)
ろしてわが
故郷
(
ふるさと
)
の景色をしばし見とれていた、しばらくしてほっと
嘆息
(
ためいき
)
をした、さもさもがっかりしたらしく。
河霧
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「そよと吹く風の恋や、涙の恋や、
嘆息
(
ためいき
)
の恋じゃありません。
暴風雨
(
あらし
)
の恋、
暦
(
こよみ
)
にも
録
(
の
)
っていない
大暴雨
(
おおあらし
)
の恋。九寸五分の恋です」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
時々に鏡を見つめて悲しそうに
嘆息
(
ためいき
)
をついていることがあるので、わたくしもなんだか可哀そうに思ったことも度々ありました。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
足もとからもり上った
海嘯
(
つなみ
)
のように、混雑は、急であった。変事を耳にした時から、殆ど、
嘆息
(
ためいき
)
もさせて
措
(
お
)
かない
急
(
せ
)
き方である。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
二人はちっとも
争論
(
いさかい
)
をしなくなりました。その代り、何となく
憂容
(
うれいがお
)
をして、時々ソッと
嘆息
(
ためいき
)
をするようになりました。
瓶詰地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
すると其時、窓掛の蔭から、悲しそうな
嘆息
(
ためいき
)
が聞えて来た。何者か其処に居るらしい。博士は寝台から飛び下りた。
木乃伊の耳飾
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
『え、え、え。』と、
初
(
はじ
)
めて
此事
(
このこと
)
に
氣付
(
きづ
)
いた
吾等
(
われら
)
一
同
(
どう
)
は、
殆
(
ほとん
)
ど
卒倒
(
そつたう
)
するばかりに
愕
(
おどろ
)
いた。
大佐
(
たいさ
)
は
深
(
ふか
)
き
嘆息
(
ためいき
)
を
洩
(
もら
)
して
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「嫌な天氣だな。」と俊男は、
奈何
(
いか
)
にも
倦
(
う
)
んじきツた
躰
(
てい
)
で、
吻
(
ほ
)
ツと
嘆息
(
ためいき
)
する。「そりや
此樣
(
こん
)
な不快を與へるのは自然の威力で、また權利でもあるかも知れん。 ...
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
だが、母の弱さにも
嘆息
(
ためいき
)
した。母は
合資
(
ごうし
)
の、倒れかけた
紅葉館
(
こうようかん
)
を建て直して、
儲
(
もう
)
けを新株にして、株式組織に固め、株主をよろこばせたうえで、
追出
(
おいだ
)
された。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「逃げたのか、取られたのか、いなくなってしまった」と、見えなくなった
顛末
(
てんまつ
)
を語って
吻
(
ほっ
)
と
嘆息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
いた。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「ああ、」と
女
(
おんな
)
は
深
(
ふか
)
い
嘆息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
いて、
目
(
め
)
の
前
(
まえ
)
の
血
(
ち
)
を
眺
(
なが
)
めているうちに、
急
(
きゅう
)
に
心細
(
こころぼそ
)
くなって、こう
言
(
い
)
った。「
血
(
ち
)
のように
赤
(
あか
)
く、
雪
(
ゆき
)
のように
白
(
しろ
)
い
小児
(
こども
)
が、ひとりあったらねい!」
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
譬へばあの男が龍蓋寺の門へ
描
(
か
)
きました、五
趣
(
しゆ
)
生死
(
しやうじ
)
の繪に致しましても、
夜更
(
よふ
)
けて門の下を通りますと、天人の
嘆息
(
ためいき
)
をつく音や啜り泣きをする聲が、聞えたと申す事でございます。
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その辮髪は、支那人の背中の影で、いつも
嘆息
(
ためいき
)
深く、閑雅に、憂鬱に沈思しながら、戦争の最中でさえも、阿片の夢のように
逍遥
(
さまよ
)
っていた。彼らの姿は、真に幻想的な詩題であった。
日清戦争異聞:(原田重吉の夢)
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
なるようにしかならんという状態から、やがて「自己のつくすだけをつくしていさぎよく運命に従おう」という心の状態になった。
嘆息
(
ためいき
)
と涙とのあとに、静かなさびしいしかし甘い安静が来た。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
父が話しをやめ升た時、私は
嘆息
(
ためいき
)
をつき
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
天人は深い/\
嘆息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
いてをります。
子良の昇天
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
と
嘆息
(
ためいき
)
して、髯に掛けた指を忘れた。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
老い朽ちたやうな
嘆息
(
ためいき
)
の消えがたく
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
嘆息
(
ためいき
)
の音も悲しそうに
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
妻が自分を面白からず思い気味悪るう思い、そして
鬱
(
ふさ
)
いでばかりいて、折り折りさも気の無さそうな
嘆息
(
ためいき
)
を
洩
(
もら
)
すのも決して無理ではない。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
達磨
(
だるま
)
部屋の底に
嘆息
(
ためいき
)
をついて、お家様への言い訳や、後で領主からどんな厳罰をくわされるかと、頭をなやめているわけだった。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女はやゝしばらく三四郎を眺めた
後
(
のち
)
、
聞兼
(
ききかね
)
る程の
嘆息
(
ためいき
)
をかすかに
漏
(
も
)
らした。やがて細い手を濃い眉の
上
(
うへ
)
に加へて、云つた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
でも
此様
(
こん
)
な
筈
(
はず
)
では無かツたがと、
躍起
(
やつき
)
となツて、
行
(
や
)
る
點
(
とこ
)
まで
行
(
や
)
ツて
見
(
み
)
る、
我慢
(
がまん
)
で行ツて見る。
仍且
(
やツぱり
)
駄目
(
だめ
)
だ。
頭
(
てん
)
で
調子
(
てうし
)
が出て來ない。
揚句
(
あげく
)
に
草臥
(
くたび
)
れて了ツて、
悲観
(
ひくわん
)
の
嘆息
(
ためいき
)
だ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
譬
(
たと
)
へばあの男が
龍蓋寺
(
りゆうがいじ
)
の門へ描きました、
五趣生死
(
ごしゆしやうじ
)
の絵に致しましても、
夜更
(
よふ
)
けて門の下を通りますと、天人の
嘆息
(
ためいき
)
をつく音や啜り泣きをする声が、聞えたと申す事でございます。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「そうかなあ。」と、彼は
嘆息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
いた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ふと
言
(
ことば
)
絶え、
嘆息
(
ためいき
)
して
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
清三は
嘆息
(
ためいき
)
をした。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
嘆息
(
ためいき
)
はほろびず
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
「どうしよう」当惑した顔が
被衣
(
かずき
)
のうちで
嘆息
(
ためいき
)
をつく。このまま空しく帰るとしたら姫の泣き沈む姿を見なければならない。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日は全く暮れて
四囲
(
あたり
)
は真暗になったけれど、少しも気がつかず、ただ腕組して折り折り
嘆息
(
ためいき
)
を
洩
(
もら
)
すばかり、ひたすら物思に沈んでいたのである。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
すべての変るものを見た時、心の底でそっと
嘆息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
いた。ああ。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
やがて、その
眸
(
ひとみ
)
を、足もとから城太郎の顔へ上げ、もいちど、改めて彼の姿をつぶさに見直しながら
嘆息
(
ためいき
)
のように
訊
(
たず
)
ねた。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
...
涼炉
(
しちりん
)
で燃しているようなものサ。
土竈
(
どがま
)
だって
堅炭
(
かたずみ
)
だって
悉
(
みん
)
な去年の倍と言っても可い位だからね」とお徳は
嘆息
(
ためいき
)
まじりに「
真実
(
ほんと
)
にやりきれや仕ない」
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
その
嘆息
(
ためいき
)
を聞けば、無理もない。火を
咥
(
くわ
)
えている鳥と、慈母の珠とを、この男は、取り替えてしまったのである。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夜はふけ月さえぬれど、そよ吹く風さえなければムッとして蒸し熱き晩なり。吉次は投げるように身を横にして手荒く
団扇
(
うちわ
)
を使いホッとつく
嘆息
(
ためいき
)
を紛らせばお絹
置土産
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
という
嘆息
(
ためいき
)
が、敵の山からも、味方の山からも、思わず揚がって、湖の水までが、どうと岸辺にうごいて来た。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
煤
(
すす
)
けし壁の四隅は光届きかねつ心ありて見れば、人あるに似たり。源叔父は顔を両手に埋め深き
嘆息
(
ためいき
)
せり。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「成程そうですねェ、
真実
(
ほんと
)
に私は困まッちまッたねエ、五週間! もう
其様
(
そんな
)
になったろうか、」と主人の少女は
嘆息
(
ためいき
)
をして、「それで平岡さんが何とか言って?」
二少女
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
返辞というより、
嘆息
(
ためいき
)
に似た声を洩らした。
忽然
(
こつぜん
)
と、強敵のあらわれた感じである。何よりも先に、犬千代のすぐれた
背丈
(
せたけ
)
が、気もちの上に、のしかかって来た。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大空仰げば降るともなしに降りくるは雪の
二片三片
(
ふたひらみひら
)
なり、今一度乞食のゆきし
方
(
かた
)
を見て太き
嘆息
(
ためいき
)
せり。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
嘆息
(
ためいき
)
といっしょに腕を組んで
触札
(
ふれふだ
)
を睨みつけていたが、もう意地もなく気をくじいてしまったように
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
不吉ばかり予感されて、いたずらに、
嘆息
(
ためいき
)
と嘆息が、よけい家族の憂いを深くさせるのみであった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ああこのごろ、年若き男の
嘆息
(
ためいき
)
つきてこの木立ちを当てもなく行き来せしこと幾
度
(
たび
)
ぞ。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
油皿の
燈芯
(
とうしん
)
が、ジ、ジ、ジと
戦慄
(
せんりつ
)
している。大きな
嘆息
(
ためいき
)
にふくらむたびに肺は
肋骨
(
あばら
)
に
抑
(
おさ
)
れて
傷
(
いた
)
む。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
されどまた七日の後には再び来たりておもむろに
告別
(
いとまごい
)
せんと青年は
嘆息
(
ためいき
)
つきて深く物を思えるさまなり、翁ははたと
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
ち、しからばいよいよ遠く西に行きたもうこととなりしか。
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
燭
(
しょく
)
を寄せて、読みかえしていたが、やがて、吉光の前は、ほっと
嘆息
(
ためいき
)
をもらして、つぶやいた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
源叔父は
嘆息
(
ためいき
)
つきつつ小橋の上まで来しが、火影落ちしところに足跡あり。今踏みしようなり。紀州ならで誰かこの雪を
跣足
(
すあし
)
のまま歩まんや。
翁
(
おきな
)
は小走りに足跡向きし
方
(
かた
)
へと
馳
(
は
)
せぬ。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
こんな子供にと思っても、朱実には、こんな
嘆息
(
ためいき
)
を、ほかに聞いてもらう人はなかった。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
青年の
出
(
い
)
で行きし後、翁は庭の中をかなたこなたと歩み、めでたしめでたしと繰り返して
独言
(
ひとりご
)
ちしが、ふと足を止め、
眼
(
まなこ
)
を閉じ、ややありて、されど哀れの君よと深き
嘆息
(
ためいき
)
をもらしぬ。
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
“嘆息”の意味
《名詞》
嘆息(たんそく :「歎息」の「同音の漢字による書きかえ」、但し、元来「嘆」と「歎」は可換の異体字)
嘆いて溜め息をつくこと。
(出典:Wiktionary)
嘆
常用漢字
中学
部首:⼝
13画
息
常用漢字
小3
部首:⼼
10画
“嘆”で始まる語句
嘆
嘆声
嘆願
嘆賞
嘆美
嘆服
嘆きの河
嘆涙
嘆称
嘆聲