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髑髏
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どくろ
ふりがな文庫
“
髑髏
(
どくろ
)” の例文
またある朝、清盛が寝床から起きぬけて妻戸を押し開いて小庭の内を眺めると、こはいかに、死人の
髑髏
(
どくろ
)
が小庭を埋めつくしている。
現代語訳 平家物語:05 第五巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
大小の時計が
硝子
(
ガラス
)
窓の向側に手際よく列べられている中に、唯一つ嬰児の拳ほどの、銀製の
髑髏
(
どくろ
)
が僕等に向って硝子越しに嗤っていた。
汝自身を知れ:ベルンにて
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
酉陽雑俎
(
いうやうざつそ
)
に、狐
髑髏
(
どくろ
)
を
戴
(
いたゞ
)
き
北斗
(
ほくと
)
を
拝
(
はい
)
し尾を
撃
(
うち
)
て火を出すといへり。かの国はともあれ我がまさしく見しはしからず、そは
下
(
しも
)
にいふべし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
五十を越したであろう年輩の、蝋燭の淡い灯によって前下方から照し出された
瘠
(
や
)
せ顔は、
髑髏
(
どくろ
)
を思わせるように気味が悪かった。
死体蝋燭
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
是
(
これ
)
からが
髑髏洞
(
カタコンブ
)
の奥の院である。門を
入
(
はひ
)
つて右に折れると
洞
(
ほら
)
の屈曲は
蠑螺
(
さざえ
)
貝の底の様に急に成り、初めて
髑髏
(
どくろ
)
の祭壇が見られる。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
傍にある
髑髏
(
どくろ
)
を頭の上に乗っけて首を振り、そして落ちた物はやめて、他の髑髏を取って乗っけたが、三四回目に落ちないのが乗っかった。
老狐の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
戸の上高きところを舟に乘りてゆき給ふ耶蘇、
贄卓
(
にへづくゑ
)
の神の使、美しきミケルはいふもさらなり、蔦かづらの環を戴きたる
髑髏
(
どくろ
)
にも暇乞しつ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
それはさきほど関ヶ原の本宿で、
定九郎鴉
(
さだくろうがらす
)
にさらわれたという、伊太夫の
髑髏
(
どくろ
)
の間の枕許の古代切の箱入りの包でありました。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そこからも、ここからも、朽ち果てた
髑髏
(
どくろ
)
が崩れ落ちてくる。自分は今、死の中にある。光は消えた。動くことが息詰まるほど恐ろしかった。
春の遠山入り:(易老岳から悪沢岳への縦走)
(新字新仮名)
/
松濤明
(著)
あくる朝、再び山へ登ってみると、どこにも火を
焚
(
た
)
いたらしい跡はなく、ただ百人あまりの枯れた
髑髏
(
どくろ
)
がそこらに散乱しているのみであった。
中国怪奇小説集:04 捜神後記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
眷属
(
けんぞく
)
ばらばらと左右に居流る。一同
得
(
え
)
ものを持てり。
扮装
(
いでたち
)
おもいおもい、
鎧
(
よろい
)
を
着
(
つけ
)
たるもあり、
髑髏
(
どくろ
)
を
頭
(
かしら
)
に頂くもあり、百鬼夜行の
体
(
てい
)
なるべし。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
なかには絵に描かれているような
髑髏
(
どくろ
)
がそこはかとない秋草を
褥
(
しとね
)
にすわっていたという土産話も、今では嘘のようである。
中支遊記
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
K市街地の
町端
(
まちはず
)
れには
空屋
(
あきや
)
が四軒までならんでいた。小さな窓は
髑髏
(
どくろ
)
のそれのような真暗な眼を往来に向けて開いていた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
住居
(
すまい
)
をしていた
占術家
(
うらない
)
の魔女が十三の
髑髏
(
どくろ
)
の盃の中へ、いろいろさまざまの草や木や石や、生物から採ったお酒を盛って、妾の所へ来るのだよ。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
治承
(
ちしょう
)
の昔
文覚上人
(
もんがくしょうにん
)
が何処の馬の骨だか分らないされこうべを「
義朝
(
よしとも
)
の
髑髏
(
どくろ
)
」と称して
右兵衛佐頼朝
(
うひょうえのすけよりとも
)
に示した故智に
倣
(
なら
)
い
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
奈良朝になると、髪の毛を
穢
(
きたな
)
い
佐保川
(
さほがわ
)
の
髑髏
(
どくろ
)
に入れて、「まじもの」せる
不逞
(
ふてい
)
の者などあった。これは
咒詛調伏
(
じゅそちょうぶく
)
で、
厭魅
(
えんみ
)
である、悪い意味のものだ。
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そのあとで警部は、今しがた第三の犠牲者のハンドバックから見付けてきた例の十字架に
髑髏
(
どくろ
)
の
標章
(
マーク
)
を、車内の明るい
燈火
(
ともしび
)
の下で、注意深く調べた。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それゆえ後々までも、金剛山のふもと、東条谷のあたりには、矢の穴や刀創のある
髑髏
(
どくろ
)
が、いつの世までも草むらにゴロゴロころがっていたという。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……こう申しましたら貴方はあの時計と
髑髏
(
どくろ
)
が、何のために飾り付けてあるかという事が、おわかりになるでしょう。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
(『僧正の
旅籠
(
はたご
)
悪魔の腰掛けにて良き眼鏡四十一度十三分北東微北東側第七の大枝
髑髏
(
どくろ
)
の
左眼
(
ひだりめ
)
より射る
樹
(
き
)
より弾を通して五十フィート外方に直距線』)
黄金虫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
寺男は両手を深くその中に差入れたり、両足の
爪先
(
つまさき
)
で穴の
隅々
(
すみずみ
)
を探ったりして、小さな
髑髏
(
どくろ
)
を三つと、離れ離れの骨と、腐った
棺桶
(
かんおけ
)
の
破片
(
こわれ
)
とを掘出した。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
髑髏
(
どくろ
)
を「されかうべ」と言う。この「され」は「
曝
(
さ
)
れ」かもしれないが、ペルシア語の sar は頭である。
言葉の不思議
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
これだけの事実をわしは知った、しかしわしには
髑髏
(
どくろ
)
の一件が了解出来ん。馬鈴薯畑から人間の首が飛出したのを見ては心中すこぶる安からざるものがあった。
作男・ゴーの名誉
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
血の如き葡萄の酒を
髑髏
(
どくろ
)
形の
盃
(
さかずき
)
にうけて、縁越すことをゆるさじと、
髭
(
ひげ
)
の尾まで
濡
(
ぬ
)
らして呑み干す人の中に、彼は只額を抑えて、斜めに泡を吹くことが多かった。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
露骨な観念論という
髑髏
(
どくろ
)
は、この自由主義という偽装によって、温和なリベラルな肉付きを受けとる。
日本イデオロギー論:――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判
(新字新仮名)
/
戸坂潤
(著)
彼女は
點頭
(
うなず
)
いて、黒いガラス壜を差し出して見せた。小いさな
髑髏
(
どくろ
)
の印のついたレッテルに、赤いインキで(空虚の充実。お役に立てば幸甚!)と書かれてあった。
花嫁の訂正:――夫婦哲学――
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
古くはユーゴーの佝僂男が巣食っていたノートルダム寺院、近くはルルウの
髑髏
(
どくろ
)
怪人が身を潜めていた
巴里
(
パリ
)
のオペラ座などに比べても、決して劣らぬ秘密境である。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ルウテルがヰツテンベルヒに在りし時、頭の形、
髑髏
(
どくろ
)
に似たる男を見しことありて、其履歴を問ひしに、其男の母は妊娠中死骸を見て甚しく驚きしことありし由に候。
アンドレアス・タアマイエルが遺書
(新字旧仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
私は医科の小使というものが、解剖のあとの死体の首を土に埋めて置いて
髑髏
(
どくろ
)
を作り、学生と秘密の取引をするということを聞いていたので、非常に嫌な気になった。
愛撫
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
髑髏
(
どくろ
)
の紋が、夜目にもハッキリ浮かんで、帯のゆるんだ裾前から、女物の派手な下着をだらりと見せた丹下左膳、
足
(
そく
)
を割って、何かを踏まえているのは、これこそは
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ご主君のために
髑髏
(
どくろ
)
を
瓦礫
(
がれき
)
のあいだに
曝
(
さら
)
そうと念うよりさきに、おのれの名を惜しむ心がつよい。
死処
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「狐の寿命は八百歳にして、三百歳に達すれば変じて人の形に化し、夜中、尾をうちて火を出だし、
髑髏
(
どくろ
)
をいただきて北斗を拝す。その髑髏、頭より落ちざれば人となる」
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
奥の壁は全く窓にて占領せられおる。左手の壁に押付けて黒き箪笥を据えあり。その上に
髑髏
(
どくろ
)
に柔かき帽子を
被
(
かむ
)
せたるを載せあり。また小さき素焼の人形、鉢、
冠
(
かんむり
)
を置きあり。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
始に
髑髏
(
どくろ
)
を
画
(
えが
)
きてその上に精神界の三字を書す。その様何とやら物質的に
開剖
(
かいぼう
)
的に心理を研究する意かと思はれて仏教らしき感起らず。髑髏の
画
(
え
)
のやや精細なるにも
因
(
よ
)
るならん。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
ロレ ほい、
其許
(
そのもと
)
か! さらば
問
(
と
)
はうが、あしこのあの
炬火
(
たいまつ
)
は、ありゃ
何
(
なん
)
でおじゃる、
蛆蟲
(
うじむし
)
や
目
(
め
)
も
無
(
な
)
い
髑髏
(
どくろ
)
を
空
(
むな
)
しう
照
(
てら
)
すあの
光
(
ひかり
)
は? かう
見
(
み
)
たところ、カペル
家
(
け
)
の
廟舍
(
たまや
)
の
前
(
まへ
)
ぢゃが。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
獲物はすぐに見つかったが、そのそばに
髑髏
(
どくろ
)
が一つころがっていた。それを見ると、突如として例の狂女の記憶が、拳固でどんと突かれでもしたように、僕の胸のなかに蘇って来た。
狂女
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
玉山さんは、
髑髏
(
どくろ
)
の牙彫など拵えると鼻の
孔
(
あな
)
へ毛を通すと目に抜けるという位の細かい細工をした人だが、この人はなかなか経済家で、彫刻家を糾合して無尽を拵えていたのである。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
いま私は私の身や心として意識しているこのちり/″\ばら/\の
髑髏
(
どくろ
)
、背骨、肋骨、腰骨、肢骨は、ちり/″\ばら/\ではありながら、どれもみな水晶のように透き通り、
万
(
ママ
)
更
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彼等の父は嘗つて藩の宗門改めに会って斬られた者達であるが、角蔵、三吉は各々の父の
髑髏
(
どくろ
)
と天主像を秘かに拝して居たのを、此頃に至って公然と衆人に示して、
勧説
(
かんぜい
)
するに至った。
島原の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
その蝶は、私の手のやうに大きくて、その背中に白い点があつて、それが
髑髏
(
どくろ
)
にちよつと似てゐるといふので沢山の人に恐がられてゐるのです。そして又、その眼は黒く光つてゐます。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
私が小さくて向島に住んでいた頃、父が医者だというので、或人が、真白で親指の頭位ある小さな
髑髏
(
どくろ
)
を持って来て見せました。あまり見事なのでよく見ましたら
象牙彫
(
ぞうげぼり
)
の根附でした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
つまり頭をたつた一つしか
有
(
も
)
たなかつた英雄に、
髑髏
(
どくろ
)
が二つ出た事になるのだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
余程な苦しみをして死んだものゝ如く、其の脇へ
髑髏
(
どくろ
)
があって、手とも覚しき骨が萩原の
首玉
(
くびったま
)
にかじり付いており、あとは足の骨などがばら/\になって、床の
中
(
うち
)
に
取散
(
とりち
)
らしてあるから
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
欠け歯をむき出しにゆがめた顔は
髑髏
(
どくろ
)
か何ぞのように婦をぞっとさせた。
土城廊
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
砂丘のかげの小屋には、母と子と、それに中年の隠亡と、そのほかに誰もゐなかつた。いやもう一つ、ふしぎに崩れずに残つた父の
髑髏
(
どくろ
)
があつた。その髑髏を隠亡が、長い火箸のさきで突き崩した。
地獄
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
劣らずに口では小侍たち、猛りつづけてはいたが、十五郎の思わざる
豹変
(
ひょうへん
)
にいささか
怖
(
お
)
じ気づいたらしい容子でした。真赤な
髑髏
(
どくろ
)
首もこの際この場合、相当に六人の肝を冷やしていると見えるのです。
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
のみならず又マントルの中から
髑髏
(
どくろ
)
を一つ出して見せる。
誘惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼の目は
髑髏
(
どくろ
)
のように、
痩
(
や
)
せた
眼窩
(
がんか
)
の奥で疲れていた。
街頭の偽映鏡
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
箇
(
つ
)
の
髑髏
(
どくろ
)
を
與
(
あた
)
へ、いでや
出陣
(
しゆつぢん
)
と
立上
(
たちあが
)
れば、
毒龍
(
どくりよう
)
再
(
ふたゝ
)
び
策
(
さく
)
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
髑髏
(
どくろ
)
は
熟視
(
みつ
)
む、きゆらそおの血の
酒甕
(
さかがめ
)
の
間
(
あひだ
)
より
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
“髑髏”の意味
《名詞》
髑 髏(どくろ, されこうべ, しゃれこうべ, しゃりこうべ)
風雨にさらされるなどで白骨化した頭蓋骨。主に人間のもの。
(出典:Wiktionary)
“髑髏”の解説
髑髏(どくろ、されこうべ、しゃれこうべ、しゃりこうべ、en: Skull)は白骨化したヒトの頭部の頭蓋骨を指す名称である。「されこうべ」(しゃれこうべ)は「晒され頭(こうべ)」の意味。一般に死の象徴とされる。
(出典:Wikipedia)
髑
漢検1級
部首:⾻
23画
髏
漢検1級
部首:⾻
21画
“髑髏”で始まる語句
髑髏洞
髑髏島
髑髏魚
髑髏人
髑髏杯
髑髏盃
髑髏舞