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ひんぴん
ふりがな文庫
“
頻々
(
ひんぴん
)” の例文
近者
(
ちかくは
)
北米オークランド湖畔の一友遙かに書を寄せて曰く、飛電
頻々
(
ひんぴん
)
として戦勝を伝ふるや、日本人の肩幅
日益日益
(
ひますひます
)
広きを覚え候ふと。
渋民村より
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
北海道の炭坑でメタン
瓦斯
(
ガス
)
の爆発が
頻々
(
ひんぴん
)
とあって、それを防止する意味をかねて、メタンの爆発の研究をしたいという人が出て来た。
寺田先生の追憶:――大学卒業前後の思い出――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
頻々
(
ひんぴん
)
、後詰の催促を発しながら、一面には、備前随一の勇名ある
真壁治次
(
まかべはるつぐ
)
に、手兵八百をさずけて、
上月城
(
こうづきじょう
)
を奪回することに成功し
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
東京の方へ出掛ける人も人探しらしいのが
頻々
(
ひんぴん
)
として目につく。すべてがいっさいの修飾を離れて純粋な人間の苦しみを現わしている。
地異印象記
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
舳手
(
じくしゅ
)
のところへは、なにか
頻々
(
ひんぴん
)
と、命令が下されているのがエンジンの響きの間から聞こえたが、
何
(
ど
)
んな種類の命令だか判らなかった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
唯
(
たゞ
)
大地震直後
(
だいぢしんちよくご
)
はそれが
頗
(
すこぶ
)
る
頻々
(
ひんぴん
)
に
起
(
おこ
)
り、しかも
間々
(
まゝ
)
膽
(
きも
)
を
冷
(
ひや
)
す
程
(
ほど
)
のものも
來
(
く
)
るから、
氣味惡
(
きみわる
)
くないとはいひ
難
(
にく
)
いことであるけれども。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
さっきから五郎に話していたのもそれで、最近
頻々
(
ひんぴん
)
として起る怪殺人事件を、独特の観察眼で縦横に解剖していたところである。
劇団「笑う妖魔」
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
聞き込みが
頻々
(
ひんぴん
)
と
齎
(
もたら
)
されてくる。何も一時にその聞き込みが入ってきたわけではないが、総合すると大体、こういうことになる。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
こうした
頻々
(
ひんぴん
)
とした撰集の沙汰は何とも自然発生的なものでなく、歌の家からの随分はげしい嘆願のあったことを想像するにかたくない。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
左大臣が一方ではあの
御簾
(
みす
)
の方へ
頻々
(
ひんぴん
)
と色目を使い、一方では平中を
掴
(
つか
)
まえて変な皮肉を浴びせたりしたので、一層不安が
募
(
つの
)
ったのであった。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
若杉裁判長が、罪人に対する理解のこもった同情は、だんだん立会の検事にも伝染したとみえ、最初ほどは検事が
頻々
(
ひんぴん
)
と控訴しなくなりました。
若杉裁判長
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
すなわちこれら蒙昧人の他の種族との
頻々
(
ひんぴん
)
たる戦争と相互間の不断の闘争、深夜の殺人を促がししばしば
無辜
(
むこ
)
の流血を惹き起す不思議な復讐心
人口論:01 第一篇 世界の未開国及び過去の時代における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
大黒屋へ着くと、何んにも知らぬ年始の客が、素つ氣なくあしらはれて、不思議さうに歸つて來るのが
頻々
(
ひんぴん
)
とありました。
銭形平次捕物控:248 屠蘇の杯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
およそ世の読者に興味のあるような残忍の事件はそう毎日毎日、紙上を埋めるほど
頻々
(
ひんぴん
)
として連続するものではない。
裸体談義
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
次郎は
呆然
(
ぼうぜん
)
となって朝倉先生の顔を見つめた。かれは、この五六日、
頻々
(
ひんぴん
)
と塾長あての電報が来るのを知ってはいた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
五十六 この様に
頻々
(
ひんぴん
)
の電報に警戒せられた為、米国の方では、夜の明けぬうちに余程用心した。出来るだけ頑強な
防禦
(
ぼうぎょ
)
策を、考えもし、実行もした。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
父の手紙と例によって松山が父の使いみたいに
頻々
(
ひんぴん
)
とやって来るのだ。偶然の一致とは云え、不思議な因縁だね。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ここに
縞織
(
しまおり
)
やいわゆる
中形
(
ちゅうがた
)
の、発達した原因があるので、年齢に合わせて派手だとかじみだとかいう問題は、
頻々
(
ひんぴん
)
と取替えるからいよいよ細かくなってきて
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ところが東都出発の数日以前から、
殆
(
ほと
)
んど毎日のように暴風
大雨
(
たいう
)
で、各地水害の飛報は
頻々
(
ひんぴん
)
として
来
(
きた
)
る。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
それも、女が無事におとなしく勤めている分には別になんの仔細もなかったのですが、もし男と関係でもしようものなら、忽ち怪異が
頻々
(
ひんぴん
)
として起こるというのです。
江戸の化物
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
池ノ谷も雪の多い間は通行容易であるが、此谷は幅狭く、入口に近く高い瀑があり、且つ右岸の絶壁から
頻々
(
ひんぴん
)
と、時季によって雪崩や石が墜ちるので甚だ危険である。
越中劒岳
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
私は小遣銭がなくなつて、あまり
頻々
(
ひんぴん
)
で母にも云ひ出せないといふ時に、きまつて姉の家へ行つた。
イボタの虫
(新字旧仮名)
/
中戸川吉二
(著)
それに、近ごろことに
頻々
(
ひんぴん
)
として起こる死に花の一件——人体に根を張って生命を奪う怪しい草花。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
頻々
(
ひんぴん
)
としてこの厄に
罹
(
かか
)
っているが、これこの法が後には政争の手段として用いらるるに至ったためであって、二党対立の場合に、しばしば合意の上にてこの投票を行い
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
「またそれが出ましたね。どうも素焼の壺が
頻々
(
ひんぴん
)
と出て来ますね。あれは僕自身も僕を素焼の壺程度に解釈していた時分云ったことですよ。僕は実は大変な鬱血漢でしたよ」
高原の太陽
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
源氏は大臣の息子や孫以上に至誠をもってあとの仏事や法要を営んだ。今年はだいたい静かでない年であった。何かの前兆でないかと思われるようなことも
頻々
(
ひんぴん
)
として起こる。
源氏物語:19 薄雲
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ところがその
中
(
うち
)
に、だんだんと落ち付いて来ると、時
恰
(
あた
)
かも大唐朝没落の前奏曲時代で、兇徴、
妖孼
(
ようげつ
)
、
頻々
(
ひんぴん
)
として起り、天下大乱の兆が到る処に横溢しているのに気が付いた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
夫れは、こうした大きなデパアトメントストーアーで、
頻々
(
ひんぴん
)
と起る万引の中で、婦人は大抵反物類を窃取するが、之れを持ち出す前には便所に行って始末すると云うのであった。
偽刑事
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
世の中の進歩
趨勢
(
すうせい
)
はその停止する所を知らずという有様で、
従
(
したが
)
ってすべての思想界にも、
頻々
(
ひんぴん
)
新主義を産出してくる今日であるのに、ことに文学美術の上に写実主義の大潮流は
竹乃里人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
その軽率さ、いかに国事ことしげく、風雲に乗じて栄達し、家事をかえり見る
暇
(
いとま
)
がなかったといえ、その後、
頻々
(
ひんぴん
)
として起った、上流子女の淫事は、悲しき
破綻
(
はたん
)
をそこに根ざしている。
明治大正美人追憶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
下にいる女髪結は、
頻々
(
ひんぴん
)
としてお君さんの手に落ちる
艶書
(
えんしょ
)
のある事を心得ている。だからこの桃色をした紙も、恐らくはその一枚だろうと思って、好奇心からわざわざ眼を通して見た。
葱
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
妙なことがあるもの、変な話しだ、と昨日目撃したことを隣人に語っていると、もう江戸市中全体にその暴挙が
伝播
(
でんぱ
)
して、
其所
(
そこ
)
にも
此所
(
ここ
)
にも「貧窮人騒ぎ」というものが
頻々
(
ひんぴん
)
と起っている。
幕末維新懐古談:18 一度家に帰り父に誡められたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
負傷者を運ぶ途上でも空襲警報は
頻々
(
ひんぴん
)
と出たし、頭上をゆく爆音もしていた。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
かくて事の
漸
(
ようや
)
く進むや
外国奉行
(
がいこくぶぎょう
)
等は
近海巡視
(
きんかいじゅんし
)
など称し幕府の小軍艦に
乗
(
じょう
)
じて
頻々
(
ひんぴん
)
公使の
許
(
もと
)
に
往復
(
おうふく
)
し、他の外国人の
知
(
しら
)
ぬ間に
約束
(
やくそく
)
成立
(
せいりつ
)
して
発表
(
はっぴょう
)
したるは、すなわち
横須賀造船所
(
よこすかぞうせんじょ
)
の設立にして
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
ユリの花は
著
(
いちじる
)
しい
虫媒花
(
ちゅうばいか
)
で、主として
蝶々
(
ちょうちょう
)
が花を
目当
(
めあ
)
てに
頻々
(
ひんぴん
)
と訪問する
常得意
(
じょうとくい
)
である。それで
美麗
(
びれい
)
な
花色
(
かしょく
)
が虫を呼ぶ
看板
(
かんばん
)
となっており、その
花香
(
かこう
)
もまた虫を
誘
(
さそ
)
う一つの
手引
(
てび
)
きを
務
(
つと
)
めている。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
じぶと
云
(
い
)
ふ
料理
(
れうり
)
あり。だししたぢに、
慈姑
(
くわゐ
)
、
生麩
(
なまぶ
)
、
松露
(
しようろ
)
など
取合
(
とりあ
)
はせ、
魚鳥
(
ぎよてう
)
をうどんの
粉
(
こ
)
にまぶして
煮込
(
にこ
)
み、
山葵
(
わさび
)
を
吸口
(
すひくち
)
にしたるもの。
近頃
(
ちかごろ
)
頻々
(
ひんぴん
)
として
金澤
(
かなざは
)
に
旅行
(
りよかう
)
する
人々
(
ひと/″\
)
、
皆
(
みな
)
その
調味
(
てうみ
)
を
賞
(
しやう
)
す。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
排外を意味する横浜襲撃が諸浪士によって企てられているとのうわさは幾回となく伝わったばかりでなく、江戸
高輪
(
たかなわ
)
東禅寺
(
とうぜんじ
)
にある英国公使館は襲われ、外人に対する迫害
沙汰
(
ざた
)
も
頻々
(
ひんぴん
)
として起こった。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「どうもこの節は、えたいのしれないものが
頻々
(
ひんぴん
)
とやって来るね」
二つの庭
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
彼にいま、そのザチという婦人が、
頻々
(
ひんぴん
)
と訪れてくる。
人外魔境:10 地軸二万哩
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
だが、戦死の報は、
頻々
(
ひんぴん
)
として
相踵
(
あいつ
)
いだ。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
「その夜——いろいろと、思案仕りましたが、禁裏の御気配、京都へ集まっております浪人共の正論、引続く不作、窮民の増加、異国船の
頻々
(
ひんぴん
)
たる来訪。又、オロシャの侵略——何んとなく、日本の四方、日本の上下に、不穏の気が充満して参っておりまする」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
曹操みずから、許都の大軍をひきいて南下すると、
頻々
(
ひんぴん
)
、急を伝えてくる中を、荊州の劉表は、枕も上がらぬ重態をつづけていた。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
櫻島噴火
(
さくらじまふんか
)
は
著
(
いちじる
)
しい
前徴
(
ぜんちよう
)
を
備
(
そな
)
へてゐた。
數日前
(
すうにちぜん
)
から
地震
(
ぢしん
)
が
頻々
(
ひんぴん
)
に
起
(
おこ
)
ることは
慣例
(
かんれい
)
であるが、
今回
(
こんかい
)
も
一日半前
(
いちにちはんぜん
)
から
始
(
はじ
)
まつた。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
一 おのれかつて
井川滋
(
いかわしげる
)
君と『三田文学』を編輯せし頃青年無名の作家のその著作を
公
(
おおやけ
)
にせん事を迫り来れるもの
頻々
(
ひんぴん
)
応接に
遑
(
いとま
)
あらざるほどなるに
小説作法
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
凍結によるトンネルの崩壊は、北海道ですら珍しいことではなく、北満地方では
頻々
(
ひんぴん
)
と悩まされている現象である。
永久凍土地帯
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
信長等が予想して居た通りに義元、
頻々
(
ひんぴん
)
たる勝報に心喜んで附近の祠官、僧侶がお祝の酒
肴
(
さかな
)
を取そろえて来たのに気をよくして酒宴をもよおして居た。
桶狭間合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
その間にも
頻々
(
ひんぴん
)
と仙洞や
水無瀬
(
みなせ
)
の離宮などで歌合が行われるようになって、歌人たちがはじめて世に
在
(
あ
)
るの思いをしたことは、既に知っておられる通りである。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
モヂリ・
鯉口
(
こいぐち
)
・
上
(
うわ
)
っ
張
(
ぱ
)
り、或いはこの頃はやる
割烹着
(
かっぽうぎ
)
の類まで、この作業の
頻々
(
ひんぴん
)
たる変更に、適用せしめようとした発明は数多いが、もともと働かないための着物を
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
またかつては
頻々
(
ひんぴん
)
と
椿事
(
ちんじ
)
を起して世界の人々を戦慄せしめた怪事件も、その後すっかり跡を絶った。
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
ことにこの二、三年来、
頻々
(
ひんぴん
)
として強震があったことは、自分に不安の念を
抱
(
いだ
)
かせるに充分であった。自分の一家についていえば、自分はまず住む家の地盤を気にした。
地異印象記
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
頻
常用漢字
中学
部首:⾴
17画
々
3画
“頻”で始まる語句
頻
頻繁
頻度
頻吹
頻発
頻出
頻伽
頻蒔
頻鳴
頻回