“面:つら” の例文
“面:つら”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花66
吉川英治52
野村胡堂43
中里介山29
岡本綺堂24
“面:つら”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 戯曲12.3%
文学 > 日本文学 > 小説 物語11.9%
文学 > 日本文学 > 詩歌2.2%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
「やっと今聞いたんだ。申し訳がねえ。なにしろ、いい所へつらを持って来てくれた。これから柳橋のお照の家まで行ってくれ」
半七捕物帳:19 お照の父 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
伴「旦那え、冗談いっちゃアいけねえ、わっちのようなんなつらは、どうせ出世の出来ねえ面だから見ねえでもいゝ」
「やい、やい、やい。いいつけたとおり、艫の方へまっすぐに向いていねえか。こっちを向いたらつらたたきわるぞ」
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「ナーニね。あいつのつらがどうにも気にわねえんでサ。むしゃくしゃとして、やっちゃいました。それだけのことです」
一九五〇年の殺人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
米友――ここへ来てからは友造という名に改められたが、つらふくらかして、御主人様のいうことを黙って聞いていると、
何を申すぞもねえもんだ、人のことをとっつかまえて、いきなり、子供子供たあなんだ、よくつらを見てから物を言うがいいや。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「では其間に一つ私のつらの皮の厚さ……と云ふよりは額の骨の固さをお目にかけませう。ビール罎を一つ持つて来て下さい。」
手品師 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
勿論もちろん叱言こゞとつたつて、かへるはうではお約束やくそくの(つらみづ)だらうけれど
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「いくらおとなしく話さうたツて」と、義雄はお鳥を見て、「あの苦蟲にがむしみつぶした樣なつらをされては――」
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
かかあ餓鬼がきを、ぼしにしておいて、どのつらさげて帰って来たかっ、この呑ンだくれの、阿呆おやじがっ」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「俺は暫らく樣子が見たい、お前一人で行つて見るが宜い。一年も逗留たうりうするやうなつらで、ドツカと腰を据ゑるんだ」
うかね。しかし然う一々天氣にかこつけられちや、天氣もつらの皮といふもんさ。」と苦笑にがわらひして
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
まして己以外の人間の、利害のちまたに、損失の塵除ちりよけかぶる、つらの厚さは、容易にははかられぬ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それ證據しようこにやさけんだ明日あしたぢやつらあらときつる/\すつとこ奇態きてえだな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
と冷やかし笑いをして見せたら、試験官の奴、しょっぱいつらをして睨み付けたと思うと、プリプリして出て行きおった。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
むくむく鼻をうごめかし漸次しだいに顔を近附けたる、つらが格子をのぞくとともに、鼻は遠慮なく内へりて
妖僧記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「どのつらさげて、わたしが浅間へ帰れましょう、あれは嘘です、嘘よりほかには、申上げられようがありませんでしたもの」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
第三に、お前のつらがどうも気にいらねえ――ウフフ、これだけそろっていりゃアおらアお前をバッサリやってもいいだろう。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
マーキュ ピーターどんや、扇子せんすつらかくさうちふのぢゃ、扇子せんすはううつくしいからなう。
元帥はかう言つて、若い将校の玉葱のやうな青白い顔を見た。将校はふくれつつらをしたが、それでも言葉はかへさなかつた。
ちかちかと青黒い筋の畳まるまで、むらはげのした濃い白粉おしろい、あぶらぎったつらで、ヌイと覗込のぞきこんで
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ひげ長く、つら赤く、眼の切れのびやかな大将こそ、関羽というなりとは、噂だけに聞いていたが……もしやその関羽は?」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、無礼講の酒席に、月々よばれていた妓どもをしょッ曳いて来て、それらの妓に、つらあらためさせれば造作はない」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
相変らず白痴のような表情した帝大の学生や、小癪こしゃくつら構えをした洋装の小娘が、私に逆らうようにして通り過ぎる。
風宴 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
そのつらつきいと真面目まじめなれば逃げんとしたれども、ふと思い付きて、まずからをとりてたまわれと答えける。
突貫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
若い掏摸すり遣損やッそくなって、人中でつらたれながら、お助け、とまばたきするから、そこア男だ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
同時に南瓜の葉が一面に波を打って、真黄色まっきいろかもめがぱっと立ち、尾花が白く、冷い泡で、糸七のつらを叩いた。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
人のいいふとつらの墓掘りじいメティエンヌを、彼はこの二年ばかりの間に十ぺんくらいは酔っぱらわしたことがあった。
と言つてきまつたやうに鋼鑼のよこつらを厭といふ程どやし付ける。銅鑼は急に腹が減つたやうな声をして唸り出す。
ある時人にいてくれた自分のが、新画の展覧会に売物に出てゐるのを見て、和尚は急にしかめつつらになつた。
そうだがこのごろはどんなソサヤジーにもつらを出して。高等官の中間なかまにでもはいったように威張っているそうだ。
藪の鶯 (新字新仮名) / 三宅花圃(著)
わるく、この酒でちらッかな目の前五六尺が処へつらを出して見ろ、芸は未熟でも張扇はりおうぎで敲き込んでるから腕は利くぞ。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ピカピカ光るおなかや、澄ましたつらした自動車を見ると、藤一郎の胸にはふんわりと訳のわからぬ感情が浮き上るのであった。
少年 (新字旧仮名) / 原民喜(著)
「何だツ、そのふくれつつらは、世間の事は何も知らねえくせに、いまから男遊びしやがつて……。昨夜は、何処へ泊つたンだよ?」
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
「間抜けめ!」と、お十夜は、時機をはずしてノコノコと出てきた大勢のつらへ、つばを吐きつけるように腹を立てた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「飛んでもねえ、――、あつしは金持からは金を借りないことにして居ますよ。大きなつらをされるのがしやくだから」
ぷんぷんと、つらふくらせて、先に、歩き出した。しかし、嫌で嫌で堪らない気がするとみえ、眼は、ぼたぼた、涙をたらしていた。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、つらを抑えて三人のならず者が、たじろいだ隙を見て、おりんは逸早く月江の手をとり、きれいな砂浜を一散にかけ出しました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と倒れる処を新吉が掴み付こうと思ったが、イヤ/\荷物を脇へ落したからと荷物を探す途端に、甚藏のつらむしり付いたから、
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「じゃ何だい、そんな暗い所で、こそこそ御母さんをつらまえて話しているのは。おい早くあかるい所へつらを出せ」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
恥しくは思わんか、大きななりをしやあがって、薄髯うすひげの生えたつらを、どこまでさらして歩行あるいているんだ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのつらの色は、いずれも物凄い色をして眼をき出し、白い歯を剥き出して、丸くなって米友をめがけて襲いかかって来ました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
親仁おやじつらは朱をそそいで、そのくちばしたこのごとく、魚のひれ萌黄もえぎに光った。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
言い掛けた時であった。この見越入道、ふと絶句で、おおきな樽のつらを振って、三つ目を六つに晃々ぎらぎらときょろつかす。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「鐚助、いいところへ来た、今日は朝からむしゃくしゃしてたまらないところだ、つらをだせ、もっとこっちへ面をだせ」
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
思いきりその不機嫌に耽るために、エピミーシウスはパンドーラに背中を向けて、隅っこの方で、ふくれっつらをして坐っていました。
かれは不承不承ふしょうぶしょうにわたしの言うことを聞いたが、しかしひどくふくれっつらをして、目をじっと入口に向けていた。
「ナナ何だ?」ガラリと調子を変えた三次だ。「出直せだと? つら洗って出直せだと。ヤイヤイこのおれを誰だと思う」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「嘘をくつていふのか、新聞が。」ルウズヴエルト氏は蟹の様にしかめつつらをした。「何だつてそんな事を訊くんだな。」
二つの孔から取り出して来たものを、一つの孔に押し返した所で、そんな事位でふくれつつらをする鼻でもなかつた。
「えれえ風だ。吹きゃあがる。吹きゃあがる。風のまにまに――とくらあ。どうでえ庄太、この手は。つらああるめえ。」
「それよりあつしはあの清吉の野郎のつらしやくにさはつてなりませんよ。敬太郎は本當に下手人でせうか、親分」
豆絞まめしぼりの頬かむりを各〓めいめいって、化け物に縁の遠くないつらがまえをつン出していやがらせる。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで赤ん坊は洗礼を受けたが、その時彼はわっと泣き出して、あたかも将来九等官になることを予感でもしたようなしかめつらをした。
外套 (新字新仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
富山の令……令夫……令夫人! もう一生お目には掛らんから、その顔を挙げて、真人間で居る内の貫一のつらを好く見て置かないかい。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「しらばっくれるな。俺はちゃんとてめえのつらを覚えているんだ。いけずうずうしい野郎だ。どうするか見やあがれ」
半七捕物帳:05 お化け師匠 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「あの鬼婆の憎いつらを見ろ、あの出刃庖丁で女の腹をいて、孕児はらみごを食い物にするところだあ、孫八」
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「全く弱った、その山崎という奴がここへ来て、大勢のいる前でつらの皮をかれた日には恥の上塗うわぬりだ」
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
来方こしかたは我にもあり、ただ御身おんみは髪黒く、顔白きに、我はかしらあおく、つらの黄なるのみ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、いう、肩ずれに雪のはだが見えると、おぶわれて出た子供の顔が、無精髯をはやした、まずい、おやじの私のつらです。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うん八蔵けえったか、それその死骸しがいつらを見いと、指図に八蔵心得て叢中くさむらなかより泰助を引摺ひきずり出し、
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
身體からだはきれいでもつらよごれた、ざまろ。おかげで草鞋わらぢ穿かせやがる。」
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つらはどうでも、かみつたをんなが、「めしあがれ。」とその火事場くわじばなか
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
得て、お上の者というつらへ、よい程なあしらいをして見せると、ツケ上がりたがるものなので、ひとまずさかねじをくれてゆくと、
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日ごろ憎悪する相手にめぐりあって、いきなりそのつらかわへツバしてかかるように、彼はののしり出した。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さすが敵地にはいって民心を攪乱かきみだそうとするほどの者だけあって、不敵なつらだましいと雄弁を持っている。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「夜見たらそれ程でもなかつたが、昼間見ると実に気障きざな奴だね、さうしてどうだ、あの高慢ちきのつらは!」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
そうして彼等のつらが、いずれも獰悪どうあくな色を現わしていることを見て取らないわけにはゆきませんでした。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「どうしたんでもねえんだ、腹が立ってたまらねえんだ、こいつのつらを見るとおいらは腹が立って、口惜くやしくって、物が言えねえ」
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この時、番頭はプイと横を向いて、源十郎へのつらあてに、わざとらしい世辞笑いを顔いっぱいにみなぎらせながら、
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「何をいやアがる!」左膳は相手にしない。「てめえもあんまりつらの色のいいほうじゃアあるめえ。もうけばなしもないと見えるな」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「どのつら下げて、かような所へ、出てせたか。この上にも、父の顔に、泥をぬる気か。不孝者ッ、不忠者ッ」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
虫も殺さねえような、あんなつらをしているが、いざとなったらどんなにあばれて、そのうえ、物の見事にずらかるかも知れねえのだ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それもって、烏帽子きた人のくずとも思召おぼしめさず、つらの赤い畜生ちくしょうとお見許し願わしう、はッ、恐れ、恐れ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ものの根本こんぽんをわきまへず、親分の顏――つらがたたねえといふだけで、蝗螽いなごのやうに跳ねあがる。
凡愚姐御考 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
やす ムツシユウ・真壁が日本に戻るて云ふけん、慌て出したツだらう。あんたんつらば、う覚えとつたなあ。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
技手が何か手真似でふざけた。そしたら露助が、またしゃっつらを一層赤くして、「あっはっはっ。」と笑った。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
「つまらないことなんですが、平常ふだんあつしの臆病を笑つてゐる六助と勘次のつらが見てやりたいと思ひます」
「止さねえか、八。言ひ當てられて向つ腹を立てるわけぢやねえが、人のつらをマジマジと見乍ら、何てエ言ひ草だ」
「おお見せしめのため破門いたす。たッた今道場を出てせい、そのつらを見るのも小癪こしゃくにさわる!」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「つまらないことなんですが、平常ふだんあっしの臆病を笑っている六助と勘次のつらを見てやりたいと思います」
ぼくは、しばしポカンとしていましたが、え切れなくなると、「そうですか」と一言。泣きッつらをみられないようにまた暗い甲板に。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
「ハハハハ。そう真面目まじめにならんでも好い。そうおとなしくちゃ損だぞ。もう少しつらの皮を厚くせんと」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
よく云ったところで、うわつら体裁ていさいじゃありませんか。世間に対する手前と気兼きがねを引いたら後に何が残るんです。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そいつを捕まえてこの事を相談すると、喜ぶかと思いのほか、案外極まる不機嫌なつらふくらましたもんだ。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これがお竹ででも有ろうものなら、直ぐ見たくでもないつらふくらして、沸々ぶつぶつ口小言を言う所だ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
うつろに、もの寂しくただ一人で、いまそれを見た時に、花がむくむくと動くと、真黒まっくろつらを出した、――とがった馬です。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その仲間に入らないと受けが悪いから、相当の家の者共がみんないっぱしの貧窮人らしいつらをして粥を食い歩く。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「なに、マドの奴が帰って来たと、よくつらを面と戻って来やがった、今度こそは、とっつかまえて、ぶっちめろ」
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
おのれ、萎黄病ゐわうびゃうんだやうなつらをしをって! うぬ/\、ろくでなし! おのれ、白蝋面びゃくろうづらめが!
私はもう少しで、人前をもかまわず、ずかずかっと彼女のそばへ走りよって、力一ぱい彼女のよこつらを殴りつけてやるところだった。
秘密 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
もすそを据えた大魚は、ややつらが奇怪で、鯉だか、ますだか、亀だか、蛇だか、人間の顔だか分らない。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……ぐるり/\とうかがふうちに、桜田門の番所そばの石垣から、おおきへびつらを出して居るのをと見つけた。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
武士たるものが色に迷ひ、あまつさへ見苦しき死恥を晒して、家を汚し、名を汚し、親類縁者のつらにも泥をぬる。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「うん、俺ああの野郎のつらを見るのが心底しんそこきれえなんだ。声を聞くのも虫が好かねえんだ。弟の方はさうでもねえけんど。」
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
土のうわつらった赭土あかつちの肌の見えている処では、草は短くなってそこでは路があっちこっちに乱れていた。
女の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「よしよし、お前の開けっ放しのつらが、陽が流しへ射したと言っているよ――今度はお才に逢ってみよう。来い」
と云ふ側から、ぢぢむさくひげの伸びた馬子半天まごばんてんが、じろじろ胡麻の蠅のつらを覗きこんで、
鼠小僧次郎吉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
……もちろん、村でも不義もののつらへ、つばと石とを、人間の道のためとか申して騒ぐかたが多い真中まんなかでございますから。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
死にゃあいいんだろう? どうせ僕は、野中つらよごしなんだから、死んで申しわけを致しますですよ。
春の枯葉 (新字新仮名) / 太宰治(著)
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