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面
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つら
ふりがな文庫
“
面
(
つら
)” の例文
その諦めもほんの
上
(
うわ
)
っ
面
(
つら
)
のもので、衷心に存する不平や疑惑を
拭
(
ぬぐ
)
い去る力のあるものではない。しかたがないからという諦めである。
序に代えて人生観上の自然主義を論ず
(新字新仮名)
/
島村抱月
(著)
「あの
面
(
つら
)
に、げんこつをくらわせることはなんでもない。だが、
己
(
おれ
)
が、
腕
(
うで
)
に
力
(
ちから
)
をいれて
打
(
う
)
ったら、あの
顔
(
かお
)
が
欠
(
か
)
けてしまいはせぬか?」
からす
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しかもリザヴェッタは世間の青年たちが追い廻している、
面
(
つら
)
の皮の厚い、心の冷たい、
年頃
(
としごろ
)
の娘たちよりは百層倍も可愛らしかった。
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
今からもう、二人は、そら、
顰
(
しか
)
めっ
面
(
つら
)
だと、
面白
(
おもしろ
)
がっている。近所の人たちを招待できるものなら招待するところだったに違いない。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
偏
(
ひとへ
)
にこの君を奉じて
孤忠
(
こちゆう
)
を全うし、美と富との勝負を唯一戦に決して、紳士の憎き
面
(
つら
)
の皮を
引剥
(
ひきむ
)
かん、と
手薬煉
(
てぐすね
)
引いて待ちかけたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
たちまち、この時、鬼頭巾に武悪の面して、極めて毒悪にして、邪相なる大茸が、傘を半開きに
翳
(
かざ
)
し、みしと
面
(
つら
)
をかくして
顕
(
あら
)
われた。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
俺をそうどなりつけた——と思ったが、なに、そのしかめ
面
(
つら
)
に、そう言わせていただけだ。だが、俺はまさにどなられた感じだった。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
思いきりその不機嫌に耽るために、エピミーシウスはパンドーラに背中を向けて、隅っこの方で、ふくれっ
面
(
つら
)
をして坐っていました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
「万太郎様は、伝内さんがお嫌いです。あの
河豚
(
ふぐ
)
のような
面
(
つら
)
をした、用人の
河豚内
(
ふぐない
)
が給仕にまいると、御飯もまずいといっています」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
作家 それは五円や十円
盗
(
ぬす
)
まれても、暮しに困らない人がある場合、盗んでも
好
(
い
)
いと云ふ論法ですよ。盗まれる方こそ
好
(
い
)
い
面
(
つら
)
の皮です。
売文問答
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
なぜかおッ
母
(
か
)
さんは、
泣
(
な
)
き
面
(
つら
)
です、そして私をしかるように「窪田さん、そんなものをごらんになるならあっちへ持っていらっしゃい」
あの時分
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
八五郎は遠慮もなく
絡
(
から
)
みました。この修驗者の高慢な
面
(
つら
)
や、親分の平次を唯の岡つ引扱ひにしたのがひどく
疳
(
かん
)
にさはつた樣子です。
銭形平次捕物控:219 鐘の音
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一見、黒白混血児とわかる浅黒い肌、きりっとひき締った
精悍
(
せいかん
)
そうな
面
(
つら
)
がまえ、ことに、
肢体
(
したい
)
の
溌剌
(
はつらつ
)
さは
羚羊
(
かもしか
)
のような感じがする。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
善人らしい
面
(
つら
)
をしているやつの面の皮をはいでやりたいのだ。皆うそばかりついていやがる、わしはな、これで時々考えてみるのだよ。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
あの時お前のお
父
(
とっ
)
さんは、お前の
遣場
(
やりば
)
に困って、
阿母
(
おっか
)
さんへの
面
(
つら
)
あてに川へでも棄ててしまおうかと思ったくらいだったと云う話だよ。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
虫も殺さねえような、あんな
面
(
つら
)
をしているが、いざとなったらどんなに
暴
(
あば
)
れて、そのうえ、物の見事にずらかるかも知れねえのだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
私の横ッ
面
(
つら
)
へ喰い切った肉をパッと吹っかけて「悪魔」とか何とか悪態を
吐
(
つ
)
きやがったんで……
手前
(
てめえ
)
の悪魔は棚へ上げやがってね。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
己の思うには当分は自分の差料にするより外に仕様がねえ、そこでその
侍
(
さむれえ
)
の
形
(
なり
)
恰好は己が知ってるが、安さん
面
(
つら
)
ア知ってるだろうな
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ぼくは、しばしポカンとしていましたが、
堪
(
た
)
え切れなくなると、「そうですか」と一言。泣きッ
面
(
つら
)
をみられないようにまた暗い甲板に。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
お雪さん、捨てられたの何のって
泣
(
なき
)
っ
面
(
つら
)
をしながら、
敵
(
かたき
)
を討って下さいなんて、飛んでもないところへ泣きつくなんぞは、女の
面汚
(
つらよご
)
し。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
兄弟
(
きょうでえ
)
、あれを聞いたか? うん、確かにあの男は何もかもみんな知ってたんだぞ。奴の
面
(
つら
)
を見ろ。ちゃんとあそこに
書
(
け
)
えてあるぜ。」
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
「何だツ、そのふくれつ
面
(
つら
)
は、世間の事は何も知らねえくせに、いまから男遊びしやがつて……。昨夜は、何処へ泊つたンだよ?」
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
人樣に
辛抱人
(
しんばうにん
)
と
譽
(
ほめ
)
たのが今となりては
面目
(
めんぼく
)
ない二階へなりと
往
(
い
)
きくされ
面
(
つら
)
を
見
(
みる
)
のも
忌々
(
いま/\
)
しいと口では言ど心では何か
容子
(
ようす
)
の有事やと手を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
が、治まらないのは馬子先生である。法外な賃金を
強請
(
ゆす
)
って
頑
(
がん
)
として動かぬ。欲張りの田舎者ほど
面
(
つら
)
憎いものはない。将軍忽ち
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
どうでえ、
手前
(
てめえ
)
できのいい女郎に、子供を生ませて——とこう眺めていると、鼻は
獅子
(
しし
)
鼻、歯は
乱杭
(
らんぐい
)
、親の因果が、子に報いって
面
(
つら
)
だなあ
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
梶原の実検を見込む様子「
面
(
つら
)
あ上げろ」のせつなき工合、共に得心がゆきたり。「貧乏ゆるぎも」のせりふ廻しは大時代にて立派なりき。
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
みんなの寝ぼけっ
面
(
つら
)
や、あきあきするような長話が、見えも聞えもしない所へ行って、きれいさっぱりみんなのことが忘れてしまえたら。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
まるで知らねえ
面
(
つら
)
じゃァねえんだ、おや
今日
(
こんち
)
は、とか、まァお揃いでどちらへ、とか、うそにもその位なことをいうのが至当じゃァねえか。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
昔は
面
(
つら
)
あかりといって長い二間もある柄のついたものを、役者の顔前に差出して芝居を見せたもので、なかなか趣きがあった。
亡び行く江戸趣味
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
「あんなひねくれた意地わるじじいは初めてだ」喜兵衛は唇を片方へぐっと曲げた、「あんなじじいを親に持った
伜
(
せがれ
)
の
面
(
つら
)
が見たいくらいだ」
霜柱
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「打捨って置けませんとも……。そのうちに
他
(
よそ
)
から手でも着けられた日にゃあ、親分ばかりじゃねえ、この湯屋熊の
面
(
つら
)
が立ちませんからね」
半七捕物帳:04 湯屋の二階
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それはレッグズの意見によれば、とりわけ大酒呑みの阿呆らしいその男の
面
(
つら
)
つきから考えると、至極必要な用心なのだそうだ。
ペスト王:寓意を含める物語
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
上げて。……渋めっ
面
(
つら
)
をして。くしゃみをして。おほほ、くしゃみだけはうまくゆかないものね。さあこちらにいらっしゃい。
掠奪せられたる男
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「では其間に一つ私の
面
(
つら
)
の皮の厚さ……と云ふよりは額の骨の固さをお目にかけませう。ビール罎を一つ持つて来て下さい。」
手品師
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
彼女は
顰
(
しか
)
め
面
(
つら
)
をして鼻を鳴らし始めた。明るい陽差しが、軒に出された
風露草
(
グラニヤ
)
の植木鉢に、恵み多い光りの
箭
(
や
)
をそそいでいた。
橋
(新字新仮名)
/
池谷信三郎
(著)
面
(
つら
)
あてにでもその
女
(
ひと
)
を村一番の美人だなんて言ひ出さないにも限らないわ! でも、そんなことはないわ、
彼
(
あのひと
)
はあたしを愛してるんだから。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:02 降誕祭の前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
胆潰
(
きもつぶ
)
れたれど心を
鎮
(
しず
)
め静かにあたりを
見廻
(
みまわ
)
すに、流し
元
(
もと
)
の水口の穴より狐のごとき物あり、
面
(
つら
)
をさし入れて
頻
(
しきり
)
に死人の方を見つめていたり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「しかもその連隊ときたら!」と、副署長は署長にうまくくすぐられたので大恐悦のくせに、まだふくれ
面
(
つら
)
をしながら叫んだ。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「三八七番、この
真紅
(
まつか
)
な
面
(
つら
)
は何だ。」「それは私の顔で御座います。」「何で描いた。」「水蜜桃の腐れたので描きました。」
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
四月も江戸に滞在して、いろいろな人にも交際して見るうちに、彼はこの想像がごく
表
(
うわ
)
ッ
面
(
つら
)
なものでしかなかったことを知るようになった。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
私は
脹
(
ふく
)
れ
面
(
つら
)
をして容易に
起
(
た
)
たない。すると、
最終
(
しまい
)
には渋々会いはするが、後で金を
持
(
もっ
)
てかれたといって、三日も
沸々
(
ぶつぶつ
)
言ってる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「場合によっては
何
(
ど
)
うでもする。行く必要があるなら行くから、機嫌を好くしてくれ。銀行から帰って、ふくれっ
面
(
つら
)
をされると面白くない」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「おれだってどなりたくはないさ、だが……ああ女がでた、あれはなんとかいう女なんだね、どうだ、
毛唐
(
けとう
)
の
面
(
つら
)
はみんなさるに似ているね」
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
主人にあてつけるに
手数
(
てすう
)
は掛らない、ちょっと八っちゃんに
剣突
(
けんつく
)
を食わせれば何の苦もなく、主人の
横
(
よこ
)
っ
面
(
つら
)
を張った訳になる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ピカピカ光るお
腹
(
なか
)
や、澄ました
面
(
つら
)
した自動車を見ると、藤一郎の胸にはふんわりと訳のわからぬ感情が浮き上るのであった。
少年
(新字旧仮名)
/
原民喜
(著)
酸
(
サワ
)
も
甘味
(
スウィイト
)
も
舐
(
な
)
めつくしたと言ったような、一種の当りのいい人なつこさが溢れ、そしてその黒い細い眼の底に、
若
(
わけ
)
えの、ついぞ見ねえ
面
(
つら
)
だが
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「誰がいうものか。死んでもいわねえ。しかし日本国中の人間どもが
泣
(
な
)
き
面
(
つら
)
をすることは確かだ。もうとめてもとまらぬぞ。ざまアみやがれ」
地中魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
もしか兵隊さんの大きな
面
(
つら
)
が窓越しに
覗
(
のぞ
)
きでもしようものなら、
皆
(
みんな
)
は
護謨毬
(
ごむまり
)
のやうに一度に腰掛から
飛上
(
とびあが
)
つたかも知れない。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
棒杭
(
ぼうくい
)
のように突ッ立っていやがる! 『おれは三番目の人間だよ』などというような
面
(
つら
)
をして、そばに立って見ているのは
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「ヘヘヘヘヘ、
怖
(
こわ
)
い顔をして
睨
(
にら
)
みつけたね。だが、今にそいつが泣きっ
面
(
つら
)
に変るんだ。その時になって後悔しないがいいぜ」
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“面”の意味
《名詞》
(め↗ん)表情を隠す、頭部を守るなどの目的で顔を覆うもの。
(め↘ん 語義1より)剣道、槍道、短剣道、なぎなたにおける技。面打ち。
(め↘ん)平面。物体の表面。厚さのない二次元の広がり。
(め↘ん)ページ。
(つ↗ら↘ 俗語)
(出典:Wiktionary)
面
常用漢字
小3
部首:⾯
9画
“面”を含む語句
表面
面貌
面紗
正面
地面
面白
外面
前面
上面
真正面
面色
横面
海面
面帕
水面
渋面
面相
川面
強面
側面
...