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ふりがな文庫
“
金子
(
きんす
)” の例文
中津川の商人
万屋安兵衛
(
よろずややすべえ
)
と
大和屋李助
(
やまとやりすけ
)
の両人をこの稲葉屋へ呼び出し、
金子
(
きんす
)
二百両の無心のあったことを語り出すのも勝重の父親だ。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お礼とあって、大枚の
金子
(
きんす
)
までいただき、源三郎と萩乃様が帰って来るちょっと前に、父六兵衛の家へと、
鄭重
(
ていちょう
)
に送りかえされた。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
無心に来られるたんびに、「そうそうは
己
(
おれ
)
だって困るよ」とか何とかいいながら、いつか
入用
(
いりよう
)
だけの
金子
(
きんす
)
は手文庫から取出されていた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「これは重大なんだ。半片の菓子パンの様に重大なんですよ。菓子パンのように
金子
(
きんす
)
もかかるし、不消化だし、それに損害を与えるしね」
見えざる人
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
朝廷へも同じ縁起の品物をと、翌日からセッセと狩をして、雁と鶴をしこたま捕って、
金子
(
きんす
)
に添えてミヤゲにもたせて帰らせた。
織田信長
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
ことに
金子
(
きんす
)
だけならばとにかく、銀杏加藤家の系図そのものを盗み出したということが、疑念を一層濃くしているのであります。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
殺し
金子
(
きんす
)
五百兩
奪
(
うば
)
ひ取其
後
(
のち
)
猶
(
なほ
)
又
同所
(
どうしよ
)
にて三五郎をも
殺害
(
せつがひ
)
致し候段
重々
(
ぢう/\
)
不屆至極
(
ふとゞきしごく
)
に付
町中
(
まちぢう
)
引廻
(
ひきまは
)
しの
上
(
うへ
)
千住小塚原に於て
獄門
(
ごくもん
)
に
行
(
おこ
)
なふ
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
なにをいいふくめられたか、
蛾次郎
(
がじろう
)
は、
卜斎
(
ぼくさい
)
から、
銀鋲
(
ぎんびょう
)
のスペイン
短銃
(
たんじゅう
)
と一
両
(
りょう
)
ほどの
金子
(
きんす
)
をもらって、すっかり仕事をのみこんでしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これより悪行面白く、辻斬りして
金子
(
きんす
)
を奪いぬ。その頃鎌倉河岸に風呂屋と称するもの十軒あり。
湯女
(
ゆな
)
に似て色を売りぬ。
三甚内
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
何でも二十両の
金子
(
きんす
)
を拙者が盗んだに相違ないと疑われて見れば棄て
置
(
おか
)
れんで、荷物を検めさしたから
斯様
(
かよう
)
に成ったので、
何卒
(
どうぞ
)
手を引いて下さい
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
仲平が大阪へ修行に出て
篠崎小竹
(
しのざきしょうちく
)
の塾に通っていたときに死んだのである。仲平は二十一の春、
金子
(
きんす
)
十両を父の手から受け取って清武村を立った。
安井夫人
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「本当だとも、あと二ヶ所だ。……それが全部済んだら、きっと呑ましてもやるし、今云った
金子
(
きんす
)
も呉れてやる。……」
雷
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あなたを大のご
贔屓
(
ひいき
)
の、中坂下のお娘ごのお達引で、
金子
(
きんす
)
、
珊瑚
(
さんご
)
の
釵
(
かんざし
)
の、ご心配はもうなくなりましたと申したのは、実は中洲、月村様のお
厚情
(
こころざし
)
。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あるいは
金子
(
きんす
)
の入用を申
遣
(
や
)
り、またあるいはその郷里の友人に向ってその消息を通ぜざるを責め、その来信を促したり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「和尚様、ほんの
聊
(
いさゝ
)
かではござりまするが、こゝに
金子
(
きんす
)
が五百両ござりまするから、今度の三門の御
建立
(
こんりふ
)
へ是非お加へおき下されまするやうに。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「それは困った、拙者いま急用で先を急ぐのだ、幸い
金子
(
きんす
)
を二十両持っているが、これをやるから勘弁してくれぬか」
だだら団兵衛
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
五十両の
金子
(
きんす
)
を盗み出しました男をその振舞から即座に御見出しになりました時などは、ほんとうに江戸中の大評判となりましたものでございます。
殺された天一坊
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
袋だたきに
逢
(
あ
)
わされまいものでもないから——
金子
(
きんす
)
だけを送ってやることに初めから心には定めていたので、すぐ吉弥
宛
(
あ
)
てで電報がわせをふり出した。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
しかし自分のは女を買わんがための金であり、吉三郎のは聖なる人の誕生を祝し、それを記念せんためのひめやかな集まりを飾ろうとしての
金子
(
きんす
)
である。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
それが
厭
(
いや
)
なら、用立てた
金子
(
きんす
)
百五十両、三年間の利に利が積んで、六百五十両になる、今ここで返して貰おうか
銭形平次捕物控:065 結納の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
かくして安永の頃ついに茶碗蒐集に焦慮した雲州
不昧
(
ふまい
)
公の手に入った。当時支払われた
金子
(
きんす
)
五百五十両である。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
もっとも
平生
(
へいぜい
)
は往々士官の身にあるまじき所行も内々
有之
(
これあり
)
、陣中ながら身分不相応の
金子
(
きんす
)
を
貯
(
たくわ
)
え居申し候。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
彼にはおぼろながら、その
金子
(
きんす
)
の意味が解ったような気がした。何か慌ただしい気持が腹の中で燃えた。
自殺を買う話
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
病院を経営なさる御都合上、幾らか
相場
(
そうば
)
にも関係なさったらしく、或時好条件の株があるが買ったらと、
頻
(
しき
)
りにお勧めになるので、
金子
(
きんす
)
をお預けしたのだそうです。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
キット
仇
(
かたき
)
を取って進ぜまするという手紙を添えて、大枚の
金子
(
きんす
)
を病身の兄御にことづけた……という事が又、もっぱらの大評判になりましたそうで……まことに早や
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「名案——と、申すほどでは、ござりませぬが、
失敗
(
しくじ
)
っても、御当家の迷惑にならず、行くのは目付役として、拙者一人でよろしく、ただ、
金子
(
きんす
)
が、少々かかります」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
誰
(
だれ
)
もそなたを疑ってはいない。そなたばかりでなく、自分らも皆、その日暮しのあさましい貧者ながら、時に
依
(
よ
)
って懐中に、一両くらいの
金子
(
きんす
)
は持っている事もあるさ。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「へいへい。
御意
(
ぎょい
)
の通りでございます。手元の
金子
(
きんす
)
は、すべて、
只今
(
ただいま
)
ご用立致しております」
とっこべとら子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
是非
(
ぜひ
)
今月の末までに三百円の
金子
(
きんす
)
を返済しろ、返済が出来なければ訴えると厳重の談判です。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
選りに選ってそのようなところへ泊り合わせた金兵衛は真っ青になって、その娘さんの回向料にと持ち合わせの
金子
(
きんす
)
を与えると、夜明けを待ち兼ねてそこそこに逃げだしてしまう。
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
四ヶ月以前、ウラスマルは、本国に唯だ一人残されてゐた母親を、横浜へ呼び寄せようとして、自分の
儲
(
まう
)
けた可成り大きい
金子
(
きんす
)
を故郷へと送つたのであつた。母は直ぐ旅に立つた。
アリア人の孤独
(新字旧仮名)
/
松永延造
(著)
すると甚内の申しますには、あの男の力に及ぶ事なら、二十年以前の恩返しに、北条屋の危急を救ってやりたい、
差当
(
さしあた
)
り
入用
(
いりよう
)
の
金子
(
きんす
)
の高は、どのくらいだと尋ねるのでございます。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お礼の意味の
金子
(
きんす
)
を幸吉へというて出されては、その処置に困ったのでありました。
幕末維新懐古談:17 猫と鼠のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
さては最前風呂より上り、居眠り致候節見抜かれしと思ひ、昨夜の
顛末
(
てんまつ
)
委
(
くわ
)
しく語りきかせ、実はこれよりその屋敷を尋ね、
金子
(
きんす
)
を返却致したき
趣
(
おもむき
)
申聞かせ候へども、得念一向承知せず。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そうなってからでもそれで生計を立てたのではなく月々
道修町
(
どしょうまち
)
の本家から仕送る
金子
(
きんす
)
の方が
比較
(
ひかく
)
にならぬほど多額だったのであるが、彼女の
驕奢
(
きょうしゃ
)
と
贅沢
(
ぜいたく
)
とはそれでも支えきれなかった。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
最初は小説の原稿を見てもらうために、先生として逢い、同時に、原稿を
金子
(
きんす
)
に代えることも頼んだのだ。その人の友達が一葉の友でもあったので、二人を紹介したのがはじめだった。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
先頃
(
さきごろ
)
よりの礼厚く
演
(
のべ
)
て子爵より礼の
餽
(
おく
)
り物数々、
金子
(
きんす
)
二百円、代筆ならぬ謝状、お辰が手紙を
置列
(
おきなら
)
べてひたすら低頭平身すれば珠運少しむっとなり、
文
(
ふみ
)
丈
(
だ
)
ケ受取りて其他には手も
付
(
つけ
)
ず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
貧小士族の衣食住その
艱難
(
かんなん
)
の中に、母の精神を
以
(
もっ
)
て
自
(
おのず
)
から私共を感化した事の数々あるその一例を申せば、私が十三、四歳のとき母に
云付
(
いいつ
)
けられて
金子
(
きんす
)
返済の
使
(
つかい
)
をしたことがあります。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
去り東京に上り来たるが当時築地に支那人の開ける博奕宿あり金起は日頃
嗜
(
たしな
)
める道とて
直
(
ただち
)
に其宿に入込みしも運悪くして僅に残れる
金子
(
きんす
)
さえ忽ち失い尽したれば如何に相談せしか金起は妾を
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「ふむ、
金子
(
きんす
)
が少々足りないようだ。それに、拙者の
小袖
(
こそで
)
も見当らない」
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
なまじっかな見舞金や
香奠
(
こうでん
)
の
金子
(
きんす
)
百円とか、
葡萄酒
(
ぶどうしゅ
)
三本位を片足代とか何んとかいって番頭長八が持参したりしては、全く仏壇からぬっと青い片足を出して気絶でもさせてやりたくなりはしないか。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
貴樣達の
小才覺
(
こざいかく
)
で、燃える火を消さうとするのは、あれ、あの庭の燒石に如雨露の水をそゝぐやうなものだ。止せ、よせ。時に三左衞門、すこしく
金子
(
きんす
)
入用だが、
知行所
(
ちぎやうしよ
)
から取り立つる工夫はないか。
箕輪の心中
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
……遠島船のホマチといって、
島流人
(
しまるにん
)
の親兄弟にたのまれて、米味噌やら
金子
(
きんす
)
やら、御船手役人の眼を盗んでそっと島々の囚人におくりとどけ、また御法度の文づかいをして双方から莫大な礼をとる。
顎十郎捕物帳:13 遠島船
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
和宮様
(
かずのみやさま
)
の御通行前に、伊那助郷総代へ約束した手当ての
金子
(
きんす
)
も、追って尾州藩から下付せらるるはずであることなぞを父に告げた。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「殿……。先程の娘に、おことばの
金子
(
きんす
)
とらせましたところ、欣ばしげに、唯今、あちらにて遠くお姿を拝んで帰りました」
大谷刑部
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
昨夜、六所明神の社前で、宇津木兵馬に誓っておいただけの
金子
(
きんす
)
を、この貯えのうちから引き出しに来たものと思えば間違いはありますまい。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
四十
文
(
もん
)
にて
買
(
かひ
)
炮烙
(
はうろく
)
にて是を
煎
(
いり
)
金紙
(
きんがみ
)
に包み
鄭重
(
たいそう
)
らしくしてお
常
(
つね
)
に密と
渡
(
わた
)
しければお常は
喜
(
よろこ
)
び
金子
(
きんす
)
を玄柳に
遣
(
つかは
)
しお
熊
(
くま
)
倶々
(
とも/″\
)
厚
(
あつ
)
く禮を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
半「誠に親孝行な事だ、器量と云い姿と云い申分がないから、お前さんの
入用
(
いりよう
)
だけの
金子
(
きんす
)
を上げますが、親類が得心でなければ証文は出来ません」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
なんらかの形で近く御治世に変革があるものと観なければならないが、そうなった暁先立つものは商法の
金子
(
きんす
)
であろう。
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
話
(
はなし
)
は
別
(
べつ
)
にある……
色仕掛
(
いろじかけ
)
で、あはれな
娘
(
むすめ
)
の
身
(
み
)
の
皮
(
かは
)
を
剥
(
は
)
いだ
元二
(
げんじ
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
、
其
(
そ
)
の
袷
(
あはせ
)
に一
枚
(
まい
)
づゝ
帶
(
おび
)
を
添
(
そ
)
へて
質入
(
しちい
)
れにして、
手
(
て
)
に
握
(
にぎ
)
つた
金子
(
きんす
)
一
歩
(
ぶ
)
としてある。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
金
常用漢字
小1
部首:⾦
8画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“金子”で始まる語句
金子堅太郎
金子屋
金子元臣
金子紫草
金子重輔
金子御用達