トップ
>
自
>
おのずか
ふりがな文庫
“
自
(
おのずか
)” の例文
元義に万葉の講義を請ひしに元義は
人丸
(
ひとまろ
)
の
太子
(
たいし
)
追悼の長歌を幾度も朗詠して、歌は幾度も読めば
自
(
おのずか
)
ら分るものなり、といひきといふ。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
しかしわれわれは人の家を
訪
(
と
)
うた時、座敷の
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
にその家伝来の書画を見れば何となく
奥床
(
おくゆか
)
しく
自
(
おのずか
)
ら主人に対して敬意を深くする。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
『町人とは申せ、許しがたい。きっと、首謀者があろう。こういう時には、そいつらを五六名引っ
縛
(
くく
)
ってしまえば
自
(
おのずか
)
ら鎮まるものだ』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
斯く云わば此記録の何たるやは
自
(
おのずか
)
ら明かならん、
個
(
こ
)
は罪人を探り之を追い之と闘い之に勝ち之に敗られなどしたる探偵の実話の一なり。
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
それがまた
自
(
おのずか
)
らな
円
(
まる
)
みを暖く抱いて、眼のとどかない上の方から、眼の先の寝床の上まで、大きな
鍾乳石
(
しょうにゅうせき
)
のように垂れ下っている。
女体
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
自
(
おのずか
)
ら南は人口も多く、町々も多くまた
繁昌
(
はんじょう
)
を
来
(
きた
)
しました。しかしどういうものか、それに比べ手仕事が特に
豊
(
ゆたか
)
だとは申されません。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
そうやないねん、僕の云うのんは、ああ云う風な引っ込み思案の、電話も満足によう懸けんような女性にも亦
自
(
おのずか
)
らなるよさがある。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「
詭弁
(
きべん
)
だ!」と卜伝は刎ね返した。「それら諸侯は乱世の華、また戦は自衛の道、私利私慾とは
自
(
おのずか
)
ら
異
(
ちが
)
う! 何を云うか、人非人奴!」
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
隣邦の人よ、しばし待て、
汝
(
なんじ
)
に無礼するものは
自
(
おのずか
)
ら亡ぶというので、このことを無遠慮に詠じている。我輩はこれを読んで非常に驚いた。
真の愛国心
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
八畳敷の座敷を我が居室と定めてその中に悠々自適するの覚悟があればその人は
自
(
おのずか
)
ら幸福を感じ得られますが八畳では狭い十畳にしたい
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
成算
自
(
おのずか
)
ら胸に在るものと見えて、強敵勝家を前にして、そのまま他の戦場に馳せ向ったわけである。つまり誘いの隙を見せたわけである。
賤ヶ岳合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
もしある国において、二、三年まとめての埋葬の記録簿を手に入れ得るならば、
疫病
(
ペスト
)
や致命的伝染病は常に
自
(
おのずか
)
らわかるであろう。
人口論:02 第二篇 近代ヨオロッパ諸国における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
これでもまだ抽象的でよくお分りにならないかも知れませんが、もう少し進めば私の意味は
自
(
おのずか
)
ら
明暸
(
めいりょう
)
になるだろうと信じます。
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それわが国
古
(
いにしえ
)
より教あり、天然の教という。その法、人をして
自
(
おのずか
)
ら
本然
(
ほんぜん
)
の性に
復
(
かえ
)
らしむるものにして、すなわち誠心の一なり。
教門論疑問
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
しかもぐずり御免のその御手形が、先の征夷大将軍家光公、お自ら認めて与えたお墨付たるに於ては、
事
(
こと
)
自
(
おのずか
)
ら痛快事たるを免れないのです。
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
佐世も心にかかり候。来原、中村余り周布風を学び大人振り、後進を導くこと
能
(
あた
)
わざるが
患
(
うれい
)
なり。中谷は
自
(
おのずか
)
ら妙、山口にて一世界をなせかし。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
大王の
一言
(
いちごん
)
もって動かすべからず、実に私はこの一言を得て心の底から悦びその歓喜の情は
自
(
おのずか
)
ら満面に溢れたかと思います。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
けれども、作者の愛着は、また
自
(
おのずか
)
ら別のものらしく、私は時折、その甘ったるい創作集を、こっそり机上に開いて読んでいる事もあるのである。
ろまん灯籠
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それに横わると、
殆
(
ほとん
)
どすべての抵抗がとれて、肉体の
疵
(
きず
)
も魂の
疼
(
うずき
)
も
自
(
おのずか
)
ら少しずつ
医
(
いや
)
されてゆく椅子——そのような椅子を彼は夢想するのだった。
苦しく美しき夏
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
技術があるところまで練達しますと、技巧が
自
(
おのずか
)
ら精神的になって来る。従って図らずも思いがけない結果を
顕
(
あら
)
わして来る。
習書要訣:――美の認識について――
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
男たちに言いつけて、畳にしがみつき、柱にかき
縋
(
すが
)
る
古婆
(
ふるばば
)
を
掴
(
つか
)
み出させた。そうした威高さは、さすがに
自
(
おのずか
)
ら備っていた。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
そこに安心の
臍
(
ほぞ
)
を定めるという世にいわゆる学者、宗教家達とは
自
(
おのずか
)
らその信仰状態を異にする気の毒さはいう迄もない。
おばけずきのいわれ少々と処女作
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すなわち彼の
艱難
(
なやみ
)
はその極に達したのである。ために洪水の如き悲痛が彼の心を満たすに至り、それが
自
(
おのずか
)
ら発して第三章の哀語となったのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
この稚志の句は武蔵野の如き平野の光景であるかどうか、それはわからないが、
自
(
おのずか
)
らその間に趣の相通ずるものがある。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
自
(
おのずか
)
ら興味を惹かれる時、既に昔に起っている事実を持ち来って、現代のその事件に
当篏
(
あては
)
めようとする所に、歴史小説の面白さがあるのだと云えよう。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
家を離るるときはその教則、風習
佳
(
か
)
なるの地といえども、擾乱誘惑の害なき
能
(
あた
)
わず。かつ良師良友といえども、その情その父母の訓育とは
自
(
おのずか
)
ら
径庭
(
けいてい
)
あり。
教育談
(新字新仮名)
/
箕作秋坪
(著)
「二十二貫あるそうですよ。立派でしょう?
何
(
ど
)
う見たって、社長は矢っ張り社長です。
自
(
おのずか
)
ら
器
(
うつわ
)
が備っています」
冠婚葬祭博士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
迷惑は
匿
(
かく
)
しても匿し切れない、
自
(
おのずか
)
ら
顔色
(
がんしょく
)
に現われている。モジ付く文三の
光景
(
ようす
)
を視て昇は早くもそれと悟ッたか
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ただし後に至って、価値尺度財である商品の生産費は、自由競争の制度の下においては、
自
(
おのずか
)
ら1に等しくなろうとするものであることを示す機会があろう。
純粋経済学要論:01 上巻
(新字新仮名)
/
マリー・エスプリ・レオン・ワルラス
(著)
私は
此
(
ここ
)
からして
自
(
おのずか
)
ら真実在というものが如何にして我々に求められるかという哲学的方法が出て来ると思う。
デカルト哲学について
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
目読
(
もくどく
)
の興を以て耳聞の
楽
(
たのしみ
)
に換ゆ、然り而して親しく談話を聞くと坐ら筆記を読むと、
自
(
おのずか
)
ら写真を見ると実物に対するの違い有れば
稍
(
やゝ
)
隔靴掻痒
(
かっかそうよう
)
の
憾
(
かん
)
無きにあらず
松の操美人の生埋:01 序
(新字新仮名)
/
宇田川文海
(著)
がそれよりも私の驚いたのは可愛い顔をしているくせに少年の
口吻
(
くちぶり
)
がなんとなく、一家の見識を備えて、威厳
自
(
おのずか
)
ら備わるあるものを
迸
(
ほとばし
)
らせていることであった。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
枝葉の事を
弥聒
(
やかま
)
しくいわれるよりは、
忌
(
いま
)
わしい離婚沙汰などを
出
(
いだ
)
さぬように今の教育を根本から改めて、
自
(
おのずか
)
ら夫婦相和して行かれる完全な人格を作る事を心掛け
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
しかし養父のその考えが、段々
分明
(
はっきり
)
して来たとき、お島の心は、
自
(
おのずか
)
ら生みの親の家の方へ
嚮
(
む
)
いていった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
と茶を
喫
(
の
)
みながら
四方山
(
よもやま
)
の話を致して居りますも、
自
(
おのずか
)
ら経済法が正しく、倹約の道に
適
(
かな
)
って居りまする。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
秀才は自分で
長山
(
ちょうざん
)
の張という者であるといった。秀才はその時詩を作って贈別してくれた。その詩の中に、「花有り酒有り春
常
(
つね
)
に在り。月無し
燈
(
ひ
)
無し夜
自
(
おのずか
)
ら明らか」
考城隍
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
大将「いいや、今わしは神のみ力を受けて新らしい体操を発明したじゃ。それは名づけて生産体操となすべきじゃ。従来の不生産式体操と
自
(
おのずか
)
ら
撰
(
せん
)
を異にするじゃ。」
饑餓陣営:一幕
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
使ってないから
蛔虫
(
かいちゅう
)
の憂いがない。第三に君は八百屋に行く手数がはぶけたじゃないか。理由が三つもあれば、値段も
自
(
おのずか
)
ら三倍ぐらいになるのは当然じゃなかろうか
ボロ家の春秋
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
この知的な、論理的な、或は哲学的な物の考え方が、形の美しさに溺れる人とは
自
(
おのずか
)
ら差異のあるべきで、甘美のものをしばしば犠牲にすることがないとは言えない。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
汗出でて厚く着重ねたる木綿
衣
(
ぎもの
)
は汗にて流るるが如きに至るを以て、
自
(
おのずか
)
ら臭気を発して、一種の不快を覚ゆると其
苦
(
くるし
)
さとにて、
一日
(
いちじつ
)
には僅に三四時間の労働に当るのみ。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
『
倭名鈔
(
わみょうしょう
)
』の
海髑子
(
かいとくし
)
の条などは、明らかに書巻の知識であって、もし酒中に毒あるときは、
自
(
おのずか
)
ら割れ砕けて人を警戒するとあり、まだどういう
樹
(
き
)
の果実なりとも知らず
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
イヤ決して金持ではない、マア幾らか日本の政府の用をして居る、用をして居れば
自
(
おのずか
)
らその報酬と
云
(
い
)
うものがあるから衣食の道に
差支
(
さしつかえ
)
はないものだと、
斯
(
こ
)
う私は答えた。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
Aの問題は
自
(
おのずか
)
ら友人である私の態度を要求しました。私は当初彼を冷そうとさえ思いました。少くとも私が彼の心を熱しさせてゆく存在であることを避けようと努めました。
橡の花
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
自
(
おのずか
)
らジーンとさしぐまれてくるものがあった。
修羅場
(
ひらば
)
の真似をして石の狐の片耳落としたあの少年の日ののどけさが、ゆくりなくもいまここにうれしく蘇ってきたのだった。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
俳句は言葉が極端に短いばかりでなく、季題という重大な性質を持っているから、これに盛る内容には
自
(
おのずか
)
ら限界がある。何を好んで俳句に難きを求めようとするのであろうか。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
僕は批評と云わず、
作
(
さく
)
と云わず、セルフのないものは
充
(
つま
)
らないと思う。
只
(
ただ
)
単に
旨
(
うま
)
いと思って読むものと、心の底から感動させられるものとは
自
(
おのずか
)
らそこに非常な相違があると思う。
動く絵と新しき夢幻
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
これは園長の身体を
搬
(
はこ
)
んで行った経路を
自
(
おのずか
)
ら語っていることになりはしないであろうか。
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼は
自
(
おのずか
)
ら敵の目標となった。
角面堡
(
かくめんほう
)
の上から半身以上を乗り出していた。感情を奔放さした
吝嗇家
(
りんしょくか
)
ほど激しい浪費をなすものはなく、夢想家ほど実行において恐ろしいものはない。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
自
(
おのずか
)
ら若い女性達は、自分が若い娘であるという一つの有利な条件を、自分で知ってか知らずかそれを愛嬌として使って、何となしに物をせしめるというような結果にもなるわけです。
美しく豊な生活へ
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
しかしながら人の胸中の人物というものは、胸中の人物として別に
自
(
おのずか
)
ら成り立って居るものでありまして、胸中の人物であるから世に全く無いものであるという訳にはまいりません。
馬琴の小説とその当時の実社会
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
自
常用漢字
小2
部首:⾃
6画
“自”を含む語句
自分
自然
自動車
自由
各自
自家
自己
自身
自暴自棄
自白
自然生
自惚
自宅
不自由
乗合自動車
耳面刀自
自若
自然薯
自儘
自鳴鐘
...