トップ
>
確乎
>
しつかり
ふりがな文庫
“
確乎
(
しつかり
)” の例文
健は
例
(
いつも
)
の樣に
亭乎
(
すらり
)
とした體を少し
反身
(
そりみ
)
に、
確乎
(
しつかり
)
した歩調で歩いて、行き合ふ
兒女
(
こども
)
等の會釋に微笑みながらも、始終思慮深い目附をして
足跡
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「おとつゝあ、そんでもちつた
確乎
(
しつかり
)
してか」
勘次
(
かんじ
)
は
其
(
そ
)
の
尾
(
を
)
に
跟
(
つ
)
いて
聞
(
き
)
いた。ほつと
息
(
いき
)
をついたやうな
容子
(
ようす
)
は
勘次
(
かんじ
)
の
衷心
(
ちうしん
)
からの
悦
(
よろこ
)
びであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それよりも君が專門に修めたものでも
確乎
(
しつかり
)
とやつたが
何
(
ど
)
れ位國家を益するか知れやせぬ。二兎を追へば一兎をも得ずで兩方とも半噛りになつてしまふ。
貝殻追放:007 愚者の鼻息
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
お志保、
確乎
(
しつかり
)
して居てお呉れよ、
阿爺
(
おとつ
)
さんだつても物の解らない人では無し、お前と私の
心地
(
こゝろもち
)
が屈いたら
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
三次聞て大いに笑ひ何と云はるゝや長庵
老
(
らう
)
牢屋
(
らうや
)
の
苦
(
くる
)
しみにて眼も
暗
(
くら
)
みしや
確乎
(
しつかり
)
し給へ小手塚の三次なりと云ひければ何ぞ
牢内
(
らうない
)
の苦しみが
強
(
つよ
)
ければとて
知己
(
ちき
)
の人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
……
其
(
そ
)
の
憂慮
(
きづかひ
)
さに、——
懷中
(
ふところ
)
で、
確乎
(
しつかり
)
手
(
て
)
を
掛
(
か
)
けて
居
(
ゐ
)
ただけに、
御覽
(
ごらん
)
なさい。
何
(
なに
)
かに
氣
(
き
)
が
紛
(
まぎ
)
れて、ふと
心
(
こゝろ
)
をとられた
一寸
(
ちよいと
)
一分
(
いつぷん
)
の
間
(
ま
)
に、うつかり
遺失
(
おと
)
したぢやありませんか。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ツイ誘惑されぬとは限りませぬ、
尤
(
もつと
)
も警察が少こし
確乎
(
しつかり
)
して居りまするならば彼れ等程のものに別段心配も御座りませぬが、何分にも閣下が総理の御時代とは違ひまして
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「家でごすか、余程あれの為めに金のう
打遣
(
ぶつつか
)
つたでがすが
爺様
(
とつさま
)
まだ
確乎
(
しつかり
)
して御座らつしやるし、廿年前までは村一番の大尽だつたで、まだえらく
落魄
(
おちぶれ
)
ねえで暮して御座るだ」
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
三十にならぬ若い身空で、細君を
貰
(
もら
)
つてすつかり家に収まつたり、巧みに創作の調節を取つて、
確乎
(
しつかり
)
と文壇の地位を高めて行くと云つたやうな、さう云ふ
甲斐性
(
かひしやう
)
のある人間ぢやないんだ。
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
落ちた耳を拾つて居る奴があるものか、白痴め、汲んで来たか、関ふことは無い、一時に手桶の水
不残
(
みんな
)
面へ
打付
(
ぶつけ
)
ろ、此様野郎は脆く生るものだ、それ占めた、清吉ッ、
確乎
(
しつかり
)
しろ、意地の無へ
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
確乎
(
しつかり
)
しなはらんかいな。……今夜のお
娯
(
たのし
)
みで、心こゝにあらずや。」
兵隊の宿
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「これ、宮、
確乎
(
しつかり
)
しろよ」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
健は、
例
(
いつも
)
の様に
亭乎
(
すらり
)
とした体を少し
反身
(
そりみ
)
に、
確乎
(
しつかり
)
した
歩調
(
あしどり
)
で歩いて、行き合ふ
児女等
(
こどもら
)
の会釈に微笑みながらも、始終
思慮
(
かんがへ
)
深い眼付をして
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「お
品
(
しな
)
さん、おとつゝあ
來
(
き
)
たよ、
確乎
(
しつかり
)
しろよ」と
近所
(
きんじよ
)
の
女房
(
にようばう
)
がいつた。それを
聞
(
き
)
いてお
品
(
しな
)
は
暫時
(
しばし
)
靜
(
しづ
)
かに
成
(
な
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
叔父が聞いて駈付けた時は、まだ父は
確乎
(
しつかり
)
して居た。最後に
気息
(
いき
)
を引取つたのが昨夜の十時頃。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
あゝ、
然
(
さ
)
う
言
(
い
)
へば
前刻
(
さつき
)
から
人
(
ひと
)
にばかりものを
言
(
い
)
はせる。
確乎
(
しつかり
)
してくれ、お
浦
(
うら
)
、
何
(
ど
)
うしたんだ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「松島、実に困らせをるぞ、権兵衛に
少
(
す
)
こし
確乎
(
しつかり
)
せいと言うて呉れ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
けれど都とは違つて、造作は
確乎
(
しつかり
)
として居るし、天井は高く造られてあるから風の流通もおのづから好く、
只
(
たゞ
)
、馬小屋の蝿さへ此処まで押寄せて来なければ、中々居心の好い静かな
室
(
へや
)
であるのだが……
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「來年からやなア。……十三ぱつちり、十四はちよこ/\、十五の春から、ていふことがおますやないか。……坊んち
確乎
(
しつかり
)
しなはれ、お父つあんに負けなはるな。……お父つあんが嫁はん貰やはるんなら、わしにも貰ふとくれてなア。」
父の婚礼
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
宿の
内儀
(
かみさん
)
は既う四十位の、亡夫は道廳で
可也
(
かなり
)
な役を勤めた人といふだけに、品のある、氣の
確乎
(
しつかり
)
した、言葉に西國の訛りのある人であつた。
札幌
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
確乎
(
しつかり
)
しろえ、えゝから」
小柄
(
こがら
)
な
爺
(
ぢい
)
さんは
別
(
わか
)
れる
時
(
とき
)
復
(
また
)
呶鳴
(
どな
)
つた。
卯平
(
うへい
)
の
足
(
あし
)
もとは
稍
(
やゝ
)
力
(
ちから
)
づいて
見
(
み
)
えて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「
貴方
(
あなた
)
——
何
(
ど
)
うかして
居
(
ゐ
)
ますね。……
確乎
(
しつかり
)
なさらなくつちやあ
不可
(
いけな
)
いぢやあゝりませんか。」
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「ハヽヽヽ松島と篠田、こりや
必竟
(
ひつきやう
)
帝国主義と、社会主義との衝突ぢや、松島、
確乎
(
しつかり
)
せんとならんぞ」と侯爵は得意満面に松島を見やりつ「
然
(
し
)
かし松島、才色兼備の花嫁を周旋する以上は、チト品行を ...
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
宿の
内儀
(
かみさん
)
は
既
(
も
)
う四十位の、亡夫は道庁で
可也
(
かなり
)
な役を勤めた人といふだけに、品のある、気の
確乎
(
しつかり
)
した、言葉に西国の訛りのある人であつた。
札幌
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
仙人
(
せんにん
)
が、あの
廣
(
ひろ
)
い
袖
(
そで
)
の
中
(
なか
)
から、
眞紅
(
まつか
)
な、
粘々
(
ねば/\
)
した、
艷
(
つや
)
のある、
蛇
(
へび
)
の
鱗
(
うろこ
)
のやうな
編方
(
あみかた
)
した、
一條
(
ひとすぢ
)
の
紐
(
ひも
)
を
出
(
だ
)
して
絲
(
いと
)
ほどにも、
身
(
み
)
の
動
(
うご
)
きませんほど、
手足
(
てあし
)
を
其
(
そ
)
の
大木
(
たいぼく
)
に
確乎
(
しつかり
)
結
(
いは
)
へて、
綿
(
わた
)
の
丸
(
まる
)
けた
球
(
たま
)
を
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『みたいなナンテ……
確乎
(
しつかり
)
教へたつて好いぢやありませんか? 私は讀めるんぢやなし……。』
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
すかりと
斬
(
き
)
れるぞ。
残
(
のこ
)
らず
貸
(
か
)
すべい。
兵粮
(
へうらう
)
も
運
(
はこ
)
ぶだでの!
宿
(
やど
)
へも
祠
(
ほこら
)
へも
帰
(
かへ
)
らねえで、
此処
(
こゝ
)
へ
確乎
(
しつかり
)
胡座
(
あぐら
)
を
掻
(
か
)
けさ。
下腹
(
したはら
)
へうむと
力
(
ちから
)
を
入
(
い
)
れるだ。
雨露
(
あめつゆ
)
を
凌
(
しの
)
ぐなら、
私等
(
わしら
)
が
小屋
(
こや
)
がけをして
進
(
しん
)
ぜる。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『みたいなナンテ……
確乎
(
しつかり
)
教へたつて好いぢやありませんか? 私は読めるんぢやなし……。』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
恐
(
おそろ
)
しいよりも、
夢
(
ゆめ
)
と
知
(
し
)
れて
嬉
(
うれ
)
しさが
前
(
さき
)
に
立
(
た
)
つた。
暫時
(
しばらく
)
茫然
(
ばうぜん
)
として
居
(
ゐ
)
た。が、
膚脱
(
はだぬ
)
ぎに
成
(
な
)
つて
冷汗
(
ひやあせ
)
をしつとり
拭
(
ふ
)
いた。
其
(
そ
)
の
手拭
(
てぬぐひ
)
を
向
(
むか
)
う
顱卷
(
はちまき
)
、うんと
緊
(
し
)
めて
氣
(
き
)
を
確乎
(
しつかり
)
と
持直
(
もちなほ
)
して、すた/\と
歩行出
(
あるきだ
)
した。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
確乎
(
しつかり
)
した女だとも思ふ。
確固
(
しつかり
)
した、そして美しい女だけに、信吾は智惠子をして他の男——吉野を思はしめたくない。何といふ理由なしに。自分には智惠子に思はれる權利でもある樣に感じてゐる。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
確乎
(
しつかり
)
しろ。」
鑑定
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“確乎”の意味
《名詞》
確乎(かっこ 「確固」に「同音の漢字による書きかえ」がなされる)
しっかりして確かなこと。
(出典:Wiktionary)
確
常用漢字
小5
部首:⽯
15画
乎
漢検準1級
部首:⼃
5画
“確乎”で始まる語句
確乎不抜