“しつかり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
確乎51.1%
確固11.1%
確然6.7%
緊乎6.7%
毅然2.2%
厳乎2.2%
充分2.2%
凛乎2.2%
堅牢2.2%
夥多2.2%
尻労2.2%
強意2.2%
決然2.2%
澤山2.2%
鞏固2.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「おとつゝあ、そんでもちつた確乎しつかりしてか」勘次かんじいていた。ほつといきをついたやうな容子ようす勘次かんじ衷心ちうしんからのよろこびであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
然しね、そんな場合になつたからと云つても、自分の心さへ確固しつかりしてゐたら、また如何とかならうから、そしたら常々お前の言つてたやうに豪くなる時期ときが來んとも限らん。
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
徹夜よどほし三人で一斗五升飲んだといふ翌朝あくるあさでも、物言ひが舌蕩したたるく聞える許りで、挙動ものごしから歩き振りから、確然しつかりとしてゐた。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
貴郎あなたさまだ、其時丁度ちやうど十二三の坊様が、長い刀を持ち出しなされて、とつちやんの復讐かたきうちに行くと言ひなさる、其れを今の粟野あはのに御座る伯母御様が緊乎しつかり抱き留めておすかしなさる——イヤもう
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
『でも、左様ぢや御座ませんか——新平民だつて何だつて毅然しつかりした方の方が、彼様あんな口先ばかりの方よりは余程よつぽど好いぢや御座ませんか。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
時とすると、妙な眩暈心地めまひごゝちに成つて、ふら/\と雪の中へ倒れ懸りさうになる。『あゝ、馬鹿、馬鹿——もつと毅然しつかりしないか。』とは自分で自分を叱りはげます言葉であつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あア其れですかどころぢや有りませんよ、先生、貴郎あなた厳乎しつかりして下ださらねば、永阪教会も廿五年の御祝で死んで仕舞ひます
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
今まで何百ツて云ふい月給を頂いて居らつしやいましたのが、急に一文なしにおなりなすつたのですから、ほんとに御気の毒の様で御座いましたがネ、奥様が、貴郎あなた厳乎しつかりして
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
悦び合中遠山影とほやまかげに差のぼる月の明りにすかし見て然すれば此等の者共はと男女の死骸に當惑たうわくする色を見てとり九郎兵衞は其方そのはう兩人ふたりかねてよりのぞみの如く江戸へゆき充分しつかり金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
剛一はしかと抱きて声励ましつ「凛乎しつかりなさい——」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
窓も四角である。只四隅と入口が丸い。是はやぐら片取かたどつたんだらう。御城丈に堅牢しつかりしてゐる。法文科見た様に倒れさうでない。何だかせいひくい相撲取に似て居る。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「さうだつけかな、それでも唐箕たうみつよてたつもりなんだがなよ、今年ことしあか夥多しつかりだが磨臼するすかたもどういふもんだかわりいんだよ」とおしなすこうごかして分疏いひわけするやうにいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
自分は尻屋崎の燈台を見て後に、山を越えて尻労しつかりの昆布採る浦に泊まり、翌朝は姉弟二人の小童を案内に連れて、猿ヶ森という部落を見に行った。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
女性をんなの誰もまぬがれない愛情の潜んで居るのぢや無からうかと思ふんですよ——私などは斯様こんな軽卒がさつなもんですから、直ぐ挙動にあらはして仕舞しまひますがネ、貴嬢の様に強意しつかりした方は、自ら抑へるだけ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
兎も角も明日決然しつかりした返事をすると言つて置いて、も一人お末といふ娘にも勧めようかと言ふお八重の言葉には、お末の家が寡人ひとすくなだから勧めぬ方が可いと言ひ
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「そんぢや、今度こんだ澤山しつかりえびやな、ろくんもしねえで、おこられちやつまんねえな」土瓶どびんにしたばあさんはわらひながらいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そして先生様の後姿をお見上げ申すとネ、精神こゝろ鞏固しつかりして、かごを出た鳥とは、此のことであらうと飛び立つ様に思ひましたよ——
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)