“粟野”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あわの66.7%
あはの33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そのうちにふと振り返ると、校長の佐佐木ささき中将を始め、武官では藤田大佐だの、文官では粟野あわの教官だのは彼よりもうしろに歩いている。
文章 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
突然声をかけたのは首席教官の粟野あわのさんである。粟野さんは五十を越しているであろう。色の黒い、近眼鏡きんがんきょうをかけた、幾分いくぶん猫背ねこぜ紳士しんしである。
十円札 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
貴郎あなたさまだ、其時丁度ちやうど十二三の坊様が、長い刀を持ち出しなされて、とつちやんの復讐かたきうちに行くと言ひなさる、其れを今の粟野あはのに御座る伯母御様が緊乎しつかり抱き留めておすかしなさる——イヤもう
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
権作老人と立ち別れて篠田は、降り積む雪をギイ/\と鞋下あいかに踏みつゝ、我が伯母のひとり住む粟野あはのの谷へと急ぐ、氷の如き月は海の如きあをき空に浮びて、見渡す限り白銀しろがねを延べたるばかり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)