毅然しつかり)” の例文
『でも、左様ぢや御座ませんか——新平民だつて何だつて毅然しつかりした方の方が、彼様あんな口先ばかりの方よりは余程よつぽど好いぢや御座ませんか。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
時とすると、妙な眩暈心地めまひごゝちに成つて、ふら/\と雪の中へ倒れ懸りさうになる。『あゝ、馬鹿、馬鹿——もつと毅然しつかりしないか。』とは自分で自分を叱りはげます言葉であつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あゝ、辛抱、辛抱——出来ることを辛抱するのは辛抱でも何でも無い、出来ないところを辛抱するのが真実ほんたうの辛抱だ。行け、行け、心を毅然しつかり持て。奥様といふものも附いて居る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)