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緊乎
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しつかり
大降小降幾度か
雨に
濡れ、おまけに
地震にあつた、
裾短な
白絣の
赤くなるまで、
苦労によれ/\の
形で、
黒の
信玄袋を
緊乎と、
柄の
巌丈な
蝙蝠傘。
貴郎だ、其時
丁度十二三の坊様が、長い刀を持ち出しなされて、
父ちやんの
復讐に行くと言ひなさる、其れを今の
粟野に御座る伯母御様が
緊乎抱き留めておすかしなさる——イヤもう
と
緊乎と
手を
取る、と
急に
樣子が
變つて、
目をしばたゝいたのが、
田舍の
娘には、
十分愁が
利いたから、
惚拔いて
居る
男の
事、お
秋は
出來ぬ
中にも
考慮して