確固しつかり)” の例文
授業にも読書にもまだ相応に興味をつてる頃ではあり、何処どこか気性の確固しつかりした、判断力の勝つた女なので、日頃校長の無能が女ながらも歯痒はがゆい位。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
然しね、そんな場合になつたからと云つても、自分の心さへ確固しつかりしてゐたら、また如何とかならうから、そしたら常々お前の言つてたやうに豪くなる時期ときが來んとも限らん。
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
何處か氣性の確固しつかりした、判斷力の勝つた女なので、日頃校長の無能が女ながらも齒痒い位。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
確固しつかりした気立きだて、温かいこころ……かくまで自分に親くしてくれる人が、またと此世にあらうかと、悲しきお利代は夜更けて生活なりはひの為の裁縫をし乍らも、思はず智恵子の室に向いて手を合せる事がある。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
高が田舎の女教員だ! といふ軽侮が常に頭脳あたまにある。確固しつかりした女だとも思ふ。確固した、そして美しい女だけに、信吾は智恵子をして他の男——吉野を思はしめたくない。何といふ理由なしに。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
確固しつかりした氣立、温かい情……かくまで自分に親しくしてくれる人が、またと此世にあらうかと、悲しきお利代は夜更けて生活の爲の裁縫をし乍らも、思はず智惠子の室に向いて手を合せる事がある。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
確乎しつかりした女だとも思ふ。確固しつかりした、そして美しい女だけに、信吾は智惠子をして他の男——吉野を思はしめたくない。何といふ理由なしに。自分には智惠子に思はれる權利でもある樣に感じてゐる。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)