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気配
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けはい
ふりがな文庫
“
気配
(
けはい
)” の例文
旧字:
氣配
北見せん子の母親と入れ違ひになるかと思ひ、車を急がせたが、家の門口で、彼は遠藤と彼女とが何やら云ひ争つてゐる
気配
(
けはい
)
を感じた。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
太陽はぎらぎら輝きながら、
虚
(
むな
)
しい速度で回転していた。その大空の何処かを、鋭く風を切って、飛行機が近づいて来る
気配
(
けはい
)
があった。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
こちらへさやさやとつつましやかに
衣
(
きぬ
)
ずれの音を立てながら、大役に
脅
(
おび
)
えおののいているのに違いない菊路が導かれて来た
気配
(
けはい
)
でした。
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
小侍従は衛門督の手紙を
拡
(
ひろ
)
げた。ほかの女房たちが近づいて来た
気配
(
けはい
)
を聞いて、手でお
几帳
(
きちょう
)
を宮のおそばへ引き寄せて小侍従は去った。
源氏物語:35 若菜(下)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
そうして、
気配
(
けはい
)
をしのばせながら、足もとによりついてくる者があるのも知らないで、
呂宋兵衛
(
るそんべえ
)
はいぜんとして目をとじたままだった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
その時ふと、今朝何かそうそうと物の逃げ去るような
気配
(
けはい
)
に眼を覚したのだということが、彼の意識にちらと浮んでまた消えた。
囚われ
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
その後暫くあって、染井の
藤堂
(
とうどう
)
の屋敷と、
染井稲荷
(
そめいいなり
)
との間にある旗本の屋敷の、久しく明いていたのに人の
気配
(
けはい
)
がするようです。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そして、二人の顔に別に反抗の
気配
(
けはい
)
も見られなかったので、二人にそんなことをいった埋合せをするつもりで、さらにいった。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
この谷を
挾
(
はさ
)
んだ二つの山はまだ
暁暗
(
ぎょうあん
)
の中に
森閑
(
しんかん
)
とはしているが、そこここの
巌蔭
(
いわかげ
)
に何かのひそんでいるらしい
気配
(
けはい
)
がなんとなく感じられる。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「とうから」と聞きかえした時に父のほうから思わず乗り出した
気配
(
けはい
)
があったが、すぐとそれを引き締めるだけの用意は欠いていなかった。
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
同じように鼻も、やはり何事もなかったように、彼の顔に落着いて、他所へ逃げ出そうなどという
気配
(
けはい
)
は少しも見せなかった。
鼻
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
例の赤外線男が出て来そうな
気配
(
けはい
)
だったが、しかし
仄暗
(
ほのぐら
)
いながら電灯がついているから停電でもしない限り
先
(
ま
)
ず大丈夫だろう。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
出て行った
気配
(
けはい
)
もないが——思い切って、開けて
躍
(
おど
)
り出ようとして、壁辰は手を引っこめた。待てよ!——と思うのである。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
この
上
(
うえ
)
躊躇
(
ちょうちょ
)
していたら、
持
(
も
)
った
煙管
(
きせる
)
で、
頭
(
あたま
)
のひとつも
張
(
は
)
られまじき
気配
(
けはい
)
となっては、
藤吉
(
とうきち
)
も、
立
(
た
)
たない
訳
(
わけ
)
には
行
(
い
)
かなかった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
と、跡に残った一人が障子の外に
蹲
(
うずく
)
まった
気配
(
けはい
)
で、スルスルと障子が
開
(
あ
)
いたから、見ると、
彼女
(
あのおんな
)
だ、
彼女
(
あのおんな
)
に違いない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
それで一たんは静まつたやうではあつたが、その中にはかへつて不気味な
気配
(
けはい
)
が
潜
(
ひそ
)
まつてゐた。黒くかたまつた人達はその場を去らうとはしなかつた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
と女は一寸の間、
気配
(
けはい
)
を
覗
(
うかゞ
)
つた後で云つた。「お上から廻はされてこんな処に迄化けて這入りこんでゐるのよ。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
しかし、チーフメーツの室は固く
扉
(
とびら
)
に錠がおろされて、人の
気配
(
けはい
)
がしなかった。彼はサロンデッキを一回りした。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
継子の夫を持てばやはり違うのかと奉公人たちはかんたんにすかされて、お定の方へ眼を配るとお定もお光にだけは
邪険
(
じゃけん
)
にするような
気配
(
けはい
)
はないようだった。
蛍
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
私
(
わたくし
)
がそうした
無邪気
(
むじゃき
)
な
乙女心
(
おとめごころ
)
に
戻
(
もど
)
っている
最中
(
さいちゅう
)
でした、
不図
(
ふと
)
附近
(
あたり
)
に
人
(
ひと
)
の
気配
(
けはい
)
がするのに
気
(
き
)
がついて、
愕
(
おどろ
)
いて
振
(
ふ
)
り
返
(
かえ
)
って
見
(
み
)
ますと、一
本
(
ほん
)
の
満開
(
まんかい
)
の
山椿
(
やまつばき
)
の
木蔭
(
こかげ
)
に
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
何者かが忍んでいるかも知れないと、用心しながら奥へ入り込んだが、ただ一度、大きい鼠に驚かされただけで、鎮まり返った
空家
(
あきや
)
のうちには人の
気配
(
けはい
)
もなかった。
半七捕物帳:60 青山の仇討
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
人の
気配
(
けはい
)
もしない黙々たる死んだような人家に囲まれ、しだいに濃くなってゆく
夕闇
(
ゆうやみ
)
のうちに包まれ
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
忠太郎 (
気配
(
けはい
)
で察し、鳥羽田が斬り込むのを
躱
(
かわ
)
し、金五郎が斬り込むのも躱し、立木を楯にとる)
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
就中
(
なかんずく
)
一角はもう少しすると風に吹き破られて、破れた穴から青い輝きを洩らしそうな
気配
(
けはい
)
を示した。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小枝がゆれると、雀ははねるようにぴょんと隣りの小枝に飛びうつった。その
肢体
(
したい
)
には、急に若い生命がおどりだして、もうじっとしてはおれないといった
気配
(
けはい
)
である。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
若侍が、襖の外まで来て、うずくまると、その
気配
(
けはい
)
に、
慌
(
あわ
)
てて、珠玉を、手の中に握り匿したが
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
男6 (大層感心した様子で)さよう、……いや、あの
気配
(
けはい
)
では、本当にもう心から神になり切っておりますな。身も心もすっかり神がのりうつっている頃なのでしょう。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
まつが、起きたような
気配
(
けはい
)
だったので、千穂子は
箸
(
はし
)
を置いて奥の間へ行った。暗い電気の下で、ぶるぶる
震
(
ふる
)
える手つきで、飯をぽろぽろこぼしながらまつは食事をしていた。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
併し、「
戯
(
たは
)
わざな
為
(
せ
)
そ」という句は、悪い調子を持っていて
慈心
(
じしん
)
が無い。とげとげしくて
増上
(
ぞうじょう
)
の
気配
(
けはい
)
があるから、そこに行くと家持の歌の方は一段と大きく
且
(
か
)
つ気品がある。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
けれども、もうだいぶ
時間
(
じかん
)
が
経
(
た
)
っているのに
卵
(
たまご
)
はいっこう
殻
(
から
)
の
破
(
やぶ
)
れる
気配
(
けはい
)
もありませんし、
訪
(
たず
)
ねてくれる
仲間
(
なかま
)
もあまりないので、この
家鴨
(
あひる
)
は、そろそろ
退屈
(
たいくつ
)
しかけて
来
(
き
)
ました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
さて、二人はまっ暗なホールに踏みこんだが、シーンと静まり返って、人の
気配
(
けはい
)
もない。
月と手袋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「ワッ!」と悲鳴をあげたウエップが、とつぜんかけだした。浮き足だった三人もつづいてかけだした。ぶなの林のなかに逃げこんで、一同はホッと息をついた。
嵐
(
あらし
)
はいつやむ
気配
(
けはい
)
もない。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
こっちの
火勢
(
かせい
)
がよわければ、今にもとびかかろうかという
気配
(
けはい
)
が見えた。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
少しでも風の吹きそうな
気配
(
けはい
)
もないので、ボートを下して水夫を乗り込ませ、船を
曳索
(
ひきなわ
)
で曳いて、島の角を𢌞り、狭い水路を上って、
骸骨
(
スケリトン
)
島の蔭の碇泊所まで三四マイル行かねばならなかったのだ。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
と冷かすように吹き出したらしい
気配
(
けはい
)
を政宗は感じた。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
しかも、危ない
気配
(
けはい
)
は見えない。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
俊寛人の
気配
(
けはい
)
に
岩陰
(
いわかげ
)
に
隠
(
かく
)
れる。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
中の君が姉君を気づかわしく思うあまりに病床に近く来て、奥のほうの
几帳
(
きちょう
)
の蔭に来ている
気配
(
けはい
)
を薫は知り、居ずまいを正して
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
さりとてまた、けたたましく人を呼び起して、たった今、この座敷へ怪しい者が入りましたよと、騒ぎ立てる
気配
(
けはい
)
もないらしい。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ぼうぜんとしていた竹童は、その
気配
(
けはい
)
に顔をあげたが、ようすがわからないので、いち早く、草のなかに身をふせてしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
然し、村田が追っかけてくる
気配
(
けはい
)
はなかった。しいんとしていた。誰とも知れない無数の眼から見られてる気がした。彼は逃げるように飛び出した。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
シャボン玉でも吹き出した
様
(
よう
)
に、パッパッと、真白な機関銃の煙が空中を流れた。わが偵察機は、容易に応射の
気配
(
けはい
)
もなく、無神経に突入して行った。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼れはその
灯
(
ひ
)
を見るともう一種のおびえを覚えた。人の
気配
(
けはい
)
をかぎつけると彼れは何んとか身づくろいをしないではいられなかった。自然さがその瞬間に失われた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
三
年
(
ねん
)
ではまだ
判
(
わか
)
らないというので、
更
(
さら
)
に二
年
(
ねん
)
ほど
待
(
ま
)
つことになりましたが、しかしそれが
過
(
す
)
ぎても、
矢張
(
やは
)
り
懐胎
(
かいたい
)
の
気配
(
けはい
)
もないので、とうとう
実家
(
じっか
)
では
我慢
(
がまん
)
がし
切
(
き
)
れず
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
おおかた、もはや
縁先近
(
えんさきちか
)
くまで
来
(
き
)
ていたのであろう。
藤吉
(
とうきち
)
が
直
(
す
)
ぐさま
松江
(
しょうこう
)
に
春信
(
はるのぶ
)
の
意
(
い
)
を
伝
(
つた
)
えて、
池
(
いけ
)
の
方
(
ほう
)
へ
引
(
ひ
)
き
返
(
かえ
)
してゆく
気配
(
けはい
)
が、
障子
(
しょうじ
)
に
映
(
うつ
)
った二つの
影
(
かげ
)
にそれと
知
(
し
)
れた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ごくりとまた、一口、飲んだとき、床下の方で、かすかに、女の咳ばらいのような
気配
(
けはい
)
が聴える。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
それを見送って、寄り付きの二畳へ出て来た半七は、誰か表に忍んでいるような
気配
(
けはい
)
を覚った。
半七捕物帳:56 河豚太鼓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
教師は、だれに対してもあとにはひくまいという
気配
(
けはい
)
を見せている女中たちのあいだを、くぐり抜けていかなければならなかった。フリーダがそのあとにつづいていった。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
すると、うす暗い台所の板敷の上に眩しいやうな、うすい葉洩れ日のやうな
気配
(
けはい
)
が立つた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
嵐でも来そうな
気配
(
けはい
)
でございますよ。……そろそろお家へお帰りになってはいかがです?
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
“気配”の解説
気配(けはい、きはい)とは、視覚でははっきりとは見えないが、周囲の様子から何となく漠然と感じられる様子。ヒトでは微小な音やその遮り、風を含む空気の動きで察知しているほか、準静電界を感じ取っているという仮説もある。
転じて、株式市場や外国為替市場などでの取引で、売り方・買い方の動向(売り気配・買い気配)やそれが示す価格(気配値)にも使われる。
(出典:Wikipedia)
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
配
常用漢字
小3
部首:⾣
10画
“気”で始まる語句
気
気色
気遣
気勢
気持
気質
気障
気味
気高
気狂