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此奴
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こやつ
ふりがな文庫
“
此奴
(
こやつ
)” の例文
「ウム。よさそうじゃのう。
此奴
(
こやつ
)
どもの方針は……国体には
触
(
さわ
)
らんと思うがのう、今の藩閥政府の方が国体には害があると思うがのう」
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そう法水に宣告されてしまうと、つい今しがた
此奴
(
こやつ
)
とばかりに肩口を踏み
躙
(
にじ
)
った熊城でさえ、そろそろ自分の軽挙が悔まれてきた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
殴
(
なぐ
)
ったり
蹴
(
け
)
ったり、散々に責め
嘖
(
さいな
)
んだ挙句、あろうことかあるまいことか! しまいには、その坊さんにね、
此奴
(
こやつ
)
が腰元をそそのかして
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
山は
御祭礼
(
おまつり
)
で、お迎いだ——とよう。……
此奴
(
こやつ
)
はよ、
大
(
でか
)
い
蕈
(
きのこ
)
で、
釣鐘蕈
(
つりがねだけ
)
と言うて、叩くとガーンと音のする、
劫羅
(
こうら
)
経た
親仁
(
おやじ
)
よ。
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
此奴
(
こやつ
)
、たびたび
要
(
い
)
らんところに現れる
癖
(
くせ
)
がある。以後そのようなことのないように、ここでこの世から吹ッ消してしまうからそう思え!」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
橘好則が、
平維茂
(
たいらのこれもち
)
の頭を
慥
(
たし
)
かに取って、
此奴
(
こやつ
)
万一生きもや返ると鞍の鳥付きに結い付けぬ内は安心出来ぬといったに同じ(『今昔物語』二五)。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
此奴
(
こやつ
)
は幕府の天文方、
此奴
(
こやつ
)
に本心を見破られた以上、幕府有司の連中に、告げ口されると思わなければならない。告げられたが最後計画画餅だ。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
浪「いや打ったって致し方がありません罪も報いもない
此奴
(
こやつ
)
を殺しても仕様がないから、御家来
憚
(
はゞか
)
りだが
彼方
(
あっち
)
で手桶を借り水を汲んで来て下さい」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
呑で居るゆゑ後藤も心の中に
此奴
(
こやつ
)
勿々
(
なか/\
)
の惡漢なりと思ひければ
彌々
(
いよ/\
)
酒興
(
しゆきよう
)
の
體
(
さま
)
にもてなし懷中より百兩餘りも有ける胴卷を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
なに、
桀
(
けつ
)
の
狗
(
く
)
尭
(
げう
)
に吠ゆだと——
此奴
(
こいつ
)
生意気を
吐
(
ぬ
)
かす、俺を桀の
狗
(
く
)
だとは失敬極まる——、
此奴
(
こやつ
)
め、ワンワン/\/\
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
「お兄様、面目ない、——私はお前の妹のお元、悪人の手に
誘拐
(
かどわ
)
かされて、心にも無い妾奉公、親の
讐
(
かたき
)
とも知らずに
此奴
(
こやつ
)
に身を任せました、兄上様許して——」
禁断の死針
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「……はてな、斬られているようでもないし、体はまだ
温
(
ぬく
)
いし、どうして
此奴
(
こやつ
)
め、気を失っているのか」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……
此奴
(
こやつ
)
は口では斯んなことを云ってるが腹の中は斯うだな、ということが、この精神統一の状態で観ると、直ぐ看破出来るんだからね、そりゃ恐ろしいもんだよ。
子をつれて
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
「いえ、いけません。
此奴
(
こやつ
)
がお刺身を
奪
(
と
)
ったんです。以後の見せしめに、こうしてやるのです」
幕末維新懐古談:17 猫と鼠のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
しかし無理に押し込んで入れば、なに
此奴
(
こやつ
)
がという気が起こりやすい。世を渡るには
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
……
奧
(
おく
)
よ、
子
(
こ
)
をば
神
(
かみ
)
が
只
(
たゞ
)
一人
(
ひとり
)
しか
賜
(
たまは
)
らなんだのを
不足
(
ふそく
)
らしう
思
(
おも
)
うたこともあったが、
今
(
いま
)
となっては
此奴
(
こやつ
)
一人
(
ひとり
)
すら
多過
(
おほす
)
ぎる、
取
(
と
)
りも
直
(
なほ
)
さず、
呪咀
(
じゅそ
)
ぢゃ、
禍厄
(
わざはひ
)
ぢゃ、うぬ/\、
賤婢
(
はしたをんな
)
め!
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
此奴
(
こやつ
)
ある日鶏を盗みに入りて、
端
(
はし
)
なく月丸ぬしに見付られ、
他
(
かれ
)
が尻尾を噛み取られしを、深く意恨に思ひけん。
自己
(
おのれ
)
の力に及ばぬより、彼の虎が威を仮りて、さてはかかる事に及びぬ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
大親分も
宜
(
よ
)
いけれども、
奉行
(
ぶぎやう
)
や代官を相手にして談判をした末、向ふが承知せぬのを、
此奴
(
こやつ
)
めといふので生捕りにして、
役宅
(
やくたく
)
を焚き、分捕りをして
還
(
かへ
)
つたといふのでは、余り強過ぎる。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
貴君のお顔を見てゐますのさと言へば、
此奴
(
こやつ
)
めがと
睨
(
にら
)
みつけられて、おお
怕
(
こわ
)
いお方と笑つてゐるに、
串談
(
じやうだん
)
はのけ、今夜は様子が唯でない聞たら怒るか知らぬが何か事件があつたかととふ
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そこで
此奴
(
こやつ
)
は疑わしいという話を仕掛けられて花に花が咲いては困る事が起るであろうからと気遣って、私はじきに話の
緒口
(
いとぐち
)
を開きました。それはゲロン・リンボチェの事を言いました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
追い出される時、あたいは云われたんだ(どうも
此奴
(
こやつ
)
はもう長くはないから)
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
吉村
此奴
(
こやつ
)
、初めからその気でいたのだ。危い、退って見て居れっ!
天狗外伝 斬られの仙太
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
「
此奴
(
こやつ
)
、
狡猾
(
ずる
)
い奴だ」と、
兵站
(
へいたん
)
係の
衣水
(
いすい
)
子、眼玉を剥き出し
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
何處
(
どこ
)
やらの
骨董
(
こっとう
)
店
(
てん
)
の
店
(
みせ
)
さきで見たることあり
此奴
(
こやつ
)
の顏を
河馬
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
「あなた様の太刀先をひっ
外
(
ぱず
)
して、庄内川へ飛び込んだ男が、隠密の
此奴
(
こやつ
)
でございます。川がないから大丈夫で。今度こそお討ちとりなさりませ」
怪しの者
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「ヤレヤレ又馬の糞議員共が寄り集まった。
此奴
(
こやつ
)
等と見え透いた議論をしなければ日が暮らされぬのか。要するに余計な手数なんだが、馬鹿馬鹿しい」
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
一英人ビル族二人藪の隅の虎王族を詈るを立ち聞くと「
此奴
(
こやつ
)
己
(
おれ
)
が豆と
羹
(
あつもの
)
と鶏を遣ったに己の水牛を殺しやがった」
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
言はざれば主税之助は
彌々
(
いよ/\
)
怒り
此奴
(
こやつ
)
勿々
(
なか/\
)
澁太
(
しぶとき
)
女なり此上は
槍玉
(
やりだま
)
に
上
(
あげ
)
て呉んずと云ひつゝ三間
柄
(
え
)
の大身の槍を追取
鞘
(
さや
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
蝦蟇法師は
流眄
(
しりめ
)
に懸け、「へ、へ、へ、うむ正に
此奴
(
こやつ
)
なり、予が顔を傷附けたる、大胆者、
讐返
(
しかえし
)
ということのあるを知らずして」
傲然
(
ごうぜん
)
としてせせら笑う。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
此奴
(
こやつ
)
が跡目相続をすべき奴じゃけれども仕方がないと云うて、十九の時に勘当をされた、丁度三人の
同胞
(
きょうだい
)
でありながら、私は出家になり、弟は泥坊根性があり
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
……
此奴
(
こやつ
)
は口では斯んなことを云つてるが腹の中は斯うだな、といふことが、この精神統一の状態で觀ると、直ぐ看破出來るんだからね、そりや恐ろしいもんだよ。
子をつれて
(旧字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
「日本橋浮世小路、いろは寿司方——いろは屋文次、
此奴
(
こやつ
)
ですな。今夜は一つここへ向けましょう」
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ナニ
此奴
(
こやつ
)
ら、
服装
(
なり
)
こそ
美
(
うる
)
わしけれ、金持ちでこそあれ、
高
(
たか
)
の知れたもののみである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
貴君
(
あなた
)
のお
顏
(
かほ
)
を
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
ますのさと
言
(
い
)
へば、
此奴
(
こやつ
)
めがと
睨
(
にら
)
みつけられて、おゝ
怕
(
こわ
)
いお
方
(
かた
)
と
笑
(
わら
)
つて
居
(
ゐ
)
るに、
串談
(
じやうだん
)
はのけ、
今夜
(
こんや
)
は
樣子
(
やうす
)
が
唯
(
たゞ
)
でない
聞
(
きい
)
たら
怒
(
おこ
)
るか
知
(
し
)
らぬが
何
(
なに
)
か
事件
(
じけん
)
があつたかととふ
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
さては
此奴
(
こやつ
)
が
噬
(
か
)
みしならんト、思ひ
僻
(
ひが
)
めつ
大
(
おおい
)
に
怒
(
いかっ
)
て、あり合ふ手頃の棒おつとり、黄金丸の
真向
(
まっこう
)
より、骨も砕けと打ちおろすに、さしもの黄金丸肩を打たれて、「
呀
(
あっ
)
」ト一声叫びもあへず
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
椽の下から
顕
(
あらわ
)
れ
出
(
いで
)
たる
八百八狐
(
はっぴゃくやぎつね
)
付添
(
つきそい
)
て
己
(
おれ
)
の
踵
(
かかと
)
を
覗
(
ねら
)
うから、
此奴
(
こやつ
)
たまらぬと
迯出
(
にげだ
)
す
後
(
うしろ
)
から
諏訪法性
(
すわほっしょう
)
の
冑
(
かぶと
)
だか、
粟
(
あわ
)
八升も入る
紙袋
(
かんぶくろ
)
だかをスポリと
被
(
かぶ
)
せられ、方角さらに分らねば
頻
(
しきり
)
と眼玉を
溌々
(
ぱちぱち
)
したらば
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
半助 それ、
此奴
(
こやつ
)
等を眠らしちまって駆けつけろ!
天狗外伝 斬られの仙太
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
『
此奴
(
こやつ
)
、
生意氣
(
なまいき
)
!。』と
水兵
(
すいへい
)
は
叫
(
さけ
)
んだ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「——
此奴
(
こやつ
)
な」
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……
関係
(
つながり
)
があるのではあるまいかな? ……いよいよ
此奴
(
こやつ
)
は逃がせねえ。うむそうだ踏み込んでやろう。
有名
(
なうて
)
の
悪漢
(
わるもの
)
であろうとも、たかの知れた盗賊だ。
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
越前守殿
此奴
(
こやつ
)
勿々
(
なか/\
)
横道
(
わうだう
)
なりと思はれコリヤ久兵衞其方は去年極月中旬浪人文右衞門事五兵衞の店にて百兩の金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
此奴
(
こやつ
)
が何うしてお若さんを知っておりますかと申しますと、元大工でげすから晋齋のとこへ
度々
(
たび/\
)
親方と共に仕事にまいり、お若さんが居なされたを
垣間見
(
かきまみ
)
たんで
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お鉄(
此奴
(
こやつ
)
あ念を入れて
名告
(
なの
)
る程の事ではなかった)は
袖屏風
(
そでびょうぶ
)
で、病人を
労
(
いたわ
)
っていたのでありますが
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あれは本当の事では御座いませぬ。夢の話をしていたのに
此奴
(
こやつ
)
が私の頭をなぐったのです」
正夢
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
萠円
(著)
やむをえず鉄器もてその穴を揺り広げやっと捉え得とあるも似た事だが、蜥蜴の腹の麟板は、物に
鈎
(
かか
)
る端を具えぬから、
此奴
(
こやつ
)
はその代り四足に力を込めてその爪で穴中の物に鈎り着くのであろう。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
角一 (平松に)
此奴
(
こやつ
)
、なんだ?
天狗外伝 斬られの仙太
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
「ヤヤッ!
此奴
(
こやつ
)
はっ——!」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
『
此奴
(
こやつ
)
っ』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「財宝を
隠匿
(
かく
)
したが、その時突然勘兵衛めは、伊丹東十郎を穴の中へ突き落とし、『
此奴
(
こやつ
)
さえ殺してしまえば我らの秘密を知る者はない』と申しおった」
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と驚きました粥河圖書、思うに
此奴
(
こやつ
)
は我が悪事を知るばかりでなく、女房お蘭を生埋にした事まで知っている上は助けて置かれんと
柄
(
つか
)
に手を掛け、すらりと抜きました。
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
此
漢検準1級
部首:⽌
6画
奴
常用漢字
中学
部首:⼥
5画
“此奴”で始まる語句
此奴等