感歎かんたん)” の例文
北風きたかぜは、かつて、ゆき家来けらいにして、野原のはらけていた時分じぶん、一ぽんぼううえに、うぐいすがとまっていて、北風きたかぜて、さも感歎かんたんしながら
風と木 からすときつね (新字新仮名) / 小川未明(著)
辞世の歌の「限りあれば吹かねど花は散るものを心短き春の山風」の一章は誰しも感歎かんたんするが実に幽婉ゆうえん雅麗で、時やたすけず、天われうしな
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
御年紀おんとし十五の若君わかぎみ御戒おんいましめことわりに、一統いつとう感歎かんたんひたひげ、たかしはぶきするものく、さしもの廣室ひろま蕭條せうでうたり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
博士の説明をうけて、僕は感歎かんたんのあまり、首を前にふるばかりだった。博士は尚も言葉を継ぎ
宇宙尖兵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
これが再現を期すべく発奮した翁の愛美心と勇猛心と時流をきたらずとする努力には、さすが前山翁であると、私もその企図的精神に感歎かんたんし、賞賛あたわざる一人ではあるが
きょうるひとの実に偉大な書翰しょかんに接し、上には上があるものだと、つくづく感歎かんたんして、世の中には、こんなばかげた手紙を書くおかたもあるのだから、僕の君に送る手紙などは
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ひそかに人夫等の相談さうだんするを聞けば皆感歎かんたんし曰く、之れ文珠もんじゆ菩薩の恩恵にして、世人未知の菩薩が探検一行によりて、世にあらはれ出でんと欲するのこころざしは、一行をして日々晴天にはしめ
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
わたくしはどこに一てん申分もうしぶんなき、四辺あたり清浄せいじょう景色けしき見惚みとれて、おぼえず感歎かんたんこえはなちましたが、しかしとりわけわたくしおどろかせたのは、瀑壺たきつぼから四五けんほどへだてた、とある平坦たいら崖地がけちうえ
聴衆の中でも、そこここに感歎かんたんの声がもれる。弁士は得意げにあたりを見廻し
ハビアン説法 (新字旧仮名) / 神西清(著)
「素敵だなア!」何となく感歎かんたんしてしまえる静寂せいじゃくであった。
魚の序文 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
彼は、感歎かんたんして独り言をいった。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ヤ、こりゃ偉い物だぞ、今の年歯で斯様では、と感歎かんたんして、おそるべし、畏るべし、此児の行末は百万にも将たるに至ろう、と云ったという。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
かれは、あめかぜくる渺茫びょうぼうたる海原うなばら想像そうぞうして感歎かんたんこえはなちました。龍夫たつお父親ちちおやは、南洋なんよう会社かいしゃつとめていて、その病死びょうししたのです。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ただわずかばかり、それがおくれたというだけで、ちゃんと三人も連れてお帰りになったのですから、さすがは王子さまであると、臣下一同は感歎かんたん申し上げているしだいでございます。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「なるほど、たいしたものだ。これは、人間にんげんのしわざでない。」と、ふか感歎かんたんして、おつは、ひがしみやこへもどりました。
二人の軽業師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
蜂矢探偵は、思わず感歎かんたんの声を発した。そうなんだ。大爆発のときに、それ位の巨大な力が出ることは予想のできることだった。それでそうなることを、どうして気がつかなかったのであろう。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
魔物まものだとおもって、人間にんげんころしてしまったら、たいへんだからね。」と、しょうちゃんは、感歎かんたんしていいました。
草原の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、感歎かんたんの声を放つ見学の将校もいた。
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「なるほど、この人形にんぎょうきている!」といって、いまさらのように感歎かんたんするひともあったのです。
生きた人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
私は感歎かんたんのあまり、黙ってうなずいた。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
天下てんかぴんやすくて千りょう値打ねうちはいです。」と、りこうもの感歎かんたんいたしました。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ほほう、——」と彼は感歎かんたんの声を
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
なかでもおとこたちは、かつて、こんなにうつくしいおんなたことがないといって、感歎かんたんしました。
初夏の空で笑う女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「よくちいさいのに、こんなにおどれるものだ。」と口々くちぐちにいって、感歎かんたんしました。そして、いつしか、こころない人々ひとびとまでが財布さいふくちいて、おかねをむしろのうえげたのであります。
ある冬の晩のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おお。」といって、こう一は、もちろん、それをやった勇吉ゆうきちまでが、おもわず感歎かんたんして、こえはなったのであります。こう一は自分じぶんわすれて、っているさおを地面じめんたおしたのでありました。
真昼のお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
「これは、わたしのまだたことのない、めずらしいものです。」と、感歎かんたんしていました。
銀河の下の町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いい景色けしきですね。」と、勇吉ゆうきちは、あたりをまわしながら感歎かんたんしました。
雲のわくころ (新字新仮名) / 小川未明(著)
いえかえって、このはなしをおとうさんや、おかあさんにすると、「おお、学校がっこうのオルガンは、有名ゆうめいなもんだ。」と、感歎かんたんしましたが、しかし、子供こどもたちは、どういうものか、そのオルガンを愉快ゆかいとも
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
翌日よくじつ真吉しんきちは、東京とうきょうくと、すぐにおみせかえって、昨日きのうからのことを正直しょうじき主人しゅじんはなしますと、主人しゅじんは、真吉しんきち孝心こうしんふかいのに感歎かんたんしましたが、感情かんじょうまかせて、かんがえなしのことをしてはならぬと
真吉とお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ふうん。」と、としちゃんは、感歎かんたんしたのでした。
風船虫 (新字新仮名) / 小川未明(著)