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怪我
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けが
ふりがな文庫
“
怪我
(
けが
)” の例文
小指に
怪我
(
けが
)
をしてもすぐ蒼くなるくせに、女は、案外、残忍なことだの血を見ることに、男とは違った興味をそそられるものらしい。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「はい、はい」といいながら、お紋は光枝の
怪我
(
けが
)
した脚にハンカチを結きつけようとしているのを見て、旦那様はさらに大きな声で
什器破壊業事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
何や……
怪我
(
けが
)
に
貴方
(
あんた
)
は何やかて、
美津
(
みい
)
さんは天人や、その人の夫やもの。まあ、二人して装束をお見やす、
雛
(
ひな
)
を並べたようやないか。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まあま、人は、寄りあうと、理解を失って群れさわぐものじゃ。うっちゃって置きなされ、それより、
怪我
(
けが
)
せん算段が肝要じゃて」
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その男は
仕合
(
しあわ
)
せにも大した
怪我
(
けが
)
もせず、
瀑布
(
ばくふ
)
を下ることが出来たけれど、その一
刹那
(
せつな
)
に、頭髪がすっかり白くなってしまった
由
(
よし
)
である。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
しかしまたある動物学者の実例を観察したところによれば、それはいつも
怪我
(
けが
)
をした仲間を食うためにやっていると云うことです。
手紙
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
投げつけられても、稲の茂った
水田
(
みずた
)
の中ですから別に大した
怪我
(
けが
)
はなく、暫らくもぐもぐとやって、泥だらけになって起き返ると
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「それよりも、お
怪我
(
けが
)
が無くて、なによりでした。ほんとうに、」と言いかけて、肩を落して
溜息
(
ためいき
)
をつき、それから、顔を伏せたまま
春の盗賊
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
転げるように駆けこみざま、父に飛びかかって、後ろから抱きとめたため、銃は天井へ向けて発砲されて、幸い誰も
怪我
(
けが
)
をしなかった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
幸
(
さいわい
)
怪我
(
けが
)
もなかったので
早速
(
さっそく
)
投出
(
なげだ
)
された
下駄
(
げた
)
を履いて、師匠の
家
(
うち
)
の前に来ると、雨戸が少しばかり
開
(
あ
)
いていて、店ではまだ
燈
(
あかり
)
が
点
(
つ
)
いている。
死神
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
そして、それからというもの、部落の馬が、病気をしたり
怪我
(
けが
)
をしたりすると、伝平は、仕事を投げ出して飛んで行くのだった。
馬
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
そうだ、たとい、軍人さんでなくって、普通にお
怪我
(
けが
)
をなさった方にしても、こんなに不自然な、
隠
(
かく
)
されかたをされる筈はない。
香水紳士
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
とうとう
怪我
(
けが
)
もさせずに番屋へ追い込んだというでごわして、へ、へ、いまでもこのあたりの一つ話になっているくらいでごわす
ノンシャラン道中記:06 乱視の奈翁 ――アルル牛角力の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
私の傷なんか大したことないのですが、先方のお客様と運転手さんとにひどい
怪我
(
けが
)
をさせたことは何とも申し訳がございません。
鉄の規律
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
彼は倒れても、物にぶっつかっても、
怪我
(
けが
)
をしても、
火傷
(
やけど
)
をしても、泣いたことがなかった。ただ自分を害する事物にたいして奮激した。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
貰
(
もら
)
ひしにも勝る嬉しさ喜ばしさ何れも
怪我
(
けが
)
なき一同は
打連
(
うちつれ
)
御門
(
ごもん
)
を出にけり斯て元益は音羽町へ立歸り我家を
終了
(
しまひ
)
て母の方へ同居なし
醫業
(
いげふ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
怪我
(
けが
)
は大したことはありませんが、それでも、旅先で間違があってはならぬと言う母親の心遣から、新婚旅行はそのまま中止になりました。
身代りの花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一ばんしんがりの男先生は、
怪我
(
けが
)
の日以来ほこりをかぶっている女先生の自転車を押していった。道で出あった村の人も浜までついてきた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
それから病気や
怪我
(
けが
)
をしても、少しも弱らずに
直
(
す
)
ぐに治ってしまう
自癒力
(
じゆりょく
)
ともいうべきもの、是らはいずれも近世に入ってひどく退歩した。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
無論大した
怪我
(
けが
)
ではないと合点して、車掌は見向きもせず、曲り角の大厄難、
後
(
うしろ
)
の綱のはずれかかるのを一生懸命に
引直
(
ひきなお
)
す。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
父のこの大
怪我
(
けが
)
もばからしい強がりから、爪でひっかかれたのだった。それも猫でも子供でもなく、父の部下のような若い代言人たちだった。
旧聞日本橋:14 西洋の唐茄子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
坊
(
ぼ
)
ッちやんは
最早
(
もう
)
オイ/\
泣
(
な
)
いてばかりゐて、
何
(
なん
)
にも
云
(
い
)
はないので、
怪我
(
けが
)
をしたのかしないのか一
向
(
かう
)
譯
(
わけ
)
が
解
(
わか
)
りませんでした。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
どこにも
怪我
(
けが
)
がなくて、足でも顔でも、透き徹るようで……美しいという評判の方でやしたが、まったく
綺麗
(
きれい
)
なもんでがした
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
息が切れて走れなくなりました。頭や背中には石を投げつけられて
怪我
(
けが
)
をしました。この上
捕
(
つか
)
まったら、どんな目にあわされるかわかりません。
泥坊
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
おおおお
皆
(
みんな
)
止めろ止めろ! こりゃあとても問題にならねえ、普通の旅の人じゃあねえ、
怪我
(
けが
)
をするだけ損というものだ。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
得心ずくで任せた顔だから、少しの
怪我
(
けが
)
なら苦情は云わないつもりだが、急に気が変って
咽喉笛
(
のどぶえ
)
でも
掻
(
か
)
き切られては事だ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
頭の
怪我
(
けが
)
は大した事はないとの事で御座いますが、云う事は
辻褄
(
つじつま
)
が合うたり合わなんだりするそうで、
道理
(
もっとも
)
とも何とも申しようが御座いません。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
あの時、姉たちは運よく
怪我
(
けが
)
もなかったが、甥は
一寸
(
ちょっと
)
負傷したので、手当を受けに江波まで出掛けた。ところが、それが
却
(
かえ
)
っていけなかったのだ。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
その時は急いで逃げたから人が
怪我
(
けが
)
をしたかどうか
分
(
わか
)
らなかった。
所
(
ところ
)
が不思議にも一箇月ばかり
経
(
たっ
)
て
其
(
そ
)
れが
能
(
よ
)
く
分
(
わか
)
った。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
よくも案内を知らないので半分は
迷
(
ま
)
ひ子になりながら、この騒ぎのなかを
怪我
(
けが
)
もしないで見てあるくうち、とう/\宮城へ入り込んでしまひました。
拾うた冠
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
木が倒れても、家が焼けても、子供が
怪我
(
けが
)
しても、犬が死んでもみな霊魂がしたことにすれば、とにかく説明はつく。
我らの哲学
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
怪我
(
けが
)
もしなかったことを私は安心しましたが、父はこんな突発的な場合にも素早く、馴れたものでそれというと、
葛籠
(
つづら
)
の中の売り
溜
(
だ
)
めを脇に
挟
(
はさ
)
んで
幕末維新懐古談:42 熊手を拵えて売ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
それでも
怪我
(
けが
)
を
為
(
し
)
ないのが
勿怪
(
もっけ
)
の
幸
(
さいわい
)
で、大事の顔へ
疵
(
きず
)
でも付けられようものなら、
取返
(
とりかえ
)
しが付きゃアしない。何しろ、お葉とか云う奴は呆れた女だ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「もしか、お
怪我
(
けが
)
をなすつたので、人手がお入用でしたら、私、行つて、ソーンフィールド莊からでもヘイからでも、誰かを呼んで參りませうか。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
一方、倒れている人間の方はどうかというと、これはただ恐怖のあまり気を失っただけで、少しの
怪我
(
けが
)
もなかった。
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
時には自分で
転
(
ころ
)
んで
怪我
(
けが
)
をしたり、時には一日中あの
船室昇降口室
(
コムパニヨン
)
の片側にある自分の小さい寝床の中に横になっていたり、そうかと思うと、時には
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
もし妻に
怪我
(
けが
)
でもあったのではなかったか——彼れは
炉
(
ろ
)
の消えて
真闇
(
まっくら
)
な小屋の中を手さぐりで妻を尋ねた。眼をさまして起きかえった妻の気配がした。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「そうですよ。高野山で
崖
(
がけ
)
から落っこちて
怪我
(
けが
)
したですよ。ほらね、足も
膝皿
(
ひざさら
)
を
挫
(
くじ
)
いて一週間も
揉
(
も
)
んでもらって、やっと歩けるようになったですよ。」
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その
怪我
(
けが
)
をした少女とそれからもう歩き疲れているらしいその妹とを二人、両手に引張ってホテルに向って歩いてゆく彼の方がよほど気が気でなかった。
恢復期
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
幸
(
さいはひ
)
に
怪我
(
けが
)
は無かりけれど、彼はなかなか
己
(
おのれ
)
の怪我などより
貴客
(
きかく
)
を
駭
(
おどろ
)
かせし
狼藉
(
ろうぜき
)
をば、得も忍ばれず満面に
慚
(
は
)
ぢて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ところで、にんじんは
怪我
(
けが
)
をしたまま生きているやつの、最後の息の根をとめるのである。この特権は、冷たい心の持主であるというところからきている。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
私は
舅姑
(
しゅうと
)
が
郷里
(
きょうり
)
におりましたから
此方
(
こちら
)
では夫婦
差向
(
さしむか
)
いでございましたが二十日ばかり過ぎるとある時
良人
(
やど
)
が家の近所で車から落ちて右の腕を
怪我
(
けが
)
しました。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
兎も角も眼の悪い重二郎のお
母
(
ふくろ
)
に
怪我
(
けが
)
があってはならんと、明店を
飛出
(
とびだ
)
す、是から
大騒動
(
おおそうどう
)
のお話に相成ります。
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
大正十二年の震災に病院は焼けましたが、あの悪いお足であちこちお逃げになったのに何の
怪我
(
けが
)
もなくて、本郷森川町新坂上の御親戚に避難せられました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
そんだがこれ、
怪我
(
けが
)
つちや
過
(
えゝまち
)
だから、わし
等
(
ら
)
も
下駄
(
げた
)
穿
(
は
)
きながらひよえつと
轉
(
ころ
)
がつた
丈
(
だけ
)
で
手
(
て
)
つ
首
(
くび
)
折
(
をつちよ
)
れたんだなんて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
もっともその際誰が
圧
(
お
)
し
潰
(
つぶ
)
されたかは解らない。あるいは外にいたものの方がひどい
怪我
(
けが
)
をしたかも知れぬ。
地異印象記
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
触
(
さは
)
らぬ人に
祟
(
たゝ
)
りはない、
己
(
おのれ
)
の気持を清浄に保ち、
怪我
(
けが
)
のないやうにするには、孤独を
撰
(
えら
)
ぶよりないと考へた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
少々蛮的で相手に
怪我
(
けが
)
をさせることもある危険性、結局親父に取りあげられて風呂のたきつけにされたもの。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
寺でも経堂その他の壁は落ち、土蔵にもエミ(
亀裂
(
きれつ
)
)を生じたが、おかげで
一人
(
ひとり
)
の
怪我
(
けが
)
もなくて済んだと書いてある。本陣の主人へもよろしくと書いてある。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
風流に作った庭の
岩角
(
いわかど
)
に腰をおろしそこねて
怪我
(
けが
)
をした時には、その痛みのある間だけ
煩悶
(
はんもん
)
をせずにいた。
源氏物語:13 明石
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
怪
常用漢字
中学
部首:⼼
8画
我
常用漢字
小6
部首:⼽
7画
“怪我”で始まる語句
怪我人
怪我人等