“従弟:いとこ” の例文
“従弟:いとこ”を含む作品の著者(上位)作品数
岡本綺堂10
吉川英治8
野村胡堂5
芥川竜之介3
夏目漱石3
“従弟:いとこ”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語9.6%
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.4%
文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行0.9%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
をりから、従弟いとこ当流たうりうの一とゝもに、九州地しうぢ巡業中じゆんげふちう留守るすだつた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
従弟いとこつまは、はなしながら、こみあげ/\我慢がまんしたのを、ときないじやくりしてつた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼女は栄之丞にささやいて、次郎左衛門には自分の従弟いとこであるように話してあるから、お前はそのつもりで逢ってくれ。
籠釣瓶 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
おいとしいあなたの恋人と、おとなしいお従弟いとことの一生の平和を守ってあげねばならないときに、あなたはお弱うございました。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
『きょうは、私一人だけしか、店に見えなかったからでござんしょう。——従弟いとこ右衛門七えもしちが見えないから』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わたしはお上の御用聞きで、この一件を調べに来たのだ。米屋の下総屋の亭主は金右衛門と従弟いとこ同士だというが、全くそうかね」
半七捕物帳:60 青山の仇討 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
今までお前を欺していたが、栄之丞は自分の従弟いとこではない、実は自分の情夫おとこであるということを、八橋は泣いて白状した。
籠釣瓶 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
勝田かつたまささんの従弟いとこに当る人が大学校を卒業して、理科大学とかに出ているそうだから、尋ねて行って
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ある明方あけがた、須利耶さまが鉄砲てっぽうをもったご自分の従弟いとこのかたとご一緒いっしょに、野原を歩いていられました。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「ホホホホそうですか。あれはわたくしの従弟いとこですが、今度戦地へ行くので、暇乞いとまごいに来たのです」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その頃の三四郎の留守宅には、妻の比露子ひろこ従弟いとこに当る及川おいかわというM大学の学生が、月始めからやって来ていた。
寒の夜晴れ (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
陵の従弟いとこに当たる李敢りかんが太子のちょうを頼んで驕恣きょうしであることまでが、陵への誹謗ひぼうの種子になった。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
黒と白との寛洪な燕尾服の紳士、ペンギン鳥の従弟いとこ、ロッペン鳥が、その上の岩壁の突処とっしょに立っている。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
おいは、二十五で、従弟いとこは、二十一で、どちらも私になついていたのに、やはり、ことし、相ついで死んだ。
秋風記 (新字新仮名) / 太宰治(著)
従弟いとこと私の妹おまっちゃんと三人で、赤大根を見た時、お皿の上で、葉をつまんで独楽こまのように廻した。
そして出発しようとしてる時に、ひとりの従弟いとこたずねて来たのでそのくわだては行なわれませんでした。
青春の息の痕 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
何でも三浦の話によると、これは彼の細君の従弟いとこだそうで、当時××紡績会社でも歳の割には重用されている、敏腕の社員だと云う事です。
開化の良人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
遺言でも書いとかない限り、おれの身代はそのまゝ、残らず唯一人の従弟いとこ今田茂七の手にころがり込むんだ。
医術の進歩 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
従弟いとこは自分のために、この川へ硝子罎ガラスびんを沈めてはやを取ったり、ざるを持ち出してしじみを拾ったりしてくれた。
由布院行 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
ボイナというぽっちのついた大黒帽だいこくぼう従弟いとこみたいな物をいただき、もっと気取ったやつはカパのなかにギタアを忍ばせたりして
『ともあれ、叔父御の小山様、従弟いとこの進藤様などにもお相談はからい申したうえで。……のう、吉千代』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お銀のことを表向きにするについて、笹村は自分のところへ出入りしている山内の従弟いとこの吉村によって、ふと山内のことを思い出させられていた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
非常に悪いことではないが、従弟いとこどうしの結婚などはあまりにありふれたことすぎるし、野合の初めを世間のうわさに上されることもつらい。
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
血縁の一人——遠縁のある従弟いとこ——が天文協会にはいったというのを、一大珍事のように語っていた。
となりの部屋では、ドアごしに、主人と従弟いとこのアファナーシイのいびきが、をおいてきこえる。
ねむい (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それは、勝頼の従弟いとこにあたる、一族の穴山梅雪あなやまばいせつのうわさをしているのであった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
従弟いとことおまっちゃんと三人で、炎天ぼしになって掬ったが、いれものをもたないで、土に掬いあげたのはすぐ消たようにかたまってしまった。
浜崎と僕の家とは親戚関係になっていて、浜崎の息子と僕たちとは従弟いとこ同士になっているのだ。
海亀 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
と言うのは、このごろ忙しさに、不沙汰ぶさたはしているが、知己ちかづきも知己、しかもその婚礼の席につらなった、従弟いとこの細君にそっくりで。
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「おれの従弟いとこが、柳生家に奉公している。柳生家へご相談して、お力を借りてはどうだろう」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その中に、墨西哥メキシコ公使館の通弁をしているという仏の従弟いとこに当る男などもいた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「スヤ」と云ふ姓は印度インド人の最も嫌ふ「豚」の印度インド語と似て居るので、印度インドの店は別所と云ふ従弟いとこの姓を用ひて居るさうである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「まあ何ということでしょう。」と伯母おばは叫んだ。「お前の従弟いとこはお前のようにちゃんとした子ではないんですよ。駅馬車の中で夜を明かそうなんて。」
多分陣場にして見れば、相手が恩人たる浜田の従弟いとこであると思うところから、自然に出て来る態度なのであろうが、それにしても少し卑屈過ぎるように見える。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
はずれの旦那だんなという人は、おとよの母の従弟いとこであってあざみという人だ。
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
平七は庄五郎と同職で、しかも従弟いとこ同士であるので、無論に昼夜詰め切りで働いた。
半七捕物帳:45 三つの声 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
これは私の従弟いとこの千代重が外遊するまで、始終口癖にいっていた言葉と同じである。
唇草 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
笹村の従弟いとこにあたる甥の義兄が、すかして連れて行ってからも、笹村の頭には始終一種の痛みが残っていた。変人の笹村は、従弟などによく思われていなかった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
その男はヘツケル教授の従弟いとこででもあるやうに安請合やすうけあひに承知した。
「熊本ですか。熊本にはぼくの従弟いとこもいたが、ずいぶんひどい所だそうですね」
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「軍法を正さん」と、自身、剣を抜いて、従弟いとこの曹洪に、剣を加えようとした。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その時ガラッ八を投げ飛ばしたのは、たぶん主人の従弟いとこの針目正三郎でしょう。
彼は、水呑み百姓で、一家内四人の暮らしさえも細ぼそであるところへ、この間から自分の従弟いとこの娘というのが転げ込んで来ているので、まったく困るとこぼし抜いていた。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さあ、黒い従弟いとこ共、急用だ。お前達は山の大湖おおみずうみに往って、
I公爵の従弟いとこだとも、また人格者だとも私に話してきかした人もあった。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
現にゆうべもお元の家へ寄ると、かれの従弟いとこだといって引きあわされた政吉という若い男がいて、自分にしきりに酒をすすめたが、こっちは飲めない口であるから堅く辞退した。
半七捕物帳:10 広重と河獺 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
蒙陰もういん劉生りゅうせいがある時その従弟いとこの家に泊まった。
だからもし妻と妻の従弟いとことの間に、僕と妻との間よりもっと純粋な愛情があったら、僕はいさぎよ幼馴染おさななじみの彼等のために犠牲ぎせいになってやる考だった。
開化の良人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
五郎造は、探偵帆村の化けこんでいるのとも知らず、正太と名乗るこの新入りの左官のことを、これは自分の女房の従弟いとこだ、どうか仲よくしてやってくれと、他の仲間に引合わした。
東京要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
之を屋敷に届けて呉れ、親仁おやじう/\伝言をして呉れと云い、又別に私の母の従弟いとこ大橋六助おおはしろくすけと云う男に遣る手紙を渡して、これを六助の処に持て行け
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「なにしろ明石あかし検校けんぎょうと仰っしゃるのは、当道派とうどうはの主座で、それに、死んだ将軍家とはお従弟いとこにあたる人だ。あれくらいなことはわけなくできたろうさ」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
薄汚い後の馬車に乗っているのは重吉や彼の従弟いとこだった。
玄鶴山房 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
壻には仁太郎の従弟いとこに当る与吉を貰へばとも思つてゐた。
一塊の土 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
もしK市の姉の孫——この姉のむすこはなくなっていた——が手紙のあて名を書いたのだとすると、それがどうしてこれほどまでよく、その子供の父の従弟いとこのに似ているかが不思議であった。
球根 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
従弟いとこのマリユス・ポンメルシーも旅行するんですか。」
「君は従弟いとこのことをぼくに話したことがなかったね。」
いや、大岡十家のうちの一人であり、また亀次郎とは、従弟いとこにあたる市十郎——すなわち越前守忠相ただすけもまた、あやうくも、同じ危険な崖ぷちを人生の道として歩いたうちの一人だった。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そんな悪法を書いたのは、丹之丞の遠い従弟いとこで、安御家人ごけにん崩れの針目正三郎、これはお猿のような感じの、肉体的に見る影もない人間ですが、悪智恵にかけては、人の十倍も働きのある男。
頭中将は負けたような気がしないでもなかったが、源中将はりっぱな公子であったから、ぜひ妹との結婚を成立させたいとはこの人の念願だったことであって、満足を感じながら従弟いとこを妹の所へ導いた。
源氏物語:33 藤のうら葉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「お従弟いとこさまが、ようお噂をなされますゆえ」
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「私の叔父の従弟いとこの、その嫁がお米さんで」
曹操の従弟いとこ曹洪そうこうであった。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ましてや、梅雪入道ばいせつにゅうどうは、武田家譜代たけだけふだいしんであるのみならず、勝頼かつよりとは従弟いとこえんさえある。その破廉恥はれんちは小山田以上といわねばならぬ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私と同様出京して正則せいそく英語学校に通っていた従弟いとこが、ある日日本橋を歩いていて握鮓にぎりずしの屋台に入り、三つばかり食ってから、蝦蟇口がまぐちに二銭しかなくて苦しんだ話をしたことがある。
三筋町界隈 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
兄妹ふたりのほかは、同居している従弟いとこの植野誠一という、三郎よりは一つ歳下の十九の青年と、あとは奉公人ばかり、もとより遠慮のある家ではありませんが、家の中は粛として、三郎の声に応ずる者もありません。
九つの鍵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
父の死は肺病の為でもあったのですが、震災で土佐国から連れてきた祖父を死なし、又祖父を連れてくる際の、口論の為、叔父の首をくくらし、また叔父の死の一因であった従弟いとこの狂気等も原因して居たかも知れません。
虚構の春 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ある日、おれの従弟いとこのところへ行ったら、その子の新太郎と忠次郎という兄弟があるが、一日、いろいろはなしをしたが、そこの用人に源兵衛というのがいたが、剣術遣いだということだが、おれに向って言うには、
「ぼくもまだおちついて聴いていないんだ、けさ帰った時はちょうどおとぎばなしの『眠りの城』にはいったような心持ちだったよ、従弟いとこの誠一君もようやく元気になったようだから、くわしくゆうべの話を聴いてみよう」
九つの鍵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
従弟いとこのフランツだ。」
私はハッと思うと、気が遠くなって、茫然として母が袖を顔にあてて泣くのを視ていたが、ふと何だか胸が一杯になって泣こうとしたら、「まあ、彼方あッちへお出でなさい」、と誰だか袖を引張るから、見ると従弟いとこだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
何処へ何しにくのだか、分っているような、分っていないような、変な塩梅あんばいだったが、私は何だか分ってるつもりで、従弟いとこあといて行くと、人が大勢車座になっている明かるい座敷へ来た。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
従弟いとこが死んだ。
彼の従弟いとこは少しも蛇を恐れず、杉籬すぎがきからんで居るやつを尾をとって引きずり出し、まわす様に大地に打つけて、楽々らくらくと殺すのが、彼には人間以上の勇気神わざの様にすさまじく思われた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
若君の心に物足らぬ気持ちがあって、花や紅葉もみじを贈ること、ひな遊びの材料を提供することなどに真心を見せて、なお遊び相手である地位だけは保留していたから、姫君もこの従弟いとこを愛して、男に顔を見せぬというような
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「外へ出て、エンフィールド君や僕のように血液の循環をよくしなければいけない。(これは僕の従弟いとこで、——エンフィールド君だ、——ジーキル博士だよ。)さあ来給え。帽子を持ってきて、僕たちと一緒に元気よく散歩し給え。」
これから面白くなるんですよ、親分。——その息子と娘は、いつの間にやら、手紙をやり取りするようになった。文使いは朝倉屋の方は丁稚でっちの定吉で、浪人立花の方は、お妙の従弟いとこで、これは十六になった富坂松次郎というので。
「なろうとなるまいと、なんじらの知ったことか。こりゃ伊那丸、えんからいえば汝の父勝頼かつより従弟いとこ、年からいっても長上めうえにあたるこの梅雪に、やいばを向ける気か、それこそ人倫じんりんの大罪じゃぞ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それと同時に須永すなが従弟いとこと仮定された例の後姿うしろすがたの正体も、ほぼ発端ほったんの入口に当たる浅いところでぱたりと行きとまったのだと思うと、その底にはがゆいようなまた煮切にえきらないような不愉快があった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そんな従弟いとこの方をお照はとりつくしまがなさそうに見ながら、茶の間へは上ったものの、何処どこへ坐ったらいいかと躊躇ちゅうちょしているようだったが、とうとう三畳の長火鉢の、いつもおばさんの坐っている場所へ、そうっと坐った。
三つの挿話 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
「大亀もこの頃は、すっかりぼけ亀になっちまったね。大岡越前は、おまえの従弟いとこじゃないか。この体を、持ッて行くなら持って行ってみろと、太ッ腹でいたらどう。十手を見るたびにおろおろしていたひには、古道具屋の前も通れやしないだろ」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その奥座敷に、床ばしらを背に沈痛な面もちで端坐している客は、故小野塚鉄斎の従弟いとこで、鉄斎亡きこんにち、娘の弥生やよいを養女格にひきとって、何かと親身に世話をしている麹町こうじまち三番町の旗本土屋多門つちやたもんであった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
その晩は叔父と従弟いとこを待ち合わした上に、僕ら母子おやこが新たに食卓に加わったので、食事の時間がいつもより、だいぶおくれたばかりでなく、ひそかに恐れた通りはなはだしい混雑のうちはしと茶椀の動く光景を見せられた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その日命ありてにわかに遠方に出張し、三月あまりにして帰れば、わが留守に浪子は貴族院議員加藤かとうなにがし媒酌ばいしゃくにて、人もあるべきにわが従弟いとこ川島武男と結婚の式すでに済みてあらんとは! 思わぬ不覚をとりし千々岩は
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
ところが、今までめったに寄り付いたことのねえ奴等が、やれ姪だの従弟いとこだのといって方々からあつまって来て、片っ端からみんな持って行ってしまいましたよ。世の中は薄情に出来てますね。なるほど徳の野郎が今の奴等と付き合わなかった筈ですよ。
ゆず湯 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
私は前へとび出していくと、受付の巡査に代って『よろしい、ここへおいてゆけ』といったのです。そしてすしをもちこんだ当人の住所姓名をたずねると、トラ十の従弟いとこで、この先のこれこれの工場に働いている者ですといって、すらすらと答えたんです。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そは友人板垣伯より貴嬢の志望を聞きて感服せり、不肖ふしょうながら学資を供せんとの意味を含みし書翰しょかんにてありしかば、天にも昇る心地して従弟いとこにもこの喜びを分ち、かつは郷里の父母に遊学の許可を請わしめんとて急ぎその旨を申し送り
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
「そういえば駒三郎はおいでも従弟いとこでも何でもないのに、世間へは親父の甥と触れ込んで、店の事を一切取仕切っておりました。——それから、元助も、奉公人のくせに、恐ろしく贅沢ぜいたくで、親父にせびる事ばかり考えていたようでございます」
私の夫の恩人に当る関西電車社長浜田丈吉氏の従弟いとこで、先年細君に死に別れて目下後妻を求めている人があり、是非良い縁を捜してくれるようにと、浜田氏から熱心な依頼を受け、本人の写真まで預かっている口があるので、ふっと妹さんのことを考えついた
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ところが、今までめったに寄り付いたことのねえ奴らが、やれめいだの従弟いとこだのと云って方々からあつまって来て、片っ端からみんな持って行ってしまいましたよ。世の中は薄情に出来てますね。なるほど徳の野郎が今の奴らと附き合わなかった筈ですよ。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一方は先夫と従弟いとこ同士、一方は先夫の親しい友達というのであるから、その亡きあとの面倒をみてやるのはむしろ当然の義理ではあるが、容貌のよい若後家に対して、ふたりの若い男があまり立ち入って世話を焼き過ぎるというのが、この頃は近所の噂にものぼっていた。
半七捕物帳:45 三つの声 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
多「おとっさん、なんで叔父さんを鉄砲でったかなア、江戸にいる叔母さんだのおえいという従弟いとこが聞いたら、どんなに怨むか知れねえから、し叔母さんが来たら、多助が間違まちがいて打ったと云うから、あんたは殺さねえふりをするがいよ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
主人には、時々便をくれる従弟いとこのところへ行くように、その旅費だけは用意してありますからといいましたが、この不自由な体で行く気はない。お前がする通りにおれもするといいます。実は私としても、跡に残して行くのは心がかりですから、それならと話し合って来ました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
鉄作はことし確か二十歳はたちの筈で、おらちと従弟いとこ同士にあたりますので、ふだんから近しく出入りは致しておりましたが、お福とは親子ほども年が違うのでござりますから、わたくしもよもやと思って油断しておりますと、飛んでもない淫奔から飛んでもない災難に出逢いまして……。
馬妖記 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
コノ年、次ノ兄ガ始メテ越後ヘ行ク故ニ留守ヲ預カッタ、ソレカラオレガ借金モ抜ケタカラ、少シズツ遊山ヲ始メタガ、仕舞イニハイロイロ馬鹿ヲヤッテ、金ヲ遣ッタカラ困ッタ、シカシ借金ハシナイヨウニシタ、林町ノ兄ガ帰ッタカラ、留守ノウチノコトヲ書附デ出シテヤッタラ悦ンデ居タ、コノ年、従弟いとこノ竹内平右衛門ガ娘ヲ
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
須利耶さまも従弟いとこさまも鉄砲てっぽうをもったままぼんやりと立っていられましたそうでいったい二人いっしょにゆめを見たのかとも思われましたそうですがあとで従弟さまの申されますにはその鉄砲はまだあつ弾丸だんがんっておりそのみんなのひざまずいたところの草はたしかにたおれておったそうでございます。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
いいえ。ドーブレクはその頃は名も知られない男で、まだ舞台へは現れて参りません。ところが、意外にも突然連判状の所在が知れました、と云うのは自殺した運河会社社長の従弟いとこであるジェルミノーさんが肺病で死ぬる間際に、警視総監に手紙をおくって、実はあの連判状は自分のしつの金庫内に保管してあるから、自分の死後取り出してくれと申したのでございます。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)