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徒然
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つれづれ
ふりがな文庫
“
徒然
(
つれづれ
)” の例文
主人が収容所にいました時、仲の好い名門の伜数名が集って、研究会のようなものをつくり、
徒然
(
つれづれ
)
を慰め合っていた事がありました。
恐怖の幻兵団員
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
かつては、長陣の
徒然
(
つれづれ
)
に、この松の根がたへ
莚
(
むしろ
)
をしき、月を賞しながら、官兵衛、半兵衛、秀吉と
鼎坐
(
ていざ
)
して、古今を談じたこともある。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その実雀が何羽いるかはさのみ問題ではないので、数を算えて見るというところに、
徒然
(
つれづれ
)
な春雨の夕方の心持を感じ得ればいいのである。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
わけても
徒然
(
つれづれ
)
ごとに亡夫の昔語を語るを聞きてこの上のうも満足に思いぬ、「この人までもかくまで亡夫に
懐
(
なつ
)
きてあるか」と
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
安否を
分
(
わ
)
かざりし
幾年
(
いくとせ
)
の思に
較
(
くら
)
ぶれば、はや
嚢
(
ふくろ
)
の物を
捜
(
さぐ
)
るに等しかるをと、その一筋に慰められつつも彼は日毎の
徒然
(
つれづれ
)
を憂きに堪へざる
余
(
あまり
)
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
夫
(
それ
)
から大病中
徒然
(
つれづれ
)
を
慰
(
なぐさ
)
めるため繪(繪といふ名はちと
分
(
ぶん
)
に過ぎるから、繪のやうなものと云つた方が適切ですが)
其
(
その
)
繪を描いて遊んでゐると
『伝説の時代』序
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
いつとなくそれにも
馴
(
な
)
れ、
徒然
(
つれづれ
)
さは覚えながらも、今ほど身にしむ悲しいものとは山荘時代の自分は世の中を知らなかった。
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「何か変ったこともないか。」と滝に臨んだ中二階の小座敷、欄干に
凭
(
もた
)
れながら判事は
徒然
(
つれづれ
)
に茶店の婆さんに話しかける。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
客窓の
徒然
(
つれづれ
)
を
慰
(
なぐさ
)
むるよすがにもと眼にあたりしままジグビー、グランドを、
文魁堂
(
ぶんかいどう
)
とやら云える
舗
(
みせ
)
にて
購
(
こ
)
うて帰りぬ。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
雪を払ひてにじり入り、まづ
慇懃
(
いんぎん
)
に前足をつかへ、「昨日よりの大雪に、
外面
(
そとも
)
に
出
(
いず
)
る事もならず、洞にのみ籠り給ひて、さぞかし
徒然
(
つれづれ
)
におはしつらん」
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
所謂、檀那様、お家はん、であって、番頭が一切をやっていて、薄暗い所に、一日、
徒然
(
つれづれ
)
なのが、町人である。
大阪を歩く
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
新内
(
しんない
)
の
若辰
(
わかたつ
)
が大の
贔負
(
ひいき
)
で、若辰の出る席へは千里を遠しとせず通い、寄宿舎の淋しい
徒然
(
つれづれ
)
には
錆
(
さび
)
のある声で若辰の
節
(
ふし
)
を
転
(
ころ
)
がして
喝采
(
かっさい
)
を買ったもんだそうだ。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
母は大磯の長者父は
一年
(
ひととせ
)
東に流されて
伏見大納言
(
ふしみだいなごん
)
実基
(
さねもと
)
卿、男女の習い旅宿の
徒然
(
つれづれ
)
一夜の忘れ形見なりと見えるが、『
類聚名物考
(
るいじゅめいぶつこう
)
』四十に『異本曾我物語』に
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
阿弥陀
(
あみだ
)
に
戴
(
いただ
)
けるもの、或は椅子に掛かり、或は
床
(
とこ
)
に
踞
(
すわ
)
り、或は立つて
徘徊
(
はいくわい
)
す、印刷
出来
(
しゆつたい
)
を待つ
間
(
ま
)
の
徒然
(
つれづれ
)
に、機械の音と相競うての高談放笑なかなかに
賑
(
にぎ
)
はし
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
ことに
徒然
(
つれづれ
)
なる旅宿の
伴侶
(
はんりょ
)
として、遠い国元から取り寄せる品としては、これほど手軽なものはまず他にはなかったので、いわゆる座頭の京登りのごときも
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
遥かチャアンウッドの森を伝つて来る笛の音こそ、城の主、のちのサフォオク公ヘンリイ・グレイが、奥方はじめ一統を引き連れての、
徒然
(
つれづれ
)
の狩遊びと見えた。
ジェイン・グレイ遺文
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
そろそろ
燈火
(
あかり
)
のつく遠い農家をながめながら、馬籠を出しなに腰にさして来た笛なぞを取り出した時は、しばらく彼もさみしく楽しい
徒然
(
つれづれ
)
に身をまかせていた。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
士官は多分
徒然
(
つれづれ
)
の余りと、襲い来る睡魔を払うために唄い出したので、声に自信があるのであろうが、うしろでそれを聴いている花やかな人々のあることを感じ
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彰義隊士も一方には防禦の準備をしながら、そのあいだには
徒然
(
つれづれ
)
に苦しんで市中を徘徊するのもある。芝居や寄席などに行くのもある。吉原などに入り込むのもある。
夢のお七
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いやいや、わたしが
徒然
(
つれづれ
)
を慰めんがために、わざわざ芝居をして見せに来たと思えばなんでもない。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と車中の
徒然
(
つれづれ
)
に、夫人は
旅行鞄
(
トランク
)
から出したインゲ百貨店製の上等なチョコレートを自分の口に含む。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
この陣中の
徒然
(
つれづれ
)
に、如水が茶の湯をやりはじめた。ところが如水といふ人は気骨にまかせて茶の湯を嘲笑してゐたが、元来が洒落な男で、文事にもたけ、和歌なども巧みな人だ。
二流の人
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
神功皇后が船待ちの
徒然
(
つれづれ
)
に、裳の糸をぬかれて、初めて鮎をお釣りになつたと云はれてゐるが、その後の
海幸山幸
(
うみさちやまさち
)
の話にしても、今でも石器時代の骨の釣針が貝塚から出ると同じで
日本の釣技
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
見様
(
みよう
)
に依っては、大変因縁咄めいておりましてな、
貴下方
(
あなたがた
)
の様に新しい学問を修められた方には、少々ムキが悪いかも知れませんが、でもまあ、車中の
徒然
(
つれづれ
)
に——とでもお思いになって
とむらい機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
魚籠
(
びく
)
を担いで川までお供して行く途中の長い長い田圃道の
徒然
(
つれづれ
)
なままに翁と雑談をしながら何気なく質問をすると、翁は上機嫌なままに大事な口伝や秘伝を不用意に洩らすことがあった。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
出札の河合は
徒然
(
つれづれ
)
に東向きの
淡暗
(
うすぐら
)
い電信取扱口から
覗
(
のぞ
)
いては、例の子守女を相手に聞きぐるしい、恥かしいことを語りおうていたが、果てはさすがに口へ出しては言いかねるものと見えて
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
……
徒然
(
つれづれ
)
の折には、村年寄僧侶などさえお手近く召し寄せられ、囲棋のお遊びなどあり、打ち興ぜさせたもう有様、
殷
(
いん
)
の
紂王
(
ちゅうおう
)
にも勝れる暴君よなど、噂せられたまいし面影更に見え給わず。
忠直卿行状記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
或時
(
あるとき
)
徒然
(
つれづれ
)
なるに
任
(
まか
)
せて、
書物
(
しょもつ
)
の
明細
(
めいさい
)
な
目録
(
もくろく
)
を
編成
(
へんせい
)
し、
書物
(
しょもつ
)
の
背
(
せ
)
には
札
(
ふだ
)
を一々
貼付
(
はりつ
)
けたが、こんな
機械的
(
きかいてき
)
な
単調
(
たんちょう
)
な
仕事
(
しごと
)
が、
却
(
かえ
)
って
何故
(
なにゆえ
)
か
奇妙
(
きみょう
)
に
彼
(
かれ
)
の
思想
(
しそう
)
を
弄
(
ろう
)
して、
興味
(
きょうみ
)
をさえ
添
(
そ
)
えしめていた。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
葉子は脳心にたぐり込まれるような痛みを感ずる両眼から熱い涙を流しながら、
徒然
(
つれづれ
)
なままに火のような一心を倉地の身の上に集めた。葉子の顔にはいつでもハンケチがあてがわれていた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
また彼はいう、——世間の
男女
(
なんにょ
)
老少、多く
交会
(
こうえ
)
婬色
(
いんじき
)
等の事を談じ、これをもって慰安とすることがある。一旦は意をも遊戯し
徒然
(
つれづれ
)
をも慰めるようであるが、僧には最も禁断すべきことである。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
これも御用筋を離れての
徒然
(
つれづれ
)
と見ればそこに涼意も沸こうというもの。
釘抜藤吉捕物覚書:05 お茶漬音頭
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
思うに、
徒然
(
つれづれ
)
というものも、幸福感の一種なのかも知れない。
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
旅は、
徒然
(
つれづれ
)
の姿に似て居ながら、人間の決戦場かも知れない。
『井伏鱒二選集』後記
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
波路遙けき
徒然
(
つれづれ
)
の
慰草
(
なぐさめぐさ
)
と
船人
(
ふなびと
)
は
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「
徒然
(
つれづれ
)
と存じお茶を
淹
(
い
)
れました」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
徒然
(
つれづれ
)
の
慰
(
なぐ
)
さに愛の
一曲
(
ひとふし
)
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
徒然
(
つれづれ
)
に読みかさねた和漢の書も、机のチリも
硯
(
すずり
)
も、雑然たるもので——そのくせ新田の者には、掃除の手もふれさせなかった。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
病
(
やまい
)
の後の保養に来ておいでなさいます、それはそれは美しい、
余所
(
よそ
)
の
婦人
(
おんな
)
が、気軽な腰元の勧めるまま、
徒然
(
つれづれ
)
の慰みに、あの宰八を内証で呼んで
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これも回復期に向いた頃、
病牀
(
びょうしょう
)
の
徒然
(
つれづれ
)
に看護婦と世間話をしたついでに、彼等の口からじかに聞いたたよりである。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
枕の上の
徒然
(
つれづれ
)
は、この時人を圧して
殆
(
ほとん
)
ど重きを覚えしめんとす。書見せると見えし貫一は
辛
(
から
)
うじて夢を結びゐたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
鯛
(
たい
)
は
無
(
なく
)
とも
玉味噌
(
たまみそ
)
の豆腐汁、心
協
(
あ
)
う
同志
(
どし
)
安らかに
団坐
(
まどい
)
して食う
甘
(
うま
)
さ、
或
(
あるい
)
は
山茶
(
やまちゃ
)
も
一時
(
いっとき
)
の
出花
(
でばな
)
に、長き夜の
徒然
(
つれづれ
)
を慰めて囲い
栗
(
ぐり
)
の、皮
剥
(
むい
)
てやる
一顆
(
いっか
)
のなさけ
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「イヤこれはこれは、今日は
全家
(
うちじゅう
)
が出払って余り
徒然
(
つれづれ
)
なので、番茶を
淹
(
い
)
れて
単
(
ひと
)
りで
浮
(
うか
)
れていた処サ。」と。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
何でも
五月雨
(
さみだれ
)
の
寂
(
さび
)
しい夜でしたがネ、余り
徒然
(
つれづれ
)
の
儘
(
まゝ
)
、誰やらの詩集を見てる時
不図
(
ふと
)
、アヽ
私
(
わたし
)
ヤ恋してるんぢや無いか知らんと、始めて自分で
覚
(
さと
)
りましたの、——
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
温泉場の
徒然
(
つれづれ
)
に、誰が発起するともなく新年宴会を催すことに成った。浴客は思い思いの趣向を凝らした。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
煩
(
うる
)
さいと思っていた同朋同行や、親しかった間の者などが恋しくなり、余り
徒然
(
つれづれ
)
にたえぬまま
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
十内、敵の器用な
性
(
たち
)
を知っているから、もしかとも思うし自分も
徒然
(
つれづれ
)
のままに寄席へ入った。
相馬の仇討
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
越後・佐渡から京西国にかけて、珍しく広い舞台をもつこの人買い船のローマンスは、要するに十三の湊の風待ちの
徒然
(
つれづれ
)
に、遊女などの歌の曲から聞き覚えたものに相違ない。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
彼女は夫の旅行中
徒然
(
つれづれ
)
に暮す日が多いので、何卒奥さんに遊びに来て下さいと、アマを介して云って寄越したり、
路
(
みち
)
で
遇
(
あ
)
った時に誘ったりして、幸子に交際を求めるのだけれども
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
処々に
韻
(
いん
)
を
践
(
ふ
)
んであったり、熟字の使い方や何かが日本人離れをしているところなぞを見ると、やっぱりその名付親の勃海使が芬夫人の
譚
(
ものがたり
)
に感激して、船中の
徒然
(
つれづれ
)
に文案を作ってやったのを
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
波路遙けき
徒然
(
つれづれ
)
の
慰草
(
なぐさめぐさ
)
と
船人
(
ふなびと
)
は
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
徒
常用漢字
小4
部首:⼻
10画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“徒然”で始まる語句
徒然草
徒然事
徒然慰草
徒然草抜穂