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あともど
ふりがな文庫
“
後戻
(
あともど
)” の例文
船問屋
(
ふなどいや
)
の西村から汽船で神戸へ着き、
後戻
(
あともど
)
りをして奈良へ参り、奈良と京都の二ヶ所について古美術を視察見学したのでありました。
幕末維新懐古談:66 奈良見物に行ったことのはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
写真班
(
しやしんはん
)
の
英雄
(
えいゆう
)
は、
乃
(
すなは
)
ちこの
三岐
(
みつまた
)
で一
度
(
ど
)
自動車
(
じどうしや
)
を
飛下
(
とびお
)
りて、
林間
(
りんかん
)
の
蝶
(
てふ
)
に
逍遥
(
せうえう
)
する
博士
(
はかせ
)
を
迎
(
むか
)
ふるために、
馳
(
は
)
せて
後戻
(
あともど
)
りをした
処
(
ところ
)
である。——
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そこを
上
(
のぼ
)
っても自分の室へは帰れないと気がついた彼は、もう一遍
後戻
(
あともど
)
りをする覚悟で、鏡から離れた
身体
(
からだ
)
を横へ向け直した。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
羊と喧嘩 ばかりして居て自分の身体を悪くしてしまっては困るから今日は
後戻
(
あともど
)
りをして一つ聞いて見なければならん。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
秀夫は
後戻
(
あともど
)
りをして牡蠣船の前からまた新京橋のほうへ往って最初の場所に立って見た。
姝
(
きれい
)
な
婢
(
じょちゅう
)
は琵琶を持っていた。
牡蠣船
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
少し
緩
(
ゆる
)
んで来た寒気が、また
後戻
(
あともど
)
りをして春らしい軟かみと生気とを
齎
(
もたら
)
して来た桜の枝が、とげとげしい余寒の風に
戦
(
おのの
)
くような日が、幾日も続いた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
工夫詰所を出た森君は
後戻
(
あともど
)
りを始めた。すると、来る時には気がつかなかったが、一軒の小さい
鍛冶屋
(
かじや
)
があった。
贋紙幣事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
しばらくして後の方を振り
顧
(
かえ
)
って見ると、お宮は本当に
後戻
(
あともど
)
りをして、もう向うの方に帰ってゆく様子である。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
そこでペンネンネンネンネン・ネネムは又うやうやしく世界長に礼をして、
後戻
(
あともど
)
りして退きました。三十人の部下はもう世界長の首尾がいいので大喜びです。
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
『
最初
(
さいしょ
)
から
申
(
もう
)
しきかせた
通
(
とお
)
り、一
度
(
ど
)
逢
(
あ
)
った
位
(
くらい
)
ですぐ
後戻
(
あともど
)
りする
修行
(
しゅぎょう
)
はまだ
本物
(
ほんもの
)
とは
言
(
い
)
われない。』とお
爺
(
じい
)
さんは
私達
(
わたくしたち
)
夫婦
(
ふうふ
)
に
向
(
むか
)
って
諄々
(
じゅんじゅん
)
と
説
(
と
)
ききかせて
下
(
くだ
)
さるのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
... 変える事が好きで毎朝料理法が違います。十日まで毎日変って行って十日目にまた
後戻
(
あともど
)
り致します」大原「それは大変ですね、十日が間毎日変ったものが食べられますか」
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
友人は余を信ずるを以て
敢
(
あえ
)
て余の彼が
言
(
ことば
)
に従わざるを
忿
(
いか
)
らずといえども、余を愛せざる兄弟姉妹(?)の眼よりは余は聖典の教訓に
逆
(
さか
)
らいしもの、基督より
後戻
(
あともど
)
りせしもの
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
しかし家へはいりかけると、ふいに
後戻
(
あともど
)
りして、停車場へ行き、列車到着の正確な時間を調べた。終わりに家へ帰り、ザロメを呼び、翌日の昼餐について長い間彼女と論じ合った。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
こぼれるほどに
乘
(
の
)
つた
客
(
きやく
)
は
行商
(
ぎやうしやう
)
の
町人
(
ちやうにん
)
、
野
(
の
)
ら
歸
(
がへ
)
りの
百姓
(
ひやくしやう
)
、
乳呑兒
(
ちのみご
)
を
抱
(
かゝ
)
へた
町家
(
ちやうか
)
の
女房
(
にようばう
)
、
幼
(
をさな
)
い
弟
(
おとうと
)
の
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
いた
町娘
(
まちむすめ
)
なぞで、一
度
(
ど
)
出
(
で
)
かゝつた
舟
(
ふね
)
が、
大
(
おほ
)
きな
武士
(
ぶし
)
の
爲
(
た
)
めに
後戻
(
あともど
)
りさせられたのを
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
『
冐險談
(
ばうけんだん
)
をしませうか——
今朝
(
けさ
)
から
初
(
はじ
)
めて』と
云
(
い
)
つて
愛
(
あい
)
ちやんは
些
(
や
)
や
恐
(
おそ
)
る々々、『でも、
昨日
(
きのふ
)
にまで
後戻
(
あともど
)
りするには
及
(
およ
)
ばなくつてよ、
何故
(
なぜ
)
ッて、
私
(
わたし
)
は
其時
(
そのとき
)
には
異
(
ちが
)
つた
人間
(
にんげん
)
だつたのですもの』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
単なる好奇心が少しぐらつきだして、
後戻
(
あともど
)
りしてその子供のために扉をしめる手伝いをしてやろうかとふと思ってみたが、あすこまで行くうちには牛乳瓶がもうごろごろと転げ出しているだろう。
卑怯者
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「しかし今晩のうちにも
後戻
(
あともど
)
りされることがありえますね」
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
「なんだか道が
後戻
(
あともど
)
りをするような気がしますねえ」
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
剣付鉄砲
(
けんつきでっぽう
)
を肩にして調練に三ヶ年の長の月日をやられては、第一技術の進歩を
挫
(
くじ
)
き、折角のこれまでの修業も
後戻
(
あともど
)
りする。
幕末維新懐古談:22 徴兵適齢のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
岸
(
きし
)
づたひに、
岩
(
いは
)
を
踏
(
ふ
)
んで
後戻
(
あともど
)
りを
為
(
し
)
て、
橋
(
はし
)
の
取着
(
とつゝき
)
の
宿
(
やど
)
へ
帰
(
かへ
)
つた、——
此
(
これ
)
は
前刻
(
さつき
)
渡
(
わた
)
つて、
向
(
むか
)
ふ
越
(
ごし
)
で、
山路
(
やまみち
)
の
方
(
はう
)
へ、あの
婆
(
ばあ
)
さんの
店
(
みせ
)
へ
出
(
で
)
た
橋
(
はし
)
だつた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
忘るべからざる二十四日の出来事を書こうと思って、原稿紙に向いかけると、何だか急に気が進まなくなったのでまた記憶を
逆
(
さかさ
)
まに向け直して、
後戻
(
あともど
)
りをした。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
『そんなことはいつでも
宜
(
よろ
)
しうございます。
修行
(
しゅぎょう
)
の
後戻
(
あともど
)
りがすると
大変
(
たいへん
)
でございますから……。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
下僕はその書面と
出際
(
でしな
)
に私共が持って来たところの一通の書面——それには総管の印が捺してあります——とを持って、荷物はなし身軽ですから、
一散
(
いっさん
)
に走って
後戻
(
あともど
)
りをして行きました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
水の汚い小川に
架
(
かゝ
)
つた
土橋
(
どばし
)
の上に立つて、小池が來た方を振り返へると、お光の姿が見えなくなつてゐたので、
後戻
(
あともど
)
りして探さうとすると、お光は町はづれの
小間物屋
(
こまものや
)
に荒物屋を兼ねたやうな店から
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
長谷から三輪へ来たのでは
後戻
(
あともど
)
りになる。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
爰
(
こゝ
)
で
復
(
ま
)
た
話談
(
はなし
)
が
後戻
(
あともど
)
りをしました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
其
上
(
うへ
)
、野々宮さんが
一家
(
いつか
)
の
主人
(
あるじ
)
から、
後戻
(
あともど
)
りをして、再び純書生と同様な生活状態に復するのは、
取
(
とり
)
も
直
(
なほ
)
さず家族制度から一歩遠退いたと同じ事で、自分に取つては
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
イヤイヤ一
度
(
ど
)
は
逢
(
あ
)
わせることに、
先方
(
むこう
)
の
指導霊
(
しどうれい
)
とも
手筈
(
はず
)
をきめて
置
(
お
)
いてある。
良人
(
おっと
)
と
逢
(
あ
)
った
位
(
くらい
)
のことで、すぐ
後戻
(
あともど
)
りするような
修行
(
しゅぎょう
)
なら、まだとても
本物
(
ほんもの
)
とは
言
(
い
)
われぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
話がずっと
後戻
(
あともど
)
りしますが、今日は少し別のはなしをしようかと思いますが、どうですか。
幕末維新懐古談:51 大隈綾子刀自の思い出
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
履
(
くつ
)
を脱いでこの冷たい川を渡るのは
難儀
(
なんぎ
)
だなあと考えて居りますと、下僕はまず荷物を先に渡しまたこちらに
後戻
(
あともど
)
りをして私を渡してくれましたので、その冷たい水へ入らずに
済
(
す
)
みました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
こんなものに始終気を
奪
(
と
)
られがちな私は、さっきまで胸の中にあった問題をどこかへ振り落してしまった。先生が突然そこへ
後戻
(
あともど
)
りをした時、私は実際それを忘れていた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
然し代助は此
尤
(
もつとも
)
を通り越して、気が
付
(
つ
)
かずにゐた。振り返つて見ると、
後
(
うしろ
)
の方に
姉
(
あね
)
と
兄
(
あに
)
と
父
(
ちゝ
)
がかたまつてゐた。自分も
後戻
(
あともど
)
りをして、
世間並
(
せけんなみ
)
にならなければならないと感じた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
見るや否や、二三歩
後戻
(
あともど
)
りをして三四郎の
傍
(
そば
)
へ
来
(
き
)
た。
人
(
ひと
)
に
目立
(
めだゝ
)
ぬ位に、自分の口を三四郎の耳へ近寄せた。さうして何か
私語
(
さゝや
)
いた。三四郎には何を云つたのか、少しも
分
(
わか
)
らない。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
医科大学生と間違へて
室
(
へや
)
の番号を聞いたのかしらんと思つて、五六歩あるいたが、急に気が付いた。女に十五号を聞かれた時、もう一
辺
(
ぺん
)
よし子の
室
(
へや
)
へ
後戻
(
あともど
)
りをして、案内すればよかつた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
もし
左様
(
さう
)
だとすれば、心臓から動脈へ
出
(
で
)
る
血
(
ち
)
が、少しづゝ、
後戻
(
あともど
)
りをする難症だから、根治は覚束ないと宣告されたので、平岡も驚ろいて、出来る丈養生に手を尽した
所為
(
せゐ
)
か、一年許りするうちに
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
後
常用漢字
小2
部首:⼻
9画
戻
常用漢字
中学
部首:⼾
7画
“後”で始まる語句
後
後生
後退
後方
後悔
後姿
後家
後手
後日
後世