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待合
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まちあい
ふりがな文庫
“
待合
(
まちあい
)” の例文
三人
連
(
づれ
)
の客だと、電話で
予
(
あらかじ
)
め女の方へ交渉して、客の方は
聯絡
(
れんらく
)
のついている
待合
(
まちあい
)
か旅館かへ行ってもらって家へは上げないようにしている。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
待合
(
まちあい
)
にしてある次の間には幾ら病人が
溜
(
た
)
まっていても、翁は小さい
煙管
(
きせる
)
で雲井を吹かしながら、ゆっくり盆栽を
眺
(
なが
)
めていた。
カズイスチカ
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
このあいだ高見順さんの「霙降る背景」と云う小説を読んでいたら、郊外の
待合
(
まちあい
)
で朝御飯を食べるところが描写してあった。
朝御飯
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
何かの会合の
崩
(
くず
)
れで、
近松秋江
(
ちかまつしゅうこう
)
、
長田幹彦
(
ながたみきひこ
)
、私、それに樗陰が加わって、
神楽坂
(
かぐらざか
)
の
待合
(
まちあい
)
で遊んだことがあったが、誰も懐中は乏しかったので
文壇昔ばなし
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
これは「ひやっこい/\」の水売で、処々にあった
水茶屋
(
みずぢゃや
)
というのは別なもの、今の
待合
(
まちあい
)
です。また貸席を兼ねたものです。
江戸か東京か
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
▼ もっと見る
……これだと料理屋、
待合
(
まちあい
)
などの娘で、
円髷
(
まるまげ
)
に
結
(
ゆ
)
った三十そこらのでも、
差支
(
さしつか
)
えぬ。むかしは江戸にも
相応
(
ふさわ
)
しいのがあった、
娘分
(
むすめぶん
)
と云うのである。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もうその時分車なんかありやしない、テクテクと、十何町の道を、行きつけの
待合
(
まちあい
)
へ歩いた。
酔狂
(
すいきょう
)
な男もあったものだ。
一人二役
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「ええ、そりゃ借手はいくらでもあるんでしょう。現にもう一口ばかり貸したんですって。
彼所
(
あすこ
)
いらの
待合
(
まちあい
)
か何かへ」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
被官稲荷
(
ひかんいなり
)
の傍の
待合
(
まちあい
)
を出た一人の女は、浅草神社の
背後
(
うしろ
)
を通って、観音堂の横手に往こうとして、右側の
路
(
みち
)
ぶちに立った大きな公孫樹の処まで往くと
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
芸妓のとりまきが一流と二流の相違は、
料亭
(
ちゃや
)
待合
(
まちあい
)
の格式、遊ぶ土地、すべての附合の範囲と広さにおよぼしている。
旧聞日本橋:13 お墓のすげかえ
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
しかるにその
甥
(
おい
)
なる
田崎某
(
たざきぼう
)
妾に向かいて、ある遊廓に
潜
(
ひそ
)
めるよし告げければ、妾先ず行きて磯山の在否を問いしに、
待合
(
まちあい
)
の
女将
(
おかみ
)
出
(
い
)
で来りて、あらずと弁ず。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
博多
(
はかた
)
市を貫流する
那珂川
(
なかがわ
)
、
春吉橋
(
はるよしばし
)
の畔、流れに面した
小粋
(
こいき
)
な
待合
(
まちあい
)
の一室で、二人の奇妙な生活がはじまった。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「……だから……おれは近いうちに、伊奈子と二人で家を借りて住むつもりだ。今までみたいに
待合
(
まちあい
)
にばかり泊っていちゃ、伊奈子のためにならないからナ。ハハハハハ」
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
橋場の渡しのほとりなるとある水荘の門に
山木兵造
(
やまきひょうぞう
)
別邸とあるを見ずば、
某
(
なにがし
)
の
待合
(
まちあい
)
かと思わるべき
家作
(
やづく
)
りの、しかも
音締
(
ねじ
)
めの
響
(
おと
)
しめやかに
婀娜
(
あだ
)
めきたる島田の
障子
(
しょうじ
)
に映るか
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
これは後で知ったことであるが、この老主人は何でも浅草公園附近の
待合
(
まちあい
)
に入りびたって、
似寄
(
によ
)
った連中と夜昼ぶっ通しに
賭博
(
とばく
)
をしたり飲んだりして日を送っているらしかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
いわばその
界隈
(
かいわい
)
にたくさんある
待合
(
まちあい
)
の建て物に手を入れて使っているような病院だった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それほど、このきらびやかな
待合
(
まちあい
)
の通りでは彼の着物がみすぼらしく、
溝板
(
どぶいた
)
のような下駄をはいているのであった。誰もかえり見るものもなく、また、知合いとてもないのである。
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
自分免許の政治家と名乗っている人が家では
天保時代
(
てんぽうじだい
)
の台所で野蛮風の食物を
喫
(
きっ
)
して、外へ出ると
待合
(
まちあい
)
で酒を飲んで芸者を引張るという
有様
(
ありさま
)
ではどうして一国の文明を進められましょう。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
白「そんな話をこゝでしては困るわな、
併
(
しか
)
し十九年ぶりで親子の対面、嘸話があろうが、いらざる事だが、供に知れても
宜
(
よ
)
くない事もあろうから、
何処
(
どこ
)
か
待合
(
まちあい
)
か何かへ行ってするがいゝ」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
茶器を持ち込む前に洗ってそろえておく控えの間(
水屋
(
みずや
)
)と、客が茶室へはいれと呼ばれるまで待っている玄関(
待合
(
まちあい
)
)と、待合と茶室を連絡している庭の小道(
露地
(
ろじ
)
)とから成っている。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
無神無仏又大阪の東北の
方
(
ほう
)
に
葭屋橋
(
あしやばし
)
と云う橋があるその橋手前の処を築地と
云
(
いっ
)
て、
在昔
(
むかし
)
は誠に
如何
(
いかが
)
な
家
(
うち
)
ばかり並んで居て、マア
待合
(
まちあい
)
をする地獄屋とでも云うような内実
穢
(
きた
)
ない町であったが
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
第一、公衆の目に触れないように場末の地を限って手軽な
待合
(
まちあい
)
営業を黙認し、その営業の不徳を自覚せしめて、出来るだけ目立たぬよう隠密にそれを営む心掛を徹底させることが必要である。
私娼の撲滅について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
◎
木挽町
(
こびきちょう
)
五丁目辺の或る
待合
(
まちあい
)
へ、二三年以前
新橋
(
しんばし
)
の
芸妓
(
げいぎ
)
某が、
本町
(
ほんちょう
)
辺の客を
咥
(
くわ
)
え込んで、泊った事が有った、何でも明方だそうだが、客が眼を覚して枕を
擡
(
もたげ
)
ると、坐敷の
隅
(
すみ
)
に何か居るようだ
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
それも煙草屋とか駄菓子屋のようなものではとても一同がやってゆけそうにないが、一度は本郷の竜岡町へ菓子屋の店を出したこともあった。そこで妻の英断でやり出したのが意外な
待合
(
まちあい
)
なのです。
牧野富太郎自叙伝:01 第一部 牧野富太郎自叙伝
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
随分
待合
(
まちあい
)
入りまでもして
渠
(
かれ
)
らと提携する金儲けの機会を
覘
(
うかが
)
っていた。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
そういってお宮のいる
置屋
(
うち
)
からつい近所の
待合
(
まちあい
)
に入った。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
三等
待合
(
まちあい
)
昼寝の男起き上り
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
「
待合
(
まちあい
)
さ」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
待合
(
まちあい
)
?」
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
さても僕の初めて芸者の帯解く姿を見たりしは既に記せし如く富士見町の寿鶴といふ
待合
(
まちあい
)
にして、勘定何もかも一切にて金参円を出でざりし。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
東京の家庭にもこれに似た遊戯があると聞いて、自分はかつてある
待合
(
まちあい
)
で芸者にやらせて見たことがあるが、唄の文句も節廻しも大阪のとはやや違う。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
相沢きんは相当の財産を溜め込んでいるだろうと云う風評であったが、きんはかつて
待合
(
まちあい
)
をしようとか、料理屋をしようなぞとは一度も考えた事がなかった。
晩菊
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
女はそこの
横町
(
よこちょう
)
を左へ曲った。むこうから
待合
(
まちあい
)
の帰りらしい二人の
壮
(
わか
)
い男が来たが、その二人の眼は哲郎の方へじろじろと
注
(
そそ
)
がれた。彼はきまりが悪かった。
青い紐
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
銀座の
眩
(
まぶ
)
しいショウ・ウィンドウを見ている人には自家用自動車で
待合
(
まちあい
)
通いやカッフェー入りをする人には、夏は
扇風機
(
せんぷうき
)
、冬は
暖炉
(
だんろ
)
に、思うようしたい放題のことのできる人には
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
代地に名うての
待合
(
まちあい
)
朝倉
(
あさくら
)
の戸口を開けて、つと入り来るは四十近いでつぷり太つた男、白の
縞上布
(
しまじょうふ
)
の
帷子
(
かたびら
)
の
襟
(
えり
)
寛
(
くつろ
)
げて、
寄道
(
よりみち
)
したお蔭にこの悪い道を歩かせられしため暑さも
一入
(
ひとしお
)
なり
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
待合
(
まちあい
)
や、料理店をはじめると、
分明
(
はっきり
)
した区別がないので、あんな風になったと思われますから、はじめるならいっそ、みんなから見張ってもらっているこんな
商業
(
しょうばい
)
の方が好いと思って
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
横町の
稲荷
(
いなり
)
の鄰に何庵とかいふ
蕎麦屋
(
そばや
)
の二階より口をかけて小しまを呼べば、すぐに来て、あら、お酒がいらないのなら、
待合
(
まちあい
)
さんから呼べばいいのに。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
年増の
隻手
(
かたて
)
は道夫の肩にかかった。道夫は
待合
(
まちあい
)
にでも往ってるような気になって女に体をまかして往った。
馬の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
新富座主の豪遊する、木挽町の
待合
(
まちあい
)
は、明治顕官の遊ぶところで、当時の待合のおかみ、
芸妓
(
げいしゃ
)
たちは、お客の顕官を友達のように思っていたりするので、勘弥とその人たちを結びつかせた。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
わが十七、八の頃一番町の家に来りて、ゆうべは江戸川端の
待合
(
まちあい
)
にて芸者の寝込を捕へたりなぞ、その後家に来りし車夫に語りゐたりしを聞きし事ありき。
礫川徜徉記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
奴さん
自暴自棄
(
やけくそ
)
になって、もと往ったことのある
烏森
(
からすもり
)
の
待合
(
まちあい
)
へ往って、女を
対手
(
あいて
)
にして酒を飲んでいたが、それも面白くないので、十二時
比
(
ころ
)
になって
自宅
(
うち
)
へ帰ったさ
雨夜草紙
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「知れたもんさ。しかし金で女を買うなんざア、ちッとお
人
(
ひと
)
が
好過
(
よすざ
)
らア。僕ァ公園で二、三軒
待合
(
まちあい
)
を知ってるよ。連れてッてやろう。
万事
(
ばんじ
)
方寸
(
ほうすん
)
の
中
(
うち
)
にありさ。」
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
某夜
(
あるよ
)
、築地の
待合
(
まちあい
)
へ客に呼ばれて往った
某妓
(
あるおんな
)
が、迎えの車が来ないので一人で歩いて帰り、釆女橋まで往ったところで、川が無くなって一めんに
草
(
くさ
)
茫茫
(
ぼうぼう
)
の野原となった。
築地の川獺
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
京子は芸者に出ていた頃のお客をそのまま
妾宅
(
しょうたく
)
へ
引込
(
ひきこ
)
み、それでも足りない時は知合いの
待合
(
まちあい
)
や結婚媒介所を歩き廻って、結句何不自由もなく日を送っているのを
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「お茶の水のアパートメントへ往ってもいいし、新橋の
待合
(
まちあい
)
へ往ってもいいよ」
文妖伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「
待合
(
まちあい
)
だよ。」と
囁
(
ささや
)
き聞かせ、「差しつかえはないだろう。今夜は
晩
(
おそ
)
いからね。僕の知ってる処がいいだろう。それとも君江さん。どこか知っているなら、そこへ行こう。」
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼はその眼をまた入口の方へやった。セルの
袴
(
はかま
)
を
穿
(
は
)
いた背の高い学生が出て往くところであった。……ついすると、
待合
(
まちあい
)
へ往っていて、
婢
(
じょちゅう
)
でも呼びによこすかも判らないぞ、と、彼はまた思った。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
肩のいかった
身体付
(
からだつき
)
のがっしりした女であるが、長年
新富町
(
しんとみちょう
)
の何とやらいう
待合
(
まちあい
)
の女中をしていたとかいうので
襟付
(
えりつき
)
の
紡績縞
(
ぼうせきじま
)
に
双子
(
ふたこ
)
の
鯉口半纏
(
こいぐちはんてん
)
を重ねた襟元に新しい
沢瀉屋
(
おもだかや
)
の
手拭
(
てぬぐい
)
を掛け
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
お千代は
池
(
いけ
)
の
端
(
はた
)
の
待合
(
まちあい
)
で出会ったことがあるというので、もし近処のものにでも秘密の身の上をしゃべられでもしたらと、万一の事を心配して、早速現在の貸間を
捜
(
さが
)
して引移ったわけである。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
日頃
(
ひごろ
)
贔屓
(
ひいき
)
にしてくれる
待合
(
まちあい
)
二、三軒へ問合したがやはり同じことである。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“待合”の解説
待合(まちあい)は、待ち合わせや会合のための場所を提供する貸席業(貸座敷とも呼ばれる)で、(東京などで)主に芸妓との遊興や飲食を目的として利用された。京都でお茶屋と呼ばれる業態に相当する。
今日ではほとんど死語であるが、法律用語に残っており、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第1項第2号に「待合、料理店、カフェーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」という規定がある。
(出典:Wikipedia)
待
常用漢字
小3
部首:⼻
9画
合
常用漢字
小2
部首:⼝
6画
“待合”で始まる語句
待合室
待合茶屋
待合所
待合式
待合半輪
待合席料
待合部屋