往復わうふく)” の例文
湯治たうぢ幾日いくにち往復わうふく旅錢りよせんと、切詰きりつめた懷中ふところだし、あひりませうことならば、のうちに修善寺しゆぜんじまで引返ひきかへして、一旅籠ひとはたごかすりたい。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
A どうも永々なが/\御馳走樣ごちそうさま葉書はがきはじまつた御縁ごえんだから毎日まいにちまいづつの往復わうふくぐらゐあたまへだね。しかなにしろ葉書はがきといふやつ面白おもしろいものだね。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
すでたふ建立けんりつをはつたので、最早もはや歸途きとむか一方いつぽうである。往復わうふく五日いつか豫定よていが、その二日目ふつかめには首尾しゆびよく歸終きろくやうになつたのは、非常ひじやう幸運こううんである。
年齡としむにしたがつてみじかかんずる月日つきひがさういふあひだ循環じゆんくわんして、くすんでえることのおほ江戸川えどがはみづ往復わうふくする通運丸つううんまるうしえるやうな汽笛きてきみて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
実に可懐なつかしかつたのです、顔を見ると手をつて、たゞち旧交きふこうあたゝめられるとわけで、其頃そのころ山田やまだわたし猶且やはり第二中学時代とかはらずしばんでましたから、往復わうふくともに手をたづさへて
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
手紙てがみ往復わうふくによつて、さうした恋愛れんあい成立せいりつしたらしいのであつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
大丈夫だいぢやうぶ往復わうふくぶんと、中二日なかふつか何處どこかで一杯いつぱいめるだけ。……宿やどうせ矢太やたさんの高等御下宿かうとうおんげしゆくにお世話樣せわさまるんでせう。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大約おほよそ三百ヤードばかり距離きよりを四くわい往復わうふくするのであるが優勝者チヤンピオンには乘組のりくみ貴婦人連レデイれんからうるはしき贈物おくりものがあるとのことで、英人エイじん佛人フツじん獨逸人ドイツじん其他そのほか伊太利イタリー瑞西スイツツル
にん田甫たんぼ往復わうふくしてからしばらつて村落むらうちからは何處どこいへからも提灯ちやうちんもつ田甫たんぼみち老人としより子供こどもとがぞろ/″\とほつた。勘次かんじ提灯ちやうちん佛壇ぶつだん燈明皿とうみやうざらうつした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
B ぼく又折々またをり/\葉書はがき友人いうじん論戰ろんせんすることがある。十まいづつも葉書はがき往復わうふくするとなり面白おもしろ論戰ろんせん出來できる。まじめな論戰ろんせんをやることもあれば、惡口あくこうきあひや皮肉ひにくひあひをすることもある。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
じつは、故郷こきやうへの往復わうふくに、ころ交通かうつう必要上ひつえうじやうむを幾度いくど長途ながみちくるまにたよつたため、何時いつとなくるのにれたものであらうとおもふ。……
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
前檣ぜんしやう後檣こうしやうとのあひだを四五くわい往復わうふくするうちその惡感あくかん次第しだい/\にうすらいでたので、最早もはや船室ケビンかへつて睡眠すいみんせんと、あゆあしいま昇降口しようかうぐちを一だんくだつたときわたくし不意ふいに一しゆ異樣ゐやうひゞきいた。
「はあ、北海道ほくかいだうへは始終しじう往復わうふくをするですが、今度こんど樺太からふとまでくですて。」
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)