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尽
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こと/″\
ふりがな文庫
“
尽
(
こと/″\
)” の例文
旧字:
盡
然
(
しか
)
しこれもまた、
長吉
(
ちやうきち
)
には近所の
店先
(
みせさき
)
の
人目
(
ひとめ
)
が
尽
(
こと/″\
)
く自分ばかりを
見張
(
みは
)
つて
居
(
ゐ
)
るやうに思はれて、とても五分と長く立つてゐる事はできない。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
良正は高望王の庶子で、妻は護の
女
(
むすめ
)
であつた。護は老いて三子を
尽
(
こと/″\
)
く失つたのだから悲嘆に暮れたことは推測される。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
雪枝
(
ゆきえ
)
はハツと
身
(
み
)
を
伏
(
ふ
)
せて、
巌
(
いは
)
に
吸込
(
すひこ
)
まれるかと
呼吸
(
いき
)
を
詰
(
つ
)
めたが、
胸
(
むね
)
の
動悸
(
だうき
)
が、
持上
(
もちあ
)
げ
揺上
(
ゆりあ
)
げ、
山谷
(
さんこく
)
尽
(
こと/″\
)
く
震
(
ふる
)
ふを
覚
(
おぼ
)
えた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
談話速記には
尽
(
こと/″\
)
く仮名が使ってあるが、それが二川子爵家の出来事である事は、関係者にとっては余りにも明白だ。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
併
(
しか
)
し
博識
(
ものしり
)
の仰しゃる事には、随分
拵事
(
こしらえごと
)
も有って、
尽
(
こと/″\
)
く
当
(
あて
)
にはなりませんが、出よう/\と云う気を止めて置きますと、其の気というものが
早晩
(
いつか
)
屹度
(
きっと
)
出るというお話
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
此
(
この
)
分では天下の田は
尽
(
こと/″\
)
く墓となり
相
(
さう
)
であるが、
何
(
いづ
)
れも無名卑民の墓であるから十年二十年の
後
(
のち
)
には
大抵畑主
(
はたぬし
)
が
鍬
(
くは
)
に掛けて崩して
仕舞
(
しま
)
つて格別苦情も出ないのだと云ふ。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
などゝ
云
(
い
)
ふ
面々
(
めん/\
)
は、
此
(
こ
)
の
創立
(
さうりつ
)
の
際
(
さい
)
には
尽
(
こと/″\
)
く
未見
(
みけん
)
の人であつたのも
亦
(
また
)
一奇
(
いつき
)
と
謂
(
い
)
ふべきであります
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
栗山問ふて曰く、綱目を読みしや否や、答へて曰く未だ
尽
(
こと/″\
)
く読む能はずと雖も只其大意を領せりと。嗚呼唯大意を領せりの一句即ち襄が終身の読書法也。栗山
頷
(
うなづき
)
て曰く可也。
頼襄を論ず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
が、
幾何
(
いくばく
)
もなく、宣教師はキリスト教を伝道して日本を侵略する下心ありとして、家康は、慶長十七年、天下に令して、キリスト教を厳禁し、外国宣教師を
尽
(
こと/″\
)
く海外に追放した。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
而して其の
苟
(
いやしく
)
も鉱毒事件に関する者は信書と印刷物と其の新と旧とを問はず
尽
(
こと/″\
)
く之を押収し去れり。多くの拘引状は尚ほ警官の手に握られてあり。何時、誰れが捕縛し去られんも知るべからず。
鉱毒飛沫
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
哲学の高致を解せざるが故に、愚物を
騙罔
(
へんまう
)
して文学を
遠
(
とほざ
)
くべしと謂ふ、斯くして一国の愛国心をも一国の思想をも一国の元気をも一国の高妙なる趣味をも
尽
(
こと/″\
)
く
苅尽
(
かいじん
)
して、以て福音を
布
(
し
)
かんとす
各人心宮内の秘宮
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
日を照りかへして白く
晃
(
きら
)
めく岩の山、見るだに
咽喉
(
のんど
)
のいらく土の家、見るもの
尽
(
こと/″\
)
く唯渇きに渇きて、旅人の気も遠く目も
眩
(
くら
)
まんとする時、こゝに活ける水の泉あり、
滾々
(
こん/\
)
として岩間より湧き出づ。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
空は鏡のやうに
明
(
あかる
)
いのでそれを
遮
(
さへぎ
)
る
堤
(
つゝみ
)
と
木立
(
こだち
)
はます/\黒く、星は
宵
(
よひ
)
の
明星
(
みやうじやう
)
の
唯
(
たつ
)
た一つ見えるばかりで
其
(
そ
)
の
他
(
た
)
は
尽
(
こと/″\
)
く余りに
明
(
あかる
)
い空の光に
掻
(
か
)
き消され
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
生優しい手段は
尽
(
こと/″\
)
く効を奏せず、いら/\して来た彼等は今は殆ど頭ごなしに押えつけて白状させようとしている。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
時に州を領するの間滅亡する者其数
幾許
(
いくばく
)
なるを知らず、
況
(
いは
)
んや存命の
黎庶
(
れいしよ
)
は、
尽
(
こと/″\
)
く将門の為に虜獲せらるゝ也。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
爪の間を掃除致すものを持って参り、下女に浴衣を抱えさせてお湯に這入りますのが
尽
(
こと/″\
)
く長い。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
若
(
も
)
し夫れ環の端なきが如く、
繚繞
(
れうぜう
)
として一個の道理を始より終りまで繰り返へし、秩序もなく、論式もなく、冒頭もなく結論もなく、常山の蛇の首尾
尽
(
こと/″\
)
く動くが如く、其一段
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
……
其
(
そ
)
の
中
(
なか
)
で、
山高
(
やまかた
)
が
突立
(
つきた
)
ち、
背広
(
せびろ
)
が
肩
(
かた
)
を
張
(
は
)
つたのは、
皆
(
みな
)
同室
(
どうしつ
)
の
客
(
きやく
)
。で、こゝで
園
(
その
)
と
最
(
も
)
う
一人
(
ひとり
)
——
上野
(
うへの
)
を
出
(
で
)
ると
其
(
そ
)
れ
切
(
きり
)
寝
(
ね
)
たまゝの
茶
(
ちや
)
の
外套氏
(
ぐわいたうし
)
ばかりを
残
(
のこ
)
して、
尽
(
こと/″\
)
く
下車
(
げしや
)
したのである。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
枯
(
か
)
れた
樹木
(
じゆもく
)
、
乾
(
かわ
)
いた
石垣
(
いしがき
)
、
汚
(
よご
)
れた
瓦屋根
(
かはらやね
)
、目に
入
(
い
)
るものは
尽
(
こと/″\
)
く
褪
(
あ
)
せた寒い色をして
居
(
ゐ
)
るので、
芝居
(
しばゐ
)
を出てから一
瞬間
(
しゆんかん
)
とても
消失
(
きえう
)
せない
清心
(
せいしん
)
と
十六夜
(
いざよひ
)
の
華美
(
はで
)
やかな
姿
(
すがた
)
の
記憶
(
きおく
)
が
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
写真帳のどの部分からも支倉自身の写真と思われるものは
尽
(
こと/″\
)
く引裂かれているのだった。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
彼は詩に於ても実際脈なり、其詠ずる所
尽
(
こと/″\
)
く取つて以て風土記に代ふべき也。
頼襄を論ず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
双六巌
(
すごろくいは
)
の、
其
(
そ
)
の
虹
(
にじ
)
の
如
(
ごと
)
き
格目
(
こまめ
)
は、
美女
(
たをやめ
)
の
帯
(
おび
)
のあたりをスーツと
引
(
ひ
)
いて、
其処
(
そこ
)
へも
紫
(
むらさき
)
が
射
(
さ
)
し、
黄
(
き
)
が
映
(
うつ
)
る……
雲
(
くも
)
は、
霞
(
かすみ
)
は、
陽炎
(
かげらふ
)
は、
遠近
(
をちこち
)
に
尽
(
こと/″\
)
く
此
(
こ
)
の
美女
(
たをやめ
)
を
形
(
かたち
)
づくるために、
濃
(
こ
)
くも
薄
(
うす
)
くも
懸
(
かゝ
)
るらし。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
薬石
(
やくせき
)
尽
(
こと/″\
)
く無用、自ら病を求めて病が
起
(
おこ
)
るのじゃ、其の病を自分手に
拵
(
こしら
)
え、遂に煩悩という
苦悩
(
なやみ
)
も出る、
之
(
これ
)
を知らずに居って、今死ぬという間際の時に、あゝ悪いことをした、あゝせつない何う仕よう
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
尽
常用漢字
中学
部首:⼫
6画
“尽”を含む語句
愛想尽
尽頭
立尽
燃尽
射尽
大尽
蕩尽
尽瘁
不尽
無尽蔵
心尽
尽日
御尽力
曲尽
国尽
尽未来際
無尽講
町尽
埋尽
不尽山
...