夜店よみせ)” の例文
このは、まちは、いつもとことなって、いろいろの夜店よみせが、大門だいもん付近ふきんから、大通おおどおりにかけて、両側りょうがわにところせまいまでならんでいました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いや、おはづかしい、おけるやうなのではござりません、それに夜店よみせひましたので、御新姐樣ごしんぞさま、おれましてはきたなうござります。」
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「まア、きたないわ」と紅子べにこわめいた。「お膳の下から出すものよ。夜店よみせでバナナを買ってきたんでしょう」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
馬鹿ばからしい氣違きちがひじみた、我身わがみながらわからぬ、もう/\かへりませうとて横町よこちようやみをばはなれて夜店よみせならぶにぎやかなる小路こうぢまぎらしにとぶら/\るけば
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
昔の夜店よみせには美しい西洋館の屋上から金色のたまがころがり出し、いろいろの部屋を抜け、階段を通り、複雑な線路を縦横に走り廻って落ちて来る仕掛の露店があった。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
表向きの障子しょうじに向っては一つの机が置かれていて、その上にはザラ紙の原稿紙や封筒や二、三冊の法律書の他に、夜店よみせにさらされているような旧式な英和辞書がきちんと積み重ねられてあった。
辰夫たつおさん、つれていってもらわなくても、ばんに、おねえさんが、夜店よみせへつれていってあげるから。」と、おねえさんがおっしゃいました。
草を分けて (新字新仮名) / 小川未明(著)
いゝえ、おはづかしい、御目おめけるやうなのではござりません。それに、夜店よみせひましたので、お新造樣しんぞさまれましてはきたなうござります。」
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
園部の弁明によると、それはB駅を下りたところで店をしまいかけた夜店よみせの商人から買ったのだという。
麻雀殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
年増としまはまだよし、十五六の小癪こしやくなるが酸漿ほうづきふくんで此姿このなりはとをふさぐひともあるべし、ところがら是非ぜひもなや、昨日きのふ河岸店かしみせ何紫なにむらさき源氏名げんじなみゝのこれど、けふは地廻ぢまわりのきち手馴てなれぬ燒鳥やきとり夜店よみせして
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おんなは、れるのをっていました。やがて、晩方ばんがたになると、まちへいってみました。もう八百屋やおや小僧こぞう夜店よみせしていました。
初夏の不思議 (新字新仮名) / 小川未明(著)
夜店よみせのさかりにては、屈竟くつきやうわかものが、お祭騷まつりさわぎにてる。土地とち俳優やくしや白粉おしろいかほにてことあり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「そんなら、S町エスまち夜店よみせへいってごらん。あのへんには、外人がいじん家族かぞくが、たくさんきているから、ないともかぎらない。」
緑色の時計 (新字新仮名) / 小川未明(著)
夜店よみせに、大道だいだうにて、どぢやうき、くしにさし、付燒つけやきにしてるを關東燒くわんとうやきとておこなはる。蒲燒かばやき意味いみなるべし。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
地理ちり時間じかんでした。小山こやまは、夜店よみせったといって、丹下左膳たんげさぜんさむらいちいさな人形にんぎょうを二つ三つ、かみせて、したから磁石じしゃくあやつっておどらせていました。
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こち黒鯛くろだひのぴち/\はねる、夜店よみせつ、……魚市うをいちところは?」「あの、した黒江町くろえちやう……」と同伴つれゆびさしをする、そのが、した往來わうらいおよがせて、すつとひらいて
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「おじさん、ぼくたちのまちへおいでよ。ばん夜店よみせてにぎやかだから。」と、たけちゃんが、いいました。
海へ帰るおじさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
うとつたものはなかつたらう、うへ、ぞつこんおもひこがれる御新造ごしんぞのおきみやさしい風情ふぜいのあるのをうかゞつて、居𢌞ゐまはりの夜店よみせなどで、表紙へうしやぶれた御存ごぞんじのうたほんあさつて
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
にいさん、こいをっておくれ、毎晩まいばん夜店よみせっているから。」と、すえおとうとがいいました。
水盤の王さま (新字新仮名) / 小川未明(著)
うへ、ぞつこんおもひこがれる御新姐ごしんぞくみが、やさしい風流ふうりうのあるのをうかゞつて、居𢌞ゐまはりの夜店よみせ表紙へうしやぶれた御存ごぞんじのうたほんあさつてて、なんとなくひとせるやうにひねくつてたのであつた。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そののことであります。がたいもうとは、すえおとうとをつれて夜店よみせにいって、かえりに三ずんばかりのつよそうなあかくろぶちのこいを二ひきってきました。そして、それを水盤すいばんなかはなったのです。
水盤の王さま (新字新仮名) / 小川未明(著)
「このすいかをべたひと長生ながいきします。今晩こんばん、このすいかを夜店よみせってると、きっとがよくれますよ。」と、薬売くすりうりはいいました。そして、わか薬売くすりうりは、あちらにいってしまいました。
初夏の不思議 (新字新仮名) / 小川未明(著)