トップ
>
場末
>
ばすゑ
ふりがな文庫
“
場末
(
ばすゑ
)” の例文
そこ
此処
(
こゝ
)
に二三
軒
(
けん
)
今戸焼
(
いまどやき
)
を売る店にわづかな特徴を見るばかり、
何処
(
いづこ
)
の
場末
(
ばすゑ
)
にもよくあるやうな低い
人家
(
じんか
)
つゞきの
横町
(
よこちやう
)
である。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
と
呟
(
つぶや
)
いて
一
(
ひと
)
ツ
溜息
(
ためいき
)
する。……
橋詰
(
はしづめ
)
から
打向
(
うちむか
)
ふ
眞直
(
まつすぐ
)
な
前途
(
ゆくて
)
は、
土塀
(
どべい
)
の
續
(
つゞ
)
いた
場末
(
ばすゑ
)
の
屋敷町
(
やしきまち
)
で、
門
(
かど
)
の
軒
(
のき
)
もまばらだけれども、
其
(
それ
)
でも
兩側
(
りやうがは
)
は
家續
(
いへつゞ
)
き……
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
しかし
本所
(
ほんじよ
)
の或
場末
(
ばすゑ
)
の小学生を教育してゐる僕の旧友の言葉に依れば、少くともその
界隈
(
かいわい
)
に住んでゐる人々は子供の
数
(
かず
)
の多い家ほど
反
(
かへ
)
つて暮らしも
楽
(
らく
)
だと云ふことである。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
引
(
ひき
)
ずりながら
後
(
あと
)
に從ひ音羽町の七丁目迄來りしが長三郎は此時は頻に
腹痛
(
ふくつう
)
なし初め
堪
(
こら
)
へ難なく成しかば
厠
(
かはや
)
に
入
(
いら
)
んと思へども
場末
(
ばすゑ
)
の土地とて
借
(
かり
)
んと思ふ茶屋さへ
非
(
あら
)
ぬに
困
(
こう
)
じたり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
先
(
ま
)
づ二
臺
(
だい
)
の三
等車
(
とうしや
)
、
次
(
つぎ
)
に二
等車
(
とうしや
)
が一
臺
(
だい
)
、
此
(
この
)
三
臺
(
だい
)
が一
列
(
れつ
)
になつてゴロ/\と
停車場
(
ていしやぢやう
)
を
出
(
で
)
て、
暫時
(
しばら
)
くは
小田原
(
をだはら
)
の
場末
(
ばすゑ
)
の
家立
(
いへなみ
)
の
間
(
あひだ
)
を
上
(
のぼり
)
には
人
(
ひと
)
が
押
(
お
)
し
下
(
くだり
)
には
車
(
くるま
)
が
走
(
はし
)
り、
走
(
はし
)
る
時
(
とき
)
は
喇叭
(
らつぱ
)
を
吹
(
ふ
)
いて
進
(
すゝ
)
んだ。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
いつも両側の
汚
(
よご
)
れた
瓦屋根
(
かはらやね
)
に
四方
(
あたり
)
の
眺望
(
てうばう
)
を
遮
(
さへぎ
)
られた地面の低い
場末
(
ばすゑ
)
の
横町
(
よこちやう
)
から、
今
(
いま
)
突然
(
とつぜん
)
、橋の上に出て見た四月の
隅田川
(
すみだがは
)
は
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
が、
最
(
も
)
う
目貫
(
めぬき
)
の
町
(
まち
)
は
過
(
す
)
ぎた、
次第
(
しだい
)
に
場末
(
ばすゑ
)
、
町端
(
まちはづ
)
れの——と
言
(
い
)
ふとすぐに
大
(
おほき
)
な
山
(
やま
)
、
嶮
(
けはし
)
い
坂
(
さか
)
に
成
(
な
)
ります——あたりで。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
東京の冬は何よりも
漬
(
つ
)
け
菜
(
な
)
の茎の色に
現
(
あらは
)
れてゐる。殊に
場末
(
ばすゑ
)
の町々では。
都会で
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
穴
(
あな
)
のやうな
眞暗
(
まつくら
)
な
場末
(
ばすゑ
)
の
裏町
(
うらまち
)
を
拔
(
ぬ
)
けて、
大川
(
おほかは
)
に
架
(
か
)
けた、
近道
(
ちかみち
)
の、ぐら/\と
搖
(
ゆ
)
れる
一錢橋
(
いちもんばし
)
と
云
(
い
)
ふのを
渡
(
わた
)
つて、
土塀
(
どべい
)
ばかりで
家
(
うち
)
の
疎
(
まばら
)
な、
畠
(
はたけ
)
も
池
(
いけ
)
も
所々
(
ところ/″\
)
、
侍町
(
さむらひまち
)
を
幾曲
(
いくまが
)
り、で
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
この風やこの雨には一種特別の
底深
(
そこぶか
)
い力が含まれて
居
(
ゐ
)
て、寺の
樹木
(
じゆもく
)
や、
河岸
(
かはぎし
)
の
葦
(
あし
)
の葉や、
場末
(
ばすゑ
)
につゞく貧しい家の
板屋根
(
いたやね
)
に、春や夏には決して聞かれない
音響
(
おんきやう
)
を伝へる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
固
(
もと
)
より
以前
(
いぜん
)
から、
友造
(
ともざう
)
の
家
(
いへ
)
は、
土地
(
とち
)
でも、
場末
(
ばすゑ
)
の、
町
(
まち
)
はづれの、
舊
(
もと
)
の
足輕町
(
あしがるまち
)
の
破
(
やぶ
)
れ
長屋
(
ながや
)
に、
家族
(
かぞく
)
が
大勢
(
おほぜい
)
で、かびた、
濕
(
しめ
)
つた、じと/\した
貧
(
まづ
)
しい
暮
(
くら
)
しで
居
(
ゐ
)
たのであるから
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それからまた
向
(
むか
)
ふから
渡
(
わた
)
つて
来
(
き
)
てこの
橋
(
はし
)
を
越
(
こ
)
して
場末
(
ばすゑ
)
の
穢
(
きたな
)
い
町
(
まち
)
を
通
(
とほ
)
り
過
(
す
)
ぎると、
野原
(
のはら
)
へ
出
(
で
)
る。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
ちやうど
市
(
まち
)
の
場末
(
ばすゑ
)
に
住
(
す
)
むでる
日傭取
(
ひようとり
)
、
土方
(
どかた
)
、
人足
(
にんそく
)
、それから、
三味線
(
さみせん
)
を
弾
(
ひ
)
いたり、
太鼓
(
たいこ
)
を
鳴
(
な
)
らして
飴
(
あめ
)
を
売
(
う
)
つたりする
者
(
もの
)
、
越後獅子
(
ゑちごじゝ
)
やら、
猿廻
(
さるまはし
)
やら、
附木
(
つけぎ
)
を
売
(
う
)
る
者
(
もの
)
だの、
唄
(
うた
)
を
謡
(
うた
)
ふものだの
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
漸
(
や
)
つと、
其
(
そ
)
の(
思
(
おも
)
つた)が
消
(
き
)
えて、まざ/\と
恁
(
か
)
うしてものを
言交
(
いひか
)
はせば、
武藏野
(
むさしの
)
の
丘
(
をか
)
の
横穴
(
よこあな
)
めいた、
山
(
やま
)
の
手
(
て
)
場末
(
ばすゑ
)
の
寂
(
さ
)
びた
町
(
まち
)
を、
搜
(
さぐ
)
り/\に
稼
(
かせ
)
いで
歩行
(
ある
)
くのが、
誘
(
さそ
)
ひ
合
(
あ
)
はせて、
年
(
とし
)
を
越
(
こ
)
す
蚊
(
か
)
のやうに
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「こんな
堅
(
かた
)
い
蕎麥
(
そば
)
が
食
(
く
)
はれるかい。
場末
(
ばすゑ
)
だなあ。」
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
場
常用漢字
小2
部首:⼟
12画
末
常用漢字
小4
部首:⽊
5画
“場末”で始まる語句
場末町
場末生活