さゝや)” の例文
さゝやぐものもありましたが、かの飜へつた縁の帽を被つた先生は、これを聞くや否や、直ぐにこそ/\と逃げて仕舞ひました。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
太皷たいこ、うたはせてはせてひとことしてたいとをりふし正太しようたさゝやいてかせれば、おどろいてあきれておいらはやだな。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『おまへ上話うへばなしをする約束やくそくではなくッて』とつてあいちやんは、『何故なぜきらひなのサ——ネとイが』とあとからさゝやくやうにひました、またねずみおこりはしないかと氣遣きづかはしげに。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
獅子しゝ友呼ともよび!。』と一名いちめい水兵すいへいさゝやいた。成程なるほど遠雷えんらいごと叫聲さけびごゑ野山のやま響渡ひゞきわたると、たちま其處そこもりからも、彼處かしこ岩陰いはかげからも三頭さんとう五頭ごとう猛獸まうじうぐんをなしてあらはれてた。
『靜子さんですよ。』とさゝやいたお利代は急いで立つ。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
文字もじはやがてみゝわきおそろしきこゑもてさゝやくぞかし、一通いつゝうもとふるへて卷收まきをさめぬ、二通につうおなじく三通さんつう四通しつう五六通ごろくつうよりはすこかほいろかはりてえしが、はつ十通じつゝう十二通じふにつう
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
だれかゞつたわ』とあいちやんはさゝやいて、『自分じぶん稼業しやうばい忠實ちゆうじつなものはだれでも成功せいこうする!』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
つてうさぎ氣遣きづかはしげに自分じぶんかた幾度いくどました、それから爪先つまさきあがり、あいちやんの耳元みゝもとちかくちせて、『あいちやんが死刑しけい宣告せんこくもとにある』とふことをさゝやきました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
果敢はかなのやとうちあふげばそら月影つきかげきよし、ひぢせたる丸窓まるまどのもとにんのさゝやきぞかぜをぎともずり、かげごとかあはれはづかし、見渡みわた花園はなぞのるのにしきつきにほこりて
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
無骨ぶこつぺん律義りつぎをとこわすれての介抱かいほうひとにあやしく、しのびやかのさゝややが無沙汰ぶさたるぞかし、かくれのかたの六でうをばひと奧樣おくさましやく部屋べや名付なづけて、亂行らんげうあさましきやうにとりなせば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
高僧頭巾こそづきん肩掛かたかけひきまとひ、良人つまきみもろとも川崎かはさき大師だいし參詣さんけいみちすがら停車塲ていしやば群集くんじゆに、あれは新橋しんばしか、何處どこのでらうとさゝやかれて、奧樣おくさまともはれぬるながられをあさからずうれしうて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
文字もんじはやがて耳のわきおそろしき声もてさゝやくぞかし。
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
れどなほらぬかほ八重やへつねぬことよふてかしてもさそうなと打怨うちゑんずればやうにいそぎなされますなと打笑うちわらひながらきみより御返事おへんじまゐりしなりこれがおうれしからぬことかとさゝやかれてみゝくわつとあつくなりつむねとヾろかれてそでしたしほぐさにはかにはにもらぬを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)