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勢
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せい
ふりがな文庫
“
勢
(
せい
)” の例文
山門の衆徒と申せば、その
勢
(
せい
)
、三千という大人数でござります。彼らの意見が、全く同じとは考えられません。とにかく一度、牒状を
現代語訳 平家物語:07 第七巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
「何、北条殿の
御意
(
ぎょい
)
で、これに
勢
(
せい
)
を伏せておらるるとか。——さては、われわれの
謀
(
たくら
)
みが、
疾
(
と
)
く先方に洩れているのではあるまいか」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
音沢から来た二人の若い人夫は、此処は深いだで泳げるとか、
勢
(
せい
)
が強いで泳げないとかいう意味のことを大声で口早に話し合っていた。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
気の
勢
(
せい
)
か彼女の腕には、思ひの他の力があつて、グツと引き寄せられると彼は案山子のやうに彼女の胸に倒れかゝりさうになつたりした。
小川の流れ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「銭形の親分さん、この
敵
(
かたき
)
を討って下さい。私にはたった一人の娘、あれに死なれては、これから先一日も生きて行く
勢
(
せい
)
もございません」
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
監物は眼の
勢
(
せい
)
であったなと思った。朝になって皆が手水を使って朝飯の膳に向ったところで、臣の一人が隣にいた朋輩の一人に話しかけた。
不動像の行方
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そして、両足を
勢
(
せい
)
いつぱいバタバタふつた。運わるくその片足の膝小僧が夏川の睾丸をしたゝか蹴りつけたから、たまらない。
母の上京
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
一、先日中三
丈夫
(
ママ
)
関の方へ御帰りの時分なりと思ふが、内同薩の者より
極竊
(
ひそか
)
ニ承りたるにハ隊の者大夫の身上を大ニ論じ
勢
(
せい
)
だしておりたるよし。
手紙:057 慶応三年三月六日 印藤肇あて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
勢
(
せい
)
ぞろいをすることのじょうずな羊は、はなればなれになりません。みんないっしょにかたまって、トットと羊飼いのあとについて行きました。
力餅
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
けれど、その妹が、敵は幾万ありとても、すべて
烏合
(
うごう
)
の
勢
(
せい
)
なるぞ——という軍歌が、おなじ人が、早く作ったものだということは知らないでいた。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
眼に付くものも眼に入らず、消え入るように、
勢
(
せい
)
も力もなく電車に乗ったが、私は切符を買うのも気が進まなかった。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
姉をお
勢
(
せい
)
と言ッて、その頃はまだ十二の
蕾
(
つぼみ
)
、
弟
(
おとと
)
を
勇
(
いさみ
)
と言ッて、これもまた袖で
鼻汁
(
はな
)
拭
(
ふ
)
く
湾泊盛
(
わんぱくざか
)
り(これは当今は某校に入舎していて宅には居らぬので)
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
いつどこへ集まる——ということまでちゃんと心得ておいでんさったのだから、将軍様も怖くなったのでごいしょう、こういう人物にもし
勢
(
せい
)
がついて
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「わーっと旗をふっている大勢の何処におるやらどうでもわかりもせん癖に、あの中にうちからも来とると思うと、それだけで
勢
(
せい
)
が大分ちがうそうじゃ」
その年
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「長いつて/\! もう満三年やが、ちつとでも宜い目が見えるのなら
勢
(
せい
)
もあれど。おれはもういやになつた!」
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
もう忘れたか、覚えがあろう、と顔を向ける、と黒目がちでも
勢
(
せい
)
のない、塗ったような瞳を流して、
凝
(
じっ
)
と見たが
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
龍造寺、大友の末路を学ぶとも、天下の
勢
(
せい
)
を引受けて一戦してみようと仰せられる事は必定じゃ。大体、
主君
(
との
)
の御不満の底にはソレが
蟠
(
わだか
)
まっておるでのう。
名君忠之
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
いかにもその子は
勢
(
せい
)
も増し、たゞいたけなく
悦
(
よろこ
)
んでゐる
如
(
ごと
)
くなれども、親はかの実も自らは口にせなんぢゃ、いよいよ餓ゑて倒れるやうす、疾翔大力これを見て
二十六夜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
『こは
現
(
うつゝ
)
とも覺え候はぬものかな。扨も屋島をば何として
遁
(
のが
)
れ出でさせ給ひけん。當今
天
(
あめ
)
が下は源氏の
勢
(
せい
)
に
充
(
み
)
ちぬるに、そも
何地
(
いづち
)
を指しての
御旅路
(
おんたびぢ
)
にて候やらん』
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
新院
(
しんいん
)
は
味方
(
みかた
)
の
勢
(
せい
)
が
少
(
すく
)
ないので
心配
(
しんぱい
)
しておいでになるところでしたから、
為朝
(
ためとも
)
が
来
(
き
)
たとお
聞
(
き
)
きになりますと、たいそうおよろこびになって、さっそくおそばに
呼
(
よ
)
んで
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「出がわるい。……
勢
(
せい
)
のないしよんべんすない。」と、文きは乙まの腰付きを見やりつゝ言つた。
太政官
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
昔常盤御前が操を破りて清盛に
事
(
つか
)
え娘を設けたは三子の命乞い故是非なしとして、その
寵
(
ちょう
)
衰えては出家して義朝の跡を弔いそうなところ、いわゆる三十後家は立たない
勢
(
せい
)
か
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
中に空洞さえなければ、申し分ありませんが、
勢
(
せい
)
のいい木でしたから、案ずるほどのことはありますまい。切株を二三尺。なるほど、わたくしもそこまでは考えませんでした。
古木:――近代説話――
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そしてそこには、三伝の妻お
勢
(
せい
)
が住んでいて、秘かに営んでいる春婦宿になっていた。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
冬籠の中でこしらへる草鞋細工の材料の藁さへ乏しい寒さは、どうして凌いだものか。居残つた者はその
当
(
あて
)
さへなしに、少しばかりの畑を耕して、
勢
(
せい
)
のない鋤鍬を動して居るのである。
夜烏
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
「
臓物
(
ぞうもつ
)
の割りにゃあ血が飛んでいねえ。いや、飛んじゃあいるが
勢
(
せい
)
がねえ。」
釘抜藤吉捕物覚書:03 三つの足跡
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
行くときは壁や障子を伝つて
危気
(
あぶなげ
)
に下駄を
穿
(
つつ
)
かけたが、帰つて来てそれを脱ぐと、モウ立つてる
勢
(
せい
)
がなかつた。で、台所の板敷を
辛
(
やつ
)
と這つて来たが、室に入ると、布団の裾に倒れて了つた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
将門背走相防ぐ
能
(
あた
)
はざるの間、良兼の為に人物を
殺損奪掠
(
さつそんだつりやく
)
せらるゝの
由
(
よし
)
は、
具
(
つぶ
)
さに下総国の
解文
(
げもん
)
に注し、官に
言上
(
ごんじやう
)
しぬ、
爰
(
こゝ
)
に朝家諸国に
勢
(
せい
)
を合して良兼等を追捕す可きの官符を下され
了
(
をは
)
んぬ。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
ところが、そのなかの若い将校の一
人
(
にん
)
は急に
勢
(
せい
)
のない顔をして立ち停つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
家康が武田の旧臣を身方に招き寄せている最中に、
小田原
(
おだわら
)
の
北条新九郎氏直
(
ほうじょうしんうろううじなお
)
が
甲斐
(
かい
)
の
一揆
(
いっき
)
をかたらって攻めて来た。家康は
古府
(
こふ
)
まで出張って、八千足らずの
勢
(
せい
)
をもって
北条
(
ほうじょう
)
の五万の兵と
対陣
(
たいじん
)
した。
佐橋甚五郎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
握り拳がぬっと真直に畳の上を
擦
(
こす
)
って、腕のありたけ出たところで、
勢
(
せい
)
がゆるんで、ぐにゃりとした。また寝るかと思ったら、今度は右の手を下へさげて、
凹
(
くぼ
)
んだ頬っぺたをぼりぼり
掻
(
か
)
き出した。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
周三は
勢
(
せい
)
のないやうな
薄笑
(
うすわらひ
)
をして、右の肩をむツくら
聳
(
そび
)
やかし
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「錢形の親分さん、この敵を討つて下さい。私にはたつた一人の娘、あれに死なれては、これから先一日も生きて行く
勢
(
せい
)
もございません」
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
東の空がしらみだしたら一番
貝
(
がい
)
、
勢
(
せい
)
ぞろいの用意とおもえ。富士川が見えだしたら、二番貝で
部署
(
ぶしょ
)
につき、三番貝はおれがふく。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
既
(
も
)
う
紅葉
(
もみじ
)
するのは、して、何時か
末枯
(
すが
)
れて了っている中に、ひょろ/\ッと、
身長
(
せい
)
ばかり伸びて、
勢
(
せい
)
の無いコスモスが三四本わびしそうに咲き遅れている。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
いかにもその子は
勢
(
せい
)
も増し、ただいたけなく
悦
(
よろこ
)
んでいる
如
(
ごと
)
くなれども、親はかの実も自らは口にせなんじゃ、いよいよ
餓
(
う
)
えて倒れるようす、疾翔大力これを見て
二十六夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
およそ四海に事を為す能わざる時に、この山国に
立籠
(
たてこも
)
って天下の
勢
(
せい
)
を引受けてみるも一興ではないか
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「小笠原島で
亀
(
かめ
)
の子の卵をあんまりたべたので、
勢
(
せい
)
がついてデコボコになってしまった。」
旧聞日本橋:08 木魚の顔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
この頃じゃ
落胆
(
がっかり
)
して、
勢
(
せい
)
も張合も無いんですけれども、もしやにひかされては見ています。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
鈍刀
(
どす
)
だ、腕もねえ——さ、口中だ。歯並び、舌の引釣り、
勢
(
せい
)
があるぞ。」
釘抜藤吉捕物覚書:09 怨霊首人形
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と腹のなかで思ひながら、
勢
(
せい
)
のない顔をして玄関まで見送りに往つた。
沓脱
(
くつぬぎ
)
に立つた爺さんは一寸
頤
(
おとがひ
)
に手をやつたと思ふと、その儘髯を外して片手に持つた。そして素知らぬ顔をして帰つて往つた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
するといつどこから出て
来
(
き
)
たか、
大
(
おお
)
きなひげの
生
(
は
)
えた
男
(
おとこ
)
と、かわいらしい小さな
坊
(
ぼう
)
さんが出て
来
(
き
)
て、どんどん
雨
(
あめ
)
のように
射出
(
いだ
)
す
敵
(
てき
)
の
矢
(
や
)
の中をくぐりくぐり、
平気
(
へいき
)
な
顔
(
かお
)
をして
敵
(
てき
)
の
勢
(
せい
)
の中へ
歩
(
ある
)
いて行って
田村将軍
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「どんな……」と聞き返した時は何となく
勢
(
せい
)
がなかった。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「兄さんが行ってから、おっ母さんの心もいろいろになったが、きょう日ではたった一つにきわまった。どうでも、結局はお前らの
勢
(
せい
)
のいいように暮して行かにゃならんと思う。このおっ母さんがひっそり一人でくすぶっとると思えば、お前らの勢もわるかろ」
その年
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「よく判っております。が、お金はなるべく急いで御下げ渡し下さいまし、私の所は、石原の
孫右衛門店
(
まごえもんだな
)
、
勢
(
せい
)
と申して、後家でございます」
銭形平次捕物控:018 富籤政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
兵馬にはここ幾日かを休養させ、ふたたびの御指揮あらば、義貞の
勢
(
せい
)
をけちらして、洛中をとりかえすことも、なんの
造作
(
ぞうさ
)
ではございません
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お嬢さん、その
貴嬢
(
あなた
)
、面白いことが無いんですもの、」と
勢
(
せい
)
のない
呼吸
(
いき
)
をする。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「歌舞伎座にもつれて行ったのか!」と、
曖昧
(
あいまい
)
な
勢
(
せい
)
のない声を出した。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「あの、力持のお
勢
(
せい
)
さんが、少しお腹が悪いと言って寝ていました」
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
赤松円心
父子
(
おやこ
)
四人が、
勢
(
せい
)
五百騎で、奉迎のお供にと、福厳寺へ
参向
(
さんこう
)
してきた。折しものことである。龍顔わけてうるわしく
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
勢
常用漢字
小5
部首:⼒
13画
“勢”を含む語句
気勢
威勢
大勢
多勢
勢力
姿勢
形勢
水勢
時勢粧
御勢
氣勢
無勢
勢揃
豪勢
上泉伊勢守
助勢
巨勢金岡
伊勢詣
小巨勢
人勢
...