トップ
>
具足
>
ぐそく
ふりがな文庫
“
具足
(
ぐそく
)” の例文
おりから、
望楼
(
ぼうろう
)
の上へ、かけあがってきたのは、
轟
(
とどろき
)
又八であった。
黒皮胴
(
くろかわどう
)
の
具足
(
ぐそく
)
に
大太刀
(
おおだち
)
を横たえ、いかにも、ものものしいいでたちだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今は主君と先祖の恩恵にて
飽食
(
ほうしょく
)
暖衣
(
だんい
)
し、妻子に
驕
(
おご
)
り家人を
責
(
せめ
)
つかい、
栄耀
(
えいよう
)
にくらし、槍刀はさびも
拭
(
ぬぐ
)
わず、
具足
(
ぐそく
)
は土用干に一度見るばかり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
改めらるゝに
中
(
なか
)
には
紺糸縅鐵小脾
(
こんいとをどしてつこざね
)
の
具足
(
ぐそく
)
一
領
(
りやう
)
南蠻鐵桃形
(
なんばんてつもゝなり
)
の
兜
(
かぶと
)
其外
籠手
(
こて
)
脛當
(
すねあて
)
佩楯
(
はいだて
)
沓等
(
くつとう
)
六
具
(
ぐ
)
とも揃へて是あり
又
(
また
)
底
(
そこ
)
の
方
(
かた
)
に
何
(
なに
)
か
疊紙
(
たゝみ
)
の樣なる
包
(
つゝみ
)
あり是を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「
煩悩
(
ぼんなう
)
具足
(
ぐそく
)
の
衆生
(
しゆじやう
)
は、いづれにても生死をはなるる事かなはず、哀れみ給へ、哀れみ給へ。病悪の正因をぬぐひ去り給へ。大日向の
慈悲
(
じひ
)
を垂れ給へ」
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
彼は指をもって日本製の古き
具足
(
ぐそく
)
を指して、見たかと云わぬばかりの眼つきをする。余はまただまってうなずく。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
その渦まく煙りのなかに浮き出している円満
具足
(
ぐそく
)
のおん
顔容
(
かんばせ
)
は、やはり玉藻の笑顔であった。阿闍梨は数珠を投げすてて跳り上がりたいほどに
苛
(
いら
)
いらしてきた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
然
(
しか
)
らば
善美
(
ぜんび
)
とは
何
(
なん
)
であるかと
反問
(
はんもん
)
するであらう。
夫
(
それ
)
は
食
(
しよく
)
に
關
(
くわん
)
して
述
(
の
)
べた
所
(
ところ
)
と
同工異曲
(
どうこうゐきよく
)
で、
建築
(
けんちく
)
に
當
(
あ
)
てはめて
云
(
い
)
へば、
善
(
ぜん
)
とは
科學的條件
(
くわがくてきでうけん
)
の
具足
(
ぐそく
)
で
美
(
び
)
とは
藝術的條件
(
げいじゆつてきでうけん
)
の
具足
(
ぐそく
)
である。
建築の本義
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
二十一、程なく小笠原少斎、紺糸の
具足
(
ぐそく
)
に
小薙刀
(
こなぎなた
)
を
提
(
ひつさ
)
げ、お次迄
御介錯
(
ごかいしやく
)
に参られ候。未だ抜け歯の痛み甚しく候よし、左の頬先
腫
(
は
)
れ上られ、武者ぶりも
聊
(
いささか
)
はかなげに見うけ候。
糸女覚え書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
若
(
も
)
しもわれ等が、古代の啓示の矛盾を指摘し、
何
(
いず
)
れの啓示も、決して
円満
(
えんまん
)
具足
(
ぐそく
)
を
以
(
もっ
)
て任ずるものでないことを告ぐれば、彼等はドグマだらけの神学者の常套語などを
傭
(
やと
)
い
来
(
きた
)
りて
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
それは
黒漆
(
くろうるし
)
の胴に
金蒔絵
(
きんまきえ
)
のある立派な
具足
(
ぐそく
)
を着けた武士で、河内介が直覚的に「
彼奴
(
あいつ
)
だ」と感じたとき、第三弾を放とうとして身構えていたその男は、
慌
(
あわ
)
てゝ銃を捨てゝ逃げた。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
階段を
上
(
あが
)
ったすぐの所に、まるで生きた人間の様に
鎧櫃
(
よろいびつ
)
の上に腰かけている、二つの飾り
具足
(
ぐそく
)
、一つは
黒糸縅
(
くろいとおどし
)
のいかめしいので、もう一つはあれが
緋縅
(
ひおどし
)
と申すのでしょうか、黒ずんで
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
やっとの
事
(
こと
)
で、
門閥家
(
もんばつか
)
の、
良
(
よ
)
い
領地有
(
りゃうちもち
)
の、
年
(
とし
)
の
若
(
わか
)
い、
教育
(
けういく
)
も
立派
(
りっぱ
)
な、
何樣
(
なにさま
)
才徳
(
さいとく
)
の
具足
(
ぐそく
)
した
男
(
をとこ
)
は
斯
(
か
)
うもありたいもの、と
望
(
のぞ
)
まるゝ
通
(
とほ
)
りに
出來上
(
できあが
)
ってゐる
婿
(
むこ
)
を
搜
(
さが
)
して、
供給
(
あてが
)
へば、
見
(
み
)
ともない
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
鎧櫃
(
よろいびつ
)
があって、
具足
(
ぐそく
)
が飾りつけられてあることに、兵馬は、ちょっと好奇心を起し、まず
長押
(
なげし
)
にかけられた
薙刀
(
なぎなた
)
から取って、無断に御免を
蒙
(
こうむ
)
って、
鞘
(
さや
)
を外して見たけれども、
錆
(
さ
)
びてはいるし
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
本来『八犬伝』は百七十一回の八犬
具足
(
ぐそく
)
を以て終結と見るが当然である。
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
公儀の
御茶壺
(
おちゃつぼ
)
同様にとの特別扱いのお触れがあって、名古屋城からの
具足
(
ぐそく
)
長持
(
ながもち
)
が
十棹
(
とさお
)
もそのあとから続いた。それらの警護の武士が
美濃路
(
みのじ
)
から借りて連れて来た人足だけでも、百五十人に上った。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
水口の中村先生は近来
専
(
もっぱ
)
ら孫子の講釈をして、玄関には
具足
(
ぐそく
)
などが
飾
(
かざっ
)
てあると云う、問うに及ばず立派な攘夷家である、人情としては是非とも
立寄
(
たちよっ
)
て訪問せねばならぬが、ドウも寄ることが出来ぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
と、
具足
(
ぐそく
)
の音を
霰
(
あられ
)
のようにさせ、
槍
(
やり
)
、
陣刀
(
じんとう
)
、
薙刀
(
なぎなた
)
など思いおもいな
得物
(
えもの
)
をふりかざし、四ほうにパッとひらいて
斬
(
き
)
りむすんだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人間は
煩悩
(
ぼんなう
)
具足
(
ぐそく
)
をそなへてをりますから、私は、どうしても、何かを信じなくては生きては参れません。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
領し
物頭役
(
ものがしらやく
)
を
相勤
(
あひつと
)
めたる大橋文右衞門
清長
(
きよなが
)
率
(
いざ
)
鎌倉
(
かまくら
)
と云ふ時のため武士の
省愼
(
たしなみ
)
差替
(
さしかへ
)
の大小
具足
(
ぐそく
)
一
領
(
りやう
)
位
(
ぐらゐ
)
は所持致し居り候
是
(
これ
)
御覽
(
ごらん
)
候へと
仕舞置
(
しまひおき
)
たる
具足櫃
(
ぐそくびつ
)
并びに差替の大小を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
あるいは見出したと思った。いつか兄という
厳
(
いか
)
めしい
具足
(
ぐそく
)
を着けて彼女に対するような気分に支配され始めた。だから彼といえども
妄
(
みだ
)
りにお秀の前に頭を下げる訳には行かなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「カムサスカ」とこの土地とに大都会
出来
(
しゅったい
)
すれば、その勢に乗じ「カムサスカ」より南洋の諸島も開け、「アメリカ」所属の島々までも自ら属し従い、勢い
具足
(
ぐそく
)
の日本島となるべきなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
きのうは
具足
(
ぐそく
)
開きの祝儀というので、よんどころなしに窮屈な一日を屋敷に暮らしたが、灯のつくのを待ちかねて、彼は吉原へ駕籠を飛ばした。きょうも
流
(
なが
)
して
午
(
ひる
)
過ぎに茶屋へかえって来た。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
凛々
(
りんりん
)
たる
勇姿
(
ゆうし
)
、あたりをはらった。さしも、
烏合
(
うごう
)
の
野武士
(
のぶし
)
たちも、このけなげさに、一
滴
(
てき
)
の
涙
(
なみだ
)
を、
具足
(
ぐそく
)
にぬらさぬものはない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夜番
(
よばん
)
のために
正宗
(
まさむね
)
の名刀と
南蛮鉄
(
なんばんてつ
)
の
具足
(
ぐそく
)
とを買うべく余儀なくせられたる家族は、
沢庵
(
たくあん
)
の
尻尾
(
しっぽ
)
を
噛
(
かじ
)
って日夜
齷齪
(
あくせく
)
するにもかかわらず、夜番の方では
頻
(
しき
)
りに刀と具足の不足を訴えている。
マードック先生の『日本歴史』
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その顔たるや、一兵一兵、足利方の陣には一つもないような
形相
(
ぎょうそう
)
の者ばかりだった。
具足
(
ぐそく
)
、
膝行袴
(
たっつけ
)
などボロボロである。白昼降りて来た天魔の兵かとさえあやしまれる。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「てまえは、その
戦道具
(
いくさどうぐ
)
の、
旗差物
(
はたさしもの
)
とか、
具足
(
ぐそく
)
など納めていますが、昔ほど儲かりませんて」
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがて、家康は、小姓だけをつれて——
具足
(
ぐそく
)
なしの平服で、さっさと、気がるにあらわれた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あれへ
具足
(
ぐそく
)
を着込ませたら、よもや江戸の青ひょろけた侍どもにひけはとるまい」
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そちの生国の尾張には、
桶皮胴
(
おけかわどう
)
とはちごうて、
胴丸
(
どうまる
)
とかいう、新しい工夫の
具足
(
ぐそく
)
が、近頃行われておるそうな。一領買うて来い。そちの生国じゃ、勝手はよう
弁
(
わきま
)
えておるであろうが」
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「身軽がいいぞ。よけいな物は、一切
具足
(
ぐそく
)
から取り捨てろ。かぶとも用いず、
素頭
(
すこうべ
)
に
鉢金
(
はちがね
)
だけを当て、
草鞋
(
わらじ
)
の緒はきつく締めるな。絶壁を
攀
(
よ
)
じ、乱岩の山上で働くには、緒が切れやすい」
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
身なりに合った
具足
(
ぐそく
)
を着、丸っこい眼と
笑靨
(
えくぼ
)
を持った年少の
可憐
(
かれん
)
なる武者と。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つい今朝はまだ、身に
袈裟
(
けさ
)
をかけていた恭順の人が、
具足
(
ぐそく
)
馬上の人だった。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼が、巡視隊の家士十二人を選んで、そのすべてに白と
黄
(
き
)
おどしの
具足
(
ぐそく
)
を着せ、黄と白の
母衣
(
ほろ
)
を負わせ、手綱、馬飾りまですべて山吹ぞっきの行装で練り歩いたなども、一端の例といえよう。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「なんぞ、この女子に似合いそうな、陣羽織と
具足
(
ぐそく
)
があったら、貸し与えてやってくれい。——陣中に、その身なりでは、歩行にも不便、兵どもの眼にもよくない。……よいか、控えにおる間に、着せかえてやってくれよ」
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かぶと、
具足
(
ぐそく
)
の
緒
(
お
)
を締めながらも
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“具足”の意味
《名詞》
具足(ぐそく)
備えが十分であること
甲冑の別称
2.より当世具足を指す
道具
(出典:Wiktionary)
具
常用漢字
小3
部首:⼋
8画
足
常用漢字
小1
部首:⾜
7画
“具足”で始まる語句
具足櫃
具足町
具足師
具足戒
具足持
具足下
具足屋
具足着
具足開
具足円満