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倣
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なら
ふりがな文庫
“
倣
(
なら
)” の例文
そして
山水訣
(
さんすいけつ
)
の著者のごときも、蕭照は李唐から出て李唐にもまさり、
董源
(
とうげん
)
の
皺法
(
しゅうほう
)
を
倣
(
なら
)
って董源よりも
遒勁
(
しゅうけい
)
であるとさえ評している。
人間山水図巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この筆法に
倣
(
なら
)
ってわたくしはその生れたる過去の東京を再現させようと思って、人物と背景とを隅田川の両岸に配置したのである。
正宗谷崎両氏の批評に答う
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
魯侯は女楽に
耽
(
ふけ
)
ってもはや
朝
(
ちょう
)
に出なくなった。
季桓子
(
きかんし
)
以下の大官連もこれに
倣
(
なら
)
い出す。子路は真先に
憤慨
(
ふんがい
)
して
衝突
(
しょうとつ
)
し、官を辞した。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
彼が天然を讃美したのはただ天然を讃美したのではない、彼は天然において神を讃美したのである。我らまた彼に
倣
(
なら
)
うべきである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
西班牙
(
スペイン
)
、
葡萄牙
(
ポルトガル
)
等が独りこれを行ったばかりでなく、英も仏も皆当時はその
顰
(
ひそみ
)
に
倣
(
なら
)
って同様な非人道的なことを行っていたものであった。
永久平和の先決問題
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
▼ もっと見る
「何時分」という語で結ぶ句がいくつもあるのは偶然であるか、どれかの
先蹤
(
せんしょう
)
に
倣
(
なら
)
ったものであるか、その辺はよくわからない。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
第一に最も理想的な方法として推奨したいのは、カード式によるインデックスを作ることである(図書館の本の整理法に
倣
(
なら
)
うわけである)
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
自分は、唯、支那の小説家の Didacticism に
倣
(
なら
)
つて、かう云ふ道徳的な判断を、この話の最後に、列挙して見たまでゝある。
酒虫
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
特務曹長「なるほど金無垢であります。すぐ組み立てます。」(一箇をちぎり曹長に渡す。以下これに
倣
(
なら
)
う。
各
(
おのおの
)
皮を
剥
(
む
)
く。)
饑餓陣営:一幕
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
彼れの『独物語』は向象賢の『仕置』に
倣
(
なら
)
って書いたものと思われるが、その中に自国の立場についての考えを露骨に言いあらわしています。
琉球史の趨勢
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
先導者らが得意になったほど、その例に
倣
(
なら
)
う者があまりに多かった。多数の文学者らが、今では政治を事として、国務を
司
(
つかさど
)
らんと考えていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
常人をしてこの句法に
倣
(
なら
)
わしめば必ずや失敗に終らん、手爾葉の結尾をもって一句を操るもの、蕪村の蕪村たるゆえんなり。
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
林泉寺の縛られ地蔵は昔から繁昌している。当寺でもそれに
倣
(
なら
)
って、縛られ地蔵を始めてはどうかと云うのでござります。
半七捕物帳:66 地蔵は踊る
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ナライ
小碓皇子
(
おうすおうじ
)
の故智を
倣
(
なら
)
い、花恥ずかしき美女に化けて往くと、ノンテオクたちまち
惚
(
ほ
)
れて思いのありたけ
掻
(
か
)
き
口説
(
くど
)
く。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
徒士町
(
かちまち
)
の池田の家で、当主
瑞長
(
ずいちょう
)
が父京水の例に
倣
(
なら
)
って、春の
初
(
はじめ
)
に
発会式
(
ほっかいしき
)
ということをした。京水は
毎年
(
まいねん
)
これを催して、門人を
集
(
つど
)
えたのであった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
我は嘗て
古
(
いにしへ
)
の信徒の自ら
笞
(
むちう
)
ち自ら
傷
(
きずつ
)
けしを聞きて、其情を解せざりしに、今や自らその爲す所に
倣
(
なら
)
はんと欲するに至りぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
治承
(
ちしょう
)
の昔
文覚上人
(
もんがくしょうにん
)
が何処の馬の骨だか分らないされこうべを「
義朝
(
よしとも
)
の
髑髏
(
どくろ
)
」と称して
右兵衛佐頼朝
(
うひょうえのすけよりとも
)
に示した故智に
倣
(
なら
)
い
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
沿革などというと
如何
(
いか
)
にも骨董家めくので、
極
(
ごく
)
簡単に書くと、日本で芸術品としての陶器が出来出した頃、
伊万里焼
(
いまりやき
)
を
倣
(
なら
)
って
後藤才次郎
(
ごとうさいじろう
)
という人が
九谷焼
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
支那律に
倣
(
なら
)
って一の罪に対して一定不動の刑を定むるの不当なる所以を論弁し、量刑に軽重長短の範囲を設くべき旨を主張せられたという事である。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
広海さん、失礼ですが
我邦
(
わがくに
)
の親たちも英国風に
倣
(
なら
)
って娘のために毎週一度位
晩餐会
(
ばんさんかい
)
を開いたらよかろうと存じます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
誰も彼もその例に
倣
(
なら
)
つて、鱷の腹の中に隠居して骨折らずに、月給を取るとなつたら、国家が立ち行きますまい。
鱷
(新字旧仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
錫のコストは
無論
(
むろん
)
下るだけ下った。これでH・デューラン氏を技師長とする雲南錫鉱公司は、群小鉱山が競ってこれに
倣
(
なら
)
うほどの成績をあげたのである。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
しかし他に
倣
(
なら
)
い他に
事
(
つか
)
えた痕跡のみであろうか。そこには真に動かし得ない朝鮮固有の美があるではないか。私はその窟院を訪ねた日を忘れる事は出来ぬ。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
享保時分、酒樽は別に船積みするという理由の下に、新運送業が起った。それに
倣
(
なら
)
って、他の貨物も専門専門に積む組織が起った。すべて
樽廻船
(
たるかいせん
)
と云った。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
金五郎は、弓張提灯に、火を
点
(
つ
)
けた。松川源十も、それに
倣
(
なら
)
った。永田組の三字が入った十個ほどの提灯が、俄かに咲いた花のように、海上に光を落した。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
青年書生のごときは、成業を将来に期すべき者なり。いずくんぞ
放肆
(
ほうし
)
、自棄、かの両者の
顰
(
ひそみ
)
に
倣
(
なら
)
うべけんや。
日曜日之説
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
頼胤も兄に
倣
(
なら
)
ってそちらへ眼を向けた。そこには一領の甲冑が飾ってあった。青、黄、赤と三段
威
(
おどし
)
の美しい
鎧
(
よろい
)
で、
兜
(
かぶと
)
にも腹巻にも菊水の金章が打ってあった。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
数馬は心で感心し、「歩くのが彼らの商売とは云え、自ら戦場駈引きの足並みに
倣
(
なら
)
うとは不思議なものじゃ」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それをするには、いろいろな人が懺悔を書いた例に
倣
(
なら
)
って、自分も愚しい著作の形でそれを世間に
公
(
おおやけ
)
にしようと考えるように成った。「あの事」を書いたら。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
僕の行末がどうなろうと、わずかに彼に
倣
(
なら
)
うことを得、一篇の貧しき自叙伝といくつかの fairly-tale を生涯の終りに遺すことが出来るならば!
わが師への書
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
「右足のない梟」と叫んだ首領は、そこで
自
(
みずか
)
ら先に立って席に坐った。一同もこれに
倣
(
なら
)
って席についた。
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
が、われ等は、決して彼等の
顰
(
ひそみ
)
に
倣
(
なら
)
って実行不能、真偽不明の
煩瑣
(
はんさ
)
極まる法則などは述べようとはせぬ。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
これに
倣
(
なら
)
わんとしてわが旧習に疑いを容れたるものなれば、あたかもこれを自発の疑いと言うべからず。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
たわいのない事を云ふかと思ふと、祖母の頭にはこんなに
確
(
しつ
)
かりしたところもあるのだと、お梅は自分もこれに
倣
(
なら
)
つて精細な計算帖をつくる氣になつて暇を告げた。
孫だち
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
そして出来あがつた上は
太秦
(
うづまさ
)
のそれに
倣
(
なら
)
つて牛祭を催す事に
定
(
き
)
めて、伊原
青々園
(
せい/\ゑん
)
の
祭文
(
さいぶん
)
を、
梅幸
(
ばいかう
)
の振付で、その
往時
(
むかし
)
の
丑之助
(
うしのすけ
)
の名に
因
(
ちな
)
んで菊五郎が踊るのだといふ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
悄然
(
しょうぜん
)
と、こちらへ歩いてくる。すると、これに
倣
(
なら
)
って、他の人々も銃を棄て、みなそのあとに続いた。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
元来日本の教育は
独逸
(
ドイツ
)
に
倣
(
なら
)
ったために、すべてが規則的で、学科を多くして、
能
(
あた
)
う限り多くの芸術を教えようとしたのである。これは教育の方針を誤ったものである。
女子教育に就て
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
自分も用心のため、すぐ彼の傍へ行って
顰
(
ひん
)
に
倣
(
なら
)
った。それから三人前後して濡れた石を
踏
(
ふ
)
みながら
典座寮
(
てんぞりょう
)
と書いた
懸札
(
かけふだ
)
の眼につく
庫裡
(
くり
)
から案内を
乞
(
こ
)
うて座敷へ上った。
初秋の一日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこで実は
倣
(
なら
)
ってこれを造りましたので、あり
体
(
てい
)
に申します、貴台を
欺
(
あざむ
)
くようなことは致しませぬ
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
この高原のどんな小径にでも勝手な名前をつけたがる西洋人に
倣
(
なら
)
って、彼もこのへんの小径を自分勝手に
Philosophen
(
フィロゾフェン
)
Weg
(
ウェグ
)
と呼んでいたくらいだったのに。
恢復期
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
私もそれに
倣
(
なら
)
って起きて行くと、意外にも家の主人からチャランケ(談判)をつけられた。
えぞおばけ列伝
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
将軍
家斉
(
いえなり
)
は、源頼朝すら、足利尊氏すら、もしくは
乃祖
(
だいそ
)
徳川家康すら、その例なかりし太政大臣の極爵を、生れながら軍職と共に併せ帯び、
豪奢
(
ごうしゃ
)
度
(
ど
)
なく、
而
(
しこう
)
して下の上に
倣
(
なら
)
う
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
彼の
鬼
(
おに
)
をも
欺
(
あざむ
)
くばかりの
貌
(
かお
)
が、ニコニコ笑うのをみると、ぼくは股の上の彼の
感触
(
かんしょく
)
から、へんに
肉感的
(
センシュアル
)
なくすぐッたさを覚え、みんなに
倣
(
なら
)
って、やはり三番の沢村さんの
膝
(
ひざ
)
に
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
そして山を羽黒と称するに至った
所以
(
ゆえん
)
は、権現の使者は三足の烏であるということから導かれたものであることは疑を容れない。其烏も
亦
(
また
)
熊野権現の使者に
倣
(
なら
)
ったものであろう。
二、三の山名について
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
心に
叶
(
かな
)
う男もないまま、ただひたすらに芸道にのみ
想
(
おもい
)
を浸し、語りものの中の男女の情けの
戯
(
たわむ
)
れは、おのが想いをのみ込ませて、舞台の恋を真の恋と思い
倣
(
なら
)
して居りましたゆえ
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
普賢菩薩の霊象に
倣
(
なら
)
って額に大きな
宝珠
(
ほうじゅ
)
がついている。鈴と
朱房
(
しゅぶさ
)
のさがった
胸掛
(
むなかけ
)
尻掛
(
しりかけ
)
。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
殊
(
こと
)
に季という重き荷を背負っている俳句は、他の文芸に
倣
(
なら
)
うに便宜なものであるかどうかという事をも考えないで、他の文芸と歩調を一にしようというのは誤ったことではないのか。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
これに反して、誰に
気兼
(
きが
)
ねもいらない兄貴のフェリックスと姉のエルネスチイヌは、お代りが
欲
(
ほ
)
しければ、ルピック氏のやり方に
倣
(
なら
)
って、自分の皿を大皿のほうへ押しやるのである。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
大雑駁
(
おおざっぱ
)
にいえばツルゲーネフ等に
倣
(
なら
)
って時代の
葛藤
(
かっとう
)
を描こうとしたのは争われないが、多少なりともこれに類した事実が作者の視聴内にあった
乎
(
か
)
否乎は二葉亭はかつて明言しなかった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
背後
(
うしろ
)
を振り返って私を招き入れると、謹しみ返った態度で
外套
(
がいとう
)
を脱いで、扉のすぐ横の壁に取付けてある帽子掛にかけた。だから私もそれに
倣
(
なら
)
って、
霜降
(
しもふり
)
のオーバーと角帽をかけ並べた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
倣
常用漢字
中学
部首:⼈
10画
“倣”を含む語句
模倣
模倣者
見倣
摸倣
倣岸
倣尊澄法親王筆
倣模
倣造
口倣
模倣品
模倣論
相倣
驕倣