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主
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しゅう
ふりがな文庫
“
主
(
しゅう
)” の例文
「その白砂糖をちょんびりと載せたところが、
主
(
しゅう
)
の子を育てた姥の乳の
滴
(
したた
)
りを
象
(
かたど
)
ったもので、名物の名物たる
名残
(
なご
)
りでござりまする」
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
主
(
しゅう
)
あるものは
主方
(
しゅうかた
)
へ、親あるものは親の
方
(
ほう
)
へ帰参して、これから正しい道を歩いて真人間になってください、あゝどうも実に弱った
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
取り分けて「さあ、
如何
(
いか
)
ようにも御存分、
主
(
しゅう
)
のためならこのからだ、寸々に刻まれても、厭うような善六めではござりませぬ。」
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そうかと云って、「
主
(
しゅう
)
」をそのままにして置けば、独り「家」が亡びるだけではない。「主」自身にも
凶事
(
きょうじ
)
が起りそうである。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
言葉も
巧
(
うま
)
く聞き取ってくれるので、バツの悪い感じは忘れられてしまい、
主
(
しゅう
)
にも家来にもそれが当り前のことに思われて来た。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
可愛い夫が
可惜
(
いとおし
)
がる大切なお
主
(
しゅう
)
の娘、ならば身替りにも、と云う
逆上
(
のぼ
)
せ方。すべてが浄瑠璃の三の
切
(
きり
)
を手本だが、憎くはない。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『
口惜
(
くちお
)
しゅう思いまする。浅野の御一門には、
主
(
しゅう
)
にも家来にも、左様な不覚な方は、居らっしゃらない筈でございますのに』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
冥途
(
よみじ
)
の
苞
(
つと
)
と
齎
(
もたら
)
し去らしめんこと思えば
憫然
(
あわれ
)
至極なり、
良馬
(
りょうめ
)
主
(
しゅう
)
を得ざるの悲しみ、高士世に
容
(
い
)
れられざるの恨みも
詮
(
せん
)
ずるところは
異
(
かわ
)
ることなし、よしよし
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
主
(
しゅう
)
に
仇
(
あだ
)
なす多門景光——ははははは、斬れ斬れ! だが、郁之進、この加世を、この加世をそちに返すぞ!
稲生播磨守
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
これは
開闢
(
かいびゃく
)
以来の大仇討、昨夜本所松坂町吉良上野介様の
邸
(
やしき
)
へ討入った浅野浪士の一党四十七人、
主
(
しゅう
)
の
仇
(
あだ
)
の
首級
(
しるし
)
を揚げて、
今朝
(
こんちょう
)
高輪の泉岳寺へ引上げたばかり
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
「あの、
主人
(
あるじ
)
にお預けなされた
嚢
(
ふくろ
)
は」と、姥竹が
主
(
しゅう
)
の
袖
(
そで
)
を引くとき、山岡大夫は空舟をつと押し出した。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
と、戸板を蹴ると、今度は裏に返り、藻をばらりと被った
小仏
(
こぼとけ
)
小平
(
こへい
)
が、「お
主
(
しゅう
)
の難病、薬下され」と、片手を差し出すかと思いのほか、それも
背後
(
うしろ
)
を向いているのだった。
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
百右衛門こそ世にめずらしき悪人、武蔵すでに自決の上は、この私闘おかまいなしと定め、殿もそのまま許認し、女ふたりは、
天晴
(
あっぱ
)
れ父の
仇
(
かたき
)
、
主
(
しゅう
)
の仇を打ったけなげの者と
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「こんな者でも、もしかして、お
主
(
しゅう
)
の行方を知っているということもあるからな」
現代語訳 平家物語:03 第三巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
唯心ばかりは
主
(
しゅう
)
とも親とも思ッて善く
事
(
つか
)
えるが、気が
利
(
き
)
かぬと言ッては
睨付
(
ねめつ
)
けられる事何時も何時も、その度ごとに親の
難有
(
ありがた
)
サが身に
染
(
し
)
み骨に
耐
(
こた
)
えて、袖に露を置くことは有りながら
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
お
主
(
しゅう
)
の萩原を殺したとはいえ、これはまた半病人の軟弱そのものの代物である。
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
世は
刈菰
(
かりこも
)
の乱れに乱れて、明日も戦い、今日も
戦
(
いくさ
)
、臣は
主
(
しゅう
)
を殺し、子は親を討ち、倫理は破れ、道徳は砕け、強い者勝ちの浮世となり、
京師
(
けいし
)
に天子御座あれども、室町に将軍控えたれど
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
小家なので、音ずれて来た人のこえは、よく判ったが、それは、乳母の伜の、甚太郎——正直、まっとう、
主
(
しゅう
)
すじのためにはいのちまでも、いつでも投げ出そうとしているような気立てだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
主
(
しゅう
)
は
奴婢
(
ぬひ
)
がどう仕えるかを見て、何者かとは問わぬ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
東風
(
こち
)
吹くと語りもぞ行く
主
(
しゅう
)
と
従者
(
ずさ
)
太祇
(
たいぎ
)
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
主
(
しゅう
)
の威光で手代を
圧
(
おさ
)
え付けた。二人は泣いて諦めるより他はなかった。縁談は滑るように進んで、婚礼の日は
漸次
(
しだい
)
に近づいた。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
が、林右衛門は、それを「家」に
関
(
かかわ
)
る大事として、惧れた。併し、彼は、それを「
主
(
しゅう
)
」に関る大事として惧れたのである。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
千「恐入ります、是れから
前々
(
もと/\
)
通り
主
(
しゅう
)
家来、矢張千代/\と重ねてお呼び遊ばしまして、お目をお掛け遊ばしまして……」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
同志の方々はそれぞれ仲間小者、ないし小商人に身を落して、
艱難
(
かんなん
)
辛苦
(
しんく
)
をされるのも皆お
主
(
しゅう
)
のためだ。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
主
(
しゅう
)
を失い、
禄
(
ろく
)
に離れ、行く
的
(
あて
)
もつかない当惑の裡に、一夜にすべての処理をしなければならない——しかも取り乱して世の笑いぐさにならないような武士的な秩序の中に。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
図書
主
(
しゅう
)
と家来でございます。仰せのまま
生命
(
いのち
)
をさし出しますのが臣たる道でございます。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
魂が
裳抜
(
もぬけ
)
れば一心に
主
(
しゅう
)
とする所なく、居廻りに在る程のもの
悉
(
ことごと
)
く
薄烟
(
うすけぶり
)
に包れて
虚有縹緲
(
きょうひょうびょう
)
の
中
(
うち
)
に漂い、有るかと思えばあり、無いかと
想
(
おも
)
えばない
中
(
なか
)
に、唯
一物
(
あるもの
)
ばかりは見ないでも見えるが
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
りっぱな武士でさえ
主
(
しゅう
)
をみすてゝおちてゆくのに、さむらいでもないものがたれにえんりょをすることがあろう。ましておまえは眼が
ふじゆう
(
不自由
)
なのだから、まご/\しているとけがをしますよ
盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
お時の
主
(
しゅう
)
思いは五郎三郎もかねて知っているので、打ち明けていろいろの内輪話をしてくれた。今となっては仕方がない。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あのお忠義が見所でございます、
主
(
しゅう
)
へ忠義のお方は、親にも孝行でございましょうねえ、といいましたから、それは親に孝なるものは主へ忠義
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
主
(
しゅう
)
を
主
(
しゅう
)
とも思わぬ奴じゃ。」——こう云う修理の語の
中
(
うち
)
には、これらの憎しみが、
燻
(
くすぶ
)
りながら燃える火のように、暗い焔を蔵していたのである。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お
主
(
しゅう
)
のために命を捨てた
侍
(
さむらい
)
よと、世に
持囃
(
もてはや
)
される身になっても、わしの身寄りの者が誰一人それを聞いていてくれるものがないかと思えば、何となくうら淋しい気もする。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
心懸けの
好
(
い
)
い、
実体
(
じってい
)
もので、身が定まってからも、こうした御機嫌うかがいに出る志。お
主
(
しゅう
)
の娘に
引添
(
ひっそ
)
うて、身を固めて
行
(
ゆ
)
く
態
(
ふり
)
の、その円髷の
大
(
おおき
)
いのも、かかる折から頼もしい。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
軽輩の
困窮者
(
こんきゅうしゃ
)
や、
主
(
しゅう
)
を離れたら食うすべのない若侍が、一時の激情で、武士道の何のというと、自分でも、これはあぶないとおもいながら、足が抜けない破目になっているのじゃ。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
甚太夫は喜三郎の顔を見ると、必ず求馬のけなげさを語って、この
主
(
しゅう
)
思いの若党の眼に涙を催させるのが常であった。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
羽織大小で
彼
(
か
)
の林藏という若党を連れ、買物に出ると云って屋敷を
立出
(
たちい
)
で、根津の或る料理茶屋へ
昇
(
あが
)
りましたが、其の頃は
主
(
しゅう
)
家来のけじめが正しく
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
玉藻は床に顔をおしつけるばかり身を投げ伏して、
嗚咽
(
おえつ
)
の声をもらしているのであった。清治も驚いた。
主
(
しゅう
)
と家来とは顔をみあわせて暫く黙っていた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あたかも人質に取られた形——
可哀
(
かわい
)
や、お
主
(
しゅう
)
の身がわりに、恋の
重荷
(
おもに
)
でへし折れよう。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
だが、すでに
主
(
しゅう
)
を殺す。これは、武門と武門の道義がゆるさない。いかに情を
酌
(
く
)
むも民衆もまたゆるさないことだ。故に、この道義と秩序を破壊したひとりの民を
裁
(
さば
)
く者も、また民の中なる者だった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
主
(
しゅう
)
殺しをするような太てえ奴らに、飯を食わして給金をやって、こうして大切に飼って置くんだからね
半七捕物帳:03 勘平の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
大「いや、酒を飲んだり遊ぶ時には
主
(
しゅう
)
も家来も共々にせんければいかん、己の苦労する時には手前にも共々に苦労して貰う、これを主従苦楽を
倶
(
とも
)
にするというのだ」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
主
(
しゅう
)
思
(
おもい
)
のお
婢
(
はした
)
はお
稲荷様
(
いなりさま
)
へお百度を踏みにと飛出して、裏町へ回り焼芋を二銭買い、
袂
(
たもと
)
へ
納
(
い
)
れて
御堂
(
みどう
)
に赴き、お百度をいいまえに
歩行
(
ある
)
きながらそれをむしゃむしゃ、またと得難き忠臣なり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ふーむ、そちも、
主
(
しゅう
)
に従って僧籍に入りたいというのか」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
右内は百姓の転びし上へ乗っかゝり、お
主
(
しゅう
)
のためには換えられぬと、
嚇
(
おど
)
して五十金を奪おうとする。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
享保
(
きょうほう
)
三年の冬は暖かい日が多かったので、不運な彼も江戸入りまでは都合のいい旅をつづけて来た。日本橋
馬喰町
(
ばくろちょう
)
の佐野屋が
定宿
(
じょうやど
)
で、
主
(
しゅう
)
と家来はここに
草鞋
(
わらじ
)
の紐を解いた。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
千ちゃん、尼さんだって七十八十まで行い
澄
(
すま
)
していながら、お前さんのために、ありゃまあどうしたというのだろう。何か、千ちゃん
処
(
とこ
)
は尼さんのお
主
(
しゅう
)
筋でもあるのかい。そうでなきゃ分らないわ。
清心庵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
主
(
しゅう
)
の
敵
(
かたき
)
を討ちたる
廉
(
かど
)
を
以
(
もっ
)
て我が飯島の家名再興の儀を
頭
(
かしら
)
に届けくれ、其の時は相川様にもお心添えの程
偏
(
ひとえ
)
に願い
度
(
た
)
いとのこと、又汝は相川へ養子に参る約束を結びたれば
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
主人の弥太郎は笑うまじき所で笑った為に、こうした不安の種を
播
(
ま
)
いたのである。
主
(
しゅう
)
を見習うわけでもあるまいが、その家来の彼もまた笑うまじき場合にげらげら笑っているのである。
鷲
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
多分
乳母
(
ばあや
)
さんの
児
(
こ
)
で、
乳兄弟
(
ちきょうだい
)
とでもいうようなんじゃありませんか。何しろ一方なりませんお
主
(
しゅう
)
おもい、で、お嬢さんがね、あつい、あついとおっしゃる度に、額からたらたら
膏汗
(
あぶらあせ
)
を流すんですよ。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何
(
ど
)
ういたして、天下のお役人様、殊に御名奉行と承り承知致して居ります、
甚
(
はなはだ
)
恐れ多い事で、決して嘲弄は致しませんが、主名を申すと
主
(
しゅう
)
の
恥辱
(
はじ
)
に相成るから申し上げられんと云うので
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
主
常用漢字
小3
部首:⼂
5画
“主”を含む語句
主人
亭主
主婦
主家
女主人
家主
御主
主殺
主題
御亭主
坊主
神主
主翁
主君
領主
主從
主取
救世主
主従
女主人公
...