トップ
>
騒々
>
そうぞう
ふりがな文庫
“
騒々
(
そうぞう
)” の例文
旧字:
騷々
私は
性来
(
しょうらい
)
騒々
(
そうぞう
)
しい所が
嫌
(
きらい
)
ですから、わざと便利な市内を避けて、
人迹稀
(
じんせきまれ
)
な寒村の百姓家にしばらく
蝸牛
(
かぎゅう
)
の
庵
(
いおり
)
を結んでいたのです……
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
近くきくと
騒々
(
そうぞう
)
しい唄のこえも、遠くとおく流れて来るとなんだか寂しい哀れな思いを誘い出されて、お時は暮れかかる軒の
端
(
は
)
を仰いだ。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「やいやい、岩吉、
騒々
(
そうぞう
)
しいぞ。御用を預かる家で、一々大変だなんぞと云ってたんじゃ、客人に笑われるぜ。気をつけろい」
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
どうしたと云うのでございましょう? わたしは
騒々
(
そうぞう
)
しい人だかりの中に、
蒼
(
あお
)
ざめた首を見るが早いか、思わず立ちすくんでしまいました。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
再び、か
細
(
ぼそ
)
い手で、重い
閂
(
かんぬき
)
をゆすぶる。閂は
錆
(
さ
)
びついた
鎹
(
かすがい
)
の中で
軋
(
きし
)
む。それから、そいつを溝の奥まで
騒々
(
そうぞう
)
しく押し込む。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
▼ もっと見る
シューラはシャツ一
枚
(
まい
)
で立ったまま、おいおい
泣
(
な
)
いていた。と、ドアの
外
(
そと
)
で
騒々
(
そうぞう
)
しい
人声
(
ひとごえ
)
や、
賑
(
にぎや
)
かな
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごえ
)
などが聞えた。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
クリストフは
騒々
(
そうぞう
)
しく話しだし、頭に浮かぶことはなんでも言ってのけ、オットーを厭になるほどなれなれしく取扱った。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それと同時に、
俄
(
にわか
)
に
騒々
(
そうぞう
)
しい
躁音
(
そうおん
)
が、耳を打った。躁音は、だんだん大きくなった。それは、まるで滝壺の真下へ出たような気がしたくらいだった。
鬼仏洞事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
騒々
(
そうぞう
)
しく笑っていると、東海さんが通りかかり、ものも言わず、写真をとり上げ、
一寸
(
ちょっと
)
見るなり、「フン」と鼻で笑って、
抛
(
ほう
)
り出し、行ってしまった。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
相変らず
騒々
(
そうぞう
)
しく
嗅
(
か
)
ぎ
煙草
(
たばこ
)
を嗅いだり、
椅子
(
いす
)
の上で気まま勝手に身をねじ曲げたり、もぞもぞしたりしていた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
ふだん何ごともない時には、いつも駈けたり跳ねたり、つまずいたり、たんかをきったり、とても
騒々
(
そうぞう
)
しいあわてん坊で、一人で町内をさわがしているんだが。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
急に耳もとで何かガヤガヤ
騒々
(
そうぞう
)
しいし、しきりに
揺
(
ゆす
)
り起こす者があるので、武松がふと眼をあくと、県の役人やら名主やら……のみならず往来いっぱいな群集までが
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
愛子が注意の上に注意をしてこそとの音もさせまいと気をつかっているのに、葉子がわざとするかとも思われるほど
騒々
(
そうぞう
)
しく働くさまは、日ごろとはまるで反対だった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
世人
(
せじん
)
は
慣
(
な
)
れっこになってしまって、
又
(
また
)
かという様な顔をして、その一つ
毎
(
ごと
)
に、さして驚きもしないけれど、静かに考えて見ると、何と
騒々
(
そうぞう
)
しく、いまわしい世の中であろう。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼女は喜んで日々
弁当持参
(
べんとうじさん
)
で高樹町から
有楽町
(
ゆうらくちょう
)
のミシン
教場
(
きょうじょう
)
へ通ったが、教場があまり
騒々
(
そうぞう
)
しくて頭がのぼせるし、
加上
(
そのうえ
)
ミシン
台
(
だい
)
の数が少ないので、生徒間に競争が
劇
(
はげ
)
しく
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その晩は無事に寝て、翌朝、隣の室が
騒々
(
そうぞう
)
しいので、竜之助は朝寝の夢を破られました。ああ、昨夜の男女の客は——惜しい宝を石に落して砕いたような気持がしないでもない。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
イヤもう
是
(
こ
)
れはドウするにも及ばぬことだ、
能
(
よ
)
く諸藩では
或
(
あるい
)
は禄を平均すると云うような事で大分
騒々
(
そうぞう
)
しいが、私の考えでは何にもせずに今日のこの
儘
(
まま
)
で、千
石
(
こく
)
取
(
とっ
)
て居る人は千石
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
午後
(
ごご
)
でした。なんだか、
急
(
きゅう
)
に
頭
(
あたま
)
の
上
(
うえ
)
が
騒々
(
そうぞう
)
しいので、のねずみは
目
(
め
)
をさましました。
縛られたあひる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
釣ランプを取囲んで、老幼取まぜて十人もの家族が
騒々
(
そうぞう
)
しく食事をしていた。勝代は空いた席へ割りこんで、独り生冷たい煮返しに柔かい菜浸しを添えて、まずい思いをして
箸
(
はし
)
を
執
(
と
)
った。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
図体の大きい使丁が物音に
駭
(
おどろ
)
いて凄い剣幕を見せながら跳びこんでくる、彼は気短かに呶鳴り続けた。この教室の
騒々
(
そうぞう
)
しさがコンクリートの壁をとおして他の課業を
妨害
(
ぼうがい
)
するというのである。
白い壁
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
おおかめさんは、
家
(
うち
)
では金が出来てしかたがないのだといった。いつでも、せまいほど家のなかがウザウザして、
騒々
(
そうぞう
)
しい
家
(
うち
)
だった。
樽
(
たる
)
づめのお酒を誰かしら
飲口
(
のみくち
)
を廻していた。
放縦
(
ほうしょう
)
だった。
旧聞日本橋:23 鉄くそぶとり(続旧聞日本橋・その二)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
まったくお話しに
聞惚
(
ききと
)
れましたか、こちらが
里
(
さと
)
離
(
はな
)
れて閑静な
所為
(
せい
)
か、
些
(
ちっ
)
とも気が
附
(
つか
)
ないでおりました。実は余り
騒々
(
そうぞう
)
しいので、そこを
遁
(
に
)
げて参ったのです。しかし降りそうになって来ました。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それより外にはどうすることも出来はしない。「裸婦」推敲を始めてみたが、まるでブリキ細工でもするようで、
些
(
すこ
)
しも心に触れない。唯
騒々
(
そうぞう
)
しく、浮ついた、厭な気持しかない。やめる。寝よう。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
あんまり
騒々
(
そうぞう
)
しい光景に、私はぼんやりしていた。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
名画を破る、
監獄
(
かんごく
)
で
断食
(
だんじき
)
して
獄丁
(
ごくてい
)
を困らせる、議会のベンチへ
身体
(
からだ
)
を
縛
(
しば
)
りつけておいて、わざわざ
騒々
(
そうぞう
)
しく叫び立てる。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
なんだかモーターがブルンブルンと廻っているような音も聞え、ポスポスという
喞筒
(
ポンプ
)
らしい音もします。イヤに
騒々
(
そうぞう
)
しいので、私は
眉
(
まゆ
)
を
顰
(
ひそ
)
めました。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「岩、てめえの話ア、
騒々
(
そうぞう
)
しくっていけねえ。黒門町もいる事だ。もうちっと落ち着いて話をしねえ」
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
例に依りて
挽地物屋
(
ひきじものや
)
の六兵衛老人の店先に立つ。早起きの老人はいつもながら仕事に忙がしそう
也
(
なり
)
。お冬さんは店の前を掃いている。籠の小鳥が
騒々
(
そうぞう
)
しいほどさえずる。
慈悲心鳥
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
愛子は
煤
(
すす
)
けた
障子
(
しょうじ
)
の陰で手回りの荷物を取り出して
案配
(
あんばい
)
した。
口少
(
くちずく
)
なの愛子は姉を慰めるような言葉も出さなかった。外部が
騒々
(
そうぞう
)
しいだけに部屋の中はなおさらひっそりと思われた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
いやもっと、元気いっぱいで、いつも
騒々
(
そうぞう
)
しく賑やかなのは、小姓組であった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「このうどんを生きているうちに食わなければ、死んで
閻魔
(
えんま
)
に叱られる」——土地の人にはこう言い
囃
(
はや
)
されている名物。兵馬はそれと知らずにこのうどんを食べていると、表が
騒々
(
そうぞう
)
しい。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
すると、
騒々
(
そうぞう
)
しい音が、耳いっぱいにひろがる。天井で、一匹の羽虫が
蜘蛛
(
くも
)
の巣にひっかかり、じたばたしているのだ。蜘蛛は、糸を伝ってすべってくる。腹がパンくずのような白さだ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
生
(
い
)
きるように、楽しく生きるように
頑固
(
がんこ
)
に出来上ってる、
丈夫
(
じょうぶ
)
な
騒々
(
そうぞう
)
しい
荒
(
あら
)
っぽいクラフト
家
(
け
)
の人たちの間にあって、いわば人生の
外側
(
そとがわ
)
か
端
(
はし
)
っこにうち捨てられてるこの弱い
善良
(
ぜんりょう
)
な
二人
(
ふたり
)
は
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼は
四脚
(
しきゃく
)
の
短長格
(
ヤンブ
)
を思いっきり声を引き引きがなり立てて、
韻
(
いん
)
が入れかわり立ちかわり、まるで
小鈴
(
こすず
)
のような
空
(
うつ
)
ろで
騒々
(
そうぞう
)
しい音を立てたけれど、わたしはじっとジナイーダの顔を見たまま
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
「何だ、
騒々
(
そうぞう
)
しい。
豆腐屋
(
とうふや
)
を呼びに行くんじゃあるめえし、
矢鱈
(
やたら
)
に走るな」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「みつばちさん、あちらが、たいそう
騒々
(
そうぞう
)
しいですね。」
公園の花と毒蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
とても
騒々
(
そうぞう
)
しいので、私はむしろ停めたいのですけれど、課長からすべて現状維持とし、何ものにも手をつけるなというので、その
儘
(
まま
)
にしてあるんですよ
人造人間事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
金に不自由のない
私
(
わたくし
)
は、
騒々
(
そうぞう
)
しい下宿を出て、新しく一戸を構えてみようかという気になったのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
また町じゅうの者も一人として何にも気づいていなかった。人々は笑いながら、
騒々
(
そうぞう
)
しく、忙しそうに、仕事に
赴
(
おもむ
)
いていた。
蟋蟀
(
こおろぎ
)
は歌っており、空は輝いていた。彼はすべての者を憎んだ。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
米国への上陸が禁ぜられているシナの
苦力
(
クリー
)
がここから上陸するのと、相当の荷役とで、船の内外は急に
騒々
(
そうぞう
)
しくなった。事務長は忙しいと見えてその夜はついに葉子の
部屋
(
へや
)
に顔を見せなかった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
酔っている男、笑っている女、賑やかを通り越して
騒々
(
そうぞう
)
しい位であるが、そのなかで酒も飲まず、しかも独りぼっちの若い記者は唯ぼんやりと坐っているのである。隣りの老人にも連れはない。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この時に行手の方で、
騒々
(
そうぞう
)
しい人の足音と、声とが起りました。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「はて。
騒々
(
そうぞう
)
しいのう」
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
車輪が
分岐点
(
ぶんきてん
)
と噛み合っているらしくガタンガタンと
騒々
(
そうぞう
)
しい音をたてたのと、車輌近くに陸橋のマッシヴな
橋桁
(
はしげた
)
がグオーッと
擦
(
す
)
れちがったのとが同時だった。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
膳を下げた下女が台所へいった時分、大きな笑い声が
聞
(
きこ
)
えた。くだらないから、すぐ
寝
(
ね
)
たが、なかなか寝られない。熱いばかりではない。
騒々
(
そうぞう
)
しい。下宿の五倍ぐらいやかましい。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかしすぐその後で彼女は、彼がはしゃいでいると、あまり
騒々
(
そうぞう
)
しく笑うと言ってきびしく非難した。彼は驚いた。笑うのにも彼女に気がねをしなければならないとは思いもよらないことだった。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
僕はただもう、そういう放送によってエーテルの世界が
騒々
(
そうぞう
)
しく
攪
(
か
)
きまわされることが
厭
(
いや
)
でたまりませんでした。僕は反感的に放送を聴くことを
忌避
(
きひ
)
していました。
壊れたバリコン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
芸者が来たら座敷中急に陽気になって、一同が
鬨
(
とき
)
の声を
揚
(
あ
)
げて
歓迎
(
かんげい
)
したのかと思うくらい、
騒々
(
そうぞう
)
しい。そうしてある奴はなんこを
攫
(
つか
)
む。その声の大きな事、まるで
居合抜
(
いあいぬき
)
の
稽古
(
けいこ
)
のようだ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
不意に横丁から笛と太鼓と
鉦
(
しょう
)
との
騒々
(
そうぞう
)
しい破れかえるような音響が私の耳を
敲
(
たた
)
きました。
三角形の恐怖
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私は老婦人の
傍
(
そば
)
から立ち上ると、室の
扉
(
ドア
)
を蹴って飛び出しました。入口を出ると、そこには二階へ通ずる幅の広い階段があります。何か
組打
(
くみうち
)
をしているらしい
騒々
(
そうぞう
)
しい物音が、その上でします。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
騒
常用漢字
中学
部首:⾺
18画
々
3画
“騒々”で始まる語句
騒々敷
騒々擾々