)” の例文
こういう事のあったあとだからというので、とびの者や力自慢の道具方など、りすぐった七人の者が、寝ずの番をおおせつかったのだ。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
りに選って、日本人なんか目っけなくてもよさそうなものだと、少々変な心持で、何だって聞くと、今度は名刺を出した、見ると
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
って残しておいでになったのにはそれだけの考えがあるのでしょうから、あなたに愛されない子供達を私の手でどうにか育てましょう
源氏物語:40 夕霧二 (新字新仮名) / 紫式部(著)
それは私の生命いのちにも換えられませぬお恥かしい秘密で御座いますから、この四ツの鼓の中から『あやかしの鼓』をおり出し下すって
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
お登和さん、ホントに今だして下すった松茸は良い品物ばかりですね。何故なぜ良い品ばかり揃えて直段ねだんを高くしてうらないでしょう。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「まあ、まあ、こつちさえその気になれば、相手はり取り、お好み次第つていう有様だから、兄さんなんか、気が強いわけさ」
光は影を (新字新仮名) / 岸田国士(著)
そこに並んだのは、美酒と佳肴かこうと数十基とも知れぬ銀燭ぎんしょくと、そして、十二三から二十五六までの一粒りの美女が二十人ばかり。
そしてまずあたくしが読んでみまして、他の受験書に出ていない問題をりわけまして、道夫に毎日毎日やらせているのでございますよ。
新学期行進曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「いえ、万が一、いや、いずれに致せ多いがよろしかろうと存じまして、屈強の者りすぐり、二十名程増やしまして厶ります」
老中の眼鏡 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
そのせいか、お角はだいぶ客のり好みをしていましたが、そのうちにとまの陰と橋の上とで、何か下相談の出来たらしい様子で
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから、三、四人の知らない記者がいたが、みなたいへん快活で、僕に親切と好意とを見せてくれた。一粒りのりっぱな連中だったよ。
りにつてやつちるなんてよつぽどうんわるいや‥‥」と、一人ひとりはまたそれが自分じぶんでなかつたこと祝福しゆくふくするやうにつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
世に珍しい美女にお生れになりながら、りに選って祖父おゝじ曾祖父ひいおゝじのような夫をお持ちなされたのでは、さぞ御不満なことがおありであろう。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そうかと思うと又ふいと娘がこの中に来ていはせぬかと思って、銀杏返しにっている、若い女をり出すようにして見ることなどがある。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
細君の品物をり分ける顔つきや挙動や、それを黙って見ている主人の表情はさまざまである。いろいろな家庭の一面がここに反映している。
丸善と三越 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
夜はおそくまで、部屋の整頓せいとん。机の引出の中まで、きれいに片づけた。読み終った本と、これから読む本とをりわけて、本棚を飾り直した。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「そんなことどうでもよござんすよ。それより、妾しゃくにさわるのは、りに選って妾の顔へ、あんな大きな穴をあけて……」
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
やつと安心をした内田氏は、ベルン一番の時計屋に入つて往つた。そして色々時計を持ち出させた上、一番手丈夫てぢやうぶさうなのをつて購ふ事にした。
殊に林檎や梨は本場の一粒りださうです、少々遠くても品物を持つて売りにお出掛けになるそうですから何卒皆さまお得意になつて下さいまし。
自薦じせん他薦たせんの養子の候補者は、りどり見どりだが、苦労を知らない大家たいけの次男三男を養子に貰ったところで、よくいう
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
りに選ってこんなときに、と彼は心の中で舌打ちをした。肝心なときにくしゃみとは、まるっきり茶番じゃあねえか。
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
彼は先刻からりそろえておいた七、八冊のさし絵入りの漢書——それは皆彼の父が丹精たんせいして手に入れたものであった——を風呂敷ふろしきに包み、また
しかのみならず、ごく地味の良い水がかりの良い処ばかりをり取りしたに相違なかった。つまり京都の荘園の主人を良い旦那にしておったのです。
名字の話 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
輸入するにも、国土民情に適したものをふるり、そしてさらにこれを民族精神で精製し直し、全く日本的の仏教にして消費し来ったのであります。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
さういふ条件の小説を特別にり出す事は出来ないし、又特別に取扱はなくてはならない小説があるとも思へない。
風変りな作品に就いて (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
神社や学校で恭々うやうやしく買上げる手筈になっているではないか! それをまあ、りにも選って!——と私は、その時芸術家の感興をわきまえぬ村人達から
ゼーロン (新字新仮名) / 牧野信一(著)
今夜、私はデスクの前に腰をかけて抽斗を開けた。書いたものをあらまし引裂いて棄ててしまおうとして、私はむかしの文書をり分けにかかったのだった。
こんなときにかないととても紛れることは出来ぬと、わざとごた/\致す人中をってようよう汽車に乗りこみます。
アルカージナ おや、そう? そんなら、何か当り前の芝居を出せばいいのに、なぜりに選って、あんなデカダンのタワ言をかせようとしたんだろう。
ところが、にんじんは、それをほんとだと思う。ただ、もっと上品に、美しい葉のところだけをるのである。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
人通りの少いところをって私達は歩いた。けれど私達はお互いに何も話さなかった。往来で話すような軽い単純なものを私は話そうとしているのではない。
俗に「耳白みみしろ」という文銭をり出しては箱に入れて集めておられ、それがたまり貯りして大変なかさになっていたのを、蔵の中にある穴蔵の中へ入れてありました。
彼等は明るい電車通りをって歩いた。村上は心に何かありそうな顔色をしていた。それが松井にも伝った。孰れも球を突こうとも云い出さないでただ歩いた。
球突場の一隅 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
細君の方は目が高くて、煙草の葉をるのにたしかで早い、大事な内職人なので、その方を手離したくないために、役にたたない御亭主も雇っておいてくれる。
どの玩弄物おもちゃ欲しい、とわしが問うたでの、さきへ悦喜の雀躍こおどりじゃ、……這奴等しゃつら、騒ぐまい、まだ早い。殿たち名告なのらずば、やがて、ろう、選取よりどりに私がってろう!
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
キャラコの肌着はだぎにはちやうど適當な品です。針も糸に合つたのをりました。縫針ぬひばりの方は、おぼえをけておくのを忘れたと、あなたからスミス先生に云つて下さらんか。
外輪そとわがゆるやかに胸の上に垂れ、九カラット、八カラット、順次に三、二、一カラットから、〇・八五、六五までのもの、いずれも欧州一といわれる粒りのダイヤばかり
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
それは仮りにも選をするのであるからりわけて悪いものは落し良いものは採る、という厳正な批評の眼を向けることは勿論もちろんであるが、そこにこういう考えが浮ぶのである。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
大和やまとの国、三輪みわの町の大鳥居の向って右の方の、日の光をきらって蔭をのみって歩いた一人の女が、それから一町ほど行って「薬屋」という看板をかけた大きな宿屋の路地口ろじぐち
かねて新調の藍縞糸織のあわせに、白縮緬の三尺を巻附け、羽織は元の奉書で、運動と見せて宿を立出で、顔を知らぬ車夫くるまやって柳橋手前で下り、ぶら/\と淀文の前まで来ると
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
郊外の丘にある薄汚い土民小屋の近くで、老人と若い男が懸命にすずの鉱石をっていた。
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
以上の二首は連作で二つともっておきたいが、今は一つを従属的に取扱うことにした。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「お坊さんがお寺からお布施をもらいに来たんだわ、りにってこんなところへ!」
ですから時によると、自分は全体どんなわけでりに選ってこんな仕事をするようになったのだろうと思って、それをのろうような気分になったりすることもあることを白状します。
抵抗のよりどころ (新字新仮名) / 三好十郎(著)
小池はんがまた何故に、りに選つて六日といふ惡い日を選んだのであらう。七日なら好かつたし、五日でも何うにかして會へるのに、六日の午後八時二十五分では何うにもならぬ。
兵隊の宿 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
よんどころなく、夫婦は白樺しらはりの樹の下をって、美しい葉蔭に休みました。これまで参りましても、夫婦は互に打解けません。源はお隅を見るのが苦痛で、お隅はまた源を見るのが苦痛です。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「じゃ、これから、たけつけにいこうか。」といって、子供こどもたちといっしょに、たけやぶのほうへやってきて、ゆきのかかったたけけて、よさそうなのをっていたのでありました。
熊さんの笛 (新字新仮名) / 小川未明(著)
難有ありがたいと、それをかばんれてると、ふるひかひつて女土方をんなどかたが、ちいさなこゑで。
真っ先にしょう篳篥ひちりき、太鼓、大笛、足取りをそろえ、その次に金香炉、それは十二、三から十五に至るまでの、チベット人としては最もうるわしい子供ばかりをり集めて立派な法衣ほうえを着せ
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
すべての宗派の発生は、つまりはうした手続でできたに外ならない。めいめい最初から自分自身の理想ができてり、経典の中からり出した啓示をもって、これを裏書きしたまでである。