半七捕物帳:11 朝顔屋敷 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
普通人の掌ほどの紋のついた、柿色の肩衣みたいなものを着て、高座いっぱいに見えるほど、山のように控えているのが、武右衛門である。
釘抜藤吉捕物覚書:11 影人形 (新字新仮名) / 林不忘(著)
銭形平次捕物控:265 美しき鎌いたち (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
樅ノ木は残った:04 第四部 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
幕が垂れたり上つたりしてゐる前に立つて中を覗くと、肩衣をつけた若い女が二人して淨瑠璃でも語つてゐる樣な風をしてゐる半身が見えた。その片々の女は目の覺めるほど美しい女であつた。
銭形平次捕物控:210 飛ぶ女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
どす黒く日に焼けた顔に肩衣を着けたのが、又その上をほんのり桜色に染めて、さもいい気持そうにしなを作るばかりでなく、「あんまりじゃぞえ!」を浴びせられると
汚濁の肩衣。
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
豫期したことであつたにしても、舞臺化粧のまま、肩衣だけ取つて、派手な振袖の上から、キリキリ縛られたのは、お靜には昔友達、小染のお染ちやんだつたのです。
銭形平次捕物控:118 吹矢の紅 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
壁に、よごれきった派手な小袖と肩衣が掛けてあった。手品の道具でもはいっているらしい、小さな古行李が一つ、部屋の隅にころがっていた。そのほかには、何もなかった。
浅黄色の(寸の詰った)肩衣と袴をつけた、屈強の若者が三人いて、一人は脱ぎすてたものを片づけ、他の二人は、半揷(それは漆塗りに金で定紋を置いた)の水で、手拭を絞っていたが
旧聞日本橋:11 朝散太夫の末裔 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)