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粋
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すい
ふりがな文庫
“
粋
(
すい
)” の例文
旧字:
粹
高時は、堂上などに、
眷恋
(
けんれん
)
はせぬ。京にも負けぬ、鎌倉の京をここに築いて見しょう。あらゆる工芸の
粋
(
すい
)
をあつめ、
万華
(
まんげ
)
鎌倉の楽園を
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
みんなほっと上気して眼を潤ませて、起ち居それぞれに
嬌態
(
きょうたい
)
の
粋
(
すい
)
を見せるという次第だから、若さまの御満悦は断わるまでもなかろう。
若殿女難記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それも縁なら是非なしと愛に
暗
(
くら
)
んで男の性質も
見
(
み
)
分
(
わけ
)
ぬ長者のえせ
粋
(
すい
)
三国一の
狼婿
(
おおかみむこ
)
、取って
安堵
(
あんど
)
したと知らぬが仏様に
其年
(
そのとし
)
なられし跡は
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
浦和中学は古来の
関東気質
(
かんとうかたぎ
)
の
粋
(
すい
)
として
豪邁不屈
(
ごうまいふくつ
)
な校風をもって名あるが、この年の二年にはどういうわけか奇妙な悪風がきざしかけた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
人生の
粋
(
すい
)
な味や意気な味がお糸さんの声に乗って、私の耳から心に
染込
(
しみこ
)
んで、生命の髄に触れて、全存在を
撼
(
ゆる
)
がされるような気がする。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
兵は神速を
貴
(
とうと
)
ぶ。しかし御両人、
悉皆
(
すっかり
)
安心して、話し/\歩くから、此方は困る。ツカ/\と追い越すのは当てつけるようで
粋
(
すい
)
が
利
(
き
)
かない。
冠婚葬祭博士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
{2}我々が問題を見ている地平にあっては、「いき」と「
粋
(
すい
)
」とを同一の意味内容を有するものと考えても差支ないと思う。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
露柴は
生
(
き
)
っ
粋
(
すい
)
の
江戸
(
えど
)
っ
児
(
こ
)
だった。
曾祖父
(
そうそふ
)
は
蜀山
(
しょくさん
)
や
文晁
(
ぶんちょう
)
と交遊の厚かった人である。家も
河岸
(
かし
)
の
丸清
(
まるせい
)
と云えば、あの
界隈
(
かいわい
)
では知らぬものはない。
魚河岸
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しがらきやわらび餅とて葛餅を小さくしたような餅菓子の類を
粋
(
すい
)
な手拭で顔を包んだ若い衆が屋台を引っ叩って売りにきた。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
粋
(
すい
)
の粋なる芸術道だ。泥臭いフォイアマンや、冷たく甘いピアティゴルスキーに比べて、なんという恐ろしい違いであろう。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
我々の邪推じゃないよ、
粋
(
すい
)
を通しているのだよ。いいかい、我々がこれほど粋を通してやっているのを、悪くとる宇津木君、君はねじけ者だ。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
刎釣瓶
(
はねつるべ
)
の
竿
(
さお
)
に残月のかかった趣なぞは知ろうはずもない。そういう女が口先で「
重井筒
(
かさねいづつ
)
の上越した
粋
(
すい
)
な意見」と
唄
(
うた
)
った処で何の面白味もない
訳
(
わけ
)
だ。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
生
(
き
)
っ
粋
(
すい
)
の江戸ッ子なんだし、どんな男の奴も、一目見れば、ぽうッとなってしまうだけの色香もまだ残っているんだよ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
そんな事までして少しばかりの毛を
蓄
(
たくわ
)
えて置くのはどういう訳かというと、それが壮士坊主仲間では非常に意気だ
粋
(
すい
)
だといって
羨
(
うらや
)
まれるからです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「江戸ッ子」というのは、つまり
生
(
は
)
え抜きの東京人で、吾が
大和
(
やまと
)
民族の性格の
生
(
き
)
ッ
粋
(
すい
)
を代表していると云われている。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「どうもしやしませんが、親方もなかなか
死際
(
しにぎわ
)
まで
粋
(
すい
)
を利かしたもので……それじゃお上さんも寝覚めがようがさね」
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
そこには近代科学のあらゆる
粋
(
すい
)
をあつめて作った通信設備や発電機や弾薬や食糧や戦闘用兵器などがそろっていた。
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
お前は市さまの
弟御
(
おととご
)
そうな。いつもいつも親の仇でも尋ねるような顔付きは、若いお人にはめずらしい。ちっと
兄
(
あに
)
さまを見習うて、お前も
粋
(
すい
)
にならしゃんせ。
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ちょうど日本のお相撲さんみたいなもので、この、闘牛士に特有の
豚尾式結髪
(
ピッグ・テイル
)
——COLETA——は、
西班牙
(
スペイン
)
では甚だ
粋
(
すい
)
な
伊達
(
だて
)
風ということになっている。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「
上
(
かみ
)
! 三河ながらの旗本の手の内、まった
生
(
き
)
ッ
粋
(
すい
)
旗本の性根のほど、この辺で御堪能にござりましょうや」
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
町内の伊勢屋のどら息子、貴賤老若、
粋
(
すい
)
不粋
(
ぶすい
)
、千態万様、さながら浮き世の走馬燈で、芋を洗うような雑沓。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
展望するに、はてしない平野の銀と緑と紫の
煙霞
(
えんか
)
がある。
山城
(
さんじょう
)
としてのこのプランは桃山時代の
粋
(
すい
)
を尽くした
城堡
(
じょうほう
)
建築の好模型だというが、そういえばよく
肯
(
うなず
)
かれる。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
中央
(
まんなか
)
から取って
矮鶏
(
ちゃぼ
)
の
尾
(
おしり
)
の様な
形
(
なり
)
に致して
粋
(
すい
)
だという、
團十郎刈
(
だんじゅうろうがり
)
が
宜
(
よ
)
いとか
五分刈
(
ごぶがり
)
が
彼
(
あれ
)
が宜しいと、
粋
(
いき
)
な様だが團十郎が致したから團十郎刈と云うと、大層名が
善
(
よ
)
いが
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
仕切る
枠
(
わく
)
が自然の景物の
粋
(
すい
)
をあつめて成るがために、——枠の形が趣きを
損
(
そこ
)
なわぬほどに正しくて、また眼を乱さぬほどに不規則なるがために——飛石に、水に、
椽
(
えん
)
に
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夜になると、心得顔の仲居が、
粋
(
すい
)
をきかせて、蒲団を一つ、枕を二つならべて、出て行った。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
どうも、長者のお旦那に限って、台所口がお好きで、困ってしまいます。貧乏所帯の台所が、よっぽどもの珍らしいと見える。さ、
粋
(
すい
)
にも程度がございます。どうぞ、奥へ。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
これ儒教的政論の
粋
(
すい
)
を
抽
(
ぬき
)
んでたるもの、尋常一様の封建政治の理想、必らずしもかくの如く精明なる大主義徹底したるにあらずといえども、その民情を
尋酌
(
しんしゃく
)
し、民を養うを以て
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
(小次郎様に恋されて以来、お姫様も
粋
(
すい
)
におなりになり、アジなことをおっしゃるよ)
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
平生
(
ふだん
)
ならば、銀座通りはまだ宵のうちだ。全日本の流行の
粋
(
すい
)
をそぐった男女の群が、まるで自分の邸内でも歩いているように、屈託のない足どりでプロムナードを楽しんでいる時刻だ。
犠牲者
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
私はそれより柳橋へでも繰り込んで、
粋
(
すい
)
に遊ぼうと主張する。杉は
躍気
(
やっき
)
になって
The Affair of Two Watches
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
崇拝して居る間はまことに歌というものは優美にて『古今集』はことにその
粋
(
すい
)
を
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
芸者に
粋
(
すい
)
な御客人、至って野暮な御亭主なり。弟子に
経綸
(
けいりん
)
を教うる人、家庭の教育整い難し。友の
棺
(
ひつぎ
)
を送るもの、親類の不幸を弔わず、役所に出でては尻尾を振り、宅へ帰れば頭を振る。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かれは五十才ぐらいの
年輩
(
ねんぱい
)
で、流行の
粋
(
すい
)
を集めた身なりをしていた。犬のようなまっ白なとんがった歯をして、
笑
(
わら
)
うときにはそれをかみしめようとでもするようにくちびるをあとへ引っこめた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
碧色の草花として、つゆ草は
粋
(
すい
)
である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
第二百六十一 料理の
粋
(
すい
)
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
粋
(
すい
)
は
文吉
(
ぶんきち
)
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
真
(
まこと
)
を云えば御前の
所行
(
しょぎょう
)
も
曰
(
いわ
)
くあってと察したは年の功、チョン
髷
(
まげ
)
を
付
(
つけ
)
て居ても
粋
(
すい
)
じゃ、
実
(
まこと
)
はおれもお前のお辰に
惚
(
ほれ
)
たも
善
(
よ
)
く惚た
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
兜
(
かぶと
)
、
鎧
(
よろい
)
の華やかさは云わずもがな、
黄金
(
こがね
)
の
太刀
(
たち
)
、
白銀
(
しろがね
)
の
小貫
(
こざね
)
、
矢壺
(
やつぼ
)
や鞍にいたるまで、時代の名工が
意匠
(
いしょう
)
の
粋
(
すい
)
を
凝
(
こ
)
らした物ずくめであった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ラサ貴婦人の
盛粧
(
せいしょう
)
チベットの婦女子の内で一番
粋
(
すい
)
であるところのラサ府の婦人の風俗、容貌、品格、習慣、性質、欲望等についてお話致します。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
江戸娘の
粋
(
すい
)
といったお秀は年こそ少し取り過ぎましたが、ずいぶん思いも寄らぬ罪を作っていそうな美しさでした。
銭形平次捕物控:125 青い帯
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「色と意気地を立てぬいて、
気立
(
きだて
)
が
粋
(
すい
)
で」とはこの事である。かくして
高尾
(
たかお
)
も
小紫
(
こむらさき
)
も出た。「いき」のうちには
溌剌
(
はつらつ
)
として武士道の理想が生きている。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
「まあ、あつらえたように、そこに
蒲団
(
ふとん
)
も枕も出してあるわ、あのお雪さんていう子、なんて
粋
(
すい
)
の通る子でしょう」
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
脱ぐよ。君等こそプロレタリヤ精神の
生
(
き
)
ッ
粋
(
すい
)
だ。日本魂の精華だ。人間はそうなくちゃならん。その精神があれば日本は亡びてもこの了々亭だけは残るよ
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
いかなる事にも、物驚きをしないような、
生
(
き
)
ッ
粋
(
すい
)
の柳ばし連の、美しい瞳さえ、一度にきらめき輝くのだった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
烟花狭斜
(
えんかきょうしゃ
)
の風俗かくの如く新聞紙を利用して売名をのみ
専
(
もっぱら
)
となすに至つては
粋
(
すい
)
も意気もあつたものにあらず。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
こう
粋
(
すい
)
をきかして泰軒が立ち去ったのち、二人は、あれでどれほど長く玉姫神社の階段に腰をかけて語り合っていたものか——気がついた時は、陽はすでに
斜
(
なな
)
めに昇って
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
しかし叔母さん、
此奴
(
こいつ
)
は一番
失策
(
しくじ
)
ッたネ、平生の
粋
(
すい
)
にも似合わないなされ方、チトお恨みだ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
天下を狙いたいにも天下の
空
(
あき
)
はないし、
戦争
(
いくさ
)
をしたくも戦争は起らず、せめて女にでもぞっこん打ち込む事が出来ればまだいいが、
生憎
(
あいにく
)
と
粋
(
すい
)
も甘いも分りすぎているし——そうして
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
挙止動作から
衣服
(
きもの
)
の着こなし方に至って、ことごとく
粋
(
すい
)
を尽くしていると自信している。ただ気が弱い。気が弱いために損をする。損をするだけならいいが
乗
(
の
)
っ
引
(
ぴ
)
きならぬ
羽目
(
はめ
)
に
陥
(
おち
)
る。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこらは抜目無くして置いた事は、後で御覧なすっても解りますが、時に今ね母親さん美土代町の
奧州屋
(
おうしゅうや
)
の旦那がね、ほんとに
粋
(
すい
)
な苦労人で、美代ちゃんを呼んで
度々
(
たび/\
)
お座敷も重なると
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“粋(
いき
)”の解説
いきとは、江戸時代に生じ、時代に従って変転した美意識(美的観念)で、遊興の場での心意気、身なりや振る舞いが洗練されていること、女性の色っぽさなどを表す語。
「いき」は、単純美への志向であり、「庶民の生活」から生まれてきた美意識である。また、「いき」は親しみやすく明快で、意味は拡大されているが、現在の日常生活でも広く使われる言葉である。
反対語は「野暮(やぼ)」または「無粋」である。
(出典:Wikipedia)
粋
常用漢字
中学
部首:⽶
10画
“粋”を含む語句
精粋
生粋
不粋
純粋
小粋
醇粋
無粋
粋人
粋客
国粋主義
正粋
粋事
粋狂
抜粋
文粋
粋筋
粋言
粋様
醇粋味
粋者
...