“煙霞”の読み方と例文
読み方割合
えんか100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
つい一、二時間前に見た白く輝く三角洲、分流の早瀬、船大工のとんとん、水車船の野趣、何だか遠い日のむこうの煙霞えんかと隔たってしまったような気がする。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
二つが一々主峯の影を濃くひたして空もろ共に凝っている。けれども秋のように冷かではない。見よ、眄視べんし、流目の間にあでやかな煙霞えんかの気が長い睫毛まつげを連ねて人ににおいかかることを。
雛妓 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
アルプスのシャモニーへ煙霞えんかの旅としゃれたのはよかったが、合卺ごうきんの夢もまだ浅い新妻が、ネヴェというたちのわるい濡れ雪を踏みそくなって、底知れぬ氷河の割目に嚥みこまれてしまった。
白雪姫 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)