盲人めくら)” の例文
へへへへ、ではどうか、御ゆっくりおやすみを……へえ、へえ、にわ盲人めくらとちがいますから、手を引いて下さらなくても大丈夫です……
按摩 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
すると、彼のそののんきな様子を耳にとめたのでせう、同じ道を歩いてた三人の盲人めくらが、彼の前に立止つて、施しを求めました。
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
なんで、約束やくそくしたをんなひにつてはらぬのかと——いまのお前樣まへさまとほりを、またときわたしたづねますと、盲人めくらまをすには
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
鈍い、黄味がかった盲人めくら鞏膜しろめのような、しかし、ぼやついたそのもやの奥には、いつでも踏みこらえるような不思議な力がこもっていた。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
彼は盲人めくらである。年ごろは三十二三でもあろうか、日に焼けて黒いのと、あかうずもれて汚ないのとで年もしかとは判じかねるほどであった。
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
彼女は、盲人めくらのそばをすれすれに歩き、わざとひじをぶつけたり、足を踏んだりするのである。彼はしかたがなく、後退あとすざりする。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
どうも教わりたてゞございますから能く分りません、向うは盲人めくらだから書いた物を出して見ても宜しいが、娘が居りますから
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そう思って、この痩せ衰えた盲人めくらを見ると、何となくこの盲人が怖しいように感ぜられた。二人はその後無言であった。私の手は折々おりおりふるえた。
黄色い晩 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ヒュ——ドロドロの科学実験はこれじゃこれじゃ……見料けんりょうは大人が十銭、小供なら半額、盲人めくら無料ただ……アッ……そんなに押してはいけない。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
私はこんな大和路の古い街にも住む按摩あんまが、奇妙にも懐かしく詩興しきょうを深く感じた、そこで、早々そうそう二階へ呼上よびあげたられは盲人めくら老按摩あんまであった。
菜の花物語 (新字新仮名) / 児玉花外(著)
この盲人めくらがな! それだのに手前たちのために俺は運をなくしなきゃならねえ! 馬車を乗り𢌞せようってのに、えつくばいの乞食になって
若し途中で、或はあしなへ、或は盲人めくら、或は癩を病む者、などに逢つたら、(その前に能く催眠術の奧義を究めて置いて、)
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
求法ぐほう僧衆そうしゅうが、最も苦しみ闘うのは、そのうちでも「女色禁」の一戒であった。女に対して、眼をつぶることは、生れながらの盲人めくらでさえもなし難い。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
斯様いふ連中は全く盲人めくらといふでも無く、さればと云つて高慢税を進んで沢山納め奉るほどの金も意気も無いので、得て中有に迷つた亡者のやうになる。
骨董 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
おばば、あぶない、逃げな、あぶない! ……盲人めくらが……竹の杖で……凄い腕だ! ……そいつが来るのだ! おばば
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ホメロスと呼ばれた盲人めくらのマエオニデェスが、あの美しい歌どもを唱ひ出すよりずつと以前に、斯うして一人の詩人が喰はれて了つたことを、誰も知らない。
狐憑 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
説明する前にはつきりと申上げますがね、もし僕があなたをおたすけするとすれば、それは盲人めくら跛足びつこを援けると同じ事だといふ僕の注意を忘れないで下さい。
盲人めくら蛇にじず、やぶを突ついて蛇、毛を吹いて傷を求め、飛んで火に入る夏の虫か、蟷螂とうろうの竜車に向うおの、いやはや、いやはや、おかしくってへそが茶を沸かすぞ
百足ちがい (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
若松屋惣七という盲人めくらはお高を想っているのだから、このことは、あいつからももれる心配はあるまい。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
君、君、盲人めくら蛇にじずとは君のことだよ。そりゃあ成る程、君に取ってはこの女は世界一の宝だろう。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
で、莫迦莫迦ばかばかしいようだが、ドイツは、盲人めくらに、よいように手紙を読んでやる長屋の悪書生みたいなり方で、アフガニスタンを誤魔化ごまかしてなにかせしめようとした。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
これらの㕝逃入村にごろむら不思議ふしぎに類せり。しかれどもくだんの二ツはやしろありて丹後の人をいみはかありて盲人めくらをきらふなり、逃入村にごろむらつかあるゆゑに天満宮の神灵しんれい此地をいみ玉ふならん。
よくいちという盲人めくらだそうだ。此奴に引っ張られて行くから、詰まりは泥沼へ落ちるって」
村一番早慶戦 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
この盲人めくらは、同じ仲間に手を引かれているとは夢にも知らないで、おれのことを親切な金持ちの旦那さまだと信じきっている。して見ればおれは、ほんとうの金持ちになったも同様だ。
幻想 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
それを右に見て鹿島神社の方へ行けば、按摩あんまを渡世にする頭をまるめた盲人めくらが居る。駒鳥こまどりだの瑠璃るりだのその他小鳥がかごの中でさえずっている間から、人の好さそうな顔を出す鳥屋の隠居が居る。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一といふ盲人めくらに、二といふ女盲人、悲しい生命いのちは其の間からうまれた
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
盲人めくら盲人めくら一心に何か聴きすましあかあかし顔を日に向けてゐる
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
腰附、肩附、歩行あるふりっちて附着くッつけたような不恰好ぶかっこう天窓あたまの工合、どう見ても按摩だね、盲人めくららしい、めんない千鳥よ。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それから、彼女は、ちょっと意趣返いしゅがえしのつもりで、盲人めくらの腕をつねり、通りへ押し出す。そこは、雪をふるい落とした灰色の絨毛わたげの下である。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
つまり、『鷹の城ハビヒツブルグ』が来てから十日の後、また三人の盲人めくらの方は、その二日まえ——五月二十九日にここへ参りましたのです
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
主人から引止められるのを断つて、三人の盲人めくらと自分との勘定に金貨を二枚おいて、名残りををしみながらお礼をいつて、こつそり出かけました。
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
少し仰向き加減に、首と右肩との角度を六十度ぐらいにして居るところを見ると、生れつきの盲人めくらであるらしい。
按摩 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
こういう連中は全く盲人めくらというでもなく、さればといって高慢税を進んで沢山納め奉るほどの金も意気もないので、中有ちゅううに迷った亡者のようになる。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
今日の明け方この社地で、社殿の縁に腰をかけ、盲人めくらの阪東薪十郎と、妾の噂をなされた時にも、その常夜燈の蔭にかくれ、立ち聞き致しましてございます。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ホメロスと呼ばれた盲人めくらのマエオニデェスが、あの美しい歌どもをうたい出すよりずっと以前に、こうして一人の詩人が喰われてしまったことを、誰も知らない。
狐憑 (新字新仮名) / 中島敦(著)
あ……夢かア、おや/\盲人めくらてえものはめうもんだなア、てゐるうちには種々いろ/\のものが見えたが、めたらなにも見えない。……心眼しんがんふお話でございます。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ああ、やっと、わたしは、盲人めくらから、てきた。一こくも、やすみなく、かたいしうえつちおもてを、こつこつやられたのでは、わたしがたまったものでないからな。
河水の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これらの㕝逃入村にごろむら不思議ふしぎに類せり。しかれどもくだんの二ツはやしろありて丹後の人をいみはかありて盲人めくらをきらふなり、逃入村にごろむらつかあるゆゑに天満宮の神灵しんれい此地をいみ玉ふならん。
どなたか御親切な旦那さま、哀れな盲人めくらに教えてやって下さい。私はわがイギリスのために、ジョージ陛下万歳! 名誉の戦争に出まして、大事な眼をなくした者でございます。
ほんに、仰っしゃるとおりで、黄昏たそがれ旅籠はたごを求めそこね、一里先へ行ったらあるか、二里歩いたら泊まれるかと、ついつい盲人めくらの勘と強情ごうじょうから、こう参ったのがまちがいのもとでした。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
古い伝えは延喜えんぎの昔に。あのや蝉丸せみまる逆髪さかがみ様が。何の因果か二人も揃うて。盲人めくらと狂女のあられぬ姿じゃ。父の御門みかどに棄てられ給い。花の都をあとはるばると。知らぬ憂目に逢坂おうさか山の。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
馬頭観世音の前を通れば甘薯畑いもばたけ盲人めくらこち向け日が真赤まつかぞよ
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
單調に盲人めくらはおもふ
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
盲人めくら不安気ふあんげである。足が湿しめを感じ、片一方ずつ上へあがる。泥のまじった雪を押しのけ、そいつを遠くへ散らかす。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
ところに、みぎ盲人めくら、カツ/\とつゑらして、刎上はねあがつて、んでまゐり、これは無體むたいことをなされる。……きつ元氣げんきぢや。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
エミリアンは、盲人めくらたちのあとをつけて、同じ宿屋にはいり、そこに泊りました。そして朝早くをさまして、盲人たちが起上るのを待つてゐました。
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
いずれにしても、遭難の夜の秘密は底知れないのであるが、もしかして三人の盲人めくらを訊問してみたら、あるいはその真相が判ってくるのではないかと思われた。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「両方の眼をつぶして盲人めくらになるんですよ。眼をつぶせば、あの恐しいモルヒネ中毒さえなおるのですもの、ニコチン中毒ぐらいは訳もなくなおると思うのです」
按摩 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
……すると突然男の乞食こじきが——その乞食はどうやら片腕のない、盲人めくらのようでございましたが、持っていた杖を突き出したんで。……それも二度でございました。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
未だまとまりのつかぬ道連の小平と盲人めくらのおかめ母子おやこの事などは、鹽原多助後日譚ごにちのものがたりとして、お追々お聞きに達しますことゝ致しまして、一先ひとまず此処で打切りに致します。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)