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白樺
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しらかば
ふりがな文庫
“
白樺
(
しらかば
)” の例文
白樺
(
しらかば
)
の皮を
壁
(
かべ
)
にした殖民地式の小屋だが、内は可なり
濶
(
ひろ
)
くて、
畳
(
たたみ
)
を敷き、奥に
箪笥
(
たんす
)
柳行李
(
やなぎごうり
)
など
列
(
なら
)
べてある。
妻君
(
かみさん
)
も
善
(
よ
)
い顔をして居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「
白樺
(
しらかば
)
の皮、
剥
(
は
)
がして来たか。」タネリがうちに着いたとき、タネリのお
母
(
っか
)
さんが、小屋の前で、こならの実を
搗
(
つ
)
きながら云いました。
タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
婆やは腰を
屈
(
かが
)
めながら入ってきた。その手には、
白樺
(
しらかば
)
の皮を握っていた。二人の目は驚異の表情を
湛
(
たた
)
えて、その自樺の皮の上に走った。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
星の空にそびえた一本の
白樺
(
しらかば
)
、その高き枝にみどりの
黒髪
(
くろかみ
)
風に吹かして、腰かけていたひとりの美少女、心なくしてふと見れば
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのおりの
中幕
(
なかまく
)
に、喜多村が新しい演出ぶりを試みた、たしか『
白樺
(
しらかば
)
』掲載の、
武者小路実篤
(
むしゃのこうじさねあつ
)
氏の一幕ものであったかと思う。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
二三日
(
にさんにち
)
經
(
た
)
つて、
弴
(
とん
)
さんに
此
(
こ
)
の
話
(
はなし
)
をした。
丁
(
ちやう
)
ど
其日
(
そのひ
)
、
同
(
おな
)
じ
白樺
(
しらかば
)
の
社中
(
しやちう
)
で、
御存
(
ごぞん
)
じの
名歌集
(
めいかしふ
)
『
紅玉
(
こうぎよく
)
』の
著者
(
ちよしや
)
木下利玄
(
きのしたりげん
)
さんが
連立
(
つれだ
)
つて
見
(
み
)
えて
居
(
ゐ
)
た。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
白樺
(
しらかば
)
の若木を自分で植えつけて、それがやがて青々と
繁
(
しげ
)
って、風に揺られているのを見ると、僕の胸は思わずふくらむのだ。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
敷きっぱなしの蒲団の上で内職に
白樺
(
しらかば
)
のしおりの絵を描いていると、学校から帰って来たベニがドアを開けてはいって来た。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
過去の
白樺
(
しらかば
)
派の人道主義が、やはりこれと同様だった。すべてこれ等の文学は、未だ自然主義の懐疑時代を通過していない。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
私の入れられたそのサナトリウムの「
白樺
(
しらかば
)
」という病棟には、私の他には一人の十五六の少年しか収容されていなかった。
燃ゆる頬
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
彼は雨あがりの後の黄ばんだ雑木林を
眺
(
なが
)
めたり、丘つづきの傾斜に
白樺
(
しらかば
)
、
樫
(
かし
)
、
栗
(
くり
)
などの立木を数えたりして乗って行った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ドイツでは行っても行っても
洪積期
(
こうせきき
)
の砂地のゆるやかな波の上にばらまいた
赤瓦
(
あかがわら
)
の小集落と、キーファー松や
白樺
(
しらかば
)
の森といったような景色が多い。
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
薄い黄色の丸葉がひらひらついている
白樺
(
しらかば
)
の霜柱の草の中にたたずんだのが、静かというよりは寂しい感じを起させる。
日光小品
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ところどころには
灌木
(
かんぼく
)
の茂みがあって、それも
代赭
(
たいしゃ
)
の色に枯れかかっているのに、稀にまじる
白樺
(
しらかば
)
と柳だけが、とび抜けて鮮かな色彩をもっていた。
ツンドラへの旅
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
実際チェーホフはさすがに頗る巧みな一筆がきで、そうした自画像を描いている——野原の遠景、
白樺
(
しらかば
)
が一本。絵の下に題して曰く、孤独(『手帖』)。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
デンマークの富は主としてその土地にあるのであります、その牧場とその家畜と、その
樅
(
もみ
)
と
白樺
(
しらかば
)
との森林と、その沿海の漁業とにおいてあるのであります。
デンマルク国の話:信仰と樹木とをもって国を救いし話
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
或
(
あ
)
る日彼女は所在なさに、例年のように
葭簀張
(
よしずば
)
りの
日覆
(
ひおお
)
いの出来たテラスの下で
白樺
(
しらかば
)
の椅子にかけながら、夕暮近い
前栽
(
せんざい
)
の初夏の景色を
眺
(
なが
)
めていたが、ふと
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ちょうどその
途端
(
とたん
)
に、まだらな大きなキツツキが現われて、ほっそりした
白樺
(
しらかば
)
の幹をせかせかと登り始めたので、すっかりそのほうに気を取られてしまった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
嘉七さんは
白樺
(
しらかば
)
の皮を取りにあの辺へ通りかかって、そうして頭巾を見つけ出して来たまでです。ああ、また今夜はみんなしてお
通夜
(
つや
)
をしなければなりません。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
白樺
(
しらかば
)
の茂った谷の底から、何者か高い声で「面白いぞう」と
呼
(
よば
)
わる者がある、
薄月夜
(
うすづきよ
)
で
連
(
つれ
)
も大勢あったが、一同
悉
(
ことごと
)
く色を失って逃げ帰った、という話が出て来る。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
殊に列車が
博克図
(
ブヘド
)
を出てからは、窓外にスクスクと伸びた
白樺
(
しらかば
)
の美林が眺められ、乗客も乗務員ももう何事も忘れて、
貪
(
むさぼ
)
るように朝の空気を肺臓へ送りこんでいた。
キド効果
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
除夜にはサイトリカバといって、
白樺
(
しらかば
)
の皮を
門火
(
かどび
)
に焚くことは、他の山国の盆の夕も同じであった。年棚にはミタマの飯というものを作って、祖先の霊にささげた。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そしてそれは、
白樺
(
しらかば
)
のように、山のにおいの高い、澄んだ渓流のように作為のない、自然人であった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
しかし、彼はどうにかその縁をよじのぼり、
白樺
(
しらかば
)
や
樟
(
くす
)
やまんさくの林のなかを、やっとのことで通りぬけ、ときには野生の
葡萄
(
ぶどう
)
づるにつまずいたりからまったりした。
リップ・ヴァン・ウィンクル:ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
時は九月の十四日、然し沼のあたりのイタヤ楓はそろ/\染めかけて居る。處々
楢
(
なら
)
や
白樺
(
しらかば
)
にからむだ山葡萄の葉が、火の樣に燃えて居る。空氣は澄み切つて、水は鏡の樣だ。
熊の足跡
(旧字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
木々が
黄葉
(
こうよう
)
を呈している。そこへ昼の陽があたっている。白々と見えるは
白樺
(
しらかば
)
の幹だ。林では兎がはねている。こずえでは
橿鳥
(
かけす
)
が呼んでいる。空気には立派なにおいがある。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
左に折れ曲った丘に沿うて
白樺
(
しらかば
)
と
樅
(
もみ
)
の林が荒涼として
連
(
つらな
)
っていた。エルマはその林に近い
灌木
(
かんぼく
)
の中へ往った。ベルセネフがもう追っついて来た。彼は
鞭
(
むち
)
を放さずに握っていた。
警察署長
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
草の中からたった二本ひょろひょろと
生
(
お
)
い伸びた
白樺
(
しらかば
)
の白い樹皮を力弱く照らしていた。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
この女ふたりが拳銃を構えて
対峙
(
たいじ
)
した可憐陰惨、また奇妙でもある光景を、
白樺
(
しらかば
)
の幹の蔭にうずくまって見ている、れいの下等の芸術家の心懐に
就
(
つ
)
いて考えてみたいと思います。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
百姓なんてものは
騙児
(
かたり
)
だから、同情してなんかやるには当たらん、今でもたまにぶんなぐる者がおるから、もったものだ、ロシアの土地は、
白樺
(
しらかば
)
があればこそ、しっかりしてるんだ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
しばらく、あの、
白樺
(
しらかば
)
の林の上に、秋空に動かない雲の上に、僕の瞳を憩わせてくれ。僕にはもう、暖かさが耐えられない。この執拗な生命の糧を、だれに分け与えればよいのだろう。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
僕だつてSやなんか
白樺
(
しらかば
)
の連中と別れた時は、堪らない位淋しかつたもんだ。
然
(
しか
)
しその位の事に堪へられない位ぢや、
迚
(
とて
)
もいゝ作家になれないと思つたから、歯を喰ひしばつて我慢した。
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
瀑
(
たき
)
などの
滴垂
(
したた
)
りおちる
巌角
(
いわかど
)
にたたずんだり、緑の影の顔に涼しく揺れる
白樺
(
しらかば
)
や
沢胡桃
(
さわぐるみ
)
などの、木立ちの下を散歩したりしていたお増の顔には、長いあいだ
熱鬧
(
ねっとう
)
のなかに過された自分の生活が
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
蹄鉄に蹴られた
礫
(
こいし
)
が
白樺
(
しらかば
)
の幹にぶつかる。馬はすぐ森を駈けぬけて、丘に現れた。それには羊皮の帽子をかむり、
弾丸
(
たま
)
のケースをさした帯皮を両肩からはすかいに十文字にかけた男が乗っていた。
パルチザン・ウォルコフ
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
白樺
(
しらかば
)
と
赤楊
(
はんのき
)
の
重
(
かさ
)
なり
合
(
あ
)
ふ
森
(
もり
)
の
茂
(
しげ
)
みに
銃架
(
じうか
)
の
影
(
かげ
)
はけふも
続
(
つゞ
)
いて
行
(
ゆ
)
く
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
「森へは、はいって行くんでないぞ。ながねの下で、
白樺
(
しらかば
)
の皮、
剥
(
は
)
いで来よ。」うちのなかから、ホロタイタネリのお
母
(
っか
)
さんが
云
(
い
)
いました。
タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
雪の結晶の撮影は小屋の入口の
白樺
(
しらかば
)
造りのヴェランダで行うことにして、此処にも木箱を持ち出して実験台を作る。
雪の十勝:――雪の研究の生活――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
僕の後ろにある岩の上には
画
(
え
)
にあるとおりの河童が一匹、片手は
白樺
(
しらかば
)
の幹を
抱
(
かか
)
え、片手は目の上にかざしたなり、珍しそうに僕を見おろしていました。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
而
(
そう
)
して木の葉の
網目
(
あみめ
)
を
洩
(
も
)
る日光が金の
斑点
(
はんてん
)
を地に落すあの
白樺
(
しらかば
)
の林の
逍遙
(
しょうよう
)
! 先生も其処に眠って居られる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ただし榾とは言っても
囲炉裏
(
いろり
)
にくべるのではなくて、
白樺
(
しらかば
)
など
脂
(
あぶら
)
の多い木の榾を暖炉の上に立てて
蝋燭
(
ろうそく
)
代りにともすのがロシヤの貧しい農家のならいであった。
イオーヌィチ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
三番目の絵葉書は、高原の
白樺
(
しらかば
)
が白く光って、大きい綿雲の
浮
(
う
)
いた美しい写真であった。文面には
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
ついシュトルツ家の裏庭の方で、子供たちの声がしているのでお春が呼びに行こうとするのを、雪子は止めて、ひとりテラスの
葭簀張
(
よしずばり
)
の下へ出て、
白樺
(
しらかば
)
の椅子に掛けた。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
すると、
白樺
(
しらかば
)
のこずえの上にあって、始終をながめていた
咲耶子
(
さくやこ
)
が、にわかに
優
(
やさ
)
しい声をはって
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
十羽の鳩を前に置いて、北原賢次は
白樺
(
しらかば
)
の皮を
剥
(
む
)
いて、それを薄目に薄目にと削りなしている。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
木のおいしげった丘のふもとで、近くを小川が流れ、
白樺
(
しらかば
)
の巨木がその片端に立っていた。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
それらの樹木の多くが
白樺
(
しらかば
)
と
落葉松
(
からまつ
)
であることを知ったのも
殆
(
ほとん
)
どその時が始めてであった。
恢復期
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
大谷地は深き谷にて
白樺
(
しらかば
)
の林しげく、
其
(
その
)
下は
葦
(
あし
)
など生じ湿りたる沢なり。
此時
(
このとき
)
谷の底より何者か高き声にて面白いぞ——と
呼
(
よば
)
わる者あり。一同
悉
(
ことごと
)
く色を失い
遁
(
に
)
げ走りたりと云えり。
遠野の奇聞
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
暗灰褐色の樹皮が
鱗状
(
うろこじょう
)
に
剥
(
む
)
き出しかけている春楡の幹、
水楢
(
みずなら
)
、
桂
(
かつら
)
の灰色の肌、
鵜松明樺
(
さいはだかんば
)
、一面に
刺
(
とげ
)
のある
※木
(
たらのき
)
、
栓木
(
せんのき
)
、
白樺
(
しらかば
)
の雪白の肌、馬車は原生闊葉樹の間を午後の陽に輝きながら
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
ひき残された大豆の
殻
(
から
)
が風に吹かれて
瓢軽
(
ひょうきん
)
な音を立てていた。あちこちにひょろひょろと立った
白樺
(
しらかば
)
はおおかた葉をふるい落してなよなよとした白い幹が風にたわみながら光っていた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
庭は一町歩か、それとも、もう少し多いくらいの広さであったが、樹木はぐるりにだけ四方の垣根沿いに、幾本かの
林檎
(
りんご
)
の樹と、
楓
(
かえで
)
に
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
、
白樺
(
しらかば
)
が各一本ずつ植えてあるだけであった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
“白樺(シラカンバ)”の解説
シラカンバ(白樺、シラカバ)は、カバノキ科カバノキ属の落葉樹の一種。樹皮が白いことからこの名がある。
(出典:Wikipedia)
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
樺
漢検準1級
部首:⽊
14画
“白樺”で始まる語句
白樺派
白樺林
白樺色