トップ
>
玉
>
ぎょく
ふりがな文庫
“
玉
(
ぎょく
)” の例文
吉弥の跡の行動を監視させておくのに都合がよかろうと思ったから——吉弥の進まないのを無理に
玉
(
ぎょく
)
をつけて、晩酌の時に呼んだ。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
しばらくして、浦子は
玉
(
ぎょく
)
ぼやの
洋燈
(
ランプ
)
の心を
挑
(
あ
)
げて、
明
(
あかる
)
くなった
燈
(
ともし
)
に、宝石輝く指の
尖
(
さき
)
を、ちょっと
髯
(
びん
)
に触ったが、あらためてまた
掻上
(
かきあ
)
げる。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
玉
(
ぎょく
)
はそこで
衾
(
やぐ
)
を
展
(
の
)
べて暫く女をやすまし、自分は他の
室
(
へや
)
へいって寝たが、朝になって女の所へいってみると、女は帰ったのかもういなかった。
阿英
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
相場で云えば売買両方の
玉
(
ぎょく
)
を出して置く両建と云ったようなものである。しかし、両建と云うのは、大勝する
所以
(
ゆえん
)
ではない。
真田幸村
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
瑪瑙の
玉
(
ぎょく
)
や細工物を京へ持っていって売り、京から一年の必要品を買って帰るのである、父子は出来六という下男を供に吹矢の里をたっていった。
艶妖記:忍術千一夜 第一話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
オランダの敷物、ペルシャの壁飾り、インドの窓掛、ギヤマンの窓、
紫檀
(
したん
)
黒檀
(
こくたん
)
に
玉
(
ぎょく
)
を
彫
(
ちりば
)
めた調度、見る物一つとして珍奇でないものはありません。
銭形平次捕物控:029 江戸阿呆宮
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
何うもこれは出来ない
業
(
わざ
)
でげすな、ちょいと
玉
(
ぎょく
)
を付けて、祝儀を遣った其の上で、
情夫
(
いゝひと
)
に会わして遣るなんてえ事は中々出来る
事
(
こッ
)
ちゃア有りやせん
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今まで何度来ても、それはこちらで
玉
(
ぎょく
)
をつけてやるから来るので、向うからついぞ
訪
(
たず
)
ねて来たことなどなかったのに、めずらしい。どうしたのだろう。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
ガラスでさえも、支那人の手に成った乾隆グラスと云うものは、ガラスと云うよりも
玉
(
ぎょく
)
か
瑪瑙
(
めのう
)
に近いではないか。
陰翳礼讃
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
異様に白く、或は金焔色に鱗片が
燦
(
きら
)
めき、厚手に装飾的な感じがひろ子に支那の
瑪瑙
(
めのう
)
や
玉
(
ぎょく
)
の造花を連想させた。
高台寺
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
これ女の揚代より四分を待合が取るゆゑとか聞きぬ。御泊りとなれば芸者は十一時より翌朝まで
玉
(
ぎょく
)
だけでも十二本の
規則
(
きめ
)
なるに、浜町は女二円にて事済みなり。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「月給は弁当つき三十五円でしてね、朝は九時から、ひけは四時です。ところで
玉
(
ぎょく
)
づけが出来ますかね。」
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
ねえ、橋本君、
先
(
ま
)
ず
吾儕
(
われわれ
)
の商売は、女で言うと丁度芸者のようなものだネ。御客
大明神
(
だいみょうじん
)
と
崇
(
あが
)
め奉って、ペコペコ御辞儀をして、それでまあ
玉
(
ぎょく
)
を付けて貰うんだ。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
龍頭瓶
(
りゅうとうへい
)
だの、
玉
(
ぎょく
)
の文鎮だの、青貝の戸棚だの、大理石の
硯屏
(
けんびょう
)
だの、剥製の雉だの、恐るべき仇英だのが、雑然とあたりを塞いだ中に、
水煙管
(
みずぎせる
)
を
啣
(
くわ
)
えた支那服の主人が
上海游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
銀子はこの商売に取り着きたての四五年というもの、いつもけい
庵
(
あん
)
に
箝
(
は
)
め
玉
(
ぎょく
)
ばかりされていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「礼だ、礼だ、と大さわぎしているが、礼とはいったい儀式用の
玉
(
ぎょく
)
や
帛
(
はく
)
のことだろうか。
楽
(
がく
)
だ、
楽
(
がく
)
だ、と大さわぎしているが、楽とはいったい鐘や太鼓のことだろうか。」
現代訳論語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
二階から下りた時、父は
玉
(
ぎょく
)
だの
高麗焼
(
こうらいやき
)
だのの講釈をした。
柿右衛門
(
かきえもん
)
と云う名前も聞かされた。一番下らないのはのんこうの茶碗であった。疲れた二人はついに表慶館を出た。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この女にオールナイトの
玉
(
ぎょく
)
をつけて、私一人だけがこの町を去って、日本領事館へ出かけて行って、この女——澄子の知己だという
某
(
なにがし
)
書記官に事情を話し、それから官憲へ依頼して
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
曹操は白馬にまたがり、黄金の鞍をそなえ、
玉
(
ぎょく
)
をもってつくられた
轡
(
くつわ
)
をとる。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なんだか
玉
(
ぎょく
)
か
蠟石
(
ろうせき
)
を溶かしたもので描いてあるような気持がする。例えば、白ばらの
莟
(
つぼみ
)
の頭の少し開きかかった底の方に、ほのかな紅色の浮動している工合などでも、そういう感じを与える。
二科会展覧会雑感
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
池は
玉
(
ぎょく
)
もて張りたらんやうに白く湿める水の
面
(
も
)
に、静に魚の
溌
(
は
)
ぬる聞こえて、
瀲灔
(
ちらちら
)
と石燈籠の火の解くるも
清々
(
すがすが
)
し。塀を隔てて江戸川
縁
(
べり
)
の花の
林樾
(
こずえ
)
は
一刷
(
ひとはけ
)
に淡く、向河岸行く辻占売の声
幽
(
ほの
)
かなり
巣鴨菊
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
初は隣家の隔ての竹垣に
遮
(
さえぎ
)
られて庭を
半
(
なかば
)
より
這初
(
はいはじ
)
め、中頃は縁側へ
上
(
のぼ
)
ッて
座舗
(
ざしき
)
へ這込み、
稗蒔
(
ひえまき
)
の水に流れては
金瀲灔
(
きんれんえん
)
、
簷馬
(
ふうりん
)
の
玻璃
(
はり
)
に
透
(
とお
)
りては
玉
(
ぎょく
)
玲瓏
(
れいろう
)
、座賞の人に影を添えて孤燈一
穂
(
すい
)
の光を奪い
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「宝剣か、
玉
(
ぎょく
)
か、
唐渡
(
からわた
)
りのものか。」
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
破蕉龍
(
はしょうりゅう
)
を
失
(
しっ
)
して水仙
玉
(
ぎょく
)
をはらめり
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
「実は
玉
(
ぎょく
)
の整理です」
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「三つ岩のひじ
蔵
(
くら
)
は
玉
(
ぎょく
)
にして一万、南谷の
石蓋
(
いしぶた
)
に小判で八千、穴底の砂金は量ってみなければわかるまいがお
祖父
(
じい
)
の代から二百万という云い伝えがある」
艶妖記:忍術千一夜 第一話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その時
玉
(
ぎょく
)
は
匡山
(
きょうざん
)
の寺へいって勉強していた。ある夜
初更
(
しょこう
)
のころ、枕に
就
(
つ
)
いたところで、窓の外で女の声がした。
阿英
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
と身を横に、
蔽
(
おお
)
うた
燈
(
ともしび
)
を離れたので、
玉
(
ぎょく
)
ぼやを透かした薄あかりに、くっきり描き
出
(
いだ
)
された、上り口の半身は、雲の絶間の
青柳
(
あおやぎ
)
見るよう、髪も
容
(
かたち
)
もすっきりした
中年増
(
ちゅうどしま
)
。
女客
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
玉
(
ぎょく
)
のように半透明に曇った肌が、奥の方まで日の光りを吸い取って夢みる如きほの明るさを啣んでいる感じ、あの色あいの深さ、複雑さは、西洋の菓子には絶対に見られない。
陰翳礼讃
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
十年前の江戸の旅にはまだそれでも、紙、織り物、
象牙
(
ぞうげ
)
、
玉
(
ぎょく
)
、金属の
類
(
たぐい
)
を応用した諸種の工芸の見るべきものもないではなかったが、今は元治年代を誇るべき意匠とてもない。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
高麗縁
(
こうらいべり
)
の青畳の中、
脇息
(
きょうそく
)
に
凭
(
もた
)
れて、眼をやると、鳥の子に百草の譜を書いた唐紙、唐木に百虫の譜を透かし彫にした
欄間
(
らんま
)
、
玉
(
ぎょく
)
を刻んだ引手や
釘
(
くぎ
)
隠しまで、この部屋には何となく
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ことに青味を帯びた
煉上
(
ねりあ
)
げ方は、
玉
(
ぎょく
)
と
蝋石
(
ろうせき
)
の雑種のようで、はなはだ見て心持ちがいい。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
身上
(
みあが
)
りをしたり、聞けば他で以て高利を借りて、それも是れもまア
稼人
(
かせぎにん
)
のこったから私は何にも云いませんけれども、考えて御覧なさい、私は
玉
(
ぎょく
)
をいくら取り
損
(
そこな
)
ったか知れやしない
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「じゃア、僕がけさのお礼として
玉
(
ぎょく
)
をつけましょう」
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
玉
(
ぎょく
)
がそのほかであるのは言うまでもなかった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
玉
(
ぎょく
)
の
龍刻
(
りゅうこく
)
の
筆筒
(
ふでたて
)
と、獅子の
文鎮
(
ぶんちん
)
とであった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
黒塗
金蒔絵
(
きんまきえ
)
の小さな棚を飾って、毛糸で編んだ
紫陽花
(
あじさい
)
の青い花に、
玉
(
ぎょく
)
の
丸火屋
(
まるぼや
)
の
残燈
(
ありあけ
)
を包んで載せて、中の棚に、香包を斜めに、古銅の香合が置いてあって、下の台へ鼻紙を。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
貴方のような
何
(
なん
)
じゃ有りませんが、随分中には
風
(
ふう
)
の悪いお客が、
玉
(
ぎょく
)
の五つ六つも附けて祝儀の少しも出すとね、
上手
(
うわて
)
へでも連出して色男振って、ほんとにあなた然うじゃア有りませんか
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
支那人はまた
玉
(
ぎょく
)
と云う石を愛するが、あの、妙に薄濁りのした、幾百年もの古い空気が一つに凝結したような、奥の奥の方までどろんとした鈍い光りを含む石のかたまりに魅力を感ずるのは
陰翳礼讃
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それでまた珍らしくなって、いったん伏せたのをまた開けて見ると、ふと
仮名
(
かな
)
の交らない四角な字が二行ほど並んでいた。それには
風
(
かぜ
)
碧落
(
へきらく
)
を
吹
(
ふ
)
いて
浮雲
(
ふうん
)
尽
(
つ
)
き、
月
(
つき
)
東山
(
とうざん
)
に
上
(
のぼ
)
って
玉
(
ぎょく
)
一団
(
いちだん
)
とあった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「板橋の
東景庵
(
とうけいあん
)
の薬師如来像が盗まれた。これは運慶作の
御丈
(
おんたけ
)
四尺五寸という大した仏像だ。
厨子
(
ずし
)
は金銀を
鏤
(
ちりば
)
め、仏体には、
玉
(
ぎょく
)
がはめ込んである。十一年前の春盗まれて、未だに行方が知れない」
銭形平次捕物控:034 謎の鍵穴
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
芸妓
(
げいしゃ
)
も自家これに客となって、祝儀を
発奮
(
はず
)
み、
玉
(
ぎょく
)
を附けて、弾け、飲め、唄え、酌をせよ、と命令を奉ぜしめた時ばかり、世の賤業を営むものとおとしめて
宜
(
よろ
)
しいけれども、
臂鉄砲
(
ひじでっぽう
)
に
癇癪玉
(
かんしゃくだま
)
を込めた
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
只
玉
(
ぎょく
)
を二つ払えば
宜
(
い
)
いという訳にはいかねえから、それはいけねえ
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
金二百円一円札○一金側時計一個
但
(
たゞし
)
金鎖附此代金二百円○一同一個但銀鎖附此代金百円○一掛時計二個此代金五十円○一衣類二十七品此代金五百円○一
玉
(
ぎょく
)
置物一個此代金二百円○一
古銅
(
こどう
)
花瓶一個此代金百五十円
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
、……むしゃくしゃするから、台所へ掛合って
枡
(
ます
)
で飲んだ、飲んだが、何うだ。会費じゃあねえぜ。二升や三升で酔うような行力じゃねえ、酔やしねえが、な、見ねえ。……
玉
(
ぎょく
)
に白粉で、かもじと来ちゃあ堪らねえ。あいよ、
姐
(
ねえ
)
さん。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
玉
常用漢字
小1
部首:⽟
5画
“玉”を含む語句
紅玉
玉蜀黍
碧玉
青玉
黄玉
緑玉
玉菜
玉簾
白玉
玉章
烏羽玉
硝子玉
金玉
玉兎
半玉
鉄砲玉
玉手
珠玉
薬玉
南京玉
...