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捌
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さば
ふりがな文庫
“
捌
(
さば
)” の例文
聟
(
むこ
)
の勘五郎に任せましたが、金箱は
確
(
しか
)
と押えて、五十文百文の出入りも、自分の手を経なければ、勝手に
捌
(
さば
)
きはさせなかったのです。
銭形平次捕物控:073 黒い巾着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
鴨は猟ごとに二万羽ちかく捕れる、少ない年でも一万羽を下らないし、名物として知られているため、高い値段で
捌
(
さば
)
くことができた。
若き日の摂津守
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
が、姿は雨に、月の
朧
(
おぼろ
)
に、水髪の横櫛、
頸
(
うなじ
)
白く、水色の蹴出し、
蓮葉
(
はすは
)
に
捌
(
さば
)
く裾に揺れて、
蒼白
(
あおじろ
)
く燃える中に、いつも素足の吾妻下駄。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
足にからまって
裾
(
すそ
)
がうまく
捌
(
さば
)
けなかった故に、こんなあるき方を発明して、それが美女の嬌態と認められることになったのかと思う。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
当時の物価の安い時分でも、一日の手間三円五十銭を得た位、師匠の作はもとより弟子たちの作でもドシドシ売れ
捌
(
さば
)
けたものであった。
幕末維新懐古談:38 象牙彫り全盛時代のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
▼ もっと見る
その女たちの中でも一等
捌
(
さば
)
けるピン
嬢
(
ちゃん
)
とチョキ
嬢
(
ちゃん
)
という二人がノスタレだかオシッコだかわかりませんが病気になっちゃったんで
人間腸詰
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
容易に
捌
(
さば
)
けぬと叫ぶようであった。先がつかえているために
止
(
や
)
むなく
逡巡
(
しゅんじゅん
)
して、何かそのことを憤っているような川鳴りの音であった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
それを口を利いてやっと
捌
(
さば
)
きをつけてやったのが、男の方では佐藤という土地の
幅利
(
はばきき
)
、女の方ではここに現われた女興行師のお角さん。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
生得
(
しやうとく
)
聰明な人だけに、老臣等に
掣肘
(
せいちゆう
)
せられずに、獨力で國政を取り
捌
(
さば
)
いて見たかつた。それには手足のやうに自由に使はれる侍が欲しい。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
手持
(
てもち
)
の
品物
(
しなもの
)
ならば
成
(
なる
)
たけ
早
(
はや
)
く
之
(
これ
)
を
捌
(
さば
)
かう、
又
(
また
)
手持
(
てもち
)
の
品物
(
しなもの
)
を
成
(
なる
)
たけ
少
(
すくな
)
くしよう、
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ふことは
當然
(
たうぜん
)
の
結果
(
けつくわ
)
と
云
(
い
)
はなくてはならぬ。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
「君は喰わず嫌いだよ。会って見もしないで悪くいう
奴
(
やつ
)
があるもんか。一度会って見ろ、決して
不快
(
わる
)
い気持はしない、
極
(
ごく
)
捌
(
さば
)
けた男だよ、」
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
それらを通じて、彼は海外との交易をやらせ、およそ都に見られる
唐物
(
からもの
)
のすべては
佐女牛
(
さめうし
)
の門から密々
市
(
いち
)
へ
捌
(
さば
)
かれていた物といってよい。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
売り
捌
(
さば
)
かれたものはわずかに五匹にすぎず、しかもその販売先が、いずれも若き美しき夫人ばかりであるという点においては
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
したがって必要以上に多量に仕入れた商品は、それだけ格安に
捌
(
さば
)
くことが出来るのみでなく、終には投売りもするようになる。
一商人として:――所信と体験――
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
、
相馬黒光
(著)
明治の
半頃
(
なかばごろ
)
までさしも繁昌を極めた「阿波藍」にも大きな敵が現れました。化学は染めやすい人造藍を考え出しこれを安く売り
捌
(
さば
)
きました。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
いくら其の時代だからといって、芝居や講釈でする大岡
捌
(
さば
)
きのように、なんでも裁判官の
手心
(
てごころ
)
ひとつで決められてしまっちゃあ堪まりません。
半七捕物帳:24 小女郎狐
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「退屈なら、わたししはしないわ。」こう云ったのは褐色を帯びた、ブロンドな髪を振り
捌
(
さば
)
いて、鹿の足のような足で立っている小娘である。
釣
(新字新仮名)
/
ペーター・アルテンベルク
(著)
時たま自分がその店に現れて、彼女が色んな男たちに騒がれてうまく
捌
(
さば
)
いてゐるさまを眼にしてゐると、ちよつと舌を出したい心持にもなる。
現代詩
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
そなたの導力が
手繰
(
たぐ
)
るまにまに、やがてわたしも、そなたと一つ世界に運び上げられよう。あな讃むべき因果の
捌
(
さば
)
き。あな有難や法の掟……。
阿難と呪術師の娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
至つて軽口の、
捌
(
さば
)
けた、竹を割つた様な気象で、
甚麽
(
どんな
)
人の前でも
胡坐
(
あぐら
)
しかかいた事のない代り、又、甚麽人に対しても
牆壁
(
しやうへき
)
を設ける事をしない。
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
こういったようなことから、後で女房が亭主に話すと、亭主はこの辺では珍らしい
捌
(
さば
)
けた男なんだそうで、それは今ごろ始った話じゃないんだ。
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
余は法学士である、刻下の事件をありのままに見て常識で
捌
(
さば
)
いて行くよりほかに思慮を
廻
(
めぐ
)
らすのは
能
(
あた
)
わざるよりもむしろ好まざるところである。
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
体
(
てい
)
よく
捌
(
さば
)
かれたり、とゞのつまりは「物も云はでやみにけり」とか、「
煩
(
わづら
)
はしとて男やみにけり」とか云う風な終りを告げている
挿話
(
そうわ
)
が随分ある。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
まさか「天下の政道を取
捌
(
さば
)
く決断所での琴三味線」「自分のなぐさみ気ばらしをやらるる」重忠様もなかったであろう。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
正勝は浪岡に
跑
(
だく
)
を踏ませて、
楡
(
にれ
)
の木のある斜面を雑木林の谷のほうへ下りてくるところだった。右手には猟銃を持って、手綱は左手で
捌
(
さば
)
いていた。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
左右の
肩衣
(
かたぎぬ
)
を一斉に振って、のっさのっさと長袴の裾を
捌
(
さば
)
き、磨き抜いた
板廊
(
いたろう
)
を雁のように一列になって
退
(
さが
)
って来る。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
夜の
更
(
ふ
)
けた切り通し坂を自分はまるで疲れ切って歩いていた。
袴
(
はかま
)
の
捌
(
さば
)
ける音が変に耳についた。坂の中途に反射鏡のついた照明燈が道を照している。
泥濘
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
衣服
(
いふく
)
調度類
(
ちょうどるい
)
でございますか——
鎌倉
(
かまくら
)
にもそうした
品物
(
しなもの
)
を
売
(
う
)
り
捌
(
さば
)
く
商人
(
あきうど
)
の
店
(
みせ
)
があるにはありましたが、さきほども
申
(
もう
)
した
通
(
とお
)
り、
別
(
べつ
)
に
人目
(
ひとめ
)
を
引
(
ひ
)
くように
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
それからいい加減にそれを
捌
(
さば
)
いてしまう、こうしてアポロンがアドメトス王の羊を飼ったまねをする、というわけだ。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
女中がついて来るから邪魔だ、だからお前はその女中の方を巧く
捌
(
さば
)
いてくれ、その間に俺はメッチェンの方を云々。
六白金星
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
第四十二
肥前
(
ひぜん
)
飯 と申すのは鯛の身を白焼にして細かく
捌
(
さば
)
きます。別に
牛蒡
(
ごぼう
)
をササ
掻
(
が
)
きにして半日ほど水へ漬けて
度々
(
たびたび
)
水を取かえてアクを出します。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
午前中はそれでも何とか
捌
(
さば
)
いてゆくけれど、午後になるともう、いくらベルを押してもいつかな姿は現はさない。
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
迚
(
とて
)
も一通りや二通りで、解決の着くべき問題では無かったのを、小虎の為に簡単に
捌
(
さば
)
かれたので有った。竜次郎は唯只運命の奇なるに驚くのみで有った。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
しかれども世人はなほ平和の夢を
貪
(
むさぼ
)
るに余念なく、宝舟と称する美術船にて今年正月二日に売り
捌
(
さば
)
きたる七福神の画は未だかつてあらざるの多額に上りたり
四百年後の東京
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
この風呂敷の問屋は、芸者に関係者はなかったが、商談などの座敷に呼ばれ、お神が出入りの芝居者から押しつけられる大量の切符を、よく
捌
(
さば
)
いてくれた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
千筋
(
ちすじ
)
とまでは行かなくとも、繊細な糸を
捌
(
さば
)
いて、たぎり落ちるところもある、「
花茨
(
はないばら
)
故郷の路に似たるかな」
火と氷のシャスタ山
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
おはま そんな男の
捌
(
さば
)
きが付けられないでどうなるものか。引ッ張っといで、とっちめて帰らせてやるから。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
あの美男小姓霧島京弥にその愛撫をまかせて、るす中存分に楽しめと言わぬばかりに粋な
捌
(
さば
)
きを残しながら江戸の屋敷を守らせておいた、あの妹菊路なのです。
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
それらの印刷物は万年町の元締から「
卸
(
おろ
)
し」にされて、例の街頭で売り
捌
(
さば
)
くことになっているのであった。
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
長身で動作がきびきびしていて、その配達ぶりは見ていて気持がよかった。彼はまたあの新聞やの特技に長じていた。新聞を指で
捌
(
さば
)
いてキュッキュッと鳴らす。
安い頭
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
彼らは、蒙古人のするとおりの真似をする。
胡坐
(
あぐら
)
をかく、手
掴
(
づか
)
みで食い、片手で馬を
捌
(
さば
)
く。しかし、智能の程度は小学生をでぬ。とマア、こういったもんです。
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「早くそこへ気がついて、兄さんに御苦労していただくとよかったんですな。この辺ではとてもこれだけの品物は
捌
(
さば
)
けませんや。やっぱし東京に限りますなあ」
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
銭が無ければ
宜
(
え
)
い、たゞ埋めて
遣
(
や
)
んべえなどゝいう
捌
(
さば
)
けた坊様だ、其の代りお経なんどは読めねえ様子だが、
銭金
(
ぜにかね
)
の少しぐれえ
入
(
い
)
るような事があって困るなら
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
こういう思いきった役替は、そもそも誰の
捌
(
さば
)
きによるのかと、寄り寄り
詮議
(
せんぎ
)
してみたところ、あにはからんや、押原右内一人の方寸から出ていることがわかった。
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
しからば女子をばいかに
捌
(
さば
)
いたかというに、宮中や将軍家の奥向きに奉公するか、または同輩の家へ嫁にやることができれば、さらに不思議のないことであるが
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
紅布
(
ミウレタ
)
の
捌
(
さば
)
き、足の構えの妙味、ちょっとした
手銛
(
バンデリラ
)
のこつとか、つまり専門的に細かい闘牛眼がメリイ・カルヴィンにも備わって来て、そして、そう気のついた時
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
一時はやかましい問題であったが、老巧なバルフォーア卿がいて円滑にこれを
捌
(
さば
)
き、結局英仏語を公用語 official language とするのでなく
国際聯盟とは如何なものか
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
真実はおもてに現われて、うそや飾りで無いことは、其の
止途無
(
とめどな
)
い涙に知れ、そして此の
紛
(
まぎ
)
れ込者を
何様
(
どう
)
して
捌
(
さば
)
こうか、と一生懸命真剣になって、男の顔を伺った。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
当時アテーネ遊君の大親玉フリーネがエレウシスの大祭に髪を
捌
(
さば
)
いて
被
(
おお
)
うたばかりの露身の肌を日光に照らし、群衆
瞠若
(
どうじゃく
)
として開いた道を通って海に入り神を礼し
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
おしどりは元来京風の髷で、島田に
捌
(
さば
)
き
橋
(
ばし
)
を掛けたその捌きが
鴛鴦
(
おしどり
)
の尻尾に似てもおり、橋の架かった左右の二つの髷を鴛鴦の睦まじさに見立てたわけなのでしょう。
好きな髷のことなど
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
捌
漢検準1級
部首:⼿
10画
“捌”を含む語句
売捌
裾捌
手捌
取捌
捌口
裙捌
褄捌
太刀捌
売捌所
捌髪
撥捌
蹴出捌
売捌場
賣捌方
解捌
売捌人
膚捌
羽捌
絲捌
糸捌
...