手伝てつだ)” の例文
旧字:手傳
「どうしてどうして、おまえなんぞに手伝てつだってもらえるものか。なわをといてやったら、手伝てつだうどころか、すぐげてってしまうだろう。」
かちかち山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そこで、これからどうするかね? むろん、ぼくはできるかぎりの手伝てつだいはするよ。だが、きみはいったい、どうしたいと思ってるのかね
運よくわたしたちのかくしには、ボブの興行こうぎょう手伝てつだってもうけたお金があった。みんなで二十七フランと五十サンチームあった。
南万丁目みなみまんちょうめ屋根換やねがえの手伝てつだママにやられた。なかなかひどかった。屋根の上にのぼっていたら南の方に学校が長々とよこたわっているように見えた。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
しかたがない、わしの家も当分とうぶんはまだせわしいから手伝てつだっていな。そのうち、どこか小僧こぞうにでもいったらいいだろう。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
たとえんであろうと、ひきずってもれてかねばならぬという、つよ意地いじ手伝てつだって、荒々あらあらしくかたをかけた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ただ二ヶげつに一だけ、理髪師とこやのセミョン、ラザリチばかりここへる、そのおとこはいつもってニコニコしながらってて、ニキタに手伝てつだわせてかみ
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
わかいものをそゝのかして、徒労力むだぼねらせると何故あぜふのぢや。御坊ごばう飛騨山ひだやま菊松きくまつが、烏帽子えばうしかぶつて、向顱巻むかふはちまき手伝てつだつて、見事みごと仕上しあげさせたらなんとする。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
四日程逗留とうりゅうして、台所だいどこをしたり、裁縫しごと手伝てつだったり、折から不元気で居た妻を一方ならず助けて往った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
平岡は縁側で行李のひもを解いてゐたが、代助を見て、笑ひながら、少し手伝てつだはないかと云つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ごんごろがねをおろすのは、庭師にわしやすさんが、おおきい庭石にわいしうごかすときに使つか丸太まるた滑車せみ使つかってやった。わか人達ひとたち手伝てつだった。れないことだからだいぶん時間じかんがかかった。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
要吉の仕事しごとの第一は、毎朝まいあさ、まっさきにきて、おもての重たい雨戸あまどをくりあけると、年上の番頭ばんとうさんを手伝てつだって、店さきへもちだしたえんだいの上に、いろんなくだものを、きれいに
水菓子屋の要吉 (新字新仮名) / 木内高音(著)
たく酒井伝吉さかゐでんきちといふ車ををとこがある、此男このをとこは力が九人力にんりきある、なぜ九人力にんりきあるかといふと、大根河岸だいこんがし親類しんるゐ三周さんしうへ火事の手伝てつだひにやつたところが、一人でたゝみを一度に九枚持出もちだしたから
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
あかしのつくころに糟谷かすやは帰ってきた。西田は帰ってしまうにしのびないで、まって話しすることにする。夜になって礼子や下女の笑い声ももれた。細君もおきて酒肴しゅこう用意ようい手伝てつだった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
直次郎に手伝てつだわせたのだよ、——お夏が聴いたという『佐渡屋の者を根絶やしにする』と言った相談は、あの二人さ、桟敷を落して自分達も水に入り、お絹だけを助ける積りでやった仕事だろう。
何かにつけて新吉の味方みかたになり、新吉がまっ黒けになって、朝から夜おそくまではたらかせられているときは、なみだを流して同情どうじょうし、新吉の手にあまるつらい仕事は、かげながら手伝てつだってくれたのでした。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
むすめはきっとこの中にいいおみやげがはいっているのだろうとおもって、にこにこしながら、おかあさんのお手伝てつだいをして、荷物にもつおくまではこんで行きました。
松山鏡 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「わたしにもその慈善事業じぜんじぎょうのお手伝てつだいをさせてください。ロンドンで開くはずのわたしの演奏会えんそうかい第一夜の収入しゅうにゅうは、どうぞカピのさらの中へ入れさせてください」
きつねがまだあみっているかもしれない。お前はいのちがけできつねとたたかうんだぞ。もちろんおれも手伝てつだ
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
入口の酒場さかばにより集まって、がやがやとさわいでいた村の連中に、ホール、それからお手伝てつだいのミリーがけたたましい悲鳴ひめいをあげて、玄関げんかんのとびらをおしあけて
秋の刈入かりいれがすんで、手伝てつだい仕事がなくなると、村のひとたちはだれも清造にこういうのでした。清造はそれを聞くとかなしくなって、沼のふちへ来ていていました。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
うやらお前様めえさまよりましだんべいで、出来できこと助言じよごんべい、ところ手伝てつだふべい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
細君が指輪ゆびわをなくしたので、此頃勝手元の手伝てつだいに来る隣字となりあざのおすずに頼み、きちさんに見てもらったら、母家おもやいぬい方角ほうがく高い処にのって居る、三日みっか稲荷様いなりさまを信心すると出て来る、と云うた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
すこ手伝てつだひませうか」と突立つたまゝ聞いた。代助は
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「もしもし、おばあさん、くたびれたらすこしお手伝てつだいをいたしましょう。そのわりこのなわをといてください。」
かちかち山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そしておみちはそのわずかの畑に玉蜀黍とうもろこし枝豆えだまめやささげもえたけれども大抵たいていは嘉吉を出してやってから実家じっか手伝てつだいに行った。そうしてまだ子供こどもがなく三年った。
十六日 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
兄弟の一人はこの機械が引き上げたおけを返す、もう一人の兄弟はお父さんの手伝てつだいをする。こんなふうにしててんでに自分の仕事を持っていて、むだに時間をついやすものはなかった
神職 じたばたするなりゃ、手取てどり足取り……村のしゅにも手伝てつだわせて、そのおんな上衣うわぎ引剥ひきはげ。髪をさばかせ、鉄輪かなわを頭に、九つか、七つか、蝋燭をともして、めらめらと、蛇の舌の如く頂かせろ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そしてばんまで垣根かきねって手伝てつだった。あしたはやすみだ。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
といいながら、背中せなか荷物にもつ手伝てつだってろしました。
松山鏡 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)